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*寡婦 #amazon(4150708037,text) #amazon(4150015945,text) 題名:寡婦 原題:Widows (1991) 著者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:井上一夫 発行:ハヤカワ・ミステリ 1993.2.28 初版 価格:\1,200(本体\1,165)  前作よりレベルアップした作品。アイリーン・バークという女性囮刑事がクローズアップされるようになって以来このかた、彼女はシリーズの牽引役になっていると思う。もう一人はというとハル・ウィリスか? 過去にはあまり取り上げられずにきた彼らが、最近の作品では前面に出てきている。  アイリーン・バークの魅力は、ここのところ試練ともいうべき多くの困難をくぐり抜けてきていることによるのだが、本作ではまたも彼女の「踏み絵」とも言うべき事件が待ち受ける。一方ではキャレラの身辺にも重大な変化が訪れることになる。そして漂流者のごときバート・クリング……。  本筋というべき事件以上に、この作品の重要なところはアイリーンの心の癒しである。アイリーンはここ数年の<87分署>シリーズの主役ですらある。アイリーンの問題は<87分署>が避けて通れない問題だ。何らかの決着を見るべき問題なのである。  優れた物語のなかでは、たいてい登場人物たちが必ずひとり歩きしている。だからこそ偶然というよりは、必然に支配されたストーリーの方が読者の心を引きつける。この作品を単体としてでなく、シリーズとして読んでいる者にとっては、この作品のソロとしての評価は下しにくいものであり、それもまた読者の側の必然である。ぼくの側とキャラクターの側との必然とを、マクベインという職人がブレンドしてしまうわけだ。  本筋の方はいささか陳腐ながら、こちらもキャレラやブラウンの捜査を物語る上で欠かすことのできない、彼らの必然なる日常であるという気がしてくる。シリーズのなかで本書が特に目立つことはないのだけれど、むしろぼくには<87分署>の魅力を横溢させた十分に完成度の高い小説であるように思える。前作の、オカルト教団を主題にした、少しとっつきの悪い話に較べると、ぼくにはたいへんにぼくの好みなのだ。 (1998.02.28)

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