Angler 市毛慎也
Writer 市毛慎也


受験生である弟に勉強を教える、ということで帰省した実家茨城。もちろん、私の狙いは釣りをすることである。

毎度帰省の度には、野池でブラックバスを狙うのであるが、前回6月に帰省した際、何気なく入渓した里川でヤマメを手にした。しかもポンポンと一場所から数匹出たのである。
6月に出たヤマメ。これは良い型だった。

むかーしむかしの記憶では、地元里川ではイワナが大半でヤマメは希少であったはずだが・・・しかしそれも何年も昔の話。ヤマメがいるならば、今回の目的は渓流ヤマメを狙うことで決定である。



帰省初日は渓流が不発に終わりキャッチはウー様のみ、野池でブラックバスに相手をしてもらった。二日目は時間の関係で野池バスのみ。

もう今日しかない、とほぼ不眠で挑んだ三日目。意気込んで03:30に出発したものの、渓流はまだ暗い。危険なので野池で時間を潰すことにした。

Pop-Maxで出たガリガリ君。重さを生かしキャスト、30m先でヒットさせた。

得意のバニー様でマッチョな40アップ。浮き草すれすれをテロテロテロ・・・ドンッ!

調度良い時間帯になったので渓流へ移動。今まで入ったことのないエリアを攻める。のぼり始めて最初の堰では、良型のヤマメ(22、3cm)を6,7匹確認するも、どれもルアーには反応しない。流れが弱いトロ場なのに音を立てすぎたか、はたまたアプローチの仕方が悪かったのか。プレッシャーをかけてしまったようだ・・・

その後チェイスも魚影も無いのでさらに上流へ移動。とある堰の上流側から入渓。里川にしては水量があり、木漏れ日が心地よいエリア。
せり出した樹の下、イトウがガボォ!!なんて瞬間を妄想する。


どうみても人が入りやすいエリアなので、大場所は適当に流し、エサ師の竿抜けポイントを丁寧に狙ってゆく。今回使用している竿は、卒業された麻田お兄様から頂戴したもの。スプーン用と聞いていたが、長さがこの里川には調度良いため採用。ティップは非常に素直な一方、バットに入ったコシが意外に強い。5g程度のミノーを投げると良く分かるのだが、独特の粘りっ気あるアクションを見せる。これがまたキャストが決まる、決まる、素晴らしい弾道である。

そんなこんなで、魚の反応が無いためキャスティング練習と成り果てていたが、少し、エリアの景観が変わった。森を抜けて田園エリアに入ったのであるが、川が一回り絞られ、流速が増し、小規模な落ち込みが連続している。岩盤と岩盤の間が結構えぐられ、深い所では1m以上あろうか。意中のポイントへ丁寧にルアーを送り込み早巻・高速トゥイッチ。落ち込みから高速トゥイッチで誘いをかけ、食わないならばトロ場に入るあたりでジャーク、この緩急で食わせるイメージだ。と、偉そうなことを考えてみても魚さんはノーレスポンス。時たま追ってくるが、見た感じウグイ様。ヤマメはいらっしゃらない。

落ち込みが断続的に続く中を進んでゆくと、両サイドの林が影を作っていた。非常に心地よい。影がかかっている落ち込みへキャストを決め、高速トゥイッチ。少し、速度を変えた瞬間、一気に竿が絞り込まれた。ヤマメにしては引きすぎる、重すぎる、ウー様か、と思っていたが、寄せてビックリ!尺はあろうかという非常にグラマラスなヤマメであった。


「うはは、出ちゃったよ尺~!」
「狙い通り、天才かも知れんっ」
「オレ様劇場、ここに完結。どーん!」

とアホな独り言を連続、大興奮であったが、測ってみると29㎝であった。1㎝足りない・・・笑
ミノーと比べると分かる、グラマラスな魚体


しかし良いのだ。2時間も渓流をのぼり、釣れたのは1匹。バイトも1匹。その一期一会を楽しみに、一心に竿を振り続ける。人に会うことはなく、渓流のせせらぎの中、木漏れ日に癒される。そして出会う一匹、非常に満足である。それが今回のようなサイズならば尚更だ。

この一匹で満ち足りた市毛は、ここで納竿として帰路についた。剥製、作った方が良いかな、と考えたが、そんな考えも一瞬にして食欲に押し流された夏の朝であった。

最近、市毛のどや顔がただのブサ面でしかない、とは我が親の言




【タックル】
:PALMS Sylpher SSGS 66UL
:09 RARENIUM CL4 1000S

【ルアー】
:トラウトチューン・ヘビーウェイト、Dコンタクト、Dダイレクト

【釣果】
:里川ヤマメ29cm
最終更新:2011年07月22日 02:30