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*闇の子供たち #amazon(4344405145,left,image) #amazon(4759260722,image) 題名:闇の子供たち 作者:梁 石日 発行:解放出版社 2002.11.20 初版 価格:\1,800  梁石日にしては珍しく物語の舞台はほとんど全面的にタイ。北部山岳地帯の貧村から買ってきた幼児を売買するマフィアのルートと、これに対抗するボランティア組織の社会福祉センターのスタッフがスラムで日々幼児売買と闘う。  ニュースでも雑誌でもしばしば取り上げられる売買→売買春→臓器売買といったこの世における最も悪魔的な所業である闇のシステムに真っ向から挑んだのが本書。ノンフィクションではなくいつもながらの非情極まりないタッチで梁石日が今回抉ってみせたのは、子供たちの生ける地獄の数々。  不毛なタイの土壌の上に泥まみれ、糞尿まみれで飼育され、売買される子供たち。腎臓を売って小金を稼ぐ親たち。センターの協力者に紛れ込むマフィアの手先。薬物漬けになって子供を弄ぶ幼児性愛者たち。  所詮、外国のことではあるのだが、我が子の心臓移植のために臓器売買組織に大金を払って生きたままのタイの幼児から心臓を買おうとする日本人夫婦の拝金主義のエゴは異常に恐ろしく見えてくる。  さまざまな本で幼児虐待や売買については取り上げられているものの、本書では梁石日が有無を言わせぬ描写力でリアルなむご過ぎる部分をも世に照射してみせる。目を背けたくなるほどの地獄のページの数々。闘うボランティアたちが血に染まって倒れてゆく姿には、救いのなさ以外感じることができない。  それでも命を顧みずに不毛な闘いを挑み続ける国際ボランティアスタッフたちの闘志だけが、生きる上での絶対条件のように本の中で唯一の弱いが、それでも光であり輝きである。  悲惨さの方が目立つのもいつものこと。他のやり方ではこの本は書き切れなかっただろう。ノワールと言われる作風だからこそ、妥協のない現実の悲惨に梁石日は真っ向、立ち向かい得ているのだと思う。 (2002.12.20)

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