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消された眼 (『獲物の眼』へ改題)



題名:消された眼
原題:EYES OF PREY (1991)
作者:JOHN SANDFORD
訳者:真崎義博
発行:早川書房 1994.3.31 初版
価格:\1,900(本体1,845)

 一匹狼刑事ルーカス・ダヴンポート・シリーズの邦訳第三弾。一作目『サディスティック・キラー』が知能的な連続殺人犯との駆け引きでなかなか引っ張ってくれたわけで、続いて読み継いでいるわけだが、前の第二作『ブラック・ナイフ』が急激に派手なアクション物に変わってしまい、少々戸惑った。

 『ランボー』シリーズに見られるようなアメリカ的なスケールアップ的変貌は、別にこうした刑事物の場合こちらは少しも望んでいないのだけど、この作者、もともとサービス過剰ぎみなのかもしれない。抑えたストーリーなんて少しも書けない……って感じである。

 前作は毛色の変わった殺戮ものだったけど、こちらはまた連続殺人鬼との対決ものと、元の路線に戻ったようである。ただし一作目が非常に警察に対し挑戦的な知性の対決を挑んで来た殺人社であったのに対し、こちらはむしろ警察から逃げまくりの完全犯罪を狙いたい、しかしばれそうになるのでどんどん連続殺人を犯さねばならないんだな、というどちらかというと成り行きに流れるタイプの殺人者で、正確も弱く、異常さもちんけな感じで物足りないと思う。

 日本のミステリーでもよく扱われる交換殺人みたいな物をアリバイ崩しに取り入れたり、薬中でラリって鏡を見てはジグを踊る異常なる犯人というのも、今更目新しさがなく、いろいろな小説の面白い部分を二番煎じ的に持ち寄って、よく言えばスピーディに、悪く言えばドタバタ的に集めた二流小説かなあ、というイメージである。

 まあまあ面白いんだけど緊張感が足りない、凄味が足りない……そんなイメージであった。アメリカではこのシリーズ、ベストセラー・リストに挙げられているのだそうだ。邦訳が少し遅い気もするけど、頑張って時流に追いついて欲しい。何度も言うようだけど新潮文庫からハヤカワに移った途端にコスト・パフォーマンス激落ちしたのは間違いない。

 シリーズなので主人公の環境は前作を引きずっています。そしてまた新しい環境での次作に期待してみるとしましょう。

(1994.08.05)