2012年11月30日16時ころ


三塔主会談

「勇者様方は、銀の塔の町を大変気に入ってくださいました。もはや、勇者様は銀の塔の住人といって過言ではありません」
 銀の塔主が、誇らしげな無表情で、そう口にした。
「なにを言っているのでございますか。勇者様は、この私を勇者の船に招いて下さり、様々な秘密も打ち明けてくださったのでございます。勇者様の信任を最も得ているのは、黒の塔で間違いございませんでしょう?」
 それを聞いた黒の塔主は、勝ち誇ったように言い返す。
「全く、わかってないなぁ。一番盛り上がったのは、ボク達緑の塔のパーティーなんだから。緑の塔が一番好かれているに決まってるんだよっ♪」
 そして緑の塔主は、2塔主の主張をまるっきり無視して、ふふんと上から目線で言い切った。
 3人の塔主は、塔主の間の通信装置の前で、三者三様ににらみ合った。
 が、それは長く続かない。彼女達も、今回の結果がほぼ互角である事はわかっているようだ。
 それはつまり、どの塔も他の2塔を抑えてマギラントの実権を握る事は叶わなかったという事だ。

「勇者様の帰還により、既に封印の地に異変が報告されている。猶予が無い……可能性が高い」
「全塔体制で封印の地の攻略を行う事が理想ではございましたが、やむをえませんね」
「じゃぁ、やっぱり『マギラント様の言う通り』だね。さっそく、精鋭のアサルトバグを集めなくっちゃ」
 緑の塔主の出した結論と共に、塔主の部屋同士を結ぶ通信による、三塔主の会談は終了する。

 マギラント中心部の封印の地。
 その地は、勇者マギラントが『見えざる敵』を封じた広大な迷宮が広がっていた。
 そして、勇者マギラントは、この迷宮について一つの予言を残している……。
 それは、
『勇者と共に、この封印の地を浄化したものこそ、我が後継者となるだろう』
 という予言であった。



関連項目

最終更新:2012年11月30日 17:35