一瞬の死角




題名:一瞬の死角
原題:Sudden Prey (1996)
作者:John Sandford
訳者:真崎義博
発行:ハヤカワ文庫HM 2000.2.29 初版
価格:\920


 2年3ヶ月ぶりに邦訳されたシリーズ第8作は凄かった!

 ぼくには間違いなくシリーズのベスト作品に思える。サイコ・サスペンス・ファンにとっては失望ぎみの内容かもしれないけれど、それ以上に犯罪者集団対市警チームの真っ向対決小説として何とも抜群の面白さを誇っている。

 動機が何しろ刑事たちへの復讐。脱走。そして命要らずの犯罪者仲間たち。非情な殺人者たちによる、あまりに唐突な同時多発の襲撃シーン。これだけで強引にストーリーに掴まれてしまい、残りはすべて刑事たちの怒りとスリルの中で目まぐるしく掻き回される気分。

 犯罪者たちの屈折した暴力に仮借のないところがいい。ためらいがなく、行動がこの上なく大胆で不毛なところがいい。ここまでやれば、これはもう警察捜査小説ではなく、ミネアポリスを舞台にした死闘小説と言っていい。

 いつもながらにクレイジィな殺人鬼が集結している上、ルーカスはフィアンセとの微妙な問題をさらに過激にこじらせてそのままジェットコースター的死闘アクションの果てへと束にして突き進んでゆく。

 大きな見せ場だけでも軽く3度はあり、そこに至る中小のアクション・シーンは数知れず。それでいてB級犯罪アクションにならないだけのチームの面々の個性描写も光る。人間的な鎖の強靭さを武器にした戦いであるところが好ましい。

 前作と同様、内部に裏切りの因子がある分だけ不利なルーカス。内と外に許しがたい敵を抱えて爆走するアクション・サスペンスがここにある!

(2000.03.21)