No.01 オリデジのススメ
初めに
オリジナルデジモン、略してオリデジ。二次創作の場であるオリジナルデジモンストーリー掲示板NEXT、その関連サイトであるこのwikiを覗いている人達は、一度や二度はオリデジを考えたことがあると思う。
コラムに手を出してみるに当たって、「オリデジの考え方」みたいなものを私なりに書いてみることにした。今回は0から考えていくやり方ではなく、既存のデジモンをベースに考える方式に限定して語ろうと思う。発想法によって四つの項目に分けてみたが、実際にオリデジを考える場合にはこれらのやり方を複合的に組み合わせた感じになるだろう。
内容的には「そんなことわざわざコラムに書くほどの事じゃないだろ」的な話になるが、まぁお暇な方は付き合ってくだされ。もちろん、これから紹介する方法は「私なりのやり方」なのでこれに従わなければ駄目だ、という事は全くない。
其之三 隙間を埋める~アイツだけ○○があるなんてヤダヤダ!~編
其之四 設定の隙間を埋める~アイツは確かに存在するはずなんだ!~編
番外編 既存以上オリデジ未満~ちょいたしデジモンのススメ?~編
まとめ 「小説に出す」オリデジのポイント~上の項目はすべて無駄だったかもしれない~編
最初に紹介するテクニック(?)は至ってシンプル。既存デジモンの色を変えるだけで新デジモンと言い張る。ただそれだけだ!公式に色違いのデジモンが大量にいる都合上、単なる色違いというだけなら、デジモンして「ありえそう」なオリデジになるはず。描写も「○○色の××モン」と書いて置けば、読者にはほぼ正確にイメージが伝わる安易さも魅力だ。
作り手のセンスが問われるのは、色とデジモンの組み合わせよりも、「○○色の××モンでなければならない物語的・設定的理由」なのかもしれない。見た目を想像したときにかっこいいと思える色であるのも大事だが、絵ではなく活字で魅せる小説と言う媒体である都合上、そのデジモンがその色をしていることに意味がある物語だったり、設定であったりするとよいと思う。
たとえば主人公デジモンのブラックバージョン、というのはデジモンでも相当使い古された手段であるが、何度も使われているだけあって中々魅力的な存在だ。「主人公の影の存在」「悪に堕ちた英雄」「ヒーローのあり得たかもしれない姿」…などなど様々なイメージが喚起される。そう言ったイメージを活かした役割を色違いデジモン達に与えれば、彼らが「色だけが違うデジモン」であることは、物語を盛り上げる演出の一つとして輝きだすだろう。
「既存のデジモン名に何か付け足してオリデジを作ってしまおう」というこれまた単純明快かつ安易すぎて怒られそうな手法。デジモンの名前の頭、あるいはモンの前に単語を付け足して、その単語から連想される属性を付加する形になる。付け足す単語は「メタル」「メガ」「ダーク」など既存デジモンの名前にも使われている単語を使うと、それっぽい感じになる。引き換えに安易さもアップするが…。
デジモンの設定や外見は、当然追加した単語の属性を付加したものになる。メタルならサイボーグ化、ダークなら闇で悪そうな感じに、○○ドラモンという名前にすればドラゴン型に。はっきり言って前項以上にテクニックと言うほどのものではない、安易にも程がある話なのだが、一応このやり方にもメリットみたいなものはある。「読者がその姿を想像しやすい」という点だ。「既存デジモンの名前+既存デジモンの名前に使われている単語」という組み合わせは、字面を見るだけで読者の脳裏には大体のイメージが浮かぶだろう。名前を見るだけで即座にその姿が思い浮かぶので、そのデジモンが活躍する場面を文章で読みながら想像するのがスムーズになる。もちろんだからと言って姿の描写を怠っていいわけではないが。それでも、読者が小説を読んでいて「こいつどういう姿なんだっけ?」と、確認の為にそれが描写されているところをまた読み返してしまう、と言うことは少なくなるのではないだろうか。なんか言い訳くさくなっちゃったなぁ。
とりあえず、この方法で考えたオリデジに限らず、小説に出すオリデジの名前は「名は体を表す」そんな言葉が似合うような外観と直結する名前の方が読者は入り込みやすいのではないのだろうか。
其之三 隙間を埋める~アイツだけ○○があるなんてヤダヤダ!~編
「ありそうでなかったもの」を考える方法。既存デジモンベースでこれをやると「進化後・進化前を考える」とほぼイコールだろうか。てっとり早く「隙間」を見つけるには、まず特定の関係にある二体以上のデジモンを見つける。ライバル、別ゲームでの似たポジション、色違い、似たモチーフ…そういった関係性でくくられるグループは多いはずだ。そういったデジモン達をグループ内で比べ、それぞれの進化形や派生種をリストアップする。すると片方にはあって、もう片方にはないものが浮き彫りになるはず。
例えばライバル関係にあるオーガモンとレオモン。彼らの派生種を比べると、レオモンは進化前後や派生種がかなり充実しているのに対し、オーガモンは本人の色違いのフーガモン・ヒョーガモンと、進化前にあたるゴブリモン系三種だけだ。ここでレオモンにあってオーガモンに存在しない進化形や派生種をオーガモンにも当てはめ、オーガモンの完全体や究極体を考えてみたり、逆にオーガモンにあってレオモンに存在しない「赤い色違い」をレオモンに当てはめたオリデジを考えてみるとか、そういう行為が「隙間を埋める」というやり方だ。え?無理やりねつ造しているだけ?そういわれると否定できないなぁ。
其之四 設定の隙間を埋める~アイツは確かに存在するはずなんだ!~編
と言うわけで本当の意味で「隙間を埋める」行為、それは「設定の隙間を付く」ことである。例えばタイガーヴェスパモンには「“秘蜜戦闘部隊「ローヤルコマンド」”の一員には暗号名が与えられ、単独での戦闘能力がずば抜けて優れている彼は“タイガー”と呼ばれる」と言う設定がある。この設定文からは、「タイガーヴェスパモン以外にも、別な暗号名を持ったローヤルコマンドのデジモンが存在する。タイガーの部分が暗号名なら、他のローヤルコマンドの名前は○○○ヴェスパモンと言う名前なんじゃないか?」という事が推測できる。できるったらできる。この推測をもとに、「○○○ヴェスパモン」というオリデジを考えることが「設定の隙間を埋める」という事である。
何せ公式の設定文をもとに考えるのだから「公式らしさ」はずば抜けているのだが、大きな欠点がある。公式が意図的に作っている隙間である場合もあり得るので、後年には公式自らの手で埋められてしまう可能性がある。ローヤルコマンドはその具体的な人数が明言されてないので、オリデジを作った後で公式に新メンバーが増えても大きな問題はない。しかし人数が明言されている連中(13のロイヤルナイツ、オリンポス十二神、6人いるといわれているバンチョーデジモンなど)の空席をオリデジで埋めようとするのは中々リスキーな行為である。
「この調子じゃロイヤルナイツすら永遠に埋まらんだろ」とみんなは思っているだろうけど、万が一と言うことがある。デジモンは忘れたころに復活する。急に思い出したように。人数が明言されたカテゴリの話ではないが、クロノモンとチッチモンの中間の進化体が埋められる日が来るなど、誰が予想できたであろうか。空席埋めには絶対に手を出すなとは言わない。ただちょっとは覚悟しておいた方がいいと思う。
上の事例に限らず、オリデジを考える際は「後年に登場した新デジモンと名前等が被る」という事態が起こりうることを頭の片隅に置いていた方がいい。筆者も昔は「ギガスモン」や「サラマモン」を考えていたもんさ…。
番外編 既存以上オリデジ未満~ちょいたしデジモンのススメ?~編
既存のデジモンを登場させるときに、「片目に傷を負っている」「隻腕である」「別なデジモンの武器を愛用している」…そんな感じでワンポイント的な差異を個性として付加するやり方。一つのキャラクターとしてオリデジとは違った魅力があり、また強烈な個性を発揮してくれるだろうと私は思っている。既存そのままとの差異となる部分には、設定的・物語的理由があるに越したことはないだろう。色違いデジモンもどちらかと言えばこの項目の範疇かもしれない。そもそもこのコラムの項目はわざわざ分ける必要のない話ばかりだが。
注意点として、原型との差異となる要素はできるだけ少なく(一つだけが望ましい?)すべきだという事。理由は単純明快で、原型との差異がいっぱいならそれはもうオリデジ同然だろってはなし。わざわざ「オリデジ未満です」なポーズをとる必要がなくなってしまう。「黒くて片翼、オッドアイでおかっぱで仮面を外したエンジェウーモン」って感じだと、そこまできたら別なデジモンと思っちゃうよね。
まとめ 「小説に出す」オリデジのポイント~上の項目はすべて無駄だったかもしれない~編
既存デジモンからオリデジを考えるやり方を思いつくまま列挙してみた。大した事のない話だが、そうしているうちに「小説に出すオリデジ」を考える上で要点とすべきことが見えてきた(気もする)。以下、私なりに思った「小説に出すオリデジ」のポイント。
・物語的・設定的理由を与えてやれば小説の中でオリデジは輝く。
・イメージを伝えやすくするため、姿が想像しやすい名前が良い。
・オリデジを考えるときは、デジモンの事をよく調べるのが大事。
一つ目は小説と言う文字媒体でオリデジを活躍させるためのポイント。絵でアピールすることが出来ないので、文章の部分、すなわちそのデジモンの設定文や、小説中での活躍でしかオリデジは自分をアピールすることが出来ない。それなら、既存デジモンでも代替できる役目ではなく、そのオリデジにしかできない役目を作中で与えた方がオリデジはより魅力的に見えるのではないか、という考え方である。まぁ、「出したいからだす」でいいと思うんだけどね、オリデジなんて。
二つ目は読者がオリデジに早く馴染んでもらうための対策。字面を見るだけで姿が想像できるような名前の方が、読者にとってオリデジを頭にインプットさせやすいのではないか、という推測に基づく。登場人物の名前や作中で描写される容姿などの特徴を頭にインプットさせる手間が、作品を読むときのハードルになってしまうも人もいるだろうから、多少安易に思えてもわかりやすい方が読者も入り込みやすいのではないだろうか。たぶん。
三つ目は、オリデジ(というかデジモン小説事態も含むか)を考える上での基本。このコラムの其之三と四では既存デジモン同士の関係性や、設定の隙間からオリデジを発想する方法を解説したが、その方法では既存のデジモンやその設定を数多く知っていることが前提となる。
あたりまえだが、デジモンというものを知らないでデジモン小説はかけないし、オリジナルデジモンも作れない。名前が被ったりすることを避ける上でも、多くのデジモンを知っておくことは大事だ。
…とはいってもデジモンの総数は今や1000を超えたともいわれる状態な上、設定面でも一貫したものがなくて全体像すらわからない状態。古参ファンでも全貌を隅々まで知り尽くすのは困難なありさまだ。「小説を書く上でデジモンの全てを知ることが必須」なんて言い出したら私含め誰も書けなくなっちゃうので、小説を書いたりオリデジを考える前にとことんまで調べつくす必要はないだろう。嫌にならない程度、個人でほどほどに調べればそれでいい。
ただ「オリデジを考えたけど名前が既存のデジモンと被っていた!」ことに後から気づいてしまったり他人に指摘されると悲しいので、オリデジを世に出す前にその名前でググってみるくらいはやっておこう。
冗長な文章になってしまったが、とりあえずこのへんでコラムを終わりにしたいと思う。オリデジについてはまだ語れることが多そうなので(今回意図的に避けた「0から考えたオリデジ」とかね)、またいつかその辺のことに対してコラムを書くことがあるかもしれない。それではみなさんまたいつか。最後まで読んでくれてありがとね!
by ut