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*強襲 #amazon(4781612784,right,image) 題名:強襲 原題:Gamble (2011) 作者:フェリックス・フランシス Felix Francis 訳者:北野寿美枝 発行:イースト・プレス 2015.02.01 初版 価格:\1,900  ディック・フランシスは二度死んだ。そう、最初は取材源であり創作の右腕である と言われた夫人のメアリ・フランシスが逝去したとき。その失意と取材の右足として の夫人の存在を失ってから、彼が立ち直るまでに7年の時間を要している。高齢での 立ち直りに手を貸したのが、ディックの成長した子息フェリックスであった。その再 起作となった『祝宴』の出来栄えの見事さと、復帰を果たした競馬シリーズへのリス ペクトとで胸がいっぱいになったのを今でも覚えている。  そして父子二人の共著で長篇四作を遺し、ディックは本当の自身の死を迎える。そ れが本当の二度目の死かと思われた。ところが、奇跡とでも言いたいほどのことが競 馬シリーズに生じる。共著ではありながらディックの競馬シリーズに参加してきたデ ィックの愛息フェリックスが、本書では単独で執筆してきたのだ。  父の偉業を継ぐことがとてもハードルの高い作業であることをフェリックスは間違 いなく認識しているだろう。それでも果敢に挑戦し、このような形で新・競馬シリー ズの名が冠された一冊を書店で手に取ることができるようにしてくれたこの人は何と いう勇気の持ち主だろう。グランド・ナショナルでのチャンピオン・ジョッキーであ った父の勇気を血に受け継いだとしか言いようがない、まさに小説界の奇跡が本書な のである。  本書は言わばフェリックスの門出となる作品である。亡き父の遺志を継いでの競馬 シリーズ。内容は、ページを繰る手が止まらないほどスピーディでスリルに満ちてお り、そして男の矜持、騎士道精神、ハンディをものともせぬ勇気と、そして何よりも 愛する女性との葛藤の末の誓いと、エンターテインメントというばかりではなく人間 ドラマとしての感動に満ち溢れている。  ラストシーンで、主人公はディックの初作『本命』を髣髴とさせるシーンを演出し てくれる。数ある競馬シリーズにおいても、騎乗シーンをアクションに使ったのは『 本命』と本書だけではないのか。ある意味、フェリックスの決意を表すシーン構想で あるように思えて歓びにたえない。  フェリックスはこの後も二作ほど新作を刊行済みとのこと。なんと、シド・ハーレ ーのシリーズ五作目まで書いてしまっているらしい。早く次作の翻訳が読みたい。喉 から手が出るほど、この手に欲しい。 (2015.05.13)
*強襲 #amazon(4781612784,right,image) 題名:強襲 原題:Gamble (2011) 作者:フェリックス・フランシス Felix Francis 訳者:北野寿美枝 発行:イースト・プレス 2015.02.01 初版 価格:\1,900  ディック・フランシスは二度死んだ。そう、最初は取材源であり創作の右腕であると言われた夫人のメアリ・フランシスが逝去したとき。その失意と取材の右足としての夫人の存在を失ってから、彼が立ち直るまでに7年の時間を要している。高齢での立ち直りに手を貸したのが、ディックの成長した子息フェリックスであった。その再起作となった『祝宴』の出来栄えの見事さと、復帰を果たした競馬シリーズへのリスペクトとで胸がいっぱいになったのを今でも覚えている。  そして父子二人の共著で長篇四作を遺し、ディックは本当の自身の死を迎える。それが本当の二度目の死かと思われた。ところが、奇跡とでも言いたいほどのことが競馬シリーズに生じる。共著ではありながらディックの競馬シリーズに参加してきたディックの愛息フェリックスが、本書では単独で執筆してきたのだ。  父の偉業を継ぐことがとてもハードルの高い作業であることをフェリックスは間違いなく認識しているだろう。それでも果敢に挑戦し、このような形で新・競馬シリーズの名が冠された一冊を書店で手に取ることができるようにしてくれたこの人は何という勇気の持ち主だろう。グランド・ナショナルでのチャンピオン・ジョッキーであった父の勇気を血に受け継いだとしか言いようがない、まさに小説界の奇跡が本書なのである。  本書は言わばフェリックスの門出となる作品である。亡き父の遺志を継いでの競馬シリーズ。内容は、ページを繰る手が止まらないほどスピーディでスリルに満ちており、そして男の矜持、騎士道精神、ハンディをものともせぬ勇気と、そして何よりも愛する女性との葛藤の末の誓いと、エンターテインメントというばかりではなく人間ドラマとしての感動に満ち溢れている。  ラストシーンで、主人公はディックの初作『本命』を髣髴とさせるシーンを演出してくれる。数ある競馬シリーズにおいても、騎乗シーンをアクションに使ったのは『本命』と本書だけではないのか。ある意味、フェリックスの決意を表すシーン構想であるように思えて歓びにたえない。  フェリックスはこの後も二作ほど新作を刊行済みとのこと。なんと、シド・ハーレーのシリーズ五作目まで書いてしまっているらしい。早く次作の翻訳が読みたい。喉から手が出るほど、この手に欲しい。 (2015.05.13)

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