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*強盗心理学 題名:強盗心理学 原題:Procane Chronicle(1971) 作者:Oliver bleeck (Ross Thomas) 訳者:尾坂 力 発行:立風書房 1976.8.25 初版 価格:\800  オリバー・ブリーク名義の初期作品。『クラシックな殺し屋たち』と『ポークチョッパー』に挟まれたこの時期というのは、映画でも『MASH』を初め、ブラック・ユーモア全盛の時代だったように思う。アメリカ小説もこの頃はよくブラック・ユーモア作品が続け様に邦訳され、それなりに話題を読んでいた。素直とは読めないまでもにやにやとした苦い笑みを浮かべながら読むような本が受けていたし、それなりの世相であったのかもしれない。  特にこの時期のロス・トーマスにも軽妙でユーモラスな作品が続いているのも、もしかしたらその時代に繋がる何かしらの影響があったのかもしれないし、まるで関係のないことなのかもしれない。しかし、いろいろな意味でアメリカが変わろうとしている中で、小説というのもちょうど形を変えようとしていたのはおそらく確かなことに違いない。  こういう時代、ロス・トーマスは「強盗」という昔ながらの職業をアイロニイ豊かな形でこの作品に仕上げてみせた。強盗と言ってもまあ日本で言えば鼠小僧のような「義賊」が何とまあ主役と言える。ロス・トーマスの書く主役のほとんどすべては犯罪者だが、そのほとんどすべては悪党ではないかもしれない。憎めない主役たちが世の中に突っ張って犯罪を好んで行く、とでも言っておくべきか。  だからこそ、まさにこの「義賊」とは、ロス・トーマスの小説の骨格みたいなものなのだと思う。その犯罪に魅かれてゆく語り部の「わたし」は、犯罪者の半生記を書くことを当の「義賊」に依頼される。最初から突拍子もない設定を、人間味豊かに、楽しく描き切ってしまうのが、この作者のまさに妙味。  またこの時期のロス・トーマス作品は軽めのものが多いが、油の乗り切っているという感じで、非常に傑作でウマミを感じさせてくれるものがほとんど。立風書房はなぜかこんなにも美味しいところを絶版にしているのである。 (1996.03.28)

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