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*ジウ II 警視庁特殊急襲部隊[SAT] 題名:ジウ II 警視庁特殊急襲部隊[SAT] 作者:誉田哲也 発行:中央公論新社 C・NOVELS 2006.3.25 初版 価格:\1,000  「誰が、この展開を予想できたか!?」  とは、裏カバーの言葉。確かに『ジウ』を読んだだけでは、あまりにも未消化な状態で、不満ばかりがたまる。伊達に面白い展開であるだけに、この半端さは許せない、というのがおそらく大方の読者の読後感であったのではないだろうか。  だから、連続ものなら、連続ものと、最初からそう言えよ! と、前作のネタが割れてゆくにつれ、憤りが込み上げてくるのだ。ますます面白いじゃねえか、という内心の嬉しさとともに、何故かどんどん乱暴になってゆく自分がいる。  そして本書でも、やっぱりこのシリーズは終わらないのだ。そう、全然終わらない。ますます、次が読みたくてたまらなくなる。  何と、2006年夏、『ジウ III』が完結篇として出版される。本書内広告によるとそうらしい。だから最初から三部作だと歌えよお、と、またも込み上げる怒りなのである。  マイケル・マーシャル『死影』の場合は、ちゃんと三部作だと歌っているから、敵が最後に逃げ果せても怒りが込み上げないのだ。書籍情報や出版情報を読者が心底必要とする場合は存在するのだ、見事に。  さて、ヒロインの一人である門倉美咲だが、相変わらず、警察署の中で可愛い女性を演じており、ぼくの中でのイメージは伊東美咲のまま継続している。しかし、彼女の役割は今のところ狂言回しでしかなく、むしろ物語の真のヒロインは、力と力の激突をゲームのように求め続けるSAT出身の伊崎基子の方ではないかと思う。  彼女のカラッと乾いた性格は、男勝りというのでもなく、あくまで突然変異のような異質な存在である。『ジウ』では一作目から、彼女をなぜああも丹念に描いてきたのか? 残念なことに前作ではその謎は解けてはいない。しかし、本書では、彼女こそが『ジウ』の持つ凶暴な物語の真の旅人であることが明らかにされてゆく。  そして魂の壊れた犯罪者ジウとは別に、本書では、のっけから、戦後の、とある犯罪者集落の地獄の物語、謎の人物の一人称によって語られてゆく。これが、今までにない迫力で作品に重くのしかかり、『ジウ』の物語を途方もない方向に導いてゆく。  前作を一気にスケールアップさせ、前作の裏側から、再びこの世界を切り取って見せてゆくそのことで、門倉美咲ら特殊班の捜査がいかに見当違いの方向で、前作を終えていたかが、次第にわかってゆく。事件が何も解決されていなかったか、その恐怖が。  提供された物語の、さらにその裏を行くシリーズということでなら、鈴木光司『リング』の三部作、松岡圭祐『催眠』『千里眼』のような、物語の拡張性、そうしたものを思い出す。  ある種大風呂敷を広げすぎて荒唐無稽になりがちな、この手の物語を、この夏に、作者がどう納めてくれるものか、その手腕こそ見ものである。 (2006/04/02)
*ジウ II 警視庁特殊急襲部隊[SAT] #amazon(412500935X,text,image) 題名:ジウ II 警視庁特殊急襲部隊[SAT] 作者:誉田哲也 発行:中央公論新社 C・NOVELS 2006.3.25 初版 価格:\1,000  「誰が、この展開を予想できたか!?」  とは、裏カバーの言葉。確かに『ジウ』を読んだだけでは、あまりにも未消化な状態で、不満ばかりがたまる。伊達に面白い展開であるだけに、この半端さは許せない、というのがおそらく大方の読者の読後感であったのではないだろうか。  だから、連続ものなら、連続ものと、最初からそう言えよ! と、前作のネタが割れてゆくにつれ、憤りが込み上げてくるのだ。ますます面白いじゃねえか、という内心の嬉しさとともに、何故かどんどん乱暴になってゆく自分がいる。  そして本書でも、やっぱりこのシリーズは終わらないのだ。そう、全然終わらない。ますます、次が読みたくてたまらなくなる。  何と、2006年夏、『ジウ III』が完結篇として出版される。本書内広告によるとそうらしい。だから最初から三部作だと歌えよお、と、またも込み上げる怒りなのである。  マイケル・マーシャル『死影』の場合は、ちゃんと三部作だと歌っているから、敵が最後に逃げ果せても怒りが込み上げないのだ。書籍情報や出版情報を読者が心底必要とする場合は存在するのだ、見事に。  さて、ヒロインの一人である門倉美咲だが、相変わらず、警察署の中で可愛い女性を演じており、ぼくの中でのイメージは伊東美咲のまま継続している。しかし、彼女の役割は今のところ狂言回しでしかなく、むしろ物語の真のヒロインは、力と力の激突をゲームのように求め続けるSAT出身の伊崎基子の方ではないかと思う。  彼女のカラッと乾いた性格は、男勝りというのでもなく、あくまで突然変異のような異質な存在である。『ジウ』では一作目から、彼女をなぜああも丹念に描いてきたのか? 残念なことに前作ではその謎は解けてはいない。しかし、本書では、彼女こそが『ジウ』の持つ凶暴な物語の真の旅人であることが明らかにされてゆく。  そして魂の壊れた犯罪者ジウとは別に、本書では、のっけから、戦後の、とある犯罪者集落の地獄の物語、謎の人物の一人称によって語られてゆく。これが、今までにない迫力で作品に重くのしかかり、『ジウ』の物語を途方もない方向に導いてゆく。  前作を一気にスケールアップさせ、前作の裏側から、再びこの世界を切り取って見せてゆくそのことで、門倉美咲ら特殊班の捜査がいかに見当違いの方向で、前作を終えていたかが、次第にわかってゆく。事件が何も解決されていなかったか、その恐怖が。  提供された物語の、さらにその裏を行くシリーズということでなら、鈴木光司『リング』の三部作、松岡圭祐『催眠』『千里眼』のような、物語の拡張性、そうしたものを思い出す。  ある種大風呂敷を広げすぎて荒唐無稽になりがちな、この手の物語を、この夏に、作者がどう納めてくれるものか、その手腕こそ見ものである。 (2006/04/02)

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