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悪党パーカー/人狩り



題名:悪党パーカー/人狩り
原題:The Hunter (1962)
著者:リチャード・スターク Richard Stark
訳者:小鷹信光
発行:ハヤカワ文庫HM 1976.4.30 初刷 1999.5.31 5刷
価格:\580

 映画がきっかけになり、三十七年も前の作品が日本で改めて書店で平積みになる現象というのは滅多にあることではなく、この本、このシリーズにとっては、何とも幸運なことと言うしかない。手ごろな価格。読みやすい薄手の小説。日頃こうした小説を読まない人々にクライム・ノヴェルの世界を広げるいい機会となったに違いない。

 さてぼくはと言えば、悪党パーカーに乗り遅れてきた一人なので大変いいチャンスになった。同じように、これをきっかけにこのシリーズを手に取った(たぶん)多くの人と同様に、このシリーズが、現在でも風化していないことには即座に気がついたのである。

 十年近く前に、ぼくはマクべインの<87分署シリーズ>を一気読みした。<87分署シリーズ>はちょうどぼくの誕生した年にスタートし、ぼくと同じだけの年を取っている。もちろんシリーズは未だに生き残り続けているし、ぼくも何とかその持久力につきあっている。<87分署シリーズ>と同じような年齢を経ていながら、二十三年という永いブレイクを食らってしまったのがこちらの<悪党パーカー・シリーズ>。

 その最初のとっかかり、要するに三十七年前にこのシリーズがスタートした時点で、初めて悪党パーカーというキャラクターの登場を迎えた読者と同じ体験を、時空を越えて味わえるというのは、いわゆる読書の醍醐味の一つである。

 ましてやその主人公たるやど肝を抜くような、ある種、極端な人格であり、ある種、ずば抜けたプロフェッショナルである場合においては。しかも一匹狼のテキストのような境遇で、自分の運命を自分で切り拓いてゆく種類の、タフで強靭なキャラクターであるからには。

 主役に会わせて文体も冷徹極まりない。アップテンポのストーリー展開。有無を言わせぬバイオレンス。三人称複数の章立ては、とにかくサービス精神にのっとっているかのようで、読者を引きつけてやまない。中毒になってしまいそうなのに、品薄なところは、シリーズの薄幸さを思い知らせる。巻末で作品リストを紹介するくらいならシリーズ全作、再版してもらいたいところである。

(1999.08.30)