「ふぁぁー…今日もいいお天気ですねぇー♪」 てくてくと参謀♀が歩いている。 いつも酔っ払ったような歩き方で、フラフラと廊下を右に左に揺れながら歩く。 どうも、眼鏡の度が合っていないらしい。 まっすぐ歩こうと思えば歩けるので、特に不便はないらしい。 「あ、そうです!! 今日は閣下と午後茶のお約束でした♪」 尻尾が合ったら、ピーンと立てていただろう。 廊下の真ん中で一人立ち止まり、頬を緩める。 「今日のおやつの献立は何かなぁ〜♪」 またも左右にゆらゆらと、今度は熱に浮かされたかのように。 「♪〜…あれ?今、誰か通ったかな??」 ひょいっと後を振り向いたが、それは独り言になった。 「黒い服の…男の子…宮廷に子どもなんて、閣下以外にいたっけ〜?」 うーん、と首をかしげていると、後から聞きなれた声がかかる。 「…誰が子どもだと、参謀♀くん?」 いつのまにやら、一人の少女が参謀♀を見上げていた。 「や、やだなぁ、閣下♪そこにいらしたんですかぁ〜♪」 「ふん、貴様が廊下をゆらゆら歩いていくのが反対側から見えたのでな。今日は…お茶会だろう?」 後ろ手に手を組んで、ブラブラと揺らす。仕草だけならあどけない少女に見えるが、 似合わない軍服についた勲章の数は、軍事責任者である参謀♀のそれよりも多かった。 この国の最高指導者―いわゆる独裁者だ―である彼女が今は、 午後のお茶会のことでキラキラと目を輝かせている。 「あっぷるぱい…今日はあっぷるぱいなのだ…えへへ…」 二人、目を合わせて、人目を憚らずニヤニヤしてしまう。 もちろんお菓子の誘惑に若い女性が勝てるわけも無かったが、それ以外の理由もあった。 「…それで参謀♀…煮干は手に入ったのか…? 「…もちろんです、閣下…工作員から支援物資として…」 「…そうか…アレは煮干が大好物だからな…くれぐれも、じぃに見つかるでないぞ…!」 「…男さんにも、ですね…♪」 ヒソヒソと、広い宮廷で誰に聞かれる心配もなかろうに、肩を寄せ合い小声で話している。 再び目を合わせて、ニコリ、一笑いして二人は別れた。 参謀♀と別れた閣下は、執務の為自室に向かった。 「何としても終わらせて、男に文句言われずに抜け出さないといかん…今日のお茶会は特別だからな…」 ブツブツと決意を独り言していると、ふと、中庭に人影を見た。 「…?今、そこに誰かいたような…そんなわけないか」 くる、と振り返り自室のドアをあけようとして、 「わっぷ…む…すまん…大じょう、ぶ…か…貴様、誰だ!?」 トン、と何者かにぶつかった。 「け、警備の者は!?いや、そもそも入って来れる訳が無いな…って、え〜と…」 いるはずの無い人間に、混乱してひとしきり騒ぎ立てるも、少年は何も言わない。 じっと、閣下の瞳を見つめるだけ。 「…とりあえず、そんなにじっと見つめるな。うーん…まぁ、いい、とにかく入れ。人に見られる」 きょとん、としている少年を部屋の中に押し込み鍵をかけた。 とっさのことだったが、面識の無い少年が警備兵に連行される場面が思い浮かんだせいだろう。 「…で、お前は誰なんだ?どうしてこんなところにいる?見たところ、暗殺者でもなさそうだが…」 暗殺が冗談でもなんでもない彼女にとっては真っ先に思い浮かんだ答えだったが、 その問いにも少年は表情を変えなかった。むしろ、興味深そうに閣下の顔を覗き込んでいる。 「えぇい…そんあに見つめるな…は、恥ずかしいではないか!」 物怖じしない視線と言うものに慣れていない彼女は、しかも同世代の男子と話した経験すら数えるほどしかない。 「うーん…困ったな…言葉が通じないとか、かな…」 ぽりぽりと頭をかいて、少年を見つめ返した。 黒い髪に、黒い服。赤い瞳と、赤い首輪が印象的だ。 「赤い…首輪?」 各国から非道と罵られる国の指導者である彼女でも、首輪をつけた少年は初めて見る姿だった。 「男がたしか…人身売買組織の壊滅とか何とか…それ関係かなぁ…」 一瞬、首輪以外何も身に纏っていない少年を想像してしまう。 「…。わっ…な、なんだよぉ。こっち見るなってば!」 じっと見つめる少年。仕方なく見つめ返す閣下。視線が絡み合い、数秒間。 「ば、ばかばかしい…おい、おまえ。とりあえずあとで男に引き渡すから、ここにいろ。私は早く書類をやっつけないといかんのだ」 わかったのか、わからないのか、少年は促されるまま、閣下が座った椅子の傍に大人しく立っている。 書類に目を通す。少年は閣下を見ている。 閣下は書類を見ているが、その実、少年の視線を感じて何も見えてはいなかった。 「…。ぅ〜…。…ん…ぅぅ〜…え〜い、こっちを見るなと言っておろうが!」 ドンッ! 突き飛ばしたつもりだった。 少年はするり、とかわして、 「わっ…わぁぁ…」 ソファに倒れこんでしまった。 「あいたたたた…貴様!誰が避けていいと言ったか!?」 とても悔しくて、わめきちらしてやろうとしたが、少年は何食わぬ顔でじっと見下ろしている。 「むぅ…。ふん、おとなげないか。もう良い、起きるぞ。手を貸せ」 「?…フンフン…ペロッ」 「わひゃっ!?な、なにをする!!!!」 差し出された手を不思議そうに見つめたあと、ぺろっと、一舐め。思わず手を引っ込め怒鳴りつけた。 ぴくん、っと体を揺らした少年は、すまなさそうに、目を伏せ、上目遣いにこちらを見つめている。 「お、大声を出して、わ、悪かったな…お前が舐めたりするから…もう…そんな目で見るなと…言っているだろ」 「…ペロ…」 「ひゃぅっ…な、舐めるなってば…」 怖がらせたのを謝ろうと、頭をなでようとした手をまた舐められた。 思わず、後に腰が引けて、ソファに沈み込んでしまった閣下。 「…ペロ・・・ペロペロペロ」 ソファの横にしゃがみこみ、今度は閣下の横顔を舐める少年。 力が抜け、膝が震えている。起き上がれなかった。 「ぁぅ…な、舐めるなぁ…」 何とか、顔を振り、少年から逃れられた。 そっぽをむいた閣下の顔の代わりに、閣下の手を両手で持ち上げ、指をくわえる少年。 「ちゅ…ペロペロ…ペロペロ…」 「ぁっ、ゃっ…何で言うことを聞かぬのだ、きさま…ぁんんっ!」 気持ちいい…。 初めて味わう感覚に戸惑いを覚えたが、少年の舌は指の間を這っていて止まらない。 「ゃだ…お、まえ…もぉ…やぁ…だ…だめったら…!」 懸命に舐める少年の唇から逃れようと、ぎゅっと両手の指を組み、股の間に隠した。 「…??」 悲しそうに、見つめる少年。その赤い瞳に吸い込まれそうになる。 「み、見るなよぅ…もぅ、あっちいけってば!」 ビクッ 閣下が大きな声を出しただけで、叩かれたように体を縮こまらせ、じっと見つめ返してくる。 「…わかったから、ね?いい子だから、もうダメ、わかった?」 あまりにも悲しそうな瞳をするので、つい気を許し、笑顔を見せたのがいけなかったのか。 「にゃ♪」 満面の笑みを浮かべて、閣下の指を探す少年。 「ちょっと、ダメッ!やだ!だめだったら、ゃぁんっ!!」 股の間に挟んだ指を、何とか舐めようと顔をもぐりこませ、舌を這わせる。 「んゃっ…くすぐった…ひゃぅっ!…ぁ…ぁっ!」 ちょっとざらっとした舌が、太ももを、足の付け根を、なでてくる。 「もう、ほら、ゆびは、こっち、ね?ほら、こっちだよ…?ハァハァハァ…あんっ」 太ももを舐められるよりはマシだと思い、少年の唾液でぬるついた指を股から離す。 だが少年は、太ももから顔を離さなかった。 「ゃ…なんでぇ…?あんっ!ぁ…っ!…ぁぁ…ぁぁぁ…あ!」 「ペロペロ…ペロペロ…ペロペロ…ペロペロ」 「ぁ…ぁ…ゃだ…ダメ、らめ…もう…ほんとにダメっ!」 ぎゅう、っと少年の顔を押しやるが、手に力が入らない。いや、体中から力が抜けて、びくびくと震えてしまっている。 「もう…許して…ダメなの…ぁんっ…ぃゃ…ぃゃ、だめぇぇぇっ…」 シャァァァァァ… じわりと、下着を通ってお尻、腰の辺りまで暖かいものがつたわっていく。 「ック…ふぇ…グス…ヒック…ダメって、言ったのに…ふぇ…ック…グス…」