シーズ ザ デイ


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題名 シーズ ザ デイ
著者 鈴木光司
発行 新潮社 2001.4.10 初版
価格 \1,800



 鈴木光司もマルチジャンル作家であるなあ、とつくづく思う。この作品は作者の趣味の一つであるらしいヨットを材料にして、世界への冒険の夢や、家族や仲間たちとの絆、そして15年前に主人公を襲った遭難の謎に迫るミステリーとを、綯え合わせたような長編である。

 この作者、驚いたことに先の展開を決めずに書き始めてしまうらしい。文章が、平易でわかりやすく、なおかつ表現力に優れているという点にプラスして、書きたいことが作者のうちにきっちりとあることで、初めて実現される、得意なテクニックだと思う。

 数人の女性が登場するのだが、これでもかこれでもかと言わんばかりに最悪の性格を見せつける女性キャラが、読んでいて本当に許せなくなってくる……のだが、作者はこの作品は悪人探しではないのだよとでも言わんばかりに、復讐もなく、審判もない。人間たちの小賢しい企みを嘲笑うかのように、海の強烈な力だけが小説全体を領している。ここにまぎれもなく存在するのは海を冒険し、突き進んで行く、あくまで肯定的な生命であり、それらの価値だ。

 作者とおそらくは等身大の主人公を船出させ、日常の狭間から遠き大洋に、読者ごと引っ張ってゆく。リング・シリーズからは、またぐっと離れた地点での鈴木光司的世界。ほんとうに人間がよく書き分けられており、そのどれもが個性的で、深く重い。味わい深い物語は、印象的なラストシーンで締め括られる。海と人間の関係というのは、何ゆえに、かくもドラマチックなのであろうか!

(2001.09.03)