悪党パーカー/ターゲット



題名:悪党パーカー/ターゲット
原題:Backflash (1998)
著者:リチャード・スターク Richard Stark
訳者:小鷹信光
発行:ハヤカワ文庫HM 2000.2.15 初版
価格:\660

 前作『エンジェル』を契機に(というよりはメル・ギブソン主演映画化を契機にと言うべきか)新作パーカー・シリーズが書き継がれてゆくようで、古い作品の入手できないストレスが溜まりがちの新しい読者としては、この動きは大変に嬉しい。

 悪党パーカー全部持っていると自慢する友人のことがぼくはとっても羨ましい。余談になるけれっど彼は、ロス・トーマスの立風書房絶版シリーズも沢山持っているので、余計羨ましい(こちらは恩恵に預かりまして、おかげでだいぶロス・トマは制覇できました)。

 さて本書は、襲撃と裏切りと輻輳したプロットが練りに練られて、なかなかに楽しい娯楽傑作。この作家、ページを開いた瞬間に始まるツカミがとってもうまい。先日読んだ『殺人遊園地』も凄かったが、この作品も凄い。いきなりとんでもないシーンから心臓の高鳴りが聞こえてくるくらい激しくスタート。かくして胸ぐらを掴まえ強引に作品世界へと引きずり込んでゆくようなパワフルな展開にすっかりのめり込んでしまう。

 本作はその上二転三転。一見、そう複雑そうにみえないストーリー展開が、どうもプロローグの辺りから引きずってきた怪しい影の出現で、複雑極まりないものに変わって行く様が、スリリングでたまらなく嬉しい。

 プロの犯罪者であるパーカーは自分の規律を持っている。規律をしっかり守るためには努力や決意を厭わないそのストイシズムが、ドラマをきりっと引き締めて格好いい。しくじれば歯噛みをして反省する理性も備えている。度胸と知恵で彼はカジノ船を襲撃する。仲間集め。襲撃の準備。下見。裏切りなど。本当映画にしたくなるくらい上出来のプロット。いや、本当に襲撃したくなるくらいのやり口と言うべきであるかもしれない。

(2000.05.04)