ロゼアンナ



題名:ロゼアンナ
原題:Roseanna (1965)
著者:マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー Maj Sjowall and Per wahloo
訳者:高見浩
発行:角川文庫 1975.3.1 初版 1980.12.20 8刷
価格:\420

 さすがに人気高いシリーズ。読み始めの一冊、導入篇としてはなかなか無理がなくていい一冊であった。何よりも、ぼくの好きな人間的捜査モノであるところがいいではないか。

 87分署を終えた時点で大沢ちひろさんに今度はマルティン・ベックものをと薦められて以来何年も経ってしまったけれど、必ず読むという気持ちはあったのです。87分署と同じように個性的な刑事群像の捜査モノだとも聞いていたし、いつかはそういう別のタフガイたちに会ってみたかったわけ。

 今回の文庫再版の前に、いろいろな古本屋でハードカバーなどもだいぶ集めており、いつでも読み始められる状況は整っていたし、それほど長いシリーズではないから、手軽に読み始められる。思えばそんな気軽さが逆にきっかけを失わせていたんだろうと思う。

 フランシスの作品も律義だったけどこちらのシリーズも律義な小説だなあとの第一印象。しかし、ひさびさに読む三人称小説で、リズムが良くって、とても冷静で客観的で誠意のある小説でもあるらしい。

 第一作目では刑事たちの個性は、主人公のベック以外まだそれほど浮き出してきてはいないけれど、きっと彼らがこれから様々な難事件に挑み、いろいろな断面を見せてくれるのだろうとの期待は大。

(1994.05.14)
最終更新:2007年09月25日 23:22