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音に向かって撃て


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題名:音に向かって撃て
原題:BLIND MAN'S BLUFF (1992)
作者:JOHN SANDFORD
訳者:平田敬
発行:新潮文庫 1994.7.1 初版
価格:\760(本体438)

 映画だったらどう見てもB級の乗りのタイトルでいささか苦笑ものだが、まあ1ページ目から、タイトル通りの描写に始まり、その後の展開を予感させて、物語は始まる。『音の手がかり』はそのアイディアの斬新さがよくて、ぼくはけっこう評価したんだけど、この二作目は、一瞬肩透かしかと思わせられる。

 というのは脱獄囚の復讐ものと一言で済ませられる類いの、何とも類型化した話がベースで、 その脱獄囚がまた SEALS 出身とかでいろいろな技術を身に付けているわけだ。ほとんどジャッカルかランボォかというスピードで標的に迫る。一方標的にされている盲目の主人公はほとんど何一つ準備するでなしに、悪いニュースに脅かされる一方である。主人公そのものよりも、周囲の刑事たちの方がよほど活躍している、という図であるのだ。

 さてでは悪の側はそれほど凄いのかというと、これが、まあよく言う作者のご都合主義的展開で悪運ばかりを多用するという、情けのなさ。出会う人間のすべてが愚鈍で、油断だらけで、愚かで、弱く、都合のいい情報やら都合のいい道具やらをどんどん用意してくれる。この展開は、ぼくはちと嫌いであるぞ。

 さてそんな不満を胸にいっぱい膨らましながら物語は両雄の激突へ……というわけだが、ここで前作のテーマ<誘拐>というところですべての闘いがもう一度……と焼き直しされようというわけで、結局、物語としてはできすぎで面白いものの、「できすぎ」が気になると、凡庸なサスペンスに堕してしまう……。

 出獄・復讐ものならローレンス・ブロックの『墓場への切符』、エド・マクベインの『熱波』の方が、ぼくには印象的で面白かった。

 最近の、面白いが旨味のない、ハリウッド映画を見たような印象である。

(1994.08.26)