「・・・・・・・・・・・・・・・あ・・・・・・・・・・・・起きたか・・・・・・・・・・・・?」

 気が付いた時、オレは自分の部屋の寝床にいた。

「信乃――――――か?」
「ぐっすり眠りやがって、明日の朝まで起きないかと思ったぜ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 頭をぼりぼり掻きながら、周囲の情況を確認する。
 部屋に無造作に敷かれた布団に寝かされていたオレを(その時ようやく気づいたが、どうやら全裸のようだった)、学習机のイスの背もたれに肘をもたれかけたジャージの上下を羽織った女が見下ろしている。
 机の上のライト以外は部屋の電気は消えており、女の顔は丁度ライトの逆光になって、布団からだとよく見えない。声を聞かなければ、こいつを信乃と判断できなかっただろう。
 が、そんな事はまあいい。

「・・・・・・・・・・・いま、何時だ?」
「22時半ってところかな」
「何ィ!?」
「なっ、何だよっ、急に!?」

 まただ、またサッカー日本代表の最終予選を見逃した・・・・・・・・・・・・。
 楽しみにしているゲームの結果を、スポーツニュースのハイライトでしか観れないこの切なさと言ったら・・・・・・・・・。
 しかし、所詮こいつらにそんな事を言っても理解はしてくれない。この連中はスポーツといったら、せいぜい格闘技くらいしか興味を持ってくれないからだ。実際にやるのならともかく、球技の観戦の醍醐味など分かろうはずも無い。
 そんな事を考えてたら、急に頭がハッキリしてきた。

「信乃・・・・・・・・・・・あれからオレたちは、一体どうしたんだ?」
「ああ・・・・・・・・・・・・・素敵だったぜ、お前はよう・・・・・・・・・くそっ、思い出したら濡れてきやがった・・・・・・・・・・・!」
「一人でサカってんじゃねえ!あれからオレをどうしたんだ?」
「いや、どうしたもクソも、あのまんま続行さ。
 失神してなお固いままの『お前』を―――――まあ、尿道塞いで射精できないようにしてあっから、萎えようもないんだがよ――――あたいたち全員で順番に可愛がって・・・・・・・・・・・ああ、でも子宮にキいたなぁ、今日のお前のちんちんはよう・・・・・・・・・・・!」
「オレだけイケないようにして、またロータリーかましやがったってかい?」
「そんな下品な言い方すんなよ。本来、あたいたちとの性行為はもっと神聖なものなんだぜ?・・・・・・・・・・・・・・・・ああ、でも、やっぱり濡れてきやがった・・・・・・・・・・」

 やれやれだ、全く。オレは布団から体を起こすと部屋の蛍光灯をつけた。
「!!」
 ペニスがずきりと痛む。あんだけ無茶したら、そりゃ少しは痛くなるよな。

「―――――――――それで?」
「それでって?・・・・・・・・・・いや、だから、気が付いたらチャイムが鳴って、お前と同じ格好した連中がぞろぞろ帰り始めたから、あたいたちもそろそろ退散しようかってことになってさ」
 放課後までやってたんか?オレが佐野と屋上まで一服しに行ったのが二限のあとだから・・・・・・・・・・・数えるのも空しい時間をオレはこいつらに輪姦されて過ごしたってことか。

「・・・・・・・・・・あっ、あのさっ、あのっ・・・・・・・・・・ひょっとして今日のこと、まだ怒ってる?」

 さっきまでの、余韻に浸るイヤらしい信乃の表情が、みるみるうちにオレの顔色をうかがう媚びた笑顔に変質してゆく。
 オレはその媚笑に背を向け、押入れのふすまを開けて、トランクスとTシャツを取り出す。
「静馬?」
「服着るだけだよ。いつまでもマッパじゃ寒いからな」

―――――――――何だか、パンツが随分減ってやがるな。


「信乃」
「うんっ!」
「お前、オレの柄パン、パクってんだろ」
「えっ!?????」

「ネタぁ割れてんだよ。お前がオレの柄パン、洗濯機の脱衣籠からかっぱらってコレクションにしてるってな」
「・・・・・・・あ、いや・・・・・・・・・だから、それは・・・・・・・・その・・・・・・・・・あの・・・・・・・・」

 信乃が思考停止に陥ってる間に、オレは淡々とトランクスを穿き、ユニ黒の長袖Tシャツを、そして青いジャージの上下を着込みつつ、眼前で真っ赤になっている元ヤン系美少女に眼をやる。
男の下着なんざパクってどうしようってんだよお前は・・・・・・・。

「だって・・・・・・・・・だって・・・・・・・・・静馬の匂いに包まれて眠りたかったんだもん・・・・・・・」
「信乃・・・・・・・・・・・・・」

 今度はオレが思考停止に陥る番だった。さっきまでの下着ドロボウのマイナスイメージが瞬時にして霧散する。
・・・・・・・・・・・・・そうなのだ。コイツは小汚いおっさんとはわけが違う。ナリや種族はともかく、中身は立派な女の子なのだ(実年齢は二百歳を超えるはずだが・・・・・・・・・)。

――――――――――やべえ、こいつ・・・・・・・・・かわいい・・・・・・・・。

 さすがに男として、差し向かいでここまで言われれば、耳まで赤面せざるを得なくなる。

 この、どっから見ても元ヤンかレディースあがりにしか見えないジャージ姿の人狼少女は、最近二人きりになると急に甘えだす傾向がある。これが、いま巷で評判の『ツンデレ』というやつなのだろうか?
 さすがに隠れギャルゲーマニアだけあって、なかなかオトコのツボを勉強してやがる。

――――――――――とはいえ、実際やられたら、これぁ効くなぁ・・・・・・・・・。

 って・・・・・・・・・・・ちょっと待てよ?匂いに『包まれて』?

「お前・・・・・・・まさか、オレのパンツはいて寝てんのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・だめ?」
「決まってんだろこの野郎!!脱げ!今すぐ脱いで洗って来い!!!」
「いや!いやいやいやいや!!このパンツはもうあたいの体の一部なんだからぁ!!」
「冗談じゃねえ!!いくらこの家が治外法権でも、そこまで常識はなくなっちゃいねえ!いいからとっとと脱ぎやがれ!」
「じゃあ静馬も脱いでよ!そしたらあたいも脱ぐからさ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ?

「だからぁ、お前も脱げって!そしたらあたいも脱ぐって、そう言ってんの!」
「―――――――まだ、したいのか・・・・・・・・・?」
「うん」
「昼間、堪能するまでヤったんだろ?」
「あれからもう六時間も経ってる・・・・・・・・・・いや、今日は寸止めだったから、考えてみたら昨日の夜からオマエの精を味わってねえ・・・・・・・・・・・。あああ、思い出したら・・・・・・・・もう・・・・・・・・我慢できなくなってきやがった・・・・・・・・・・・・!!!」

 やべえ・・・・・・・・まただ、またこいつのスイッチが入っちまった!
「どしたい坊や、脱がないんだったら、あたいがじっくり脱がしてあげようか・・・・・・・・?」

 涎を垂らしながら信乃がジャージを脱ぎつつ迫ってくる。もうさっきまでのツンデレの可愛げなど欠片も残っちゃいない。
 イヤ過ぎる・・・・・・・・・・・。こんなズキズキ痛むチンコなんざいじられても、実際少しも気持ちいいはずがねえ。助けて!誰かオレを助けてくれ!!