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*スキップ
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題名:スキップ
作者:北村薫
発行:新潮社 1995.8.20 初版
価格:¥1,800
話題になっているので読んでみましたが、ぼくはどうもこの種類のジャンルは苦手だなというのが第一の感想です。素直に楽しむことができないタイプの本なのでした。
というのは、これが果たして小説と言えるだろうかとの疑問です。感覚としてエッセイに近い気がします。今時のエッセイではこの手のタイムスリップ的な仮定などはけっこうざらに使われているような気もしますし、その中で昔と現在とのギャップをこのような形で語ったり、人生と向かい合う「時」という無情のものを語ったりすることは、この作品のようにできることだと思います。
だから、語られていることまでを敢えて意味なしとか、無内容とかいうつもりは全くありませんが、この小説としての体裁、小説としての最低限の約束ごとを無視したような形での語りっぱなしのこういうスタイルは、ぼくにはどうも正しく向かい合うことができない、といったところなのです。
もちろんだからその内容に感じるところが多くあった人は、体裁などはともかくそこに心で触れることができるタイプの作品であるとも言えるでしょう。しかし小説としてこういうのがありなのか? と、疑問を抱いてしまっている人は、アーメン天野さんの言うような父親の態度やその他の多くの心理描写、ひどく不自然な主人公の選択などは、たまらなく違和感でいっぱいになるものなのです。全編がリアリティから怖ろしく離れたところにある仮定による思考……といったものでしかないのです。
ぼくは果たして前者であると同時に後者でした。そして今日の場合、後者の立場を取らざるを得ない理由は、この種類の作品を自分の中で他の冒険小説と同じ仲間に入れてあげることができないという点に尽きます。かと言って冒険小説ではないから、この作品がよくないものかと言うとそうでもないと思います。ただ、扱われている素材が、日頃アクションをメインに読んでいるこのフォーラムの読者にはちとつらいものがあるのは事実だと思います。
正直言って、今のぼくに学園生活はちと読むのにつらいものがありました。ましてや想像力をほとんどかきたてられない、自分の過去の中にあるものばかりが描かれているともなれば、日頃のぼくの好きな傾向の本とは全く逆向きになっている、といった感じがありました。やはり基本的にはもっとずっとエンターテインメントな本が読みたいぼくなのでありました。
(1995.11.13)
*スキップ
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題名:スキップ
作者:北村薫
発行:新潮社 1995.8.20 初版
価格:¥1,800
話題になっているので読んでみましたが、ぼくはどうもこの種類のジャンルは苦手だなというのが第一の感想です。素直に楽しむことができないタイプの本なのでした。
というのは、これが果たして小説と言えるだろうかとの疑問です。感覚としてエッセイに近い気がします。今時のエッセイではこの手のタイムスリップ的な仮定などはけっこうざらに使われているような気もしますし、その中で昔と現在とのギャップをこのような形で語ったり、人生と向かい合う「時」という無情のものを語ったりすることは、この作品のようにできることだと思います。
だから、語られていることまでを敢えて意味なしとか、無内容とかいうつもりは全くありませんが、この小説としての体裁、小説としての最低限の約束ごとを無視したような形での語りっぱなしのこういうスタイルは、ぼくにはどうも正しく向かい合うことができない、といったところなのです。
もちろんだからその内容に感じるところが多くあった人は、体裁などはともかくそこに心で触れることができるタイプの作品であるとも言えるでしょう。しかし小説としてこういうのがありなのか? と、疑問を抱いてしまっている人は、アーメン天野さんの言うような父親の態度やその他の多くの心理描写、ひどく不自然な主人公の選択などは、たまらなく違和感でいっぱいになるものなのです。全編がリアリティから怖ろしく離れたところにある仮定による思考……といったものでしかないのです。
ぼくは果たして前者であると同時に後者でした。そして今日の場合、後者の立場を取らざるを得ない理由は、この種類の作品を自分の中で他の冒険小説と同じ仲間に入れてあげることができないという点に尽きます。かと言って冒険小説ではないから、この作品がよくないものかと言うとそうでもないと思います。ただ、扱われている素材が、日頃アクションをメインに読んでいるこのフォーラムの読者にはちとつらいものがあるのは事実だと思います。
正直言って、今のぼくに学園生活はちと読むのにつらいものがありました。ましてや想像力をほとんどかきたてられない、自分の過去の中にあるものばかりが描かれているともなれば、日頃のぼくの好きな傾向の本とは全く逆向きになっている、といった感じがありました。やはり基本的にはもっとずっとエンターテインメントな本が読みたいぼくなのでありました。
(1995.11.13)