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*バースデイ
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鈴木光司『バースデイ』
題名 バースデイ
著者 鈴木光司
発行 角川書店 1999.2.5 初版 1999.2.20 4刷
価格 \1,400
『リング』三部作のエピソードでまとめられた中短編集。もちろんサイド・ストーリーに近い話だけなので、味わいは、本編に比べるとずっと薄い。中編の『レモンハート』は映画化されたばかりだけど、『リング』人気にあやかっているとは言え、恐怖の
濃度はずっと薄味だろう。
だけど『リング』三部作の読者にとっては、これらの物語はどれも興味深いものばかりだ。貞子の劇団時代の恋愛や、高野舞の屋上での体験の真相、そして杉浦礼子の後日談。どれを取っても『リング』読者には垂涎もの。
なぜこんなエピソードにまで惹かれるかと言うと、それは『リング』が世界を構築するのに成功している小説だからだと思う。その世界への興味が三部作を読ませもし、そして、まるで余韻のように響いてゆくこの本についても、物語の最後の一しずく一しずくまでをも味わい尽くしたく思ってしまうのだ。
サイド・ストーリーだけでできた本というのは、けっこう珍しい。ローレンス・ブロックなどはマット・スカダーものの短編を、短編集の中に交えたりするけれども、日本人作家でこうした本を作るというのはあまり覚えがない。
世の中には『リング』よりは『貞子』本のみが氾濫している。彼女は鈴木光司の手を離れて独り歩きしている。メディアを変えてのヒットから鈴木光司が別れを告げる最後のシリーズ本が本書なのだと思う。
(2000.04.23)
*バースデイ
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題名 バースデイ
著者 鈴木光司
発行 角川書店 1999.2.5 初版 1999.2.20 4刷
価格 \1,400
『リング』三部作のエピソードでまとめられた中短編集。もちろんサイド・ストーリーに近い話だけなので、味わいは、本編に比べるとずっと薄い。中編の『レモンハート』は映画化されたばかりだけど、『リング』人気にあやかっているとは言え、恐怖の
濃度はずっと薄味だろう。
だけど『リング』三部作の読者にとっては、これらの物語はどれも興味深いものばかりだ。貞子の劇団時代の恋愛や、高野舞の屋上での体験の真相、そして杉浦礼子の後日談。どれを取っても『リング』読者には垂涎もの。
なぜこんなエピソードにまで惹かれるかと言うと、それは『リング』が世界を構築するのに成功している小説だからだと思う。その世界への興味が三部作を読ませもし、そして、まるで余韻のように響いてゆくこの本についても、物語の最後の一しずく一しずくまでをも味わい尽くしたく思ってしまうのだ。
サイド・ストーリーだけでできた本というのは、けっこう珍しい。ローレンス・ブロックなどはマット・スカダーものの短編を、短編集の中に交えたりするけれども、日本人作家でこうした本を作るというのはあまり覚えがない。
世の中には『リング』よりは『貞子』本のみが氾濫している。彼女は鈴木光司の手を離れて独り歩きしている。メディアを変えてのヒットから鈴木光司が別れを告げる最後のシリーズ本が本書なのだと思う。
(2000.04.23)