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*医学のたまご #amazon(right,4652086202) 題名:医学のたまご 作者:海堂 尊 発行:理論社ミステリーYA! 2008.01 初版 2008.03 3刷 価格:\1,300  東城医科大学のシリーズには入るものの、これは中学生・高校生向けに書かれたミステリー。理論社理論社ミステリーYA! といえば、2007年に話題をかもした永井するみ『カカオ80%の夏』も同じ叢書であった。中学生向けのミステリーといえども、最近はあなどれない。  実際、多目のルビなどを気にしなければ、大人が読んでも何ら遜色はないと思う。確かにいつもの東城医大シリーズに較べれば、白鳥も姫宮も出現しないし、レギュラー陣もほんのチョイ役という程度にしか登場しない。  それもそのはず。本書の主人公は、中学生だからだ。何と、14歳にして医大生に抜擢され、世間の注目を浴びることになった運命のヒーローである。しかも、実力ではなくさまざまな誤解と誤った手続きを経て、出来損ないの主人公が、天才少年なみに扱われてゆく。彼の眼を通した大学医学部の研究室とは?  などと言われても、最初は、中学生としての日常風景に、研究室での実験シーンが混じるなど、理科系の不得手な人間にとっては少しさわりがたいところがある。しかし、主人公君が我らと同じく劣等生であるゆえに、何となくついてゆける。  しかし憎きは、藤田教授であり、最初から最後まで彼のエゴが前面に出る研究室の空気はどこか重たく、緊張感に溢れている。彼によって傷だらけにされてゆく主人公を救うのは、Eメール越しにアメリカから毎日通信を欠かさないゲーム理論の第一人者である父親であった。アクティブ・フェーズでゆきたいか、パッシブ・フェーズでゆきたいかを息子に選ばせるシーンを見る限り、何だか白鳥圭介をそのまま思い起こさせてしまうではないか。  かくして、本書の後半は一転して、いつもの東城大医学部シリーズの痛快な空気を身に纏ってゆく。しかも中学生君の正しい成長の記録として。  『日経メディカル』に連載されていたとあって、本書は横書きのままに編集されている。Eメールのやりとりが多い小説では、こうした体裁も不自然ではないのかもしれない。ケイタイ小説というところまでは崩していないので、むしろ中学生には少し難しすぎるのではないかと思うくらいに、内容は密である。  シリーズの亜流、外伝的作品として、ファン必読の隠し味的一冊である。 (2008/11/16)
*医学のたまご #amazon(right,4652086202) 題名:医学のたまご 作者:海堂 尊 発行:理論社ミステリーYA! 2008.01 初版 2008.03 3刷 価格:\1,300  東城医科大学のシリーズには入るものの、これは中学生・高校生向けに書かれたミステリー。理論社理論社ミステリーYA! といえば、2007年に話題をかもした永井するみ『カカオ80%の夏』も同じ叢書であった。中学生向けのミステリーといえども、最近はあなどれない。  実際、多目のルビなどを気にしなければ、大人が読んでも何ら遜色はないと思う。確かにいつもの東城医大シリーズに較べれば、白鳥も姫宮も出現しないし、レギュラー陣もほんのチョイ役という程度にしか登場しない。  それもそのはず。本書の主人公は、中学生だからだ。何と、14歳にして医大生に抜擢され、世間の注目を浴びることになった運命のヒーローである。しかも、実力ではなくさまざまな誤解と誤った手続きを経て、出来損ないの主人公が、天才少年なみに扱われてゆく。彼の眼を通した大学医学部の研究室とは?  などと言われても、最初は、中学生としての日常風景に、研究室での実験シーンが混じるなど、理科系の不得手な人間にとっては少しさわりがたいところがある。しかし、主人公君が我らと同じく劣等生であるゆえに、何となくついてゆける。  しかし憎きは、藤田教授であり、最初から最後まで彼のエゴが前面に出る研究室の空気はどこか重たく、緊張感に溢れている。彼によって傷だらけにされてゆく主人公を救うのは、Eメール越しにアメリカから毎日通信を欠かさないゲーム理論の第一人者である父親であった。アクティブ・フェーズでゆきたいか、パッシブ・フェーズでゆきたいかを息子に選ばせるシーンを見る限り、何だか白鳥圭介をそのまま思い起こさせてしまうではないか。  かくして、本書の後半は一転して、いつもの東城大医学部シリーズの痛快な空気を身に纏ってゆく。しかも中学生君の正しい成長の記録として。  『日経メディカル』に連載されていたとあって、本書は横書きのままに編集されている。Eメールのやりとりが多い小説では、こうした体裁も不自然ではないのかもしれない。ケイタイ小説というところまでは崩していないので、むしろ中学生には少し難しすぎるのではないかと思うくらいに、内容は密である。  シリーズの亜流、外伝的作品として、ファン必読の隠し味的一冊である。 (2008/11/16)

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