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ネヴァダの犬たち



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題名:ネヴァダの犬たち
原題:Stray Dogs (1997)
作者:ジョン・リドリー John Ridley
訳者:渡辺佐智江
発行:早川書房 1997.07.31 初版
価格:\1,600

 簡単に言えば映画『Uターン』の原作。しかし厳密に言えば、元々映画界に人でもあるリドリーが、この物語の原案をオリバー・ストーンに見せたところ映画化を決定。それではと小説化したものがこれであり、映画より逸早くお目見えしながらも、映画そのものと寸分変わらぬプロットで進む小説なのである。映画とほぼ同じような時間経過で読める、200ページに満たない手頃な軽さだが、内容的にはどうにもずしりとくる、いわゆるネオ・パルプ・ノワールなのだろう。

 映画と同じストーリー展開でありながら、わずかに違うのが、表現の違いによる空気か。存分に砕けた訳文による文章表現の暴力が、リドリーの場合は大変に特徴的である。乱暴で、しかしどこまでも黒い笑いに満ちたおかしさ。避けられぬ破滅への予感をたたえながら、異常な人物たちのオンパレードと、不毛なエネルギーの横溢は、何とも奇怪で醜悪でこの作品の舞台であるシエラという沙漠の集落に似合い尽くしている。

 映画で見る限り奇怪さが前面に出てしまっており、主人公役であったショーン・ペンのどたばたさ、いい加減さがそれを救って余りあるのだが、小説版では、もっとひねりつくして距離を置いた印象がないこともない。全編、これ皮肉だけで出来上がった奇妙な造形物といったところか。調律の狂ったホンキートンクピアノのような、噛み合わない会話が、いつだってこちらのネジを緩ませてしまうからだ。

 盲人と死んだ犬のコンビも、作風に独自の印象を加えている。トラック運転手たちのこれ以上ないほどの空しい会話と不毛な熱情が、沙漠の暑さを際だたせる。

 こうしたオフビート感覚を、よくもオリバー・ストーンのようなどちらかと言えば人生肯定的イメージの強い闘う監督が撮ったものだと思う。リドリーはずっとこの路線で、たがの外れた人間たちの狂った結末を描き切って欲しいものである。

(2004.02.15)