うっそうと茂る森の中、茂みをかき分け進む、一人の少年がいた。少年は、住んでいた町を離れ、旅をしていた。町に未練はないが、少し人と顔を合わせることのない日々が続いていて、寂しかった。

「いちばん近い町まであと5日か・・・ほんと、遠いなあ」
「ああ、こうも一人だと気が滅入ってくるよ。・・こんなところに、誰もいるはずないしな」
(なんかこのところ独り言が多いなあ)
ふつうは森の中にだって集落はあってもおかしくはないのだが、ここはいくら歩いても見当たらなかった。
「・・・今日は疲れたし、ここらあたりで休むか」
荷物を置いて、ゆっくりしていると。
「きゃあああああ!!たすけてくださいい~っ!!!」
甲高い声が近付いてくる。やっと誰かに会えるかなと胸を躍らせつつ、近くに置いてあった武器を取り、声のする方へ向かった。
声は、少し開けた広場のような場所に向かった。
「いやああああああ、こないでくださいぃ!」
声のした場所に踊り込む。
「君、大丈夫!?」

だが、少年の目には誰の姿も映らなかった。そのかわりに、逃げ回る一匹の蜂とそれを追いかける別の種類の蜂がいた。

「どこにいるんだ!?」
「ここにいます。逃げ回ってるハチです!おねがいします、助けてください!!」
「えぇ!?」
と言いつつも、助けを求められているのにほうっておくことはできない。
(損な性格だなあ)
と思いながら、ほかの蜂を懸命に追い払った。

あちこち刺されながら、なんとかやり過ごして、
「すみません、巻き込んでしまって」
「いつつつ・・・まあいいよ。それより、災難だったね」
自分のまわりを飛ぶ、蜂に話しかけてみる。


「いまさら聞くのもなんだけど、君、喋れるのかい?」
「はい。私は獣族の一種なんです」
この世界には、いくつかの種類のヒトが住んでいる。全てにおいて平均的な人間や、華奢な者が多く、魔力に優れるエルフ、本来の姿は動物だが、そのモチーフとなる種とヒトの混ざったような姿を取ることができ身体能力の高い獣族などだ。

「先ほどは助けていただいてありがとうございます。本当に危ない所でした。助けていただいていなかったら、今頃、どうなっていたことか・・・。何でもしますから、ご恩返しさせてください」
「・・・じゃあ、ついてきて、話し相手になってくれるかな?この頃ずっと一人でね、ちょうど話し相手が欲しかったんだ」
「そんなことでいいんですか?」
「それでいいんだ。それと、一応聞くけど、人型の方が楽じゃないのかい?色々と」
「体力をもうほとんど使い果たしてまして・・今はこの姿でしかいられません」
「そうか。わかった。・・・よろしくね、これから。僕はファルツ・・・名前は?」
「ビーナです。こちらこそよろしくおねがいします」
そして、一人旅は二人旅になった。

蜂の一族の住む集落が疫病に襲われたこと、自分はそこに留まりたかったのに無理やり追い出されて、戻ることもできずさまよっていたことなどを少年は知った。

いつからか、夜に少年は羽根の生えた少女の出てくる夢をみるようになった。いや、ただこっちを向いて微笑んでいるだけなので夢だろうと思うのだが、夢にしては記憶が妙にはっきりしていた。

そして、何年か旅を続けるうちに蜂の故郷があるという場所まで来た。だがそこには、生きているものは誰もいなかった。ただ、がらんとした町が、そこにがあるだけ。
「そんな・・・」
「ごめん。なにもできなくて。」
「・・・いえ、いいんです。もう。」

蜂の、もと使っていた部屋のところまで来たとき、そこにメッセージらしきものが残っていた。

ビーナ、あなたはもう戻っては来ないかもしれませんが、もしこの地を訪れたときのためにこれを、残しておきます。

それは、この地域独自の文字で書かれていたので、少年は読むことはできなかった。
そこには、ビーナに女王の資質があるから生き延びてほしかったということ、町の者はほとんど病に倒れ、残った者たちはこの地を捨て、別の場所へと移住したということや、一族を再建してほしいというようなことなどが書かれていた。

はたから見ればだれもいないはずの空間に、泣き声だけが響いていた。

その後合流した一匹と一人は、なんとか眠れそうなところを見つけ、そこで夜を明かすことにした。
夜、眠っていた少年がふと眼を覚ますと、月明かりに照らされて、裸の少女がしがみついてきていた。
大きさは人と同じだが、背中に透きとおった羽があり、下腹部からお尻にかけて、蜂を思わせるような大きく、尖った形をしていて、そこは皮膚ではなく、殻のようなものに覆われていた。でも大事な部分については、人間とあまり変わらないところについているようだ。
      • 夢で見た、少女に似ていた。
「起こしてしまったようですね」
それは間違いなく、ビーナの声だった。

「ビーナ・・・?」
「はい。」
「その姿は・・・?」
少年は驚いていた、そこにいるのがビーナなのかということと月明かりの下、透き通るような美しさに。
「本当はかなり前からこの姿になれたんですが、話すきっかけがつかめなかったので・・やはり、慣れませんか。戻しましょうか・・・?」
心なしか、少し震えた、小さな声で。
「いや、すごい・・・綺麗だ。」
ほっと息を吐き出して、
「あなたに言われると、すごく・・・嬉しいです。あなたのことが、好きですから。」
少年は、度肝を抜かれた。

「えぇぇ!?急に何を言い出すの?」
「あなたは、私の命を救ってくれました。私が、ずっと蜂の姿のままのときでも、私を何度も助けてくれました。」
「君だって、仕事を色々してくれたじゃないか。話相手になってくれるだけでも嬉しかったのに」
「いいえ、そんなこと。あなたがしてくれたことに比べたら、ほんの小さなことです」
「でも・・・ムグッ!!!」
キスで口をふさがれる。

そして、ゆっくりと唇を離して、
「そんな事を言わないでください。もっと自信を持っていいんですよ」
「・・・わかったよ」
「それと、お願いがあるのですが」
「僕にできることならいいけど」
「大丈夫です。あなたにしかできないことですから。」
「なんだい?」

深呼吸して、息を整えてから、
「ファルツさん。私の、いえ、私たちの王になって下さい」
一瞬、空気が固まった。

あまりのことに、うろたえる少年。
「ちょっと、え?何?どういうこと?それに私たちって!?」
「もちろん、今から作るんです♪」
「いや君のようなかわいいコに言い寄られるのは嬉しいけど早すぎるだろ色々と!?」
「全然早くなんかありません!もう何年も一緒にいるじゃないですか!!」
「いやまってまだ心の準備が!!」
「そうやって逃げるつもりですか?逃がしませんよ~」

ニッコリ笑いながら言っているが、それが逆に怖い。
逃げようとしたが、結局少年は捕まって服を脱がされた。
「ほら、もうこんなになっているじゃないですか」
男の大事な部分を見て言われる。顔から火が出る思いだ。


少しの間、それを見つめてから、
「私で感じてくださっているんですね。嬉しいです。・・・ああ、もう我慢できません。・・・入れますよ?」
ゆっくりと、ビーナはファルツのモノを胎内に飲み込んでいった。そこはすでに洪水になっていて、難なく異物を受け入れていった。
「うわ、何やってるんだよ。女の子なんだからもっと体を大事にしなきゃ」
「ウフフ。そんな状態で言っても、説得力が全然ありませんよ?それに、ちゃんと大事にしてます。こんなことをするのは、あなただから、ですよ?」
「は、入っちゃった・・・。」
「その、虫系の獣族には、膜がないので、分かりづらいかもしれませんが、これでも、あなたが初めてなんです。
私たちのような蜂獣族は、普通の蜂と違って、お腹の中に精を貯めておけないので、女王の他に、王がいるんです。女王はその夫に、一生尽くすんですよ。
      • 子供をたくさん産むという点では、普通の蜂と同じですけれど・・・じゃあ、動きますね」
そう言って、腰を振り始める。

「あっ、ああっ、やばいっ」
(すごい、気持ちよすぎる。女の人と交わるってすごいな・・・ううっ)
「んっ、んんっ、いいですっ。あなたのが、中に、入っていますぅっ。」
「くう、やめるんだ、ううぅっ」
「いっいいですか、気持ちいいですか?はぁっ、私で、もっと、気持ち良くなってくださいっ!」
「気持ちいい、けど、このままじゃ・・・」
「言ってるわりには、辛そうですね。んんっ。でも、いつまで、耐えられますか?我慢しなくても、いいん、ですよ?」
そう言って腰をグラインドする。


「そんなにしてたら、で、出ちゃうよ!!」
すると突然、
「でもその前に、さっきの答え、聞かせてください?」
そう言って少女は素早くアソコからモノを引き抜いて、出せないように握りしめた。
出さないように我慢していたが、直前にそんなことをされてはさすがに辛い。
そして、心が折れた。
「わ、わかったから!引き受けるから!だから、もういいだろ!?」
「もう一つだけ、聞きます。」
「なに、お願い、早くしてくれっ!」

次の瞬間、挑発的に、淫らに笑っていた顔が涙とともに歪み、
「こんな・・・勢いに任せてあなたを襲ってしまうような私ですけれど、こんな私でも、ずっと、愛してくれますか?」
少年の身体にぼろぼろと、温かい雫が落ちる。


「あなたまでいなくなったら、もう、私は、一人ぼっちなんです。それに」
涙を流しながら、それでも言葉を続ける。
「本当は、初めに助けてくれたときから、惹かれていたんです。
でも、蜂の姿のままだとあなたもただ『相棒』としか見てくれなくて、うう、体力が戻って姿を変えられるようになっても、なかなか言い出せなくて。
言ったら変わるかもしれないことは解っていましたが、なぜか言えなくて。ひくっ、ずっとあなたが寝ている間にこっそりとみているだけでした。
でも、うく、みんなが、もう、もう居ないってことがわかって寂しくて、少しだけって、ひくぅ、あなたを抱きしめていた、ら、耐えられなくなって、ひく、えぐっ」
少年は、目の前で泣きじゃくる少女を愛しいと感じていた。
「本当に、駄目、ですよね。ううっく、あなたの、ことも考えずに一方的に襲って、ううう、しまって。」
「いいんだよ。」
「ど、どうして。わたしは」
「そんな君が、かわいいと思った。それで充分じゃないかな。・・・なるよ、君の王に。僕にしかできないことなんだろう?」
「・・・ありがとう」
少女は笑った。涙を目に光らせながら。



「ところで、まだ握ったまんまなんだけど。さすがに痛くなってきたよ」
「ご、ごめんなさい。今、出させてあげますから」
そう言って、少女は少年を跨いで、一気に腰を落とした。
「あううううっ、・・・さ、先ほどの続きです。どうですか?」
「ううっ、いい、けど、イイの?」
「はい♪中に出して下さい。子供を作るためでもありますから。沢山、家族、増やしましょう」
「で、でるよ、いくよっ!!」
「どうぞ!中にっ!!」

生命の奔流が、迸った。
「うあああああっ!!」
「いい、いいですううううううぅっ!!」
そして二人は抱き合って余韻に浸ってから、また動き始める。

何回か絶頂を迎え、ひと段落ついた頃。
「卵が産まれるまで、あまり日数がありませんので、早く用意しなければいけませんね」
「うん。・・・どれくらい?」
「10日はかからないと思います。」
「そんなに!?」



十数年後、ここ最近で良質のハチミツを特産品として有名になった、森のなかにある町の話。そこの市長夫婦も有名で、奥さんの方が蜂獣族で、なんでも凄い子沢山でなかのいい夫婦なんだそうだ。

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最終更新:2008年08月10日 12:03