「俺が蟻に狙われてるだって? いやいや、それはうれし……ありえないから」
 某有名掲示板で某スレにコメントを残した後、俺はそこの住人達の反応を見ていた。
 小説に煮詰まっていた俺が、何気なしに残したそれに、思いのほか反応があってニヤニヤしている自分が気持ち悪い。
「しっかし、何にも思いつかねぇなぁ」
 現在書いている小説がうんともすんともすすみゃあしない。
 内容は青春もの、自分で言うのもあれだが甘っとろ過ぎて頭がかち割れそうな気分にしてくれるほどの代物だ。ぶっちゃけありえな(ry
 なんだか、画面から見える文章から甘い匂いが漂ってくるような気すらしてくる。うぅ、気分だけで胸焼けしてきた。
 ……しょうがない、気分転換に外にでも出るか。
 れ? 頭になんか――――

~よくある画面転換だよ!~

 目を覚ますと、薄暗い場所だった。懐中電灯がつけっぱなしで落ちてて、その灯りを頼りに回りを見回す。しっとりとした空気と土の壁、たぶん洞窟か…ってなんだここは? とりあえず起きよう。
「へ?」
 動けない、なんていうかこー…両手両足を縛られてる感じがする…っていうかそうだね。うん。
「いや何納得してんだ俺は」
「あ、起きてる」
 慌てて声が聞こえてきた方に顔を向けると、そこには帽子をかぶった女(?)が出入り口らしき場所から顔だけ出していた。
「だ、誰あんた?」
「ん~、女王とは呼ばれてたよ」
 すいません、話がかみ合わないんですが。
「ところで身体大丈夫?」
「え? えーと頭がちょいと痛いほかは何も」
「あははー、良かった良かった。殺したんじゃないかって心配になってさ。えーと、とりあえず薬とか盗ってきたんだけど、いらなかったかー」
 両手一杯に薬箱を持ちながら女は近づいてくる。
 えーと、殺したんじゃないか? 薬? いや、よくよく考えれば何なんだこいつは。
 なんだか、背筋が寒くなっていくのを感じた。できるだけ距離をとるようにずりずりと後ろに下がったが、トンと壁にぶつかった。
「どうしたの、芋虫みたいに動いて」
「見ての通り縛られてるからうまく動けないんだよ!」
「あー、ごめんねー。だって逃げちゃうでしょ?」
「やっぱりこれはお前か!」
「うんうん、ついでに殴ってここに連れてきたのも私だよ」
 すごいにこやかに言いやがるなこいつめ。
「なんだ誘拐か? 金なんてうちの家系にゃねーぞ」
「ん? お金なんていらないよ」
「じゃーとっとと帰らせろ!」


「んーん、それはダメ」
 スッと近づいてくる顔がまじまじと俺を見ている。なんというか、観察されているような感じだ。
 なんとも言えない威圧感に負け、少ししり込みしながら、こっちも相手を良く見る。
 つぶらな瞳が特徴的で、全体的に整った顔立ちで見た目にはお姉さんと呼ぶに相応しい雰囲気が出ている。
 身長は普通の女より高い、胸にあまりふくらみが無いが、それでも女性らしい綺麗な形――うむ、ここらへんは男の性(さが)だな…じゃなくて!
「なんでダメなんだ? やっぱり金が欲しいんじゃないのかよ」
「違うよ、ここに巣を作る」
「へ?」
 何を言ってるんだこいつは。
 そう思っていた俺の目の前で、そいつは帽子を脱いだ。
「見えるかな、ここにほら」
 女が指差したところ、さっきまで帽子で隠れていた額の上の方に、触角のようなものが生えていた。
「…ぁんた、獣人か?」
 獣人、この世界で人間と共存する種族。パッと見は普通の人間なんだが、獣の身体の特徴と能力を持ち合わせているため、身体には猫なら切れ目だったり、しっぽがあったりする。
 けど――触角を持った獣人は、さすがに聞いたことは――
「ん? んーん、そういうのじゃないよ。さっき言ったでしょ、女王って呼ばれてたって」
 ニコニコと楽しそうに笑いながら、俺を見つめている。なんだか顔が熱くなってきた。


「私ね、女王蟻なんだ」
「は?」
「だから女王蟻、蟻の中で一番偉いの」
 訳が、わからない。
 それが顔に出ていたのか、彼女はなんとも言えない表情をして。
「なんだっけ、えーと、研究所っていうのかな。よくわかんないけど、そこで私はそこで人間になるようにされたんだ。
一応の姿に戻れるんだけど、働き蟻(みんな)私のことが怖がって避けられたの、だから悲しくなってそこの
研究所(す)を飛び出したんだ。で、女王蟻の姿でうろうろしてたんだけど、どうも皆変だってわかっちゃうみたいで、
避けられちゃってねー……ただの女王蟻の頃はあんなに皆と一緒だったのに、もう誰とも一緒に居られない。だから思ったんだ」
 更に身体を近づけて、右手が俺のふとももに触れ――

「なら、人間として巣を作ればいいんだって」

 そのまま、彼女の唇が俺の口を塞ぎ、そのまま舌が侵入してきた。驚いて何も出来ない内に、口内が犯されていく。
だんだんと鼻息が荒くなってきて、彼女の吐いた息を吸い込んだ。なんだか甘い匂いで、頭がくらくらとしていく。
慣れていないのか、彼女の舌が荒々しく俺の舌やら歯茎やら舐めていく。
 彼女から流し込まれる唾液が、物凄く甘い。まるでほどよい甘さの水あめを飲まされているような、そんな気分になる。
 そして長く感じられたディープキスが唐突に終わる。彼女はゆっくりと顔を離していくと、お互いの口から引く糸が、ぷつりと切れるのが見えた。
「んー、すごいね人間の交尾って。こんなに興奮するんだ……」
 目をうるませながら、彼女は唇に手をやる。多分、さっきまでのことを本当だったのか確かめるみたいに。
「安心して、えーと、ちゃんとべんきょーしたから。人間の姿になるようにされてから、前の研究所(す)にいた人間に少しだけ人間について教えてもらってるんだ」
「う、あ……」
 声が出ない。あんまりにも考えてない状況だし、何よりさっきのキスで頭がボーっとする。

「…脱がすね」
 カチャカチャと音を立ててベルトが外す音が聞こえ、そのままGパンとパンツが一緒に下ろされた。
「えっと、確か…」
 考え込みながら、やわやわと俺のアソコに触れる。なんとも言えない刺激で、血液が集まりビクンビクンとそれは膨張していく。
 それを潤んだ目で見る彼女が、何故かいとおしく感じられる。心臓がドクドクと脈打つ速度を上げ、欲していく。彼女自身を。
「いく…ね?」
 くちゅりと、舌がなめくじのように俺のモノをなぞっていき、更に膨張をしていく。
 たどたどしいながらも、丹念に丹念に唾液がまぶされていく。優しい快楽が俺の頭をゆっくりと支配していく。
「気持ちいい?」
 俺はすぐに頷いた。
「そっか、良かった…すごい臭いだね、味もエグい……なのに、頭がポーっとしてもっともっと、こうしていたくなっちゃう」
 ただ微笑んでいるその顔が、とても艶かしい。
「んぐ…ちゅぷ…」
「あ、く…」
 そして舐めるだけでは終わらず、本格的にしゃぶってくる。激しいわけではないのに、快楽が増していくのを感じる。
「ん……あ、これおいし……」
 尿道から出てくる先走り液を、彼女はおいしそうに吸い取っていく。あ、確か蟻の中にミツアリっていたような――
「すごくビクビクしてきた…ん、ふ…」
「やめ…そろそろ、出…る」
 俺のモノは限界に近く、ビクビクと暴れだす。それを彼女は面白そうにしゃぶり続けている。それと同時に、もっと欲しいというような感じで、上目遣いで俺を見ていて、興奮を煽る。
「…いつ!」
「……物凄く残念だけど、ダメだよ。これから巣を作るんだから、こっちに出してもらうからね…」
 ギュッとモノを握られ、鈍い痛みが奔る。
 もう少しで出そうだった所為もあって、ビクビクと抗議するように暴れる。そして、動きが鈍くなったのを見計らって、彼女は手を離した。
「脱ぐから待っててね」
 服に手をかけて、脱いでいく。懐中電灯しかないぼんやりとした明るさの中で見るそれは、幻想的なまでに素肌を晒していく身体を艶かしく
写す。
 見惚れていた。
 相手は人間でも獣人でもなく、その上自分を気絶させた上、両手両足を縛って軟禁している相手なのに――美しいと感じてしまった。
 だから次に起きることを想像して、俺のモノは何もされていないのにビクビクと喜びに震える。


「んふふ、すごくエッチな目してるよ…?」
 生まれた姿になった彼女は、四つんばいで顔を近づけてきて、またさっきと同じく唇を覆い舌を入れて俺の口内を犯す。同時に、やわやわと俺のものをこする。
 まずい、さすがに同時はさっきの波がひいてないのもあって、すぐに出そうだ。
「もう、聞かん棒だね。えい」
 彼女はそれを察知したのか、顔を引いて、またモノを強く握る。
「ダメだよ、ここから出るものは、ここに出してもらうんだから」
 自分の下腹部を俺の顔にまで持っていきながら、笑顔でそう言い出す。
 スッと流れるようにある女性特有の割れ目、それをゆっくりと近づけてきた。
「…舐めて、濡らさないとダメなんでしょ?」
「あ、あぁ」
 少し顔を赤らめる彼女の顔を見ながら、曖昧に答えた後。目を割れ目に移す。
 綺麗だった。
 ただの女性器なのに、何故か綺麗に見えて仕方なかった。
「もう! 早くしてってば…」
 よほど恥ずかしかったのか、両手が俺の後頭部を掴んで、グイッとそこに押し付けられた。
 恐る恐る舌を突き出し、その線をなぞる。
「…ふ……ん…」
 だんだんと舐める範囲を大きくしていくと、彼女が何かを耐えるような鼻息が聞こえてくる。
 感じているのだろうか。
 なんだか嬉しくなって、そのまま舌を中に突き入れた。
「んん!」
 声が大きくなったのが聞こえて、奥へ奥へと舌を突き出して徐々に開いていくアソコを食らい付いていく。そうしていくと、俺の頭を抑えている力が、更に強くなる。
「ふぅ! …あ、はぁ…」
 そして、舌がやや硬い突起に触れると、ビクンと彼女は身体をのけぞらせた。
「あ、あ、あぁ……」
 両手の力が緩み、息苦しさで顔を上げると、唇からよだれを流している彼女が見える。
「すご、い。身体が変…」
 身体を俺に預けて、顔がまたすぐそばまで近づく。
 そのまま、合わせたようにお互い唇をむさぼりあう。
「イクっていうんだっけ? すごいなぁ、人間の身体って…よくあんなのに耐えられるね?」
「そ、そうか?」
「ふふふふ、でも、本番はまだだから…」
 顔を上気させて彼女は微笑んだ。
 そして、ゆっくりとさっきまで舐めていたアソコが俺のモノと触れ合わせた。
「は……あ…!」
「…く!」
 ゆっくりと腰が降りて、彼女の中を貫いていく。いや包み込まれていく。


 そこまで経験があるわけじゃないが、それでもその経験を上を快感が頭を貫いて――わずかに、動き出したらどうなってしまうのだろという、恐怖を覚えた。
「あ、く……ダメ…あぁ!」
 そして腰を彼女が、のけぞりながら一気に腰を下ろす。
 全てが包まれたと思ったと同時に、中が律動し、一気に搾り取ろうとするような動き。それに俺は耐え切れずに、中にぶちまける。
「熱! あ、ふふ……ん、出してくれてるんだぁ…」
 ビュクビュクと長い射精を彼女は感じ取り、微笑みながらまたキスを始める。
 彼女の甘い唾液を貰って、俺の唾液を彼女が貰っていく、お互いをむさぼりあう感覚が口から。下半身からは搾り取られるような快楽が突き上げ、射精がなかなか収まらない。
「あ…ん……おいし…もっと……頂戴」
 捕食されている。
 ぼんやりとそう思った。彼女は女王蟻で、俺は彼女に捧げられたエサなのだと。
 でも、それでもいい。どういう訳か、今はもう身も心も彼女に食べられている最中なのだから。
「ん……止まっちゃったね」
 名残惜しそうにゆっくりと彼女は腰を動かす。
「本当なら、しばらく動いてから…えーと、精液って出るんだよね?」
「そ、そうだけど」
「そっかそっか、大丈夫だよ。すぐ出るって事は私のあそこ、気持ちよかったんでしょ? 私も気持ちよかったよ、また身体が変になっちゃたもん」
 ついばむように俺の顔をキスしながら、嬉しそうに彼女は言う。
「……でもまだ足りない」
「へ?」
「いっぱいいっぱい、働き蟻(こども)を作らなきゃいけないもの」
 ぐちゅ。
 そんな音が聞こえたと思った同時に、収まっていた快楽がまた襲ってきた。
 油断していた俺は、耐えることなくまた射精を再開する。彼女もまた、快楽によって舌を突き出しながら、イキながらも腰を本能で振り続ける。
「ひあ! は! は!」
 彼女の声が耳に届き。
 彼女の身体に目が奪われ。
 彼女の唾液の味が舌に残り。
 彼女の肉を俺のモノで感じ。
 彼女の匂いが鼻を支配する。
 全てが、彼女に覆い尽くされるような感覚に襲われて、俺は射精しながらそのままゆっくりと気絶した。


~場面転換って便利だよね!~

「……う、あ」
 身体に重さを感じて目を覚まし――すぐ横に誰かの顔があった。
「あ、おはよう」
「うあ! ……ってあんたか」
 一瞬誰だかわからなかったが、それは彼女の顔だった。
「うん、私だよ……すごくいっぱい出してくれたね、お腹がたぷたぷしてる」
 嬉しそうな笑顔で、そう言ってから自然に唇を合わせる。
「あ、あのさ。いい加減縄解いてくれない?」
「や、逃げちゃうでしょ?」
「……あのね、こういう関係になったら逃げるに逃げられないでしょうが」
 彼女が首をかしげる。
「なんで?」
「あのね、お前人間として巣を作りたいんだろ?」
「そうだよ」
「ならだ、まず人間はこんなところに住まない。人間が建てた家に住むものだ」
「でも、私にその家はないもの」
 寂しそうな目をして、俺を見つめてきた。
「だろうな、けどお前にいい話がある。なんと、俺が住んでいる部屋(いえ)に住むことができるぞ」
「うえ? え? いいの?」
「いいのも何も、そもそもここに軟禁されて生活するのは嫌だからな。だからしょうがない」
「……良かったぁ」
 そう言った彼女が目が潤んでいき、力いっぱい俺を抱きしめた。
「あぐ! ちょ、苦し! どど、どうしたんだよ!」
「良かったぁ…良かったぁ、もう……一人じゃない」
「ちょ! 頼む、マジで苦しいから! つか折れる!」
「ご、ごめん。ぐすっ、もう私、一人じゃないんだよね?」
 彼女は言っていた。
 人間になってことによって、本来の巣の働き蟻(みんな)怖がられて孤立したことを。
「あぁ、一人じゃない。その証明してやるから縄を解いてくれるか?」
「…うん」
 少し不安そうな表情をしたものの、彼女は素直に縄を解き始めた。
 そして、両手両足の縄が解けたことを確認するかのように、俺はじたばたと意味もなく身体を動かしてみた…うん、久しぶりの自由な気がする。
 横で素っ裸のまま、不安そうな顔で俺を見ている彼女が居る。ゆっくりと、動かせるのを確かめるように彼女の右手を取った。

「いいか、お前は元蟻だからわかるだろうけど、蟻と一緒で人間も一人じゃ生きていけない」
「うん」
「だから、こうやって手を取り合って生きてく生き物だ。ま、その癖殺しあったりするんだが、それは置いておこう」
 ぐいっと右手を引っ張り、倒れてきた身体を抱きしめる。
「ま、俺もお前のこと理解することとお前が人間になっていくことは、多分時間かかるだろうけど、ま、のんびりやってこうや」
「うん」
 彼女もゆっくりと俺の身体に両手を回し、優しく抱きしめてきた。
「でさ、まぁこれからのことはいいんだが、聞いていいか?」
「何かな?」
「人間なんてたくさんいたろ? なんで俺なんだ?」
「貴方から甘い匂いがしたから」
「…あんまり言いたくないが、汗臭いの間違いじゃないか?」
「んーん、今でもずっと甘い匂いがするよ。うん、働き蟻(みんな)と同じ匂い」
 皆、つーか俺は君の働き蟻達と同じ匂いがするんですか。
 いやいや、それはあんまり考えたくない状況になるような。
 その状況がよく理解できる前に、次の疑問を聞く。
「まぁ、お前さん蟻になれるらしいから侵入した方法はわかるんだけど、どうやって運んだんだ?」
「ん? 背中に背負ったんだよ。貴方、軽くてびっくりしたけどね」
「……そういや蟻って、自分と同じ体重ぐらいの重さの物、簡単に運べたっけか…」
 なるほど、こいつもある意味獣人ってことか。人間と蟻の能力を合わせた生き物……しかもそれが人口で作られたってんだから、やれやれ厄介ごとには事欠かないらしい。
「じゃ、まぁ帰るとするか」
「え? どこに?」
「俺の家、それとちゃんと脱いだもの着てくれよ。女物の服、まだないんだからな」
「うん! 待ってて、すぐ着替えるから」
 ……着替える姿を見て、足りないもの気付いた。
「お前、ブラジャーとかパンツは?」
「…なぁに? それ」
「いやいいんだ。うん、気にするな」
 やれやれ、しばらく彼女の常識外れの行動に慌てふためかなきゃならないのか。
 首を振り苦笑しながら、そんな生活もいいなと思う自分がいた。

 ――いびつな形で唐突ながらも、天草友樹(あまくさともき)にもようやく家族が出来たことに今更気付きながら。