復讐の残響




題名:復讐の残響
原題:Blind Rage (1995)
作者:David Lorne
訳者:平田敬
発行:新潮文庫 1998.6.1 初版
価格:\667


 『音の手がかり』『音に向かって撃て』に続く、盲目の音響技師ジャック・ハーレックのシリーズ第三弾。

 盲目の人間の感覚で音に頼った捜査を音を主体にした描写で綴ってきた独特のシリーズだったが、今回は「『ジョーズ』も二作目まで」の諺を逃れることはできず(ちなみに今ぼくが考えた諺ですけど)。3作目まで引っ張るなよなあ。どうみても怪しげな敵、無理のある設定だぜえ、という出来である。

 何しろ盲目の音響技師が訳立たずのプロット、犯人が妄執に囚われているのだが、相変わらず一作目を引きずった復讐鬼っていうのは、もういい加減弱いと思う。

 当初、それなりの個性で読ましめたシリーズも、こうなると凡百の捜査小説の域を出てはくれないのである。

(1998.10.06)
最終更新:2007年09月25日 22:11