無間地獄



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題名:無間地獄
作者:新堂冬樹
発行:幻冬舎 2000.5.10 初版
価格:\1800

 幻冬舎がすっごく力を入れて出版した、いかにも幻冬舎らしい作家による幻冬舎らしいアウトロー的な作品。

 闇金融の亡者たちと、おぞましき性の生き地獄とを交錯させて描いた、まさに表題通りの地獄絵図。文章表現が上手いんだか軽薄なんだかよくわからないところが、居座りの悪さを感じさせる。1966年生まれという若さに、元金融業という裏街道経験が加わったアンバランスな才能がこの作家を作ったあたりに原因があるのかもしれない。

 小説として硬派の表現力を持つ部分と、戸梶圭太的エログロの悪のり文体、プラス平仮名擬態語びっしりという下品さが混じる。一寸見には堅気なのにどこか崩れた印象のある文体、とでも言っておこうか。

 前半は、ストーリー度外視で闇金融に生きる人たちの説明で終始するのでけっこう辛い。しかし裏切りと策謀と劇画的ダイナミズムによって後半はエンドに向けてひたすら突っ走る。スリルあり、バイオレンスありのB級ノワールの様相を呈してくるのだが、本質は殺伐とした虚ろな物語であり、下品で露骨でとてもグロい。タブーを知らぬストレートな表現が劇画的と感じられるのかもしれない。

 作品として面白いけれど、評価は好ききらいで真っ二つかな? ちなみにぼくはあまりに文学から背を向けた文体、そして刹那的なそのリズムが、若干抵抗を感じる。馳星周の対抗馬の存在になるのだと思うけれど、馳の方が文章表現は上手い。花村萬月はさらに雲上の存在のように上手い。

 内容の濃度はこの作品に限って言えば馳よりは新堂に軍配かな? でも萬月にはやはり負けると思う。いろいろな表現をしてみたけれど、それだけ難しい作品ってことである。ある意味では破壊力は満点の作品だということなのである。

(2000.06.17)