近くのスーパーでマグロの刺身が安かったので買い、ホクホク気分で家に帰る最中。
猫が数匹、俺に近づいてきてなーなー鳴いてきた。
中には擦り寄ってきたりするのもいたんだが、その目線は俺が手にしたスーパーの袋の中の刺身へ注がれており、
猫達はあきらかに刺身狙いなのはまる分かりだった。

なんだかその媚の売り様に腹が立ったので、猫に見せ付ける様に目の前で醤油も付けずに刺身を食ってやった。

それを見てニャーニャーギャーギャーと抗議の声を上げる猫達に向けて
「媚を売れば餌が貰えるとおもったら大間違いだ、残念だったな」と、捨て台詞を残して家に帰った。


……さて、恐らく猫達は早速逆襲に訪れるだろうと思うが、
セオリー通りに男がやられると思うのも大間違い、ってもんだ
逆にとっ捕まえてあんな事やこんな事をして調教してやる、くっくっく。

……しかし、待てど暮らせど、猫が逆襲に来る様子がない。時間はもう夜中の1時だ。
やっぱ、猫が逆襲に来るってのはただの都市伝説だったのだろうか?

いや待て待て、ここで油断して寝たら、その寝込みを襲われるって事も有り得るのだ。
だから最期まで油断せずにその時を待つのだ。

そうやって、俺が目を擦って眠気を振り払おうとしたその時

ガチャン

いきなり窓を破って何か投げ込まれた。
しかもその何かから煙がブシュウって出てきたし、何これ?
あ、そうか、これって所謂……催眠ガ……ス……?

眠……もう……おやすみ……


             ※   ※   ※

……目が覚めたら、両手両足を縄で縛られ、床に転がされていた。
そして、俺の目の前にはどこぞの特殊部隊が身に着けている様な黒一色の戦闘服を着た誰かさんが三人。
その体付きと顔立ちから見て三人とも女、と見て良い様だが……?

「あ、コイツ、やっと起きた様ですよ、隊長」
「……目覚めた」
「ふん、ようやく目が覚めたか……今の気分は如何だ?」

……最悪だ、つかおまえら一体何なんだ?
何処の軍事マニアだ? ここはサバイバルゲームするところじゃねーっての!

そう、俺は頭の中で文句を言いつつも、
俺は侵入者達の特徴から、隊長と呼ばれている偉そうで背の低いのが侵入者その1
中くらいの背で狐目なのが侵入者その2、そして一番背の高く頬に傷があるのが侵入者その3、と、
脳内でキャスティングを振り分けていく。

「やれやれ、どうやらこの人間は自分の状況がいまいち分かっていないようだな?」
「仕方ないですよ、隊長。この人間に今の状況を分かれと言うのが無理かと」
「ふん、言われればそうだな。ならば特別に説明してやるから聞け、人間。 
今の貴様はOO三丁目第3特務部隊キャット小隊によって捕獲された哀れな捕虜、
この時点で貴様の生存権その他諸々の権利はすべて、我々に手に握られている。
そう、貴様が生きるも死ぬも我々の一存で決められると言う訳だ、分かったか?」
「……はあ?」

侵入者その1が言い出した訳の分からない事に、俺は思わず眉をひそめる。

「『はあ?』ではない! 貴様はどうやら自分の状況がまだ分かっていないようだな!
……仕方在るまい、この拷問だけは行いたくなかったが……アレを出せ!」
「え゛!? 隊長、アレを使うんですか?」
「……非道」
「良いから出せ」
「わ、分かりましたよ……」

その1に言われ、その2が渋々ザックから取り出したのは、何故か輪切りにされたレモン。
拷問って言うが……こんな物、何に使うつもりだ?

「ふふふ、今から貴様の鼻先にこのレモンを押し付ける拷問を行う!
そう、これから貴様の鼻一杯にレモンの酸っぱい匂いが広がり、溢れ出た果汁が貴様の顔中にベトベトと付くのだ。
さあ、謝るなら今の内だ! 我々も従順な者に対しては飽くまで寛大だからな!」
「ああ、隊長は何て恐ろしい方だ! 早速レモンを使うなんて……!」

その2から受け取ったレモンを俺の方に突き出し、なんだか演技の込入った感じに言うその1と、
顔を青褪めさせ身体を震わせるその2。
そのあまりにも気の抜けた様子に、俺は呆れて言葉が出ない。


「くっくっく、どうやら恐ろし過ぎて声も出ない様だな……」

そんな俺の様子を勘違いしたらしく、含み笑いをする侵入者その1。

「……んなもんで誰が謝るか。おまえらはアホか?」

無論、んな間抜けな拷問なんぞ恐ろしくとも何ともない俺は、三人に向けてはっきりと言い放つ。
その言葉に、自慢げだったその1は一転、大きくうろたえ始め、

「………なっ! この拷問が恐ろしくないだと!?
くっ、ならば毛を逆なでしたり、強制的に身体を洗ったり、烏賊を食わせたりしてやるぞ!」
「隊長隊長! なんかコイツ、恐れる所か逆に我々に対して憐憫の眼差しで見始めてますよ」
「哀れ」
「な、なんだとっ! 我々にとっては、これらの拷問は充分過ぎるくらいに恐ろしい物だと言うのにかっ!?」
「…………」

…………なんだろう、こいつら。あまりにも哀れと言うか何と言うか……
こんな連中に俺は裸にひん剥かれて縛り上げられてしまったなんて、すっげぇ悲しいんだが……。

つか、今分かったんだが。レモンとか烏賊が苦手で、身体を洗われるのを嫌うのって……

「まさかとは思うが……お前等、あのときに刺身狙ってた猫か?」
「ムッ、今更気付いた様だな! 人間。
貴様の言うとおり、我々は貴様に屈辱を味あわされた猫又だ!」

俺の問い掛けに、その1は偉そうに答えながら被っているヘルメットを取り、頭のネコミミを顕わにする。
それに続いてその2その3もヘルメットを取り、頭のネコミミを俺に見せる。

「この私が折角、貴様に売りたくもない媚を売ってやったにも関わらず。
貴様は我々の目の前で刺身を食った上に、我々に対して蔑む目を向けて捨て台詞まで残していったのだ!
この屈辱、例え百万回生まれ変わったとしても忘れられん!」
「そーですよ、普段だったらこんなサービスしないのに、刺身があったからこそやったんですよ。
それをあげない所か目の前で食っちゃうなんて酷過ぎですよね?」
「……極悪非道」

そして特殊部隊ルックの猫又三人(一応、人と数える)は腰の尻尾をぶんぶんと不機嫌に振りまわし、
口々に俺の行為に対する文句を並べる。

やっぱり俺の思ったとおりだったか……
つーか、最近の猫ってのは逆恨みで催眠ガス弾を部屋に投げ入れて人を眠らせた上に両手両足を縛り上げて、
しかもおまけに拷問までするのか!? 

……まあ、その拷問とやらが殆ど大した事がなかったのはある意味救いだったが……。


「……しかし、拷問が通用しないのは参ったな……他に何かあるか?」
「隊長、爪の間に針を突き刺すとか、釘を何本かコイツの口に放りこんで顔を蹴ったりするってのは如何ですか?」
「……もしくは鈍器で暴行」
「駄目だ駄目だ、我々キャット小隊は拷問はするが余計な暴力は振わないのがモットーだ、
そして、私は血を見るのが何よりも苦手だ。だからその案は却下だ」
「分かりましたよ、隊長。……ちっ」
「……残念」

……うん、その1が隊長で本当に良かった。
もし、その2かその3のどちらかが隊長だったら、多分、俺は明日の太陽は拝めなかっただろうなー?

「なら、どうするんです、隊長? このまま縛り上げるだけで帰るんじゃ我々キャット小隊の名折れですよ?
まあ、このまま放置しても逆襲となると言えば逆襲にはなるんですけど……」
「うーむ、そうだな……確かに何もしないで帰るのは少々心残りがあるな……さて、どうしたものか?」
「どうしたものか、と私に聞かれても、隊長。良い案があればとっくの昔に言ってますよ?」
「む、そうだな……」

心の中で安堵の息を漏らす俺を余所に、その1その2が俺の処遇に対して論議を始める。
……縛られた状態のまま放置プレイって時点で既に嫌なのだが、
この際、何かされるよりかはまだマシだと思おう。だから早く帰ってくれ。

「…………」

その最中、ふと、妙な視線に気付いた俺がその方へ顔を向けると
論議に加わってなかったその3が俺の前にしゃがみ込み、じっと俺の顔を見ていた。
な、何やらすっごく嫌な予感が……

「逆レイプを提案」

待て、何をとんでもない事を提案しているんだこいつは!

「ほう、逆レイプか……なる程、良い案だ。
丁度、我々は発情期に適当な雄が見つからなかった所だからな……その鬱憤をコイツで晴らすのも悪くない」
「まあ、確かにコイツ、顔を見た感じアレが大きそうですし、憂さ晴らしにはもってこいかも?」

その提案に乗ったのか、その1その2もうんうんと頷いた後、俺の方へじりじりとにじり寄り始める。
見れば、三人のその目は既に情欲に染まり、ギラギラと輝いていた。


論、身の危険を感じた俺は必死に縛っている縄から逃れようと身体をくねらせ、
着衣と装備を脱ぎ取りつつにじり寄る猫又三人に向けて声を上げる。

「お、おい、俺はヤるのは好きだけど、逆にヤられるのは好みじゃないぞ!?」
「ふん、何を今更、先程も言ったが貴様は我々の捕虜だ。好みだの何だの言う資格は捕虜には無い!」
「ジュネーブ条約ってもんがあるだろ常考!」
「それは人間がつくった条約だ、猫である我々には関係は無い!」
「そー言う訳だから、さっさと覚悟を決めてね?」
「潔く無いの、駄目」

だがしかし、俺の抗議の声は全く聞き入れられる事無く、裸となった猫又達に取り押さえられてしまう。
ああ、クソ、目の前で揺れるおっぱいとか、ほっそりとしたウェストとか、触り心地の良さそうな股間の茂みとか
視覚的刺激の所為で股間の紳士が勝手に……!

「フッフッフッ……なんだ、口ではあれこれ言っている割に貴様のここはやる気が有る様だな?」
「これだけ分かり易いと苦労しないね、隊長」
「雄の身体は正直」

そんなKYな股間の紳士によって出来たズボンのふくらみに気付いた三人は
口々に喋りながら俺のズボンを爪で引き裂いて行く。

「さて、我々の性欲を満たすまで、せいぜい頑張ってくれ。では、いくぞ!」
「んじゃ、いただきまーす!」
「童貞頂戴」

そして、俺の視界は一気に肌色に染まり、意識は快感に染め上げられてゆく。
……最早、この時点で俺はまな板の上の鯉に等しかった。


アレからどれくらいの時間が経ったか憶えていない。

俺は猫達によって口内、首元、脇、足の裏や掌など身体中を舐め回され、弄ばれ
絶頂に達する度に入れ替わり立ち替り、休む暇すら与えられる事無く、
猫又達が俺の上に乗っかり腰を動かし続ける。

俺の身体は既に、唾液とも愛液とも精液ともつかぬ液体に塗れ、
絶頂に達した回数も最早数える事すら虚しさを感じる様になっていた。

今や、俺は寝る時と食事の時以外は延々と猫達に犯され続けている。
無論、自由なんて殆ど無いに等しい。調教するつもりが調教されてしまった様な物だ。


今思えば。あの時、素直にマグロの一切れぐらいやっていりゃ良かったんだ、
そうすれば、こんな事にならずに済んだってのに……。

……後悔、先立たず……