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1 素人と玄人 「なんでかなぁ」 15歳くらいの少年が樹齢100年をゆうに越えているだろう木が生い茂る森の中を進みながらもはや何度目かの同じ呟きをもらす。 スラリと伸びた足、それを覆うのは機能的なジーンズ。鍛えられているとわかる長身の体にはシャツとポケットが幾つかついた茶色い革のジャンパー。腰にはXの字に交錯する黒塗りの鞘。柄の部分が普通と違って斜めに傾いていて、リボルバー拳銃のようなフィンガーガードと弾奏が確認できる。木漏れ日の僅かな陽光を反射して輝くきめ細やかな金色の髪。そして、それより艶やかに光る黒い瞳。10人の女性が見れば間違いなく10人が振り向く美男子だ。 女性とも間違えられそうだが 「なんで、なんでと五月蝿いぞ」 と、彼の同行者 彼と同じくらいのボディバランスに、金髪に劣らぬ黒い髪と黒瞳。こちらも10人の女性が見れば間違いなく10人が振り向く。こちらは黒のジーンズに地肌の上に黒の半袖のジャンパーとラフな格好だ。 「聞いてくれても良いだろ?」 「聞かなくてもわかる。同じような不平を何度も聞かされる身にもなってもらいたい。俺の心の広さにも限度と言うものがある」 「広さねぇ」 金髪の彼が首をひねり、背骨を気持ち後ろにそらして、相手の背中を覗き込む 「狭っ!!」 「何処を見て言っている。怠け者を乗せる広さなど、それ位でちょうど良い」 「心の広いやつの台詞じゃないな」 「事実の確認と、俺の精神の寛容さとは何の関係もない」 「こういう時だけ・・・」 普段は無口なくせにとか、時間を戻して今度はもっと素直で優しい性格にとか、ぶつぶつと呟いた。毎度の事の様で相手はいちいち突っ込んでこない。 心が広いとも言えなくない 時間はお昼少し過ぎ。太陽がその熱を最も強め、容赦なく照りつける。森の中とはいえ暑い。単調な景色が続く森の中を歩くということはそれだけでストレスが溜まっていく。何の変化もなく、同じ行動が続くと言う事はストレスのやり場になってくれない。放っておくとストレスで体と精神をどんどん消耗していく。 どうやら金髪の彼はストレスを溜め込まない方法を良く心得ているようだ。移動中なら本を見るなり、瞑想するなり、することがないなら寝るのも良い。他人が聞けば喧嘩としか聞き取れない今の会話などは格好の発散手段だろう 「にしても、クソッタレな仕事だ」 「ああ」 黒い髪の彼が頷いた 「まだ言うか。て顔だな」 「いや、そうではない。俺もあの件に関しては少々ムカッ腹が立っている」 「ほー」 「・・・・・・なんだ?」 期せずしてでる感嘆の溜息 「何か変な事を言ったか?」 「いやいやいや」 我が意を得たり。と金髪の彼がポンポンと肩を叩く 「お前も中々正しい世論がわかってきたじゃないか」 「間違っているとは一言も言ってない」 「そういや、そうだな」 「あんな論理性の欠片もないような相手と話すのは不快極まりない」 「まぁな」 今回の仕事を請けるに当たって、彼らは不快な思いをした。手付けに半金、依頼達成後にもう半金を貰うという条件のものだ。それを見た目がガキだという理由で渋ってきたのだ。 彼にこの依頼が来たのは偶然の産物だ。二人はまだ冒険者としての登録書を宿に出したばかりで駆け出しといっても過言はない。だが、この業界では年数と実力は比例しない。 比例する場合の方が比較的多いが、そうでない場合も多いのだ。 冒険者という職業の人間の予定は大変流動的だ。契約をする時にも、宿の店主・セツナがその旨を何度も依頼主に伝えている。それでも実力のある特定人物にしてくれと言う場合はある程度割高の料金となるのが常識だ。 彼の父親はかなり名の知れ渡った冒険者である。だから・・・というのは理由にならないが、彼も年に似合わない実力を持っているし、この業界の常識やルールにも精通しているといって良い。とはいえ、駆け出しの名も売れていない新人と言う評価が下る事は否めない。 ただ、依頼をした事もない素人は素人であるが故にその辺の理解が浅い。腕の良い者を雇う事が多い奴ほどたいした心配事も起きないため安全だった。何もなかった。と誤解されやすい。 「あんの白髪デブ。ほんと、ざけんなってんだよ」 彼の心境のまま言うのなら白髪の混じった、したり顔で小太りのアホ垂れ。イチャモン付けてきたのはその男だ。当初、依頼人は別段文句なく依頼を成立させようとしていた。そこに姿を現したのが自称保護者の“白髪の混じった、したり顔で小太りのアホ垂れ”だ。 『何か問題でも?』 来るなりジロジロと注がれた視線が、もう気に食わないことこの上ない。彼の値踏みをした挙句、たかがガキと侮ったのか、口調は慇懃無礼のまま、明らかに態度が大きくなる。 誰も頼んでなどいないのに一方的に代理人風をふかし、費用をまけさせるべくああだこうだと屁理屈をこね回した。 「どの程度のものがいるか検討するから登録リストを見せろ。だって?は!俺たちゃガキの使いかっての」 「まったくだ」 「お」 「大体無関係な人間が何故あの場にしゃしゃり出てこなければならない?アリエスはともかく、セツナ殿や俺がどれほど綿密に戦闘力やヴァイタリティを考慮し、人選を決定したか知らないあの男がだ」 「おい・・・」 「あの男は一度一人で冒険者として仕事をしてみるべきだろう。隣村まで辿り着けるかどうかさえ怪しいものだ。まずは日程表を作らせるところから始めるんだな」 金髪の彼・アリエスは呆然とした。どんな時でも冷静沈着を崩さない彼がここまで言うのは珍しいを通り越してありえない事態といっていい。こと彼にいたってはポーカーフェイスを地で行くため、付き合いの長い者以外では感情変化はまず読み取れない。 今は誰が見ても一目瞭然。激怒、だ。 「もっと簡単に言えよ」 「例えば?」 「サシで勝負しろ」 「次はそうしよう」 「次なんてあいたくもないね」 彼はダラリと肩を下げ、全身で脱力した。 「だが立派なところもあった」 「おぉ?」 「情動的臨界点が高いお前でも今回は爆発するだろうと思ったが、きちんと交渉して任されたところは素晴らしいと思う」 「あのなぁ、カルマ。俺まで情動のまま動いてたら誰があいつを止めるんだよ?」 「確かにそうだ」 一瞬、二人の頭が茶色の髪に蒼い目をした少年で占められる。 どちらの彼も笑っていた 正直、流石のアリエスも何度かキレかけていた。それをぐっとこらえ、粘り強く交渉を続けれたのは、理由はどうあれ彼の克己心の賜物だろう。予想以上に押さえが利く。そう、自己認識を改める事ができたのは、数少ない大きな収穫だ。 「あんなん相手じゃ剣なんて何の役にも立ちそうにないな」 「わからずやは何処にでも居るさ」 「まぁな」 どうでも良いように答える 「たださ」 躊躇いがちに口が開かれる 「どうした?」 うながされ 「いや、まだまだ駆け出しっていうのは認めないとな。あの親父に言わせりゃ、何処にでも居る“ガキ”なわけだし」 客の無理解以上に、アリエスの憂鬱はそこにある。確かに駆け出しのペーペーかもしれないが“白髪の混じった、したり顔で小太りのアホ垂れ”からすれば、それにもかかっていないようだった。 「悲観しすぎだ」 「そうか?でもこれがシリュウさんとか、俺の父さんとかだったらどうだよ?」 大陸最強と称されている“神狼”と、その相棒であり、親友の“欺神”。冒険者であれ、そうでなかれ、知らない者はいないほど有名だ。 「あの二人もかなり苦労しているだろうな」 「そうかな?」 「頻繁に“安全な日常”から出る機会があるならともかく、そうでない人間からすればお前達のような人種とは縁が出来る事はない。そういう連中にとっては“神狼”もアリエスのことも、知らないまま終えることの方が普通だ」 「そりゃそうだ」 「それと、これは個人的な意見だが、お前は駆け出しとはいえ実力は中堅をしのいでいるといっても過言ではない。もっと自信を持て。アルベルもお前の剣の腕を認めていた。何よりお前の父親である“欺神”が太鼓判を押したんだ」 「・・・」 アリエスはどこかくすぐったいような苦笑を浮かべながらそれを聞く 「少しは気が治まったか?」 「気を使わせて悪かったな。カルマ」 「気にするな。15年も近くで見てきたんだ。お前がどんな気分かなんて手に取る様にわかる。沈んだまま隣を歩かれたくなかっただけだ」 「そういうことにしておくよ」 アリエスは笑いながら空を見上げた 初めての仕事でいろいろあったせいか、変わらぬ色合いが何時もより暖かくアリエスには感じられた。 なに下向いてんだよ。下向きたいのはこっちだぜ?俺なんて1年中赤か青の色だけなんだぞ?たまには意表突いて紫とかいう色になってみたいよ。それでも毎日こうしてあるんだ。だから笑った顔を見せろや。 「さて」 先ほど以上に力のある声で、力強い足取りでアリエスは歩き出した。 とりあえずは、これで結果を出そう。それであの“白髪の混じった、したり顔で小太りのアホ垂れ”にたいして、どうだ?この野郎。と嫌味たっぷりに笑ってやる。あの嫌味親父がどんな顔で悔しがるか今から楽しみだ。 とりあえず、それでいいや。そうアリエスは思った。 いろいろグチグチ言ってやるのももちろん忘れる気は無い
1 素人と玄人 「なんでかなぁ」 15歳くらいの少年が樹齢100年をゆうに越えているだろう木が生い茂る森の中を進みながらもはや何度目かの同じ呟きをもらす。 スラリと伸びた足、それを覆うのは機能的なジーンズ。鍛えられているとわかる長身の体にはシャツとポケットが幾つかついた茶色い革のジャンパー。腰にはXの字に交錯する黒塗りの鞘。柄の部分が普通と違って斜めに傾いていて、リボルバー拳銃のようなフィンガーガードと弾奏が確認できる。木漏れ日の僅かな陽光を反射して輝くきめ細やかな金色の髪。そして、それより艶やかに光る黒い瞳。10人の女性が見れば間違いなく10人が振り向く美男子だ。 女性とも間違えられそうだが 「なんで、なんでと五月蝿いぞ」 と、彼の同行者 彼と同じくらいのボディバランスに、金髪に劣らぬ黒い髪と黒瞳。こちらも10人の女性が見れば間違いなく10人が振り向く。こちらは黒のジーンズに地肌の上に黒の半袖のジャンパーとラフな格好だ。 「聞いてくれても良いだろ?」 「聞かなくてもわかる。同じような不平を何度も聞かされる身にもなってもらいたい。俺の心の広さにも限度と言うものがある」 「広さねぇ」 金髪の彼が首をひねり、背骨を気持ち後ろにそらして、相手の背中を覗き込む 「狭っ!!」 「何処を見て言っている。怠け者を乗せる広さなど、それ位でちょうど良い」 「心の広いやつの台詞じゃないな」 「事実の確認と、俺の精神の寛容さとは何の関係もない」 「こういう時だけ・・・」 普段は無口なくせにとか、時間を戻して今度はもっと素直で優しい性格にとか、ぶつぶつと呟いた。毎度の事の様で相手はいちいち突っ込んでこない。 心が広いとも言えなくない 時間はお昼少し過ぎ。太陽がその熱を最も強め、容赦なく照りつける。森の中とはいえ暑い。単調な景色が続く森の中を歩くということはそれだけでストレスが溜まっていく。何の変化もなく、同じ行動が続くと言う事はストレスのやり場になってくれない。放っておくとストレスで体と精神をどんどん消耗していく。 どうやら金髪の彼はストレスを溜め込まない方法を良く心得ているようだ。移動中なら本を見るなり、瞑想するなり、することがないなら寝るのも良い。他人が聞けば喧嘩としか聞き取れない今の会話などは格好の発散手段だろう 「にしても、クソッタレな仕事だ」 「ああ」 黒い髪の彼が頷いた 「まだ言うか。て顔だな」 「いや、そうではない。俺もあの件に関しては少々ムカッ腹が立っている」 「ほー」 「・・・・・・なんだ?」 期せずしてでる感嘆の溜息 「何か変な事を言ったか?」 「いやいやいや」 我が意を得たり。と金髪の彼がポンポンと肩を叩く 「お前も中々正しい世論がわかってきたじゃないか」 「間違っているとは一言も言ってない」 「そういや、そうだな」 「あんな論理性の欠片もないような相手と話すのは不快極まりない」 「まぁな」 今回の仕事を請けるに当たって、彼らは不快な思いをした。手付けに半金、依頼達成後にもう半金を貰うという条件のものだ。それを見た目がガキだという理由で渋ってきたのだ。 彼にこの依頼が来たのは偶然の産物だ。二人はまだ冒険者としての登録書を宿に出したばかりで駆け出しといっても過言はない。だが、この業界では年数と実力は比例しない。 比例する場合の方が比較的多いが、そうでない場合も多いのだ。 冒険者という職業の人間の予定は大変流動的だ。契約をする時にも、宿の店主・セツナがその旨を何度も依頼主に伝えている。それでも実力のある特定人物にしてくれと言う場合はある程度割高の料金となるのが常識だ。 彼の父親はかなり名の知れ渡った冒険者である。だから・・・というのは理由にならないが、彼も年に似合わない実力を持っているし、この業界の常識やルールにも精通しているといって良い。とはいえ、駆け出しの名も売れていない新人と言う評価が下る事は否めない。 ただ、依頼をした事もない素人は素人であるが故にその辺の理解が浅い。腕の良い者を雇う事が多い奴ほどたいした心配事も起きないため安全だった。何もなかった。と誤解されやすい。 「あんの白髪デブ。ほんと、ざけんなってんだよ」 彼の心境のまま言うのなら白髪の混じった、したり顔で小太りのアホ垂れ。イチャモン付けてきたのはその男だ。当初、依頼人は別段文句なく依頼を成立させようとしていた。そこに姿を現したのが自称保護者の“白髪の混じった、したり顔で小太りのアホ垂れ”だ。 『何か問題でも?』 来るなりジロジロと注がれた視線が、もう気に食わないことこの上ない。彼の値踏みをした挙句、たかがガキと侮ったのか、口調は慇懃無礼のまま、明らかに態度が大きくなる。 誰も頼んでなどいないのに一方的に代理人風をふかし、費用をまけさせるべくああだこうだと屁理屈をこね回した。 「どの程度のものがいるか検討するから登録リストを見せろ。だって?は!俺たちゃガキの使いかっての」 「まったくだ」 「お」 「大体無関係な人間が何故あの場にしゃしゃり出てこなければならない?アリエスはともかく、セツナ殿や俺がどれほど綿密に戦闘力やヴァイタリティを考慮し、人選を決定したか知らないあの男がだ」 「おい・・・」 「あの男は一度一人で冒険者として仕事をしてみるべきだろう。隣村まで辿り着けるかどうかさえ怪しいものだ。まずは日程表を作らせるところから始めるんだな」 金髪の彼・アリエスは呆然とした。どんな時でも冷静沈着を崩さない彼がここまで言うのは珍しいを通り越してありえない事態といっていい。こと彼にいたってはポーカーフェイスを地で行くため、付き合いの長い者以外では感情変化はまず読み取れない。 今は誰が見ても一目瞭然。激怒、だ。 「もっと簡単に言えよ」 「例えば?」 「サシで勝負しろ」 「次はそうしよう」 「次なんてあいたくもないね」 彼はダラリと肩を下げ、全身で脱力した。 「だが立派なところもあった」 「おぉ?」 「情動的臨界点が高いお前でも今回は爆発するだろうと思ったが、きちんと交渉して任されたところは素晴らしいと思う」 「あのなぁ、カルマ。俺まで情動のまま動いてたら誰があいつを止めるんだよ?」 「確かにそうだ」 一瞬、二人の頭が茶色の髪に蒼い目をした少年で占められる。 どちらの彼も笑っていた 正直、流石のアリエスも何度かキレかけていた。それをぐっとこらえ、粘り強く交渉を続けれたのは、理由はどうあれ彼の克己心の賜物だろう。予想以上に押さえが利く。そう、自己認識を改める事ができたのは、数少ない大きな収穫だ。 「あんなん相手じゃ剣なんて何の役にも立ちそうにないな」 「わからずやは何処にでも居るさ」 「まぁな」 どうでも良いように答える 「たださ」 躊躇いがちに口が開かれる 「どうした?」 うながされ 「いや、まだまだ駆け出しっていうのは認めないとな。あの親父に言わせりゃ、何処にでも居る“ガキ”なわけだし」 客の無理解以上に、アリエスの憂鬱はそこにある。確かに駆け出しのペーペーかもしれないが“白髪の混じった、したり顔で小太りのアホ垂れ”からすれば、それにもかかっていないようだった。 「悲観しすぎだ」 「そうか?でもこれがシリュウさんとか、俺の父さんとかだったらどうだよ?」 大陸最強と称されている“神狼”と、その相棒であり、親友の“詐欺師”。冒険者であれ、そうでなかれ、知らない者はいないほど有名だ。 「あの二人もかなり苦労しているだろうな」 「そうかな?」 「頻繁に“安全な日常”から出る機会があるならともかく、そうでない人間からすればお前達のような人種とは縁が出来る事はない。そういう連中にとっては“神狼”もアリエスのことも、知らないまま終えることの方が普通だ」 「そりゃそうだ」 「それと、これは個人的な意見だが、お前は駆け出しとはいえ実力は中堅をしのいでいるといっても過言ではない。もっと自信を持て。あの人もお前の剣の腕を認めていた。何よりお前の父親である“詐欺師”が太鼓判を押したんだ」 「・・・」 アリエスはどこかくすぐったいような苦笑を浮かべながらそれを聞く 「少しは気が治まったか?」 「気を使わせて悪かったな。カルマ」 「気にするな。15年近くも傍で見てきたんだ。お前がどんな気分かなんて手に取る様にわかる。沈んだまま隣を歩かれたくなかっただけだ」 「そういうことにしておくよ」 アリエスは笑いながら空を見上げた 初めての仕事でいろいろあったせいか、変わらぬ色合いが何時もより暖かくアリエスには感じられた。 なに下向いてんだよ。下向きたいのはこっちだぜ?俺なんて1年中赤か青の色だけなんだぞ?たまには意表突いて紫とかいう色になってみたいよ。それでも毎日こうしてあるんだ。だから笑った顔を見せろや。 「さて」 先ほど以上に力のある声で、力強い足取りでアリエスは歩き出した。 とりあえずは、これで結果を出そう。それであの“白髪の混じった、したり顔で小太りのアホ垂れ”にたいして、どうだ?この野郎。と嫌味たっぷりに笑ってやる。あの嫌味親父がどんな顔で悔しがるか今から楽しみだ。 とりあえず、それでいいや。そうアリエスは思った。 いろいろグチグチ言ってやるのももちろん忘れる気は無い

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