「ハッピーニューイヤー、あけましておめでとうございます……ハァ」

 新年一月一日の午前零時。やや狭いアパートの一室にて、俺の独り寂しい新年の挨拶が響き渡った。
付けっぱなしのテレビの向こうでは、ちょうど某アイドルグループが盛大に新年を祝っていたりするのが寂しさを強調する。
ハァ、結局、今年も一人で寂しく年を越してしまった……まぁ、何年もやってるからもう慣れたのが救い、なのだろうか。

 それはさておき、去年はカウントダウンを寝過ごしてしまった失敗を踏まえ、
昼間ぐっすりと寝たおかげで、こうして寝過ごす事無くカウントダウンを迎える事が出来た。何事も失敗は成功の母である。
更に、『笑ってはいけない24時』もブルーレイできっちりと録画したし。後でゆっくりと鑑賞して初笑いと行くとしよう。

「でだ……問題は虎姐だ」

 一番の懸念要項を口に出した俺は、警戒の眼差しを周囲に送る。
そうである、年越しにおける一番の問題こそ、俺の一応の恋人である虎姐(獅子沢さんも含む)である。
彼女は毎年、年越しの後に訪れては俺を性的に襲い掛かってくるのだ。無論、俺の意思なんて関係なくである。
しかも去年は寅年だったものだから、それはもう酷いものだった。記憶にある限りじゃ18発ほど搾られた気がする。

果てさて、今年は一体どんな手で俺に迫ってくるのやら……?

 そう、警戒を深めていた矢先、唐突に俺の耳に届くやや掠れ気味のインターフォン。
――早速来たか! 襲来に対して心の準備をしてたとはいえ、それでも俺の身体に緊張が走る。
……が、如何いう訳だか其処から動きが無い。何時もならばもう既にドアが蹴破られていてもおかしくない頃である。
(無論、去年一昨年の事を踏まえ、虎姐にドアを壊されても良いように大晦日のうちにドアを安いベニヤ板に交換している)

「如何したんだ……」

 その状況に妙なものを感じた俺が、暖かい炬燵に後ろ髪引かれるものを感じつつ抜け出し、静かなままの玄関へと向かう。
そして、何時襲われても良いよう最大限の警戒と注意を払いつつ、そっと玄関のドアを開けてみて――その向こうにあった物に、俺は眉をひそめた。

「……段ボール箱……?」

 玄関の前には、PCを詰める為の大型の段ボール箱を複数組み合わせて作ったと思われる大きな箱が鎮座していた。
妙にカラフルなラッピングをしている辺り、誰か、いや、玄関に置かれている所から俺へのプレゼントのつもりなのだろうが……。
もう怪しさ核爆発級である。即刻警察へ通報されてもおかしくないレベルだ。つか、こんなところにおかれたら邪魔なんだが。
無論、こんなことする奴は俺の周りの人物の中では、たった一人しか思いつかない。というか、箱のサイズで丸分かりだ。

「……虎姐だろ? 中にいるの」

 ジト目を向けつつの俺の問いかけと同時に、箱がガタタッと音を立てて揺れ動く。何という分かりやすい反応である。
しかし、其処から何時までたっても動きが無い。どうやら俺が声をかけた事で、箱の中の『誰かさん』は出るタイミングを逸してしまったようである。
一瞬、このまま放置して寝てしまおうか、と思ったのだが、流石にこの寒空の下で放置するのは可哀想だという考えも出たので、仕方なく相手する事にした。

「わァ、こんな所に箱があるやー、なかに何が入ってるんだろー?」

 とりあえず、わざとらしく驚いたような反応をしてみる。少し棒読みなのはご愛嬌。
それに反応したか、箱が一瞬だけガタッと動いた後。

「じゃっじゃーん! あけおめだ光喜!」

 案の定思ったとおり、箱の蓋を思いっきり吹き飛ばして出てきたのは虎姐、なのだが……。
セクシーポーズをとる彼女のその格好を見て、俺は更に眉をひそめた。
そう、その格好は、ウサ耳ヘアバンドに身体の線を強調したレオタードの、いわゆるバニーガールのコスチュームであった。

「……なんだその格好、何処ぞの高級クラブの女性店員さんか?」
「い、いやだなぁ、光喜……これ、バニーガールだって。ほら、今年は兎年だろ? だからそれにちなんでって奴だよ、うん」

 俺の冷静な突っ込みに、虎姐はしどろもどろになりつつも自分の格好について説明する。
取りあえず俺は「そうか」と一言だけ返してやった後、ひそめた眉を戻す事無く虎姐へ決定的な突っ込みを入れた。

「言っちゃ悪いが、その格好激しく似合ってない」
「……をぅ……」

 あ、へなへなと崩れ落ちた。
やっぱ虎姐なりに気にしていたか、今のバニーガールの格好。
出る所は出ているとは言え、アマチュアレスリングで鍛え抜かれた身長190cm強の褐色の逞しい肉体にバニーガールのファッションは少しきつい物がある。
多分ではあるが、ここに行く前に虎姐は鏡か何かを見て今の自分の格好を確認し、そしてあまりの似合わなさに愕然としていたに違いない。
しかし、今更他の格好へ変える訳にもいかず、仕方なしに駄目元で行ってみた、といった所だろうか。
じゃなきゃ、突っ込まれた程度でここまでダメージは受けない筈だ。

……というか、そもそも虎姐のサイズに合うバニーガールの衣装があった自体が不思議でならないんだが……何処で売ってたんだ?
ま、まぁ、くだらない事は深く気にしないようにしよう。世の中には知らなくても良い事はあるんだし。

「ま、まあ良いさ! この程度でへこたれちゃここに来た目的なんて到底果たせないからな!」
「おおー、中々ポジティブだな……ってちょい待て、ここに来た目的って何だよ」
「そりゃあもちろん、アレに決まってるじゃないか。ひ・め・は・じ・め!」

 ほらやっぱりそう来たか。去年も一昨年もそうだったから多分そうくるんだろうなーって思ってたんだ。分かり易過ぎる。
だが、何時もそう簡単にホイホイと逆レイプされる俺じゃない。今回こそ初日の出を拝む為、ここは逃げさせてもらう!!
そう、俺が性的に飢えた虎から逃げるべく、踵を返そうとして――

「―――うぉえ!?」

 ――いきなり後ろから何者かによって羽交い絞めにされ、俺は思わず驚きの声を上げた。
な、何者ぉ!? って、この背中に当たる柔らかい感触からしてまさか……?

「獅子沢さん!?」
「大当たりですよ、光喜さん! 多分、光喜さんの事ですから逃げるだろうなーっと思って、
先輩に気を取られている隙に後ろからこっそりと入らせてもらいました!」
「よし、ナイスだアキラ!」

 振り向いてみれば、其処にはドヤ顔な獅子沢さんの顔があった!
その頭にウサ耳ヘアバンドを付けている辺り、彼女もまた虎姐と同じくバニーガールの格好をしているのだろう。
 ……畜生。道理で獅子沢さんの姿が見えないと思ったら、これをする為に虎姐が自ら囮をしていた訳か!
 そうやって逃亡不可能となり、獅子沢さんによって家に引きずり込まれた俺を前に、虎姐はどこか女性らしくない下卑た笑みを浮かべ。

「さて、覚悟は良いな光喜?」
「覚悟を決めるも何も、結局は有無を言わさず犯すつもりだろ!?」
「まぁ、否定はしないな」
「少しは否定しろ!! というか早速服を脱がせにかかるんじゃねぇ!!」
「そういう光喜さんも既にやる気じゃないですか」
「うぐぅ……!」

 声を荒げて抵抗しようとした所で、既に愚息がズボンにテントはってるのを獅子沢さんに指摘され、俺は思わず痛恨のうめきを漏らす。
ああ畜生、背中に当たる獅子沢さんのおっぱいの感触に、『おっぱい! おっぱい!』と手を振って暢気に喜んでる俺の煩悩ぶん殴りてぇ!!
むろん事ながら、そんな事考えている間にも俺は、こちらを羽交い絞めをしている獅子沢さんを下に敷く形で仰向けに寝かされ、
そのまま虎姐によってズボンをひん剥かれ、天を突かんばかりに怒張した愚息を露出されるところであった。

「もうこんなに堅くなってやがる……アキラのおっぱいがそんなに良かったのか?」
「う、うるせぇ!」

 もはやこの状況では必死の否定すら虚しく感じる。
くそ、ニマニマしながら愚息を眺めるな! 玉を揉むな! 亀頭をさするな! 俺の愚息は玩具じゃないぞ!
と、俺の心の叫びが聞こえたのか聞こえてないのか、獅子沢さんが俺の愚息を弄るへ向けて言う。

「先輩、やるなら早くしてくださいよ、私も我慢してるんですから」
「へいへい分かってるよアキラ」

 やや面倒くさそうに獅子沢さんへ返しつつ虎姐は俺の上に馬乗りになると、
レオタードの股の部分を横へずらし、既に粘液にじっとりと濡れ始めている秘所を露にさせる。
そして、指先で大陰唇を割り開き、その内側のピンク色の孔へと愚息の先端を誘導し、固定する。
愚息の先端に感じる粘膜の熱くぬめった感触、無意識の内に俺の口から漏れるうめき。

「それじゃ、新年最初の一発、頂きます!」
「ちょ、まるで弁当を食べる様なノリで…―――うあ゛っ!」

 俺の突っ込みの言葉は、虎姐が腰に体重をかけて秘所へ俺の愚息を根元まで挿入した事で嬌声に変わった。
そしてすかさず虎姐の熱いゼリーのような膣壁が俺の愚息へみっしりと纏わり付き、うねうねと蠢いてえもいわれぬ快感を与え始めてくる。
くそう、やっぱりなんだかんだ言いつつも心の何処かで虎姐の胎内が気持ちいいと思っている辺り、俺もこの状況をしっかりと楽しんでいるようで。

「今回はゆっくりとしたいのも山々だけど、アキラを待たせちゃ悪いからな……ガンガン行かせて貰うぜ!」
「え!? ちょ、待て、いきなりはうあぁぁっ!?」

 虎姐は言うなり、俺の了解を待つまでもなく腰をわずかに浮かせると、リズミカルかつ激しく腰を動かし始めた。
その動きにあわせて膣壁がうねり、締め付け、吸い付いて愚息を激しく責め舐り、俺の意識をピンク色へと染め上げてゆく。
それに加え、目の前でたぷんたぷんと揺れる虎姐の見事な乳房の視覚的要素も加わり、嫌が応に昇り詰められて行く。

「ちょ、激しいっ、やっ…やめっ、うあっ!?」
「だめだっ! あふっ、ガンガン行くってっ、言ったろ!」

 俺が言葉の所々を嬌声混じりにさせつつ懇願するも、
既にスイッチの入った虎姐が聞き入れてくれる筈もなく、それどころか腰の動きを余計に激しくさせる。
と、その最中、お尻の孔辺りに感じる妙な感触、何事かと思ってみれば、
それは息を荒げ始めた獅子沢さんが自分の尻尾の先端で俺の窄まりを弄くり始めている所だった。

「光喜さん、見ているのも暇なので、ちょっと悪戯させて貰いますね」
「し、獅子さわっ、さん!? そっ、れはっ!…やめっ! ああっっ!!」

 必死に止める様に言おうとするも、虎姐が激しく腰を振りたくり激烈な快感を与えてくる事でまるで言葉にならない。
そうしている間にも、獅子沢さんは自分の尻尾の先端を俺の窄まりへ押し当て――

「えいっ!」
「う゛っ、あっっ!?」
「あっ、光喜のがっ、大きくなった! イイっ!」

 そのまま一気に直腸内へと挿入させ、更に激しくうねらせた!
うねり、暴れる体内の異物感に俺の身体がびくりと震え、虎姐の胎内の愚息を熱く膨張させる。
それに反応した虎姐は悦びの声を上げて、より多くの快感を味わおうと強く激しく腰を動かしてゆく!

「あっ、はっ、いいぞっ、光喜っ! 気持ちいいぞ!」
「私の尻尾、気持ちいいですか? 光喜さん。もっと尻尾でぐりぐりしてあげますよ」

 愚息を虎姐の膣壁で責め弄られ、窄まりを獅子沢さんの尻尾で弄ばれる。
前後同時に責められる事で、次第に俺の意識から抵抗の意思は薄れ、代わりに快感と興奮を求める本能の物へと入れ替わってゆく。
快感が俺の脳髄を酔わせ、興奮が俺の意識を別の色へ染め上げる、凄く気持ちよすぎて、何も考えられない。
やがて、腰の奥に渦巻き始めた痺れにも似た熱が頂点に達したところで、虎姐がひときわ強く腰を打ち付けた事で俺は限界に達した。

「うっ、ああああっ!!」
「ひゃっ、あっ、でてるっ、光喜のがいっぱい来てる!」
「あっ、光喜さん、私の尻尾をぎゅっ、ぎゅって締め付けてる!」

 脳と意識を焼き尽くさんばかりの激しい快感に身を委ねた俺は虎姐の胎内へ熱い滾りを解き放ち、白い欲望を溢れんばかりに注ぎ込む。
それと同時に窄まりに入っている獅子沢さんの尻尾を括約筋で何度も強く締めつける。
ここ数日はバイトが忙しくオナニーをしていなかった事もあって、射精は長く激しく続き、ようやく終わったのは十秒経った後だった。

 や、やっと終わったか……今回は何時になく激しかったが、これでようやく一休み出来……いや、ちょっと待て。
確か、獅子沢さんが言ってなかったか? 『私も我慢しているんですから』って……となると……。

「ふぅ…気持ちよかったぁ…さて、今度はアキラがやる番だったな」
「ええ、そうですね。今まで待たされましたから頑張りますよー!」

 ちょ、案の定か!? 今回もこの調子で初日の出を見逃す事になるのか!?
 そんな俺の思考を表情で見て取ったのか、二人はニヤリと笑みを浮かべて言う。

「光喜、お前は知らないのか? 隠語で兎がなんて呼ばれているかを」
「なんと、万年発情期って呼ばれてるそうですよ。ある人から教えてもらった事ですけど」
「だから、何時も発情している兎を見習って、あたし達も兎の格好して何時でも発情しようと思った訳だ」
「それに今年は兎年ですからね、ガンガン頑張れそうな気がします」
「まぁそういう事だ光喜。今夜はたっぷりと楽しもうぜ!」

 言って、早速第二ラウンドへ入ろうとしつつある虎姐と獅子沢さんの姿を見つつ、俺は一つの決意を固めていた。
新学期になったら、二人へ余計な事を吹き込んだある人―――ヒデの奴を絶対にブン殴る、と。


 追記:結局、散々犯された俺が次に意識を取り戻した頃には、初日の出どころか初日の入りさえも終わっていたのだった。
 めでたくなしめでたくなし
――――――――――――――――終われ――――――――――――――――