「農業ってすばらしい!!」
十月も下旬、肌寒くなってきたある日の午後、東北のある農村で一人の青年が感動に打ち震えていた。
川島圭一、二十五歳独身彼女なし。一ヶ月ほど前に勤め先の商社が倒産、
追い討ちをかけるように祖父の死に見舞われた。失意の心中に父親から声をかけられ
「お前さ、今無職なんだろ?じいちゃんの遺した畑引き継いで農業やってみないか?」
「農業なんてむかしちょこっと手伝ったぐらいしかしらねぇよ。」
「なぁに、俺が基礎の基礎から教えてやるからさ、やってみろよ。
どうせこのご時世に新しい職探したって良いとこなんかねぇよ。」
このやり取りに彼は納得し、この地に越してきた。
(基礎の基礎とは言っても今やることは祖父の残した畑の引継ぎのようなことだけ。
収穫はとっくに終わり、植えるものはこの時期には無し。
飼っている牛も堆肥用で餌をやってたまに糞をかき出し、わらを取り替える程度、
ちょっと汚くて手が引けるけど、まぁ、こいつも可愛いしなぁ。)
「ムォー」
「よーしみつ子ぉ、いい子だいい子だぁ」
(親父が農業やらせるなんていったとき、始めはどうなっちまうかと思ってたけど、
やってみると思った以上に面白いもんだねぇ、親父の言った通り、
販売でも古いルートが使えそうだし。なにより・・・・)
「もう時計に縛られないって最高だぁ!!」
あの頃と違う、常に時計の針に急かされるように仕事をしていた日々。
今じゃ飯と天気予報とニュースの為くらいにしか時計は必要ない。
「何より生活の中の潤いが半端ないねぇ。」
どこか乾いた街の人間関係や殺風景なビル郡もここには無い。
周りは自然にあふれ、生活する人全てが常に明るい笑顔で話しかけてくれる。
飯もコンビニの弁当から脱却して、時間を気にせずバランスよく食事が出来る
と言うことも大きなアドバンテージだ。
「さあて、あとは農業関係の本見ながら勉強して飯食って終わりだな。」
大きく伸びをする彼のはるか後ろ、山中にある祠の周りで風の流れが変わったのはそれとほぼ同時だった。

深夜、トイレに起きた圭一の耳に奇妙な音が聞こえた。
“パキン・・・ガリゴリ・・・”
納屋兼牛小屋のほうからだった。
(なんだ?・・・泥棒か?それとも・・・)
一気に彼の目が覚めた。
この地域で泥棒よりも多いもの、それは動物である。
山中から降りてきては農家の収穫に手をつけていく、珍しくも無いが損害をこうむるのはごめんだ。
だからといって不用意に対処するのは危険だ。
狸程度から熊や猪までが来るものだから酷いときには怪我をすることもある。
(追っ払うにしても、素手はなぁ・・・)
そんな時彼の脳裏にあるものが浮かぶ。
それは未だに残る未開封の引越しのダンボール群の中、丁寧にケースに収められて眠っていた。
封を解くと薄い月明かりに照らし出される黒いボディ。
「いけるか?相棒。」
大学時代にバイトで貯めた金で買った東京マルイ製電動エアガンMP5 A4 PDW、
圭一が入社してからも友人たちと休日にサバゲーに使っていたものだ。

(装弾・・・バッチリ、バッテリー・・・)
“シュパン!!”
(いける!!・・・さぁ、パーティータイムだ!!)
久しぶりに彼の心が躍る、相手がなんにせよ威嚇程度にはなるし、
うまくいったら逃げ出すかもしれない。そんな若さゆえの好奇心で彼は戦場へ臨んだ。

開け放された納屋の入り口、その傍にへばりついて中の様子を伺う。
間違いなく侵入者はこの中にいる。真っ暗な中、確かに音は聞こえる。
「ムォー!!」
「静かにしてよ!善二朗が起きたらどうするの!!」
唐突に聞こえるみつ子の鳴き声の後に女の声がする。
(賊は女?それになぜかじいちゃんの名前を知っている・・・)
いぶかしげに眉をひそめる圭一だったが、相手が女だと分かりふんぎりがついたのか
一気に突入し電気をつける。
「「何!?」」
両者の声が重なる、銃を構える圭一の視線の向こうで侵入者は突然の来訪者に即座に振り向く。
そこにいたのは間違いなく女性だった。
身長165cmほど、腰までとどく長い黒髪、整った顔立ちの大和美人、
年齢は二十二、三歳ほど、齧りかけのサツマイモを片手に持ち、咀嚼しながら身構える・・・巫女。
なぜか頭に丸っこい耳がついているように見える。
「なんだあんた?こんな時間にコスプレして人んちで何やってんだ?」
「・・・ゴクン、今晩はが抜けてるよ、坊や。」
しっかりと頭を狙い、高圧的に言い放つ圭一に対して悪びれる様子も無くあっけらかんと言い放つ巫女。
「人様のサツマイモかじって言う台詞がそれか、いったい何様のつもりだ?」
「山神様。」
「ハァ?」
「や・ま・が・み・さ・ま。分かる?こう見えてもう二千年近く生きてるの!」
胸に手を当て誇らしげにいう巫女だが、意味不明な発言に圭一はただあきれる。
「ほら、よくあるじゃない、釜神様とか、風呂の神様とか?あーゆう・・・「ハハハッ!」・・・何がおかしいの?」
「あんた麻薬常習者だろ?こんな時間にそんな格好して人んちで生のイモかじってるだなんて・・・
残念ながらこのあたりにはあんたを受け入れてくれるような病院はな「二十年前の八月、
君はこの家の裏の山の中に虫取りに出かけた。」・・・!?」
女の行動にさらに警戒心を強くする圭一をよそに彼女は話を続ける。
「そして山に入ってから二時間ほど、君はお腹がすいて近くにあった祠の前のお供え物に手を出した。
しかし、時期が時期であり、十分ほどでお腹をこわして近くの草むらで排泄した。
そこで拭くものが無いので傍らにあった大きめの葉っぱで代用したが、
家に帰ったらお尻がかぶれて三日間寝てる羽目になった。あってるよね?」
「・・・どうしてそこまで知ってる?お供え物のことは誰にも言ってないぞ!?」
背筋にぞくりと得体の知れないに対する悪寒が走る
「見てたの。」
「何!?」
「ほかにも知ってるよ、蝉追っかけて坂から転げたこと、カブトムシとクワガタをたっぷりつかまえて
喜んでたら木の根っこに躓いて鼻血出したこと。それから・・・」
「もういい。」
すべて彼しか知らないトラウマばっかりだった。
「信じてくれた?」

「あぁ、だけどなにかほかの事は無いのか?納得するにはまだちょっと・・・・」
「はいはい分かりました。とりあえず、それ降ろしてくれないかな?
やすやすと女の子に向けて良いものじゃないよ?」
「・・・これで良いか?」
彼が銃を降ろすと、にんまりと笑い彼女は齧りかけのサツマイモを圭一に見せるように持った。
「よく見ててね。」
「・・・!!」
彼の目の前で瞬く間にサツマイモから芽が出て、葉を作り、花を咲かせ、散っていった。
「お気に召して?」
「ど、どうやら本物の神様のようだ、いや、ようですね!!」
「そんなに驚かなくても・・・」
「その神様が何でここにいらっしゃるのですか?」
「それを話す前に、ここ冷えるね。家に中で話そっか。」

「粗茶でございますが。」
「ありがとう。それとそんなにかしこまらなくていいから、
さっきみたいにもっとフランクに喋って、あたしも肩がこっちゃう。」
「はい・・・」
二人は茶の間でテーブルを挟んで座っている。
「さて、圭ちゃん。」
「え?」
「?キミ、川島圭一でしょ、だから圭ちゃん」
「あ、あぁ・・・」
(そこもちゃんと知ってるのか・・・)
「で、あんたの名前は?」
「んー仲間内じゃくぅちゃんて呼ばれてるから、くぅって呼んで。」
(なんか神様らしくない名前・・・)
「あー、なんか失礼なこと考えてない?」
どうやら思ったまま顔に出ていたようだ。
「いいえ。」
「・・・まぁ良いか、まずあなたに神について知ってもらおうかな。
あのね、神って言うのは、世間が言うほどのものじゃないの。」
「どういうこと?」
「人間より先にいてあらゆるものを生み出したって話があるけど、
実際は逆、神様ってのは人間が持つ自然に対する畏敬の念から生まれたものなの。」
「さっぱりなんだけど。」
「あのね、大昔の人たちは雷とか台風とか自然災害とかが起こるのは何かの存在が絡んでいると考えたの、
そしてそれらを神と呼び、祀った。その信仰の中で私たちのような存在が生まれ始めた。
でも最近じゃ人工のものにでも神様が宿ったりすることもあるらしいね。」
「付喪神とか?」
「まあ、そんなとこ。そして神通力を持っていていろいろな事ができる蝶!ステキで神聖な存在なのだ!」
くぅは胸に手を当てて得意満面といった様子だ。
「へー。」
「いや、へーて。」
「だって、そういう割に、目の前の神様は獣耳の巫女姿、おまけに人んちのイモかじってて、
威厳があんまり感じられないし、一部の人たちが感涙しそうだ。」

確かに、パッとみて秋葉原にいそうな格好である。
「しょーがないでしょ!生まれたとき人間達が熊をモチーフにイメージしてたんだから!!」
いきなりの侮辱ともとれる発言につい口調が荒くなる。
「じゃ、巫女服は?」
「知り合いの神様から裸は間抜けだからって譲ってもらったの。」
「イモかじったのは?」
「だいぶ寝てて起きたらお腹空いてたの、でもここってお年寄りの割合バリ高でしょ?
最近山の中までお供え持ってきてくれる人がいなくてさ、まぁ・・・その・・・」
「つい盗み食いってか、でもさっきみたいになんか育てるのはダメなのか?」
「あれ思ったより燃費わるいんだ。もうお腹空いてきちゃった・・・」
グゥ、と腹の音がなり、先ほどまでの勢いはどこに行ったのかその場にぺたんと座り込み頭の熊耳もへこたれる。
(これは流石にほっとけねぇ・・・)
「肉じゃがの残りくらいしかないけど?」
「い た だ き ま す。」
「・・・はい。」
耳は再び立ち上がり目をかっと開いて反応するくぅ。ここまでくるとあわれの極みである。


「ハムッハフハフ、ハフッ!!」
フードファイトさながらに凄まじい勢いでがっつく、すでに二合半の白米と
鍋の残りの三分の二の肉じゃがが消えた。
「落ち着いて、いもは逃げない。」
「逃げる!!」
「ハァ?」
「グッ!!のどに!!ノドニ!!!」
喉元を押さえのた打ち回り、いろいろなものを蹴飛ばす。
「わぁ!何やってんだ!!お茶お茶!!」
「ンヌ・・・あっつい!!」
「わ!!全くもう世話の焼ける!!!」
三分ほどそのまま食卓の周りを暴れ周りようやく落ちついた。
「・・・ハァハァ・・・スーハァースーハァー・・・」
「大丈夫か?」
荒い呼吸をしながらも微笑んで彼女は言った。
「ほぼ・・・イキかけました・・・」
そしてそのまま倒れこみ、すやすやと満足げに寝始めた。
「なんだこの神様。」
まさかこのまま外に放り出すわけにもいかず、もう一組布団を出し、
そこにくぅを寝かせる。気がつけばすでに月は沈み、晩秋の夜空は白み始めていた。


翌日昼、圭一が目を覚ますとすでにくぅを寝かした布団はカラだった。
茶の間に出ると昨日と同じ格好でテレビを見ながら茶をすすっていた。
「あ、おはよう。」
「おはよう。」
「ねぇ、圭ちゃん。善二郎はどこ行ったの?」
「じいちゃんなら一月前に亡くなった。だから俺はここにいて遺された畑とか引き継いでんの。」
「え?」
信じられないといった様子で彼女は呆然とする。
「そんな・・・最近祠に手を合わせてくれるのはたまに山に入ってくる善二郎くらいだったのに・・・
死んじゃってたなんて・・・」
彼女は葬式のときの圭一と同じくらいうなだれる。
「知らなかったのか?」
「うん・・・あたしが寝始めたのは半年前だったから・・・ねぇ善二郎のお墓ってどこ?」
「あそこに見える寺にあるぞ。」
彼の指差すほうの窓から200mほど先にその寺が見えた。
「今から行ってお墓参りしてくる。」
「ん。」
そういって彼女は姿を消した。
「神様も人情に厚いな・・・いや神情か?」
とりあえずテレビを消して、いそいそと作業着に着替える圭一、と、唐突に
「フモー!!!」
「わたた、はいはい、みつ子さんすぐご飯上げますからねー!!」

一時ほどになり、父が来た。二時間ほど農具の手入れを教えてもらった後に茶をすすっていたときに父が言った。
「だれか来たのか?」
「え?」
「これ、若い女の髪の毛だな。葬式のときにこのくらいの髪の毛の人はいなかった。とすると、お前の彼女か?」
そういって父が畳から摘み上げたのはくぅの髪の毛だった。
「あぁ、いやなんての?前に職場で仲良かった女の子のだよ。
昨日偶然連絡来てさ、んで、おいでって呼んだんだよ。」
まさか神様が来てるなど信じてくれるはずも無く、慌てて取り繕う圭一、だが
「ただいま!!」
まるで見計らったようにくぅが帰ってくる。帰ってきていきなり巫女さんルックに獣耳はまずい、
どう考えたってコスプレだ。親父が誤解する、と、思わず固まる圭一。
「ん?あんたがこいつの元同僚?」
「そう、この子なんだよ!!いやぁ、隣町の神社で巫女さんのバイトしてるんだ。
名前はえーと、熊耳(くまがみ)久美子さんていってさ、皆からくぅちゃんて呼ばれてるんだ。」
「あの圭ちゃ・・・」
「あぁ、くぅちゃん!この人、俺の親父、二つとなりの町に住んでて農業教えてもらってるんだ。あはははは。」
(話をあわせろ!!)(ヒッ!!)
目でくぅに強制的な意思疎通を行う
その傍らで父は一人除け者にされてじっとそのさまを見てからゆっくりと腰を上げ
「じゃあ、あとはお若いもんどうし、うまいことやんなさいな。」
といってさっさと車に乗って帰ってしまった。
窓から”good luck!!”と言わんばかりに親指を突きたてた拳を出しながら。
「親父!!あぁ・・・完全に誤解された。」
「ごめんなさい、何かあったの?」
「いいさ、くぅに罪は無い・・・」
そういってくぅの頭をよしよしとなでる圭一。
「ところでさ、お願いがあるんだけど。」
「なんだい?お兄さんは今悩んでるんだが。」

「あたしの百分の一くらいしか生きてないのに?」
「ノリが悪いな、お願いってなんだ?」
少し考えたようにしてからためらいがちにくぅは言った。
「あのね・・・ここに、おいてくれない?」
「あのさ・・・あなた神様でしょ?ちゃんと祀ってあるところがあるんでしょ?だったらそこにいたほ・・・」
「ダメ?」
うるうると目に涙を溜めて圭一を見上げる。
「結構付き合いのあった善二郎も死んじゃったし、いい加減一人も嫌なの、さびしいの・・・それでも・・・ダメ?」
神様とはいえその外見は二十代初頭、しかもなかなかの美人、そんなのにこんなことされちゃあ
「そ・・・」
ねぇ
「そんな・・・」
「そんな?」
男が廃る!!
「そんなわけねぇじゃん!!もう大歓迎っすよ!!」
「ありがとう!!圭ちゃん大好きー!!」
だきつくくぅをあははと受け止める圭一、しかしこの選択が彼の人生を大きく揺るがすことになるとは
神様でも分からなかっただろう。

あのあとくぅが
「よっしゃ!二人の同棲開始記念と善二郎の追悼をかねての宴会だぁ!!」
と言って圭一にビールとお神酒をたらふく買いに行かせた。
そして現在。
「おう!のんでるかぁ?けいいちぃ~」
「おぅ!のんでるともさ!!」
「キャハハハハ!!そいつはいいことだぁ!!」
「アハハハハハハ!!」
農家の夜は早い、時計が十時をまわるころには大体の家が電気を消す、
しかしこの家にはそれを知らないかのように騒ぐ二人の酔っ払いがいた。
始めの頃は圭一の思い出話やくぅが見てきた様々な大昔の話や善二郎の秘密などを肴に静かに飲んでいたが、
次第に酒がまわりだすとあとはもうぐでんぐでん。酒もすでに半数が尽きた。
「ところでさ、気になってたんだけどその耳どうなってんの?」
「ん?おぬしこの耳が気になるかぁ?実にお目が高い、特別に触らせて進ぜよう!!」
酒の勢いのせいかつい上機嫌に答える。
「はは!この圭一歓喜の極みにござりまする!!」
「うむ、苦しゅうないぞ。」
圭一は側によってくぅをひざの上に抱き上げて耳を触る。
「あんまり強く触るでないぞ、比較的敏感であるからな。」
「ははぁ。」
ふにふにと指先に感じる柔らかな触感とぬくもり。
あるときはつまみ、あるときは根元から撫上げるように十分ほどじっくり楽しんだ。
「・・・ン・・・ハァ・・アゥッ・・・」
気がつけばくぅの息も上がり、心なしか汗ばんでいるようにも感じる。
「大丈夫か?」
「ん・・・もう・・・無理!!」
ドガァン!!

「あべしッ!?」
腹の前で小爆発が起こったかのような衝撃と共に圭一は壁まで吹っ飛ばされ、気を失った。

“クチャ・・・ピチュ・・ンフ・・・ハ・・・”
(・・なんだろう・・・どこからかきこえる水音、それに胸元を這うぬるぬるとしたむずがゆい感触・・・
そして熱がこもったような吐息・・・・)
「!?」
「チチュ・・・アフ・・・あ、おはよう。」
明かりの消えた室内で圭一が目を覚ますと何故か二人とも全裸で、くぅが彼の胸を嘗め回していた。
「あ、おはようござ・・・じゃなくて、何やってんだ!?」
「うん?圭ちゃん襲ってんの。」
おおよそ神様らしからぬ発言をあっけらかんと言い放つくぅ。
「なんで!?」
「圭ちゃんあたしがじっとしてるのいいことに随分耳もてあそんだじゃない?だからお仕置きしようと思って。」
そして圭一の首筋に顔をうずめ、頚動脈にそって舌を這わせる
「ンフフフ♪」
(あー・・・なんだろ、圭ちゃんからすごくいい匂いがする・・・こうしてるだけで胸がドキドキする・・・)
「な!ちょ、お仕置きだなんて止めてくれ!!そしてなぜ体が動かない!?」
圭一がいくら体を動かそうとねばっても頭以外の部位はぴくりとも動かない。
「圭ちゃんが気絶してる間にちょっとね。あの俗にいう金縛りってやつ?」
そういいながら圭一の腹に既に濡れそぼった秘部を押し当てる、
それと同時に月光をその身に浴び、服の下に隠されていたふくよかな双丘と細く引き締まったウェストがあらわになる。
それを見て圭一の奥底に火が点き始める。
「うあぁ、やばい!やばい!!やばいから止めてくれ!!後生だ!!!」
「うるさい!!悪いのは圭ちゃんだ!!おとなしく襲われなさい!!」
「襲われるってなんだ!?詫びなら後でするから!!」
「ええぃ!聞き分けの無い男はこうだ!!」
「はなsフグッ!?」
「ん・・・」
突然の接吻に思わず固まる圭一、だがそんなことはお構いなしにくぅは彼の口を貪る。
がっちりと歯を閉じて舌を入れまいとあがくがわずかな隙間からねじ込まれ歯列の裏、
歯茎、粘膜と嘗め回され、さらに舌を絡めとられ、吸われ、もてあそばれる。
圭一がくぅの耳をいじったの同じようにたっぷりと時間をかけ、
堪能した後には圭一もすっかり出来上がっていた。
「・・・ハァ・・・・・・フゥ・・・」
「ン・・・もう準備万端だね。キスだけでこんなになるなんて・・・」
彼女はすでに痛いほどに自己主張するソレに、嬉しそうに目を細めて指先で触れる。
「ク・・・お・・・」
「あはぁ、もうビクビク脈打ってるね。」
「あぁぁ・・・ヤメロ・・・おぉお・・・」
「ほらぁ♪素直になりなよぉ、ここだって圭ちゃんが欲しくてたまらないって言ってるんっだから。」
くぅの恥丘の生えそろう陰毛はすでに濡れそぼり、テラテラと光っていた。
それを見つめる圭一の理性はひびが入り始める。
「いくよぉ・・・・・・くはぁぁっ!!」
「うあああぁぁぁぁっ!!!!」
くぅが腰を下ろすと待ってましたとばかりに彼女の中は肉棒を締め付ける。

単に腰を振るごとに、それは圭一が経験したことがない快感をもたらした。
「あぁ・・・くぁっ・・・」
「はあぁぁぁっ!ふあぁっ・・・・・すごい・・・二百年ぶりぃ♪」
くぅの耳はぴくぴくとふるえ、口元にはほうけた笑みが浮かぶ。」
「すごい・・・こんなの・・・」
「んふぅ・・・圭ちゃんも気に入ってくれたみたいだね。んっ・・圭ちゃんのもすごくいい・・・ひぅっ!癖になるぅぅぅ!!」
最早圭一の目の前にはただ一匹の獣がいるだけ。
乱暴に腰を打ち付けるたびにぐっちゅ、ずっちゅと水音が室内に響き渡る。
そして目の前でくぅが乱れる様、女性特有の甘い体臭に汗が混じった香り、
いま周りの環境全てが圭一を絶頂へと追いやる術でしかなかった。
(やば・・・最近ごぶさただったから、もう・・・たえき・・れ・・・)
彼が最後の理性のかけらを手放したとき
「ぬああああぁぁ!!!」
「はあぁぁぁん!!!!!」
肺腑の全ての空気を押し出さんとする叫び声と共にくぅの胎内に自身を解き放った。
「くふぅぅぅ・・・すご・・・あつ・・・」
「ふぅ・・・は・・・」
胎内に走った熱流にくぅも達し、脱力して圭一のうえに崩れ落ちる。
そしてどちらともなく唇を重ね、お互いの顔を見合う。
呼吸が整った頃にくぅが切り出した。
「ね・・まだ言ってなかったんだけど・・・・」
「なんだ?」
「神さまってさ、生み出されるまでにたくさんの人の信仰が必要なの。」
「うん。」
くぅはそっと圭一の顔に片手を添える。
「でも生まれたらあとは一人しか信じてなくたって大丈夫なの。
そして生きるのに食べ物か人間の精気がほしいの・・・どういうことか分かるよね?」
「まぁ、な。」
もちろん言うまでもないだろう。今しがたそれの最中だったのだから
「それと今知ったことがあるの。」
「?」
くぅはもう片方の手を圭一の顔に添えて、嬉しそうに目を細めながら言った。

「神様も恋をする」

そのとき圭一が受けたキスはそれまでで一番愛情のこもった長いものだった。

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最終更新:2010年11月23日 20:28