「ヒート・アイランド」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

ヒート・アイランド」(2006/12/17 (日) 22:09:45) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*ヒート アイランド 題名:ヒート アイランド 作者:垣根涼介 発行:文芸春秋 2001.7.15 初版 価格:\2.048  この作家についてはタイトルが何を表しているのかよくわからないのだが、最後に文章の中にタイトルを埋め込んで拍手って感じで終わらせたい、そんなところがあるのだろうか。その辺りの感覚はともあれ、内容はデビュー作よりも緊張感で上を行っていて、ちょうど『ワイルド・ソウル』への通過点になっているように思われる。  車へのこだわりが前作に通じるもので、この作家よくよく車が好きなのに違いない。銃に関してこだわりもあるから、やはり大藪以来の和製ハードボイルドのMONO志向は継いでいるといったところか。  商社や旅行代理店の勤務経験を経て培われたのが、日本国内のせせこましい経済に絡め取られた生き方から脱するための、第三文明的な人生観なのかもしれない。少しばかり日本人であることをやめた異邦人たちが多く出てくるところは、すべての作品を通して変わらない。海外を全く舞台として取り上げていないのはこの作品だけだけれども、それでも登場人物が他の文化の影響を受けていたりと、作者等身大の価値観の存在が常に感じられる。  作品そのもののモチーフも、どちらかといえば冒険心に引きずられたところが多く、それは反体制、反骨精神、アウトローといった形を取っている。  プロットだけ見れば、ある一点に複数のパワーが集約して炸裂するといった、戸梶圭太あたりがよく使う大クライマックス・タイプの盛り上がりを見せるのだが、あちらがブラックでグロいユーモアを使うのに対し、垣根涼介はぐっとクールに格好よく通している。  張り詰めた緊張感の中で、過酷さはさらっと描き、スリリングな中にも一定した明るさを保ち続けるアウトローのタフネスさ。このあたりでは、伊坂幸太郎あたりがギャングもので軽く落としてしまっている辺りを、こちらの作家は着実にずしりと着地させているという風に見える。根底にある経済感覚などもリアルで大人向きになっているし、悪役それぞれもなかなかに灰汁が強く、存在が濃い。  細かい展開の中に合法磊落な意思の強さを秘めて、どこまでも破天荒でたくましい男たちの生き様を描こうとするこの作家の歩き方には瞠目、としか言いようがない。三作とも毛色を変えている辺り、次作にも相当な新機軸を期待できそうな気がするのだが。 (2004.05.09)
*ヒート アイランド #amazon(4167686015,text,image) #amazon(4163201904,text,image) 題名:ヒート アイランド 作者:垣根涼介 発行:文芸春秋 2001.7.15 初版 価格:\2.048  この作家についてはタイトルが何を表しているのかよくわからないのだが、最後に文章の中にタイトルを埋め込んで拍手って感じで終わらせたい、そんなところがあるのだろうか。その辺りの感覚はともあれ、内容はデビュー作よりも緊張感で上を行っていて、ちょうど『ワイルド・ソウル』への通過点になっているように思われる。  車へのこだわりが前作に通じるもので、この作家よくよく車が好きなのに違いない。銃に関してこだわりもあるから、やはり大藪以来の和製ハードボイルドのMONO志向は継いでいるといったところか。  商社や旅行代理店の勤務経験を経て培われたのが、日本国内のせせこましい経済に絡め取られた生き方から脱するための、第三文明的な人生観なのかもしれない。少しばかり日本人であることをやめた異邦人たちが多く出てくるところは、すべての作品を通して変わらない。海外を全く舞台として取り上げていないのはこの作品だけだけれども、それでも登場人物が他の文化の影響を受けていたりと、作者等身大の価値観の存在が常に感じられる。  作品そのもののモチーフも、どちらかといえば冒険心に引きずられたところが多く、それは反体制、反骨精神、アウトローといった形を取っている。  プロットだけ見れば、ある一点に複数のパワーが集約して炸裂するといった、戸梶圭太あたりがよく使う大クライマックス・タイプの盛り上がりを見せるのだが、あちらがブラックでグロいユーモアを使うのに対し、垣根涼介はぐっとクールに格好よく通している。  張り詰めた緊張感の中で、過酷さはさらっと描き、スリリングな中にも一定した明るさを保ち続けるアウトローのタフネスさ。このあたりでは、伊坂幸太郎あたりがギャングもので軽く落としてしまっている辺りを、こちらの作家は着実にずしりと着地させているという風に見える。根底にある経済感覚などもリアルで大人向きになっているし、悪役それぞれもなかなかに灰汁が強く、存在が濃い。  細かい展開の中に合法磊落な意思の強さを秘めて、どこまでも破天荒でたくましい男たちの生き様を描こうとするこの作家の歩き方には瞠目、としか言いようがない。三作とも毛色を変えている辺り、次作にも相当な新機軸を期待できそうな気がするのだが。 (2004.05.09)

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: