かたかたかたかたかた

一心不乱にキーボードを打つ青年、大山倫太郎。

かたかたかたかたかた

現在大学生。ある講義のレポートを製作中。

かたかたかたかたかた

身長そこそこ。ルックスそこそこ。貧乏学生。
財産といえば、親のお下がりのPCと、250ccのバイクくらい。まだローン中だが。

かたかたかたかたかた

どこの大学にもいそうな大学生だが――

かたかたかたかたかた

「ふう、あー肩こった」

ずぼっ

「終わったか、倫」
「いやまだだって。脇の下から頭突っ込むの止めてってば」
「早く終わらせろ」
「いや聞いてる?」

――喋る犬を飼っていた。

喋る犬、というのはあまり正確ではない。
姓は川名、名は月子。彼女曰く、誇り高き人狼族の末裔、だそうだ。
両者の出会いは数ヶ月前。
倫太郎がツーリングで山を走っていた時に出会った。
出会った、というか、出会い頭だった。
ふらふらと道路にでてきた月子を避けようとしたが、失敗。
幸い月子は軽い打撲、倫太郎は擦り傷(バイク、人体共に)で済んだのだが、申し訳なく思った倫太郎が治療のため月子を連れて帰ったところ、そのまま倫太郎の下宿に住み着いてしまった、という訳。

「ちょくせつとうし? かせんはんのう? 何が何だかさっぱりだな」
「ちょ、キーボード打てないから」
「……ひまだ。あきた。かまえ」
「あーもーわかったから。このレポート終わったら大学休みになるから。もうちょっと待ってよ」
「もうちょっともうちょっとって、テスト週間とやらになってからそればかりだ」
「本当に、正真正銘、このレポートが最後だから」
「もう待てない」
「終わったらウインナー買ってくるから」
「本当か? 前みたいに魚肉ソーセージ買ってきたら本気で咬むぞ」
「本当だって。この前1本100円もするでっかいウインナー見つけてさ。それ買ってくるよ」
わしわしわし。頭を撫でてやる。
「……もうちょっとだけ、待ってやる」
やっとのことで引き下がる月子。彼女専用の座布団にもどってねっころがる。
わずかに目を細めるくらいの変化しかなかったが、尻尾が絨毯にあたってパタパタと音を立てる。やはり肉の魅力は偉大だ。
ことあるごとに“誇り高き人狼族の末裔”を持ち出す月子だが、どうみても倫太郎に餌付けされている。
(まあ、飼い犬、というほど従順でも可愛くもないけどさ)
これ以上時間をかけていたら、本気で何をされるかわからないし。
心中苦笑いしながら、意識をPCに戻す倫太郎だった。


かたかたかたかたかた
かたかたかたかたかた
かたかたかたかたかた

(メールに添付、学籍番号、名前よし、送信、っと)

レポートを載せたメールは送信トレイへ移動し、問題なく送信済みトレイへと移動していった。
正直良い出来のレポートではない。まあ可はもらえるだろう、そんな完成度。

「月子さん、おわったよー……って、寝てるや」

座布団の上で丸くなっている月子。
クロゼットからバスタオルを取り出し、月子にかけてやる。

(……月子さんと暮らすようになってから、日常生活にハリが出てきたな)

サークルも入っていないし、大学は大教室での講義しかないから友人も数えるほどしかいない。
惰性で生活している感は否めなかった。
そんな生活も、月子との同居で一変した。
我侭なくせに、どこか礼儀正しい。
プライドか高いくせに、どこか素直。
同居以来、振り回されっぱなしだが――

「おやすみ、月子さん」

起きないように気をつけつつ、顎の下を撫でてやる。
狼特有の強い毛皮の感触と、月子の体温を感じる。

――こういうの、なんかいいな。

そんなふうに思いながら、倫太郎はベッドにもぐりこんだ。


(なんかいいな、とは思ったけどさ――)
ぐちぐちぐちじゅぷじゅぷぴちゃぴちゃ
(――この仕打ちは勘弁して、いやホント)
両手両足はベッドの脚につながれ、猿轡をかまされ、全裸。
朝起きたら完全緊縛済みでしたとさ。
「んく、んんっ、ふぁ、起きたか、倫」
しかもフェラチオされてましたとさ。

月子は昨晩の狼の姿ではなく、人の姿をとっていた。
研ぎ澄まされた、刃の美しい、その切っ先によく似た――そんな形容がぴったりの、怜悧な容姿。
人の姿といっても、完全に人と同じではない。
その身体は狼の時と同様の毛皮で彩られ、彼女のしなやかな体のラインを引き立てている。

「我を放っておいて勝手に床に就くとは、重罪だな」
ほっそりとした指が倫太郎の棒を責め立てる。
手のひらは毛皮で覆われておらず、すべすべとした素肌の感触が彼をさいなむ。
「よって、今日一日我の玩具になってもらう。反論はあるか?」
「むーむーむー」
「反論無しか。では愉しませてもらおう」
「むーっ!」
ぺろり、とひとつ舐め上げ、口での責めを再開する月子。
彼女の舌は、器用に倫太郎の敏感な場所を的確に擦った。
「むぅ、むっ、ん――」
どくどく、どく。
勢いよく発射された体液を、残らず飲み下していく。
棒の中に残ったものも吸い出し、熱のこもった吐息を吐く。
「――早いな。それに凄い量。いや我は構わないが、後々辛いのは倫の方だぞ?」
「むー……」
「まあ良い。これが空になるまで絞りつくしてやる」
倫太郎の袋を手のひらで転がし、艶を帯びた微笑みを浮かべる月子。

「さて、色々と試したいことはあるが――とりあえず、倫の子種を中に貰おうか。もう我慢できない」
倫太郎の腰の上で膝立ちになり、棒を秘所にあてがう。

くちゅ、ぬるん

月子の柔らかな肉を押し分け、棒が内部へと侵入していく。
こつん、と、先端と天井が接触。
それに構わず月子が完全に体重を預けると、先端がかなりの圧力で天井を押し上げる。
何度行為に及んでも、月子の中は相変わらず狭い。
「あ――くらくらする」
中から押し上げられる感触に陶酔する月子。
倫太郎もまた、じっくりと締め上げてくる月子の感触に息を漏らす。
「うごくぞ。しっかりと感じてくれ。我は一番奥で勢い良く射精されるのが堪らないんだから」
快感の命じるままに動き始める。
上下に、円を描くように、押し付けるように、入り口を擦るように。
様々なバリエーションで責め立てられ、倫太郎は徐々に欲望がせり上がってくる感覚にとらわれる。
「まて、かってに出すのはゆるさない」
すっと彼女の手が結合部に伸び、棒の付け根を締め上げた。
「む、むーっ!」
「もうすこし、んくぅっ、もうすこしっ!」
月子は一層激しく責め立て始める。ベッドは軋み、粘液をかき混ぜる音が部屋に満ちる。
「ああ、いける、いけるぞっ、さあ、こいっ!」
ずぢゅん、と倫太郎の棒が根元まで月子にねじ込まれ――白濁の奔流が奥の小部屋に流し込まれた。

「ぁ――」

同時に、背筋をそらせて気をやる月子。
暫く感極まったように体を震わせてから、ふっと力が抜け倫太郎の胸板にもたれかかる。


「んん――今のは凄かったぞ、倫。かつてない勢いだ」
「むぅ……」
夢心地な表情のまま、猿轡を緩めてやる。
「あー、そりゃどうも」
「それに免じて、少し休憩を取ろうじゃないか」
そういいつつも倫太郎の棒を体内に埋めたままの月子。

「ちゃんと避妊しようねって、いつも言ってるじゃん」
「前々から思っていたのだが、なぜコンドームとやらを使う必要がある」
「いやだって、妊娠しちゃったら色々と大変でしょ?」
「そのための性交ではないのか? 子を孕むために交わるのではないのか?」
「……月子さんは、僕の子ども妊娠してもいいの?」
「良くなかったらこんなことしない」
「さいですか……。まあ、うん。子ども出来ちゃったら、僕も頑張るよ。父親として恥ずかしくないように、さ」
「何を言う。子育ては母親の仕事だ。だが――そうだな、協力してくれるのなら、とてもうれしい」
「もちろん協力するって」
「それなら、我も頑張って身篭らなければな」
「あの、その前に、のど渇いたんですけど。何か飲ませてください」
「なら――こんなのはどうだ?」
深い、深いくちづけ。
月子は倫太郎に舌を差し入れ、自らの唾液を流し込む。
「ぷは、ふふ、こちらも元気になったし、一石二鳥だな」
月子の体内で硬さを取り戻す倫太郎。
「さて、今日は我から離れられると思うなよ? 倫は我のものだと、しっかりマーキングしてやる」
「うう、お手柔らかにお願いします……」
倫太郎の反応を微笑みで返し、月子は再び行為を始めた。