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*闇の奥へ #amazon(left,4594004547)#amazon(4594004555) 題名:闇の奥へ(上・下) 原題:The Bear's Tears (1985) 作者:クレイグ・トーマス Craig Thomas 訳者:田村源二 発行:扶桑社ミステリー 1989.7.25 初版 1991.4.25 第6刷 価格:上\680(\660)下\660(\641)  これはすごい作品である。冒険小説ファンなら必読の本であろうと思う。まだ読んでない方は、すぐにこの本を入手してすべての本を差し置いても早いところ読んだ方がいいと思う。こういう物語を読むとクレイグ・トーマスってすごい作家だなあと改めて認識できる。『ファイア・フォックス』シリーズはおかげさまで映画にもなったりして多くの読者を抱えたようだけど、ミッチェル・ガント以上に作者が力を注いでいるパトリック・ハイドというヒーローがいいのである。  『レパードを取り戻せ』『ジェイド・タイガーの影』では、複数ヒーローと共演で影が薄かったハイドだが、最近の作品での活躍を見てもわかるように、作者はこの孤独な工作員をオーブリー組の最も重要なヒーローとして配している。そしてパトリック・ハイドの最大の冒険となったのがこの『闇の奥へ』である。  トーマスの作品は一応全作シリーズとなっているので、本来は発行順に読む進むことをオススメする。初期作品はそれでも順番を無視して読んで十分楽しめるとは思うし、どの作品も面白さは一定水準に達している。ぼくは一応全作発行順に読んでみたのだが、唯一『ファイアフォックス』シリーズだけは、あまりにも話が連続し過ぎているが故に、続けざまに読んだ。印象としてはこれで正解だと思う。  前半のピークが『ファイアフォックス』であり『狼殺し』だとすると、後半のピークの作品がこの『闇の奥へ』であることは間違いないと思う。ちなみに『冒険・スパイ小説ハンドブック』では『ファイアフォックス』が冒険小説部門で 17 位、『闇の奥へ』は謀略・情報小説部門で何と 6 位を獲得している。総合でも『ファイアフォックス』の 39 位に対し『闇の奥へ』が 19 位になっているが、現実には 『ファイアフォックス』の方がこれまでもこのフォーラムでは話題になって来たと思う。一方がハヤカワ文庫で読みやすい一冊であるのに、本作が扶桑社ミステリーで、なおかつ 1000 ページを越す分厚い上下巻であることも抵抗になっているかもしれない。  しかしそういう抵抗を差し置いても、この本は読み始めたらもう息抜きができない、 面白シーン連続の冒険小説である。 ハイドがアフガニスタンで対決するのが 『レパード……』と『ジェイド・タイガー』で未決着であったライバル、ペトルーニンなのだが、彼をコンラッドの『闇の奥』でのクルツ (映画『地獄の黙示録』の原作です) になぞらえるシーンは、寒気がするくらいのど迫力である。アフガンのあとのチェコ潜入も良いが、闇の奥へと赴かねばならないハイドの単独冒険行は、ちょっと冒険小説史の金字塔としてどこかに刻んでおきたいほど過酷で息詰まるものであると思う。  もともとこの作品辺りの評価を聞いて一作目から順に読んできたものだから、この作品でまたもクレイグ・トーマスの真価に触れられたぼくは大変に幸せものであるのだ。 (1993.02.11)
*闇の奥へ #amazon(left,4594004547)#amazon(4594004555) 題名:闇の奥へ(上・下) 原題:The Bear's Tears (1985) 作者:クレイグ・トーマス Craig Thomas 訳者:田村源二 発行:扶桑社ミステリー 1989.7.25 初版 1991.4.25 第6刷 価格:上\680(\660)下\660(\641)  これはすごい作品である。冒険小説ファンなら必読の本であろうと思う。まだ読んでない方は、すぐにこの本を入手してすべての本を差し置いても早いところ読んだ方がいいと思う。こういう物語を読むとクレイグ・トーマスってすごい作家だなあと改めて認識できる。『ファイア・フォックス』シリーズはおかげさまで映画にもなったりして多くの読者を抱えたようだけど、ミッチェル・ガント以上に作者が力を注いでいるパトリック・ハイドというヒーローがいいのである。  『レパードを取り戻せ』『ジェイド・タイガーの影』では、複数ヒーローと共演で影が薄かったハイドだが、最近の作品での活躍を見てもわかるように、作者はこの孤独な工作員をオーブリー組の最も重要なヒーローとして配している。そしてパトリック・ハイドの最大の冒険となったのがこの『闇の奥へ』である。  トーマスの作品は一応全作シリーズとなっているので、本来は発行順に読む進むことをオススメする。初期作品はそれでも順番を無視して読んで十分楽しめるとは思うし、どの作品も面白さは一定水準に達している。ぼくは一応全作発行順に読んでみたのだが、唯一『ファイアフォックス』シリーズだけは、あまりにも話が連続し過ぎているが故に、続けざまに読んだ。印象としてはこれで正解だと思う。  前半のピークが『ファイアフォックス』であり『狼殺し』だとすると、後半のピークの作品がこの『闇の奥へ』であることは間違いないと思う。ちなみに『冒険・スパイ小説ハンドブック』では『ファイアフォックス』が冒険小説部門で 17 位、『闇の奥へ』は謀略・情報小説部門で何と 6 位を獲得している。総合でも『ファイアフォックス』の 39 位に対し『闇の奥へ』が 19 位になっているが、現実には 『ファイアフォックス』の方がこれまでもこのフォーラムでは話題になって来たと思う。一方がハヤカワ文庫で読みやすい一冊であるのに、本作が扶桑社ミステリーで、なおかつ 1000 ページを越す分厚い上下巻であることも抵抗になっているかもしれない。  しかしそういう抵抗を差し置いても、この本は読み始めたらもう息抜きができない、 面白シーン連続の冒険小説である。 ハイドがアフガニスタンで対決するのが 『レパード……』と『ジェイド・タイガー』で未決着であったライバル、ペトルーニンなのだが、彼をコンラッドの『闇の奥』でのクルツ (映画『地獄の黙示録』の原作です) になぞらえるシーンは、寒気がするくらいのど迫力である。アフガンのあとのチェコ潜入も良いが、闇の奥へと赴かねばならないハイドの単独冒険行は、ちょっと冒険小説史の金字塔としてどこかに刻んでおきたいほど過酷で息詰まるものであると思う。  もともとこの作品辺りの評価を聞いて一作目から順に読んできたものだから、この作品でまたもクレイグ・トーマスの真価に触れられたぼくは大変に幸せものであるのだ。 (1993.02.11)

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