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*死んだ耳の男 #amazon(4150707812,text) #amazon(4150012385,text) 題名:死んだ耳の男 原題:Let's Hear It for the Deaf Man (1973) 著者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:井上一夫 発行:ハヤカワ文庫HM 1986.11.15 1刷 価格:\400  作品の時代背景にあるベトナムの戦火の影響が色濃く感じられる。長髪のヒッピーたちが街に新たな世界を作り出している。アイソラの街にも、同じ翳が落ちている。ヘルス・エンジェルスまがいの暴走族が出現し、ビートルズは既に解散している。日本では「三無主義」という言葉が産声をあげ、ぼくらの世代はその名で大人からの攻撃対象になっていた。ぼくらが必至の抵抗を試みようとしても、ウッドストックもケネディも安保ももう後の祭になりつつあった。アメリカの威信は揺らいでいた。バーテンダーが刑事に第二次大戦の思い出を語る。  「あの闘いでは名誉があった」  さてそんな昏い時代を背景に、前作で恋人と切ない別れを告げたクリングは新たな恋人を捜している。彼も他の刑事たちもだれもが多くの犯罪者を捜す。<87分署>の宿敵、高IQを誇る順列組み合わせの天才犯罪者デフ・マンがまたも帰ってきた。デフ・マンはシリーズ三本目の登場で、ぼくはもうすっかり彼の登場にわくわくするようになった。彼はまたも警察を徹底的に煙に巻いた知能的な犯罪計画を引っ提げて現われるのだった。  <87分署>は同時に沸き起こった複数の凶悪犯罪の嵐に見舞われている。ときには極めて単調な一つの事件に紙数を費やすことのあるこのシリーズも、本書のように三つ以上の事件を同時に進行させ、読者以上に捜査員たちを混沌とさせてしまうことがある。サービス満点な一冊。あっという間にページを繰ってしまう面白さ。  銃撃の多い一冊。何となくウォルター・ヒルの映画を観ているような気分になる。西部劇隆盛の時代から、銀行の襲撃シーンというのはやはりたいへん劇的なものである。本書はシリーズ屈指の活劇編である。 (1990.10.14)

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