「ぅあー…あっちー…」
今日の最高気温は33度。最高の真夏日だ。
クーラーなんてない僕のボロアパートは、人間が生存するには辛すぎる環境となっていた。
…天気予報では午後から大雨で冷えるって言ってたのになあ…
「それにひきかえ、そっちは元気そうだよなあ…」
そういって僕は網戸のほうを眺める…正確には、そこにいる一匹の生き物を。

そこにいたのは一匹のヤモリ。
この暑さにも全く応えず、じっと網戸につかまっている。

このヤモリは僕が去年越してきた時からずっとベランダにいる奴だ。
ここを根城にしているのか、少なくとも僕がアパートにいるときはこいつもここにずっといる。
エサのほうは部屋の中の明かりに引き付けられた虫と、アパートのすぐ近くにある石垣のあたりで何とかしているようだ。
初めのころは僕が近づくとちょろちょろとどこかに行ってしまったものだが、今では慣れたのか手を近づけても全く動じない、というかむしろ寄ってくる。
最近では犬か何かのように指をぺろぺろとなめてくるようにもなった。
そこまで来ると愛着もわくもので、僕のほうも天候がすぐれないときなんかには部屋の中に入れてやったりと半分飼っているような状態だ。

「お前はすごいよなあ…ぅあー…ねむ」
―そんな風にヤモリを眺めながら、僕は昼食を済ませた後で満腹だったこともあり、いつの間にか眠ってしまった。


―すっかり暗くなったころ。
目を覚ましたのは、激しい雨の音のせいだった。
「―ん…って、すっごい降ってるなあ」

外は台風でも来たかのような豪雨、風もかなり強いようである。天気予報も伊達ではないということか。
(そういえば、ヤモリは大丈夫だろうか)

野生の生き物だから何かしら対処はとるだろうと思いつつも、少し心配になってベランダへの戸をあけてみる。

そこにヤモリの影がなかったのを、確認した瞬間。

「―すき、あり」

上から降ってきた『ナニカ』に一撃を食らって、僕は昏倒する羽目になった。

―目を覚まして、まず頭の中に浮かんだのは「強盗」という可能性。
何かこの状況を把握できるものはないか、とっさに部屋の中を見渡した僕はとんでもないものを見てしまった。

「……め、さめた」
はだかの、おんなのこ、である。
いや、厳密には裸ではない。僕が布団代わりにしていたバスタオルを羽織っている。
し、しかし前ががら空きで、胸とかおなかとか、そ、その下とかまるみえである。
「…?」
こっちが訳の分からない状況に頭の中が真っ白になっているのを、その謎の女の子は首をちょこんと傾げて眺めていた。

しばらく経って。
取りあえず落ち着いた(それでも彼女を直視はできない。童貞だものしかたないじゃない)僕は彼女に話しかけてみた。
…しかし、美人だ。どこかぼーっとしたような表情だが、染めているのかややくすんだ灰色の髪に、褐色の肌。背は150後半くらいと見えるが割と出るところは―って、そうでなく。

「…あ、あの。まず、あなたはどなたですか?何の目的があって、こんな貧乏学生のアパートに?」
すると彼女も(僕が固まっている間ずっと僕のほうを凝視してじっとしていた)どこかたどたどしく口を開いた。
「わたし、やもり」

…はあ?
「あめ、すごい。ここ、あめ、こない。にげる」
えーと。
「雨宿りがしたかった、と。なるほど、それはまあ…いろいろ問題があるとしてとりあえずは分かりました」
しかし。
「ヤモリ、というのはどういうことでしょうかね…?まさかベランダにいたヤモリが人に姿を変えたとでも?」
「うん、そう」
即答ですか。―ああ、頭のイタい人か、かわいそうに。
美人だけどさすがにこれは無理だ、というか怖い。
「しんじて、くれない?」
「当たり前でしょうが。ファンタジーやメルヘンじゃあるまいし…警察に電話しますから、まずは服を―」

そういうと、彼女は
「―じゃあ、はい」
いきなり、羽織っていたタオルを脱ぎ捨てた。

「ちょ、な、なにやって―っ!?」
その下にあったのは、僕が(エロ知識から)想像していたのと大体合致するきれいな褐色の肌と―想像できるはずもなかった、これまた褐色の鱗に覆われたおおきな「しっぽ」だった。

「しんじて、くれる?」
「…え、いやちょっと」
ずいっ、と彼女が顔を近づけてくる。
近くでよく見ると、彼女の指先にも鱗のようなものがある。先ほどから何度か彼女がしゃべるときにちろちろのぞく舌も、明らかに人のものではない。
とても作り物には見えないし、これは、本当に…
―というか、それ以前に顔が近い。

「わ、わかりました!信じますから離れて、何か着てください!」
「ん」
ぼーっとした表情のまま、どこか満足そうにうなずいて彼女は体を離し―途中で、動作を止めた。

「……」
「ど、どうかしたんですか?は、早く服を着て…!」
中途半端に離れたせいでまた丸見えになった彼女の体に、僕がまたむらむらしていると

「…さかり。こうび、する」
「は?」
突然、彼女がそんなことをつぶやいた。

「?…しらない?…こども、つくる」
「え、いや、ちょっとまってなにをいって」
「??…おまえ、さかり」
そういって彼女は僕の股間に手を当ててくる。
「ちょ、どこさわって」
「せいしょくき。ちんぽ。きもちいい、はず」
ストレートに言われて僕が再び固まったのにかまわず、彼女は言葉を続ける。

「わたし、さかり」
そういって彼女はもう片方の手を僕の手と重ね…そのまま、彼女自身の股間へと導いた。
―ぬちゃり。
「ん、あぅ…」
「―!?!?!?」
そこは、すでにねっとりと熱を帯びており、僕の指に絡みついてきた。
女性のアソコなんて今まで触ったことなどあるはずもなかった僕の思考は、そこで完全にフリーズした。

「…ね?」
「あ、ぁあ、うあ」
もう完全にパニックになっている僕は、彼女のぼーっとした―けれど今は明らかに熱を持った―瞳に射抜かれて、もうまともに言葉をしゃべることもできなかった。
そんな僕の様子を見ていた彼女の口が、にやり、と、笑みの形にまがった。

「…おまえ、おいしそう。ふるえてる。―きめた、わたし、おまえ、おかす」
「ぇ―ん、むぐぅううう!?」

彼女はいきなり僕の顔を両手で押さえると、無理やり唇を合わせてきた。
しかも僕が驚いているうちに、明らかに人間ではありえない長さの舌を差し込んできたのだ。
僕の口の中は、そのまま食道まで届くのではないか、というほどに深くなめまわされ始めた。
「ん、ぐぷ、れろ、んぐ、ちゅううぅ、えろ…」
「ん、んう、ん゛う゛うぅぅぅぅ…!」


「―んはぁ。…やっぱり、おいしい…♪」
「―ん、ぁふぁ…あ、う…」
どれだけの時間が経っただろうか。
僕の唇が解放されたのは、僕の口の中が彼女の唾液の味しかしなくなり、僕の頭の中が彼女の舌のこと以外真っ白になるまで蹂躙されつくしたころだった。
完全に骨抜きになった僕を、彼女は獲物を見る目で射抜く。―と、その目が、急に伏せられた。

「―いつも、おまえ、いいやつだった」
「…は、ぇ?」
突然、彼女が独白を始めた。

「のどかわくひ、みず、くれた。おなかすいたひ、むし、くれた」
「こわいへび、やっつけてくれた。さむいとき、ここ、いれてくれた」
「たくさん、たくさん、たすけてもらった。おまえいないと、わたし、しんでた」
「それだけじゃ、ない」
「おまえ、わたし、おいだす、しなかった。ほかの、にんげんみたい、こわがる、しなかった」
「あそんで、くれた。いっぱい、いっぱい、たのしい、くれた」

そこまでいって、彼女の目がまたこちらに向けられる。
その目はさっきまでの獲物を見る目ではなく―情欲に満ちてはいるが、とても優しいものだった。
「―だから、わたし、おまえ、すき」
「つがい、なりたいくらい、すき。こども、うみたいくらい、すき」
「だから、わたし、かわった。にんげんみたい、かわった」
「…おまえ、わたし、すき?つがい、なりたい?」
そこまで聞いて、だいぶ冷静になった頭でぼくは考え、

「…その、今のあなたはきれいだと思いますし、僕も相手はほかにいませんし…いいです、けど」
いってはみたが恥ずかしい。というか本当によかったんだろうか。
相手は人間じゃないとか社会的にどうなんだとかそもそも外ではその尻尾どうするんだとか、いろいろなことが頭の中を駆け巡る。

―しかし、そんな悩みは、

「…!…そうか!うれしい!」
彼女がぼーっとした顔に初めてはっきりわかる笑顔を浮かべ、
全身で抱え込むように押し倒され、
「…ぅうう!やっぱり、がまん、むり…!こづくり!つづき、する!」
その笑顔が一瞬でまた捕食者の獰猛な笑みにかわったあたりで、頭の中からきれいさっぱり消し飛んだ。


「ん、じゅぷ…ちんぽ、おおきい。におい…すんすん。ぁ、すご、い…おいひ、ぐむ、ぐぽっ…」
「う、くああ、ぁ、あああ…」
あれから、またしばらく後。
押し倒された僕は、まずご丁寧に再び口の中を長い舌でじっくりたっぷりねちねちと蹂躙された。
おかげで僕の口の中は、今日一日だけで性感帯として十分やっていけるぐらいに開発されてしまった。…明日からの日常生活大丈夫だろうか?
そして今、口のほうは解放されたが、今度はペニスをその長い舌で持って絡め捕られ、彼女の口に含まれてしまっている。
ぬるぬると絡みつく彼女の舌と、むぐむぐ、と彼女が咀嚼のような動きをするたびに締め付けられる肉の感触で、すでに何度も射精しているのだが、彼女は一向にやめてくれる気配がない。

「あ、また、でる、れるぅうう、っ―!」
「んぉ…」

―どぴゅっ!
「あ、ぁぁ、ああ~…」
「う゛むっ…こくん、こく」
彼女は僕のペニスが射精を始めると、その精液を貪欲にすべて飲み込んでしまうのだ。
しかも、それだけでなく、
「…ちゅううううう~」
「ひぃあぁああ!?やめっ、すわなぁ、あ゛あぁあ…」
…このように、尿道に残っている精液もすべて吸い尽くそうとペニスを強力に吸い上げてくるのである。
しかもこの間も長い舌はペニスにまとわりついてれろれろとなめまわしを続けているので、射精してもすぐ勃起させられてしまうのである。

3回目くらいで、僕も危険を感じてがくがくの体に鞭打ってどうにか彼女を振り払おうとした。
しかし、僕の体にしがみつくような形で抱きついている彼女の両手足の滑り止めは、しっかりと僕の体を捕まえており、無理に体をよじれば痛いだけになっていたのだ。
しかも流石変温動物、持久力でもこちらが負けているようで、「彼女がへばったら隙をついて脱出」という当初のプランはすでに粉々である。

そして、彼女より僕の限界のほうが早くやってきた。
「…?…おかしい。ちんぽ、たたない…?」
舌での愛撫を加えてもだらりとしたままの僕のペニスを握りながら、彼女が不思議そうな顔をする。
「はっ…はーっ…だから…もう…げんかい、なんですって…」
息も絶え絶えになりながらそう抗議しつつ、やっと終われるという安堵を抱いた僕だったが。

「…うそ」
ちょっとムッとしたような目でこちらを見る彼女は、まだ解放してくれる気がないようだ。
「せいし、まだ、あるはず。わたし、わかる…それに」
「それ、に…?」
「まだ、たまご、せーし、もらってない」
ああ、そういえばフェラだけで絞りつくされたんでしたね僕。…なんか情けない気が。

「…むー…。…あ、じゃあ、あれ、ためす」
いきなり何かを思いついたようで、彼女が自分のしっぽに手を伸ばす。
そのまま尻尾の先端を握ると、それを口に含んで唾液を塗り付け、そのまま―

―僕の、不浄の門のほうへ―

「―っひ、ちょ、ま、待ってください!や、そっちは―」
流石に少々の痛みも構わず全力で抵抗する。そこまでされたら完全に「おわって」しまう気がする。
「おまえ、うるさい…じっと、する。―ん、ちゅ」
「あ、むぅ―」
三度、唇で口をふさがれ、とろん、と力が抜けてしまって。

ずぶり。


「―ん゛ぅう゛む゛むむううううううぅぅー!?」
「ぷは。…あ。ちんぽ、たった」

―すごく、太いものが、おしりに入っている。
それは、思ったよりすべすべしていて、僕のおなかの中でずぶずぶと前後に動いている。

「―ん。じゃあ、わたしも、もらう」
「あ゛っ、あひ、ひぬ、ぼく、しぬぅうう…」
そのまま、彼女が、僕の上に覆いかぶさってきて

ぬぷ、ぐぷぷぷ…っ

あたたかくやわらかいものに、僕はつつまれた。
「ふぁぁぁ…き、きたああぁぁぁ…っ♪」
「あ゛ー、あー、う゛ぁあ~…」
もはや半ば意識を飛ばしている僕の上で、彼女が腰を振る。
「んっ、あつぃ、ちんぽ、あつい、すごいぃぃぃ…♪」
彼女のなかはそこまできついわけではなかったが、執拗なまでに絡みついてきた。
まるで「絶対にはなさない」といっているかのように、襞すべてがペニスにまとわりつき、吸いついてくる。
…僕は、なすすべなく射精した。
どぶっ、どぷ、どくん…
「あ、ひゃあぁぁぁぁ…ん…んぅ、う~…♪」
「ぁ!あ、あ゛っあ、あ!……ひぃ…ひぃぃ…ん」
射精のこれまでと比べても異常なまでの快感と体力が尽きたことから、僕の意識は闇に包まれていく…ところが。

「―だめ…もっと、しゃせー、する…!」
ぐりっ。
「ぎひぃいぁあ!?」
彼女の尻尾が腹の中で動いて、強制的に覚醒させられた。

「ひ、ぎひぁ…やぁ…。もう、らめ、ですからぁ。やすませ、おねがぃ」
「…おまえ、ほんとうに、よわってる、みたい」
でしょう?だから今日はこの辺で―

「―ハァ…よわってる、えもの、フゥ…かる。これ、あたりまえ」
「ぇ―」
「それに、いま、おまえ、すごい、よくじょう、する。…ゥウウウウ!!モウムリガマンデキナイ!シャアアアアアァァ―ッ!!」

ああ、そうですか。いままでがまんしてこれだったんですね。なるほどなるほど。
さて、哀れな獲物はもうあきらめたほうがいいってことでしょうかね。あはは。

―ぃやだあああああああああぁぁぁぁあむぐううぅぅぅぅぅぅぁ…

ずるり、ずるり。びくん、びくん…


二日後の朝。
僕の部屋には彼女の姿があった…ちゃんと服(僕の男物だけど)を着て―縮こまって正座している。
「…ごめん…」
「あやまってすんだら警察はいらないんですがねえ…?」
「…むぅー…。だって…」
「だってじゃない!」
「…ぁううー…」
あの後、結局次の日の昼くらいまで彼女に犯され続けた僕は、危うく過労と脱水症状でぶっ倒れるというところまで行った。
脱出の機会は唐突に与えられた。「おなかすいた。ごはん」とか言って彼女が僕を解放したのである。
…正直、まだ下半身はがくがくで、まともに立つこともできない。あと体中の感覚がバカみたいで、服に擦れるだけで声をあげそうになる。
夏休みに入っていなかったら本当に危なかった…。
そして今は反省タイムというわけである。

…そこで、彼女が反撃に出た。
「…でも。きもちよさそう、だった」
「うぐっ…!」
苦し紛れともとれる彼女の言葉…だが、すでに否定できない。
僕は昨日までの行為で、彼女によって完全に「そういうふう」にされてしまったのだ。
その反応を見て、彼女があの捕食者の目をしてにんまりと笑う。
「おまえ、たべられる、なぶられる、すき」
「ぐ、ぐぐぐっ…!」
「ちがう、いわない。…ほら、やっぱり、うれしい」
「ぐあ、ぅ…!」
「どうする?…じっとする、おそう、よ?にげる、しない、おかす、よ?…ふふ、どうする、の?」
にたにたといやらしい笑みを浮かべる彼女。すでに服を脱ぎ始めている。
反抗しようと思えば、できるだろう。
逃げようと思えば、まだ間に合う。
でも、僕は。

「…ご飯食べてから。―それから、なら」
…せいぜい、これくらいしか言えないのだ。
「ごはん!?ん、たべる、はやく!」
ご飯と聞いて一瞬でいやらしい笑みを消して子供のように目を輝かせ始めた彼女を眺めつつ、
(やれやれ…これはもう、一生くっつかれるだろうなあ…ま、それでもいいか)
なんて思ってしまう僕は、もう手遅れなのかもしれない。