流星たちの宴





題名:流星たちの宴
作者:白川道
発行:新潮社 1994.9.20 初版
価格:\1,800(本体\1,748)



 一言で言うなら、これはぞくっとする本であった。高村薫や花村萬月に会ったときの電撃感覚を受けた。ただものではない人の、あとがきから類推するなら、かなり私小説的な特殊な人間による特殊なドラマが、この一冊に込められている。ぼくの(ゾクッ)は、この密度の濃さから来たんだと思う。ある程度人生の過程を辿って見ている人でなければ書けない大人の小説、というものに出会うと、時にこのような嬉しい電撃ショックに、ぼくは見舞われる。

 ドラマがバブルを背景にした株操作にあり、そこにアメリカン・ドリームと比較したらいいのではないかと思われるような、日本的瞑さを備えた夢見草が生えている。この本はイメージを流星、銀河、月世界といった宇宙に見て、地を這うような物語を進めてゆく。ぼくはこの構成は、最後に至って、とても期待外れでがっかりしたんであるが、その唐突な終章さえなければ、かなりの作品だと思った。

 どちらかというと最初に手の内を見せられ、遡行した物語が紡がれてゆくのだが、そのドロドロ感は、やはり高村薫につながる日本的情念の世界って気がする。ぼくはこの同じ主人公の続編が見たいのだが作者は、物語をこじんまりとまとめてしまいたかったのかもしれない。

 いずれにせよ二作目に期待をかけたい作家である。こういう人に短編を書かせて試させて欲しいって気もしないでもない。

(1995.01.15)