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カットグラス (『星が降る』へ改題)





題名:カットグラス
作者:白川道
発行:文藝春秋 1998.7.20 初版
価格:\1,429

 アウトロー作家が流行っていると最近思いませんか? 世界でも、日本でも。

 そうしたアウトロー作家の中でも、比較的頭脳的な経済アウトローとでも言うべき白川道のギャンブル的短編小説集が、これ。のっけから『病葉流れて』の原形的作品でスタートするこの作品集を読んでいると、どうしてもまともな暮らしに背を向けてしまう彼の作家的傾向というのが感じられてくる。

 作品はやはり作家の生を映す鏡で、平凡な道を歩いては来なかったぎりぎりの人生観の中で、生れる一瞬のドラマを、彼は短編という形で刻んで残している。こういう人が作家になって作品を書いてくれてよかったと思う。

 比較的まともで常識的な世界におとなしく住んで、暴力や博奕とそれほど出会うこともなく、闘いも避けてきて40年以上の時間を過ごしてきた自分にとっては、こうした、言わばあちらがわのできごとは、それなりに夢である。はかなさが羨ましくもあり、苦くもある。図らずも書いてしまったが、人の夢と書いて「儚さ」。

 切なさ以上にそうした儚さを感じさせる、脆き心の短編集である、と思った。

(1999.04.12)