15スレ目、605-608
ID:215YsglN(bEcg2pcl) 氏

 日常へ戻って早三ヶ月。
 人の腹の中で日に日に育つ赤の他人のガキが最近やたら目立ち始めた。
 畜生、目立たないはずじゃなかったのかクソババアと俺は口の中で悪態をつきながら妙に出ている腹
を見下ろした。
 再三堕ろすか堕ろすまいか悩んだ結果、子どもに罪は無いかと病院へは行かなかったが、結局俺は男
のプライドを取ったのだ。その結果が、コレだったりする。
 悲しいかな、順調に育っているのが手に取るように解るのである。手を当てるとここん、と蹴られた
り動いたりするから、卵からは孵ったっぽい。……三ヶ月も一緒に居ればちょっと愛着も沸いたりな。
 海に住んでる本家は知らんがタツノオトシゴ族の卵は全部が孵化するわけではない。ほとんどが無精
卵で、一つか二つの有精卵が孵化して、無精卵を食べながら育つ。しかも男から生まれるのを想定して
いるのか小さな姿で生まれるため、普通外からはほとんど目立たないのだが……。
「竜太郎、便秘なの?」
 彼女にこっそりそう聞かれたとき飲んでた茶を噴出しそうになった。
「なんで?」
 しどろもどろで問い返したら、彼女、白猫の獣人のタミに「だって」と言われて下腹部をじろじろ見られた。
 うん、まぁ確かに他が太いわけでもなく腹だけやたら張ってるのは便秘だと思われてもしょうがない。
嫌だけど。しかし、だからといって正直に他人の子ども孕んでますとは言えないよなぁ。
 適当に「うん、まぁ」と答えたら、子どもっぽい顔立ちの頬を赤らめたタミが白い猫の耳を伏せ、ふわ
ふわの尻尾を揺らしてから「今度あたしの使ってる便秘薬あげるから」と耳打ちしてきた。
 うん。俺にはもったいないくらい良い子だ。
 ちょっと生意気だが不器用で、少ないながら経験したセックスも全部俺が初めてだと言っていた。優しくて
かわいくて本当に愛しく思っているわけで、だからこそ言えないのだ。
 ありがとうと答えながら、俺の固い鱗の尻尾と彼女の柔らかい獣の尻尾を絡ませて頬に口付けた。



 さて、そんなこんなで今の今まで周りを欺き隠し通してきた俺なワケだが、ある日の真夜中に突然ハラ
ワタを引っ掻き回されるような激痛に目を覚ました。
 実は三日前からやたら腹が張りまくり、下痢と食欲不振で水しか飲んでいないせいで、ふらふらする
のだが、病院に行くと妊娠がバレそうなので、風邪薬とワシ娘マークの元気ドリンクでやり過ごしてい
た。学校も休んでいたから、心配したタミがお粥を作ってくれたりしたけれど、彼女が帰った直ぐ後に
耐え切れずに全部吐いて戻してしまった。
 布団の中で、妙に突っ張る腹を押さえて悶えつつ、とある嫌な予感が脳裏を掠めた。
 じっとり流れ落ちる脂汗がやたら粘ついて気持ちが悪いが、無理矢理立ち上がりトイレに向かった。
出たのは大便でも小便でも無く多量の水であり、磯のような生臭さが鼻を突いた。確信した。
 急いで壁伝いにトイレを出て、壁にかけてあるカレンダーを確認、指折り抱卵日数を数えて青ざめた。
あまりに早すぎる。抱卵失敗。確実に流産だ。
「痛っ…、いてぇ……マジかよ」
 半分泣きそうになりながら携帯電話を引っつかみ、居間を汚さないため慌てて風呂場へ直行して、母
親の電話番号に電話をかけた。
「やばいやばいやばいやばい早く出ろよクソっ、マジ生まれるって。痛ぇっ、チクショウ」
 とぅるるる、とぅるるるという呼び出し音が聞こえ、ぶつりとした音が聞こえた瞬間、俺は絶望した。
 おかけになった電話番号は存在しませんというやたら明るい声が憎たらしい。
 一瞬怒りで痛みすら忘れて電話を風呂場の床に投げつけかけたがそんな元気も無いわけで、仕方なく
寝巻きのズボンとパンツを脱いで、壁にもたれて足を開けば、排泄孔から出る気満々の胎児が前立腺を
押してるせいか息子が元気に勃ちあがっていた。
 突き上げるような激痛に、少しは気持ちよくなるんじゃないかと息子を擦ってみるが空しくなってや
めた。
 痛いやら苦しいやら腹立たしいやらでチクショウチクショウと悪態をついていたのがそのうち、誰か
助けてに変わる頃、唸るようにいきむとようやく一匹目が生臭い透明な塩水と共に出てきたが、それを
直視した俺は思わず悲鳴を上げてしまった。
 異形だ。二十センチくらいの頭が馬で、体が魚の異形が出てきた。
 異形は苦しげに体をうねらせると、すぐに息絶えたが、そんな生き物は、多分まだ沢山腹の中にいる
んだ。
 そう思った瞬間、プライドとかそんなものは頭の中から全部吹きとんだ。
「助け、誰か、助けて……」
 深夜とかそんなのは気にする余裕もなく、不意に手に当たった携帯電話を開いた俺は愛しいタミに電
話をかけていた。



「竜太郎どうしたの!?」
 タミはすぐに駆けつけてくれた。肩で息をしているのは走ってここまで来てくれたからだろうか。タ
ミの家はそう遠くは無いが、近くも無い。
 風呂場に俺を見つけたタミは、俺を見て目を見開いた。尻尾の毛まで逆立てて驚いてる。
 虫の息になっていた俺は、タミが来てくれたことに安心したが、同時にこんな姿を見られるたんだと
絶望した。もう、今すぐ帰られても仕方が無い。
 浴室は磯のような生臭い匂いが充満し、足元には一分と持たずに死んだ異形が三匹も転がっている。
「竜太郎、どうしたの?」
 恐る恐る、近づいてきたタミが俺を撫でてくれるが、説明するような元気すら無かった。タミの手を
ぎゅっと握り締めてうわ言のように助けてと彼女に縋ると、彼女は俺を抱き返してくれる。
 もう大丈夫だ、となんとなく安心したのもつかの間で、彼女の目がおかしいのに俺は気づいた。
 磯と異形魚の生臭さのせいで、彼女の猫獣人としての野生に火がついたのかもしれない。
「これ、なに?」
 不意に俺から体を離す。足元に転がっていた異形を拾ったタミは、未成熟でやわらかなそれの匂いを
ふんふんと嗅ぐと、ぺろりと一飲みに食らった。俺は驚きすぎて声も出ない。
 唇についた血を舌でぬぐった彼女は、俺の頬をべろんと舐めて、うっとりとこう言った。
「竜太郎、おいしい。このオサカナさん、竜太郎の? まだ出るの?」
「タミ、どうしたんだ? 何か解らんけど、やめよう? な?」
 タミは俺に口付けてくる。危険を感じて身を引くが、壁が邪魔して動けない。
 タミの手が俺の下腹部に当てられ、そしてぎゅうっと体重をかけてまだ胎児が残る腹を押して中に残
っている胎児を搾り出そうとした。
「ぎゃあぁぁぁ!!!」
 押された衝撃にずる、ずるりとまた異形が生れ落ち、血と磯の香りが新たに広がると、興奮した彼女
が尻尾をゆらゆらと揺らしながら獲物を見る目つきで俺を見ていた。
「痛い? 竜太郎、ごめんね。ごめん。でも我慢できない。ごめんね」
 生命の危機と前立腺を押される物理的な刺激で勃起したそれを見たタミは、はぁはぁと熱い息をつき
ながら、それまで着ていた洋服を一枚一枚脱ぎながら俺の肉棒を口に含み、猫特有のざらざらした舌で
俺のモノを舐め上げる。
 痛みの中に不意に訪れた気持ちよさに縋るように、俺はタミの白い猫耳の生えた頭に手を添えてねだ
ると、タミは今まで見たことも無いような艶っぽい笑みを浮かべた。
「竜太郎、可愛いね」
 タミは四つんばいで俺の肉棒を舐めながら、片手を自分の後ろに回してぐちゅぐちゅとそこに指を出
し入れしていた。そして肉棒が十分な硬度になったところで、俺を跨いだタミが、一気に腰を下ろして
きた。
「なぁぁぁっぁぁ!!! 気持ちいいっ! 竜太郎、いい!!」
「うわぁぁぁ!!」
 ずぶずぶと自身を飲み込んだ彼女は、すぐに強烈な腰使いを見せ始めた。
「竜太郎、きもちい、あっ、最高よおいしそう!!」
「あっ、タミ! タミぃ!!」
 腰をがんがんと振りながら、タミは俺の頬をベロベロ舐めてから思い切り肩に噛み付いてきて、俺は
俺で苦痛の中でタミの体内のうねりが生み出す快楽にしがみついて、彼女が腰を揺らすたび生まれる異
形の与える酷い痛みを必死で散らしていた。
 腹の中の、おそらく最後の異形が出て行くのを感じながら、多分俺はタミの中に射精していたんだと
思う。



 目を覚ませばそこは柔らかな布団の上だった。
 見ればタミが心配そうに俺を覗き込んでいる。俺が意識を失ってから、タミがここまで運んできてく
れたんだろう。女の子に運ばせて、悪いことをした。
 時間はわからないが窓の外は明るくて、もう昼を回っているようだ。
「竜太郎、大丈夫?」
 タミに尋ねられるが、俺は大丈夫だよと笑う気力さえ残っていない。腹を撫でればもうぺったんこに
なっていて、三ヶ月もの間一緒に暮らした生き物は居なくなっていて、清々しさとともに妙な寂寥感を
感じるのは俺が抱卵する生き物だからだろうか。
 しばし沈黙した後、先に口を開いたのはタミだった。
「あの、あのね、あの竜太郎から出てきた生き物なんだけど」
 いきなり核心から入られてドキリとした。誰の子? とか何なのアレ。とか聞かれても、今は説明で
きる気がしない。しかし、彼女が言ったことは違うことだった。
「あぁ、私はアレが何なのかなんてどうでもいいのよ。えぇとね、十五、出てきたよ」
 俺は首を傾げざるを得ないが、彼女は一生懸命に言ってくれる。
「うん、匹なのか人なのか解んないけど、十五、出てきたの、でも、全部死んじゃってたから私が食べ
た。おいしかった。だから、竜太郎が頑張ったのは無駄じゃないからね」
 それから最後に、がんばったね。と言って撫でてくれたのが妙に嬉しくて、ちょっと泣けた。


 あれから結局母から連絡が来ることは無く、しばらくして結婚した俺らの間には、三人の子どもが生
まれた。生んだのは、もちろんタミだ。
 俺はまた異形が生まれるんじゃないかと気が気ではなかったが、生まれた子どもは娘二人がタミ譲り
の真っ白い耳と尻尾をもった猫の獣人で、一人だけ生まれた男の子は俺と同じタツノコだった。
 活発なタミは家庭になどは入らずに、キャリアウーマンとしてバリバリ働いている。
 そのかわりと言っては何だが、俺が主夫として働いている。朝に弱いタミをたたき起こしたり毎日メ
シを作ったり、自分で栄養バランスがいい食事を考えたり、洗濯して買い物して言うことを聞かない子
どもをどやしつけたりと毎日忙しい。主婦が暇なんて嘘っぱちだから。
 毎日が充実していてとても楽しい。
 けれど、少し困ったこともある。
 子ども達が寝静まった後、俺は風呂場でタミに押し倒されていた。すっかり洗腸されて綺麗になった
直腸には多量の塩水が注入され、スーパーで買った小さなニシンも埋め込まれている。
「竜太郎、生まれそう?」
 あの時以来、すっかり『出産プレイ』をお気に召したタミは、栓の変わりに差し込まれたプラグを弄
りながら、タミが俺に尋ねてくる。俺はぽろぽろ涙を流して首を縦に振ってタミに懇願するが、タミは
許してくれない。そう簡単には許してもらえない。
 苦しげに震える肉棒をぺろぺろ舐めながら、タミは俺の腹を押してきて、我慢できなくなったところ
でタミが俺を跨いで肉壷の中にソコを収めるのだ。タミが満足して、俺はようやく『出産』できる。
「んあぁぁぁ!! はぁっ!! 竜太郎! いいわ!」
「あぁぅぅぅっ!!」
 タミの嬌声が上がる中、俺もまた苦しさと気持ちよさに声を上げるのだ。
 ぐじゅっ、ぐちゅっと結合部が淫らな音を立てて抜き差しされて居るのが見える。
「いいわ、いいわいいわ!! 竜太郎、良いわよ! 生みなさい! うなぁぁぁっ!!」
「あっ、あっ! タミ、どうしよう、生まれちゃうっ、生まれちゃうよ!!」
 タミの許しが出た瞬間、俺は自分でプラグを引き抜き、出産する。その刺激で快楽は脳髄を駆け抜け
ありったけの精液をタミの中に放出するのだ。

「なんだか、やっぱりどっちがお嫁さんなのかわからないね」
 コトを終えた後、俺の頬を舐めながら、タミがそう言ったが、それは皮肉でもなんでもない。
 男も女も関係なく「生物」だというのが俺達なんだといつだかタミは言ってくれた。
 だから俺はタミの猫耳を撫で、互いの尻尾を絡ませる。
「そうだな」
 そういうと、タミは嬉しそうに笑い、俺もまた、何かとてもくすぐったい気持ちに笑みがこぼれた。