Anger 飯田、市毛、多田、中川、小野、土田、松井、吉田
Writer 中川

茨城に来て、早三日経ち最終日となってしまった。朝起きると階下から何ともいい匂いが立ち上ってきている。身支度を整え、リビングへと降りていくと前日に釣った、カレイが煮付けになって食卓へと並んでいる。生姜と醤油で味付けされたのであろう、何とも美味そうな情景である。
 食卓を囲んで、朝ごはんが始まる。前日は「朝起きてすぐに出発するぞ」と意気込んでいたものの結局皆この朝ごはんの誘惑に負け、座り込んで食べ始める。カレイの味に下手な修辞は不要である。とにかく旨い。それだけである。当たり前かもしれないがスーパーに並ぶカレイとは全くの別物なのである。もちろん市毛くんのご親戚で今回お部屋や食事を提供してくださった立川さんの調理が大変上手であったことは言うまでもないが。
他にも温かいご飯や納豆や、海苔といった日本人なら誰でも喜びそうな朝食を頂いてしまった。


立川さんにお世話になったお礼をした後、市毛・飯田両名の車で高萩ふれあいの里へと向かう。今回の春合宿ではじめて茨城というものをじっくりと眺めたのであるが、不思議な土地である。一見東京や神奈川の郊外にありそうな閑静な住宅地があると思うと、広大な田畑と里山のような場所が続き、小川が流れ、山に囲まれ、少し離れたところには海がある。日本の様々な風景を凝縮させた場所と言えるのではないか、勝手にそう解釈している。

今回訪れる高萩ふれあいの里は人里離れた山奥にある管理釣り場である。以前に一度訪れていて、その時も非常に寒かったのを覚えている。山合いにある釣り場という事もあって、てかてかと日光が届かず寒い。道路の上に表示される温度計は車が山の中に入っていく中で徐々に下がっていく。
にゃんこもえ松井君

一時間程で釣り場に到着し、各々釣りを始める。私は以前、沼津は柿田川で割と調子の良かったミノーを試しに投げてみる。リールをゆっくりと巻いてくるとゴツッとアタリが。「おおっ、一投目から食ってきた、これはいい。」と思いつつキャッチ。綺麗なヤマメであった。市毛くんがお昼に食べるように取って置くのが良いと勧めてくれたので、ビクの中でキープすることにする。
その後はしばらくアタリが無くなった為場所を換え、ルアーを換えつつやっていると、向こうでは吉田くんが良いサイズの魚を持っている。皆それぞれいい型の魚をあげているそうで、ビクの中には早くも魚がところ狭しと入っている。やはり市毛くんは得意の釣りということで、一際大きな魚を捕えていた。
吉田氏もナイスサイズ

皆真剣に釣っていたが、一方の私はというと、何枚も着ているにも関わらず寒く鼻水が垂れてきて、また魚の方もなかなか渋く、逃げの一手として飯田君を誘ってカップ麺を食べることにした。春合宿を通して、カップ麺の旨さ、それも峻厳なる寒さの中で食べるカップ麺の強烈な旨さに気付かされた。あれはぬくぬくと暖かい部屋で食べるべきものではない。手がかじかむ船上や高萩のような場所でこそ真価を発揮する食べ物と言えよう。寒さこそ最高の調味料なのである。
カップ麺に舌鼓を打って体も温まり、もう一度釣り場へ。小型ではあったが数匹を釣り上げて、午前中は終了。
土田君、ナイス山女げっと

各自魚を持って記念撮影をした後、魚を調理してもらうことにする。高萩の素晴らしさの一つにこの釣った魚を調理してもらえるシステムが挙げられる。まず、食券で各自ご飯やその他のおかずを購入し、その間にオーナーとそのご家族の方がせっせと魚をさばいてくれる。調理方法は刺身、塩焼き、唐揚げと豪華である。午前中私が釣ったヤマメは塩焼きとなって運ばれてきた。まずは塩焼き、次に刺身、唐揚げ、どれも旨い。なんだか釣行記とは名ばかりで、食べ物レポートと成っているような気もするが、気のせいであろう。全員が、口を揃えて旨い、旨いと言いつつ食べている。

満腹になり各々釣りを再開する。その頃であったろうか、ひとつの事件が発生する。2年生の小野くんのタックルケースが消失したというのだ。先程タックルケースを出してルアーを交換していたのを見ていたので、そのあたりに落ちているのではないかと探したものの見つからない。小野くんは釣り場をおろおろと移動しているものの見つけることが出来ず、悲痛な面持ちで釣り場に佇んでいた。誰かに盗られたのではないかと話していると、多田くんが「釣り人にモラル求めちゃだめだよ!」と厳しいひと言。この時彼の言葉が後の大墓穴を掘ることに繋がるとは予想すらしていなかったのであるが…。
後に墓穴を掘る多田君

午後もスムーズな展開とは行かなかったもののなんとか数匹を手にすることができた。そのうちあたりも暗くなってきて、期待しつつスプーンを投げていたのだが、なかなかフッキングまで至らず、残念ながら終了。
駐車場で後片付けをしていると、多田くんが「あれ???このタックルケース誰のだっけ?」と鞄を覗き込みつぶやいている。
「中川くんの?」
いえ、全く違います。そうである。多田くんは釣り人のモラルを糾弾していたが、実は小野くんから借りたタックルケースを鞄に入れたまま忘れていた張本人だったのである。その時の小野君の驚きと少しばかりの怒りの混じった顔と、多田くんの少し困った顔は端から見ていてなんともおかしかった。結局多田くんはその後しばらくイジられ続けることとなる。
小野君のBOXが見つかった瞬間と犯人・多田君

暗くなった山道を抜け、市街に出た後、一日残って渓流に行くメンバーと別れを告げ我々は水戸へと向かう。次々と車内で寝る者が続出するなか飯田くんは水戸まで送ってくれた。毎度のことながら飯田くんの体力・精神的タフさといったものには尊敬の念を抱くのである。水戸ではビジネスホテルの一階に併設されたファミレスで食事をした後、常磐線に乗り込んだ。

ボックスシートに座りながら、初日からの野池釣り、カレイ釣り、パン鯉、エリアと3日間本当に面白かったと思い出にふけりつつ車窓を眺めていたらもうそこは、終点であった。一緒に電車に乗った土田・松井・吉田君はなんとも幸せそうに寝ていた。

今回、非常に充実した3日間の合宿は市毛君のご家族ご親戚の多大なるご支援のおかげであり、心から感謝しています。

そして茨城の自然にも感謝。


店長さんに集合写真撮っていただきました。料理美味しかったです☆

【釣果】
  • 6匹~30匹弱
  • 25cm~60cm
  • レインボー、ドナルドソン、アメマス、イワナ、ヤマメ、ジャガー

【ヒットルアー】
  • Forestミノー、パニッシュ、トラウトチューン、ローチ、シケイダー
  • 鱒玄人、マーシャル、MIU、ペンタ、NOA
最終更新:2010年06月18日 03:57