ついにこの時がやってきた……魔王にとっては最悪の夜となる。
 この場合の”最悪”とは、決して毎回起こっていたことではなく、これから毎回起こる始まりを意味している。
 それを魔王はまだ知らない……


 物事において万能などありえない。
 生物しかり兵器しかり強大な力を持ち、一見全てにおいて万能だと思われる魔王にも実は弱点と言うものがある。
 その弱点は、魔王自身防ぐ事も避ける事もできない。

「もうすぐ、か……」

 深夜の寝室で、窓から外を眺め一人で月見酒と洒落込みながら魔王は呟いた。
 その表情はかなり嫌そう。
 何度も何度ももう飽きるほどしてきた事だが、こればかりは好きにはなれない。
 魔王が見上げる月、その色に僅かだが赤みがあった。
 同時に、魔王は自分の中から魔力が僅かに弱まっているのを感じている。
 そう、彼の弱点とは月。
 ただ月自体が魔王の弱点ではない。
 古代ほど頻繁ではなくなったが、約30年に一度、夜空に赤い満月が出現する。
 その時、その夜の間のみ彼の魔王としての力はほぼ”無”になってしまう。
 召喚獣を呼ぶことはおろか、通常魔法でさえ使えない、ただの人間の青年とほぼ同じような状態だ。

 だから歴代の魔王は、この時に魔王に触れれば大きな災いが起こるという嘘を何千年、何万年と言い伝えてきた。
 魔王城が荒れ果てた世界の隅っこに建っているのも、他種族を寄せ付けないという意味もある。
 人間と化してしまったら、魔物や獣人はおろか同じ人間にも敗れてしまうだろうから。
 だからこの事実を知っているのは魔王自身のみ。
 歴代の魔王たちは自分の妻、夫にさえも教えることはまず無かったと、魔王は自分の母から教わった。
 中には教えてしまい殺された魔王もいるが、それは自業自得である。
 まぁ数日前、交わった後眠っているミズチに現魔王はこっそり教えてしまったのだけど……

「ふぅ……めんどくせ」

 歴代魔王の嘘により、人間や多種族が赤い月の夜に攻めてくる事はまず無い。
 例え攻めてきたとしても、城の地下には2代目魔王が集めに集めた機械巨人があるので対応も出来る。
 現魔王にはリンシャオとミズチという存在もいるが、これもあまり問題はない。
 リンシャオを召喚して一度赤い月になった事はあったのだが、近づくなと命令したら近づく事はなかった。
 やはり何だかんだ言いつつリンシャオは魔王の使い魔。よっぽどの事がない限り、基本的に魔王の命令には逆らえない。
 ミズチも同様だろうと魔王は考えている。
 弱点を教えたとはいえ、眠っていたのでおそらく覚えてはいない。
 近頃のミズチは魔王を襲う気配を見せないし、いつもと変わらず生活していれば怪しまれる事もない。
 しかし年には念と言うことで、魔王は一冊の魔道書を読み、酒を飲み干してベッドの中にもぐりこんだ。


 翌日の朝は久しぶりに二日酔い。
 魔王の力が弱まっているから、ではなくただ単に飲み過ぎた。
 激しい頭痛が絶えず魔王を襲い、彼は昼食を食べてもずっと頭を押さえて唸っていた。
 頭の中でセルシウスとイフリートが争っているかのようだ。
 リンシャオから渡された万能薬を飲むと、次第に頭痛は抜けていったが、その頃にはもう部屋に戻らなくてはならない。
 月が出始めたからだ。赤い満月は着実に魔王の力を奪っていく。
 魔王は自分から抜けていく力を感じながら、リンシャオとミズチにもう寝ると伝え寝室に戻った。
 いつもなら余裕で起きて遊んでいる魔王が、夕方に寝るなど珍しくミズチは首を傾げるが、あまり気にも止めずに部屋に戻る。
 取り残されたリンシャオは、何をするわけでもなく、ただ現れ始めている満月を見上げていた。
 9本の尻尾が揺れたり絡み合ったりし、彼女はミズチに気づかれぬよう微笑んでいた。

*** *** *** *** *** ***



―コンコン

 運命の夜。既に城の者は寝静まったであろう時間に、魔王の寝室の扉が鳴った。
 まったく眠れず、今宵もボーっと赤い満月と眺めていた魔王はその音に気づき扉を見る。
 しかし出ようとはしない。
 扉の向こう側にいるミズチ、もしくはリンシャオに今の自分の姿を見られたくないから。
 魔王は、魔王としての力を殆ど失い、それは外見にも表れていた。
 普段は長身で黒い長髪の、黙っていればイイ男の部類に入る青年。
 しかし今は身長が縮み、髪も短い女の子のような顔立ちの少年となっている。外見だけならリンシャオと同年代くらいだ。
 声も随分変わってしまった。声変わりがまだない状態。
 これで普段リンシャオが着ている服を着れば、女の子と言われてもおかしくはない。
 だからこそ見られたくない。
 リンシャオのことだから絶対何か言うに決まっている。
 魔王としての力がない以上お仕置きも出来ない。翌朝すればいいが、言われてからしないと気がすまない。

―コンコン―コンコン

 扉は尚もリズムよく鳴り続ける。
 魔王に出る気はサラサラ無い。
 やがて扉を叩く音は止んだ。
 誰だか分からないがようやく諦めたようだ。
 ノックの音に少し苛立ってきたところだったので軽くため息を吐き、魔王は再び空を見上げた。
 その時だった。
 何か爆発したような大きな音と、窓のガラスが何かの衝撃で割れる音が城中に響いた。

「な、なんだ!?」

 今度は驚いて扉の方向に振り向いた魔王の体が大量の煙に包まれた。
 一瞬、物凄い風に当てられたような衝撃が襲ったが何とか踏ん張り、口に手をあて咳き込む魔王の目は煙で半分しか開かない。
 だがすぐに煙が外へ流れ、視界が良くなっていくと同時に夜の風が吹き込み少し寒気がした。
 寝室の扉は、強い炎で燃えたように黒焦げになっている。いや燃やされたのだと魔王は確信した。

「無視とは、ひどいじゃないか」
「だ、誰、だ?」

 魔王にとって見たことあるようなないような、とにかく妙な女が黒焦げと化した扉の上に乗り、微笑んで見下ろしている。
 扉も窓ガラスも彼女によって破壊されたとすぐに理解する。
 白と紫の巫女服に身を包んでいる女は、まさに大人の女性と言わんばかりで、これまで出会ってきた女性の中でもトップクラスの美しさ。
 普段なら絶対に放っとかない魔王だが、状況が状況なだけにいつものように気軽に声を掛けるわけにはいかなかった。
 誰だ、どうやってこの城に……そんなことを思いながら、魔王は当然とも言える言葉を口にする
 すると女はゆっくりと後姿を見せた。

「これで分かるだろう? 私のご主人様」
「な……まさか、お前……」

 女の言葉どおり、魔王は音速的に彼女の正体に気づき初めた。。
 ゆっくり腕を上げ、震えた指で女の尻部から巫女服を突き破り、飛び出している尻尾の数を数える。
 女の髪と同じ菊のような赤紫色で先の毛色が白い、長くて大きな狐の尻尾。
 一本、二本と数える魔王を女は横目で笑って見つめている。
 尻尾を数える際、魔王は彼女の頭からは、やはり全体的に髪や尻尾と同色だが先だけ白い毛色の狐耳が生えている事に気が付いた。
 そして尻尾を数え終えると、魔王の予想は既に確信にまで達していた。


「り、リンシャオ……」
「ふふ、気づくのが少し遅いぞ?」

 そう、リンシャオだ。
 魔王を”ご主人様”と呼ぶのは、城内にいる者の中ではリンシャオくらいしか当てはまらない。
 常にそう呼ぶわけではなく、魔王をからかったり、ミズチをからかったり、魔王に呼べと言われたとき呼ぶ。
 ミズチはメイド服を着ているが、絶対に言いたがらない。
 それにしてもリンシャオの変貌っぷりはなんだ……
 昨日、いや月が出始めるまでは幼い少女の姿をしていたというのに、今はまるで急激に成長したかのようだ。
 一歩、また一歩とリンシャオが微笑みながら魔王に近づく。
 それに合わせて、魔王も後退する。
 魔王の足元には先ほどリンシャオが割ったガラス片。
 その上に素足となっている魔王の足が乗ろうとしたのだが、直前に手を掴まれた魔王は力強く前へ引き寄せられた。

「んぶっ」
「危ないぞ、魔王」

 魔王を抱きしめて頭を撫でるリンシャオ。
 その光景はまるで姉と弟のようである。

「リンシャオお前……部屋に入ってくるなと、おわっ!」

 離れようとしても、ギュッとしめつけるかのようにリンシャオが抱きしめるので、そのまま顔を上げて魔王は口を開く。
 彼女は明らかな命令違反をしたどころか城の一部まで破壊し、少し怒っている様子なのだがリンシャオは怖がるどころか反省もしていない。
 それどころか、魔王の腰と両膝に手を回し抱きかかえて、無傷のベッドの上に放り投げた。
 ベッドが少し軋み、魔王は声を上げる。
 起き上がろうとしたが、起き上がれない。
 先ほどよりベッドが大きく軋んだ直後、魔王の上に乗ったリンシャオに両手を押さえられてしまったから。
 彼女は依然として笑みを浮かべている。
 その妖艶な笑みに魔王はゾクッと体を震わすが、ここで負けるわけにはいかない。
 普段は立場的に逆だろう、いつもなら襲われるのも悪くはないが、状況が状況なだけに魔王はそういう気分になれない。

「リン、何すんだよ離れろ!」
「断る」
「なにぃ!?」

 あまりに即答でキッパリと断られた。
 今主に逆らっても、魔王は翌日になったら力を取り戻す。
 そうなればお仕置きは免れない、それはリンシャオも分かっているはずなのに。
 魔王の動きが一瞬止まった。その隙をリンシャオは見逃さなかった。

「明日、私がどうなろうと構うものか」
「っ!」

 囁くようなリンシャオの声の後、2人の唇が合わさった。
 魔王は言葉を失い、リンシャオは彼の上に寝て体を密着する。
 9本の尻尾がゆらゆら揺れる中、魔王の両腕を押さえていたリンシャオの手は彼の両頬に移動していた。
 頭が固定されてリンシャオの唇から逃れられない魔王。
 ただ口内に入り込む彼女の舌と、抜けていく力と抵抗感を感じるしかない。
 音を立てて、ゆっくりと味わうように魔王の口内を舐めまわす。
 魔王も舌を出すよう言ったが、拒否されリンシャオが一方的に絡めていた。

「ん……んふッ、ん……ふぅ……ようやく、大人しくなったな魔王」

 塞がっていた唇が離れても尚も唾液の糸が2人を結ぶ。
 上体を起こし、魔王の上に跨りながらリンシャオは呼吸を荒くしている少年を微笑みながら見下ろす。
 僅かに抵抗の意思はあるようだが、既に完全覚醒を果たしたペニスの感触が伝わり体が女を求めているのが分かる。
 リンシャオは天に向かってそそり立った魔王のペニスをズボン越しで握り、上下にしごく。

魔王の体が震え、少女のような小さな声を上げる。
 可愛いと言える反応に、リンシャオの興奮も高まった。
 いつもの立場とは間逆な今の状態、きっと普段私を襲う時の魔王はこのような気持ちなのだろう。
 そんな事を思いつつ、リンシャオは魔王の服を引き裂いた。

「んぁっ!」
「ほう、子供にしてはなかなか立派ではないか……」 

 殆どの肌が露出し、冷たい風がペニスに当たり寒気で震えた。
 体が縮んだとはいえ流石魔王と言うべきか。
 大きいところは平均より大きい。
 そんな少年の体にしては大きいペニスをうっとりした瞳で見つつ、リンシャオは再び魔王の上に体を寝かせた。
 軽い口付けの後、魔王の頬を、耳を舐めていった。

「ぁ、やめ、ぅッ」

 リンシャオの舌は魔王の顔から、徐々に下へ下へ這っていく。
 まるで彼の全身を味わうかのように。
 もはや力では勝てないと理解していた魔王は、何とか言葉で止めさせようとしたのだが、か細い声しか出ない。
 手の指も五本全て咥えられ、乳首を舐め甘噛みすると可愛い反応が返ってくる。
 その度にリンシャオは目を細めて、嬉しそうでもあり楽しそうだ。

「ひあッ!」

 喘ぎに近い魔王の声が室内に響いた。
 リンシャオの舌先が彼のペニスに触れたのだ。
 暖かい口内にペニスが包まれていき、魔王は一瞬達してしまいそうになった。
 しかし歯を噛み締め、ベッドのシーツを握りグッと堪えた。

「いつでも出していい……んッ、んむッ」
「ぁッ、ぅッ……ッ!」

 簡単な言葉の後、再びペニスを咥え込むリンシャオ。
 頭を上下に動かしながら、口を窄めて唾液と共に吸い上げる。
 口からペニスを離すと、舌先で亀頭を重点的に刺激する。
 まるで尿道を穿るような動きに、魔王は既に喘ぎと化した声を出しながらペニスをピクピク動かし反応する。

「ンふふ、気持ちいいか? いつもしてやっているというのに、反応が別人のようだ」
「ぅ、うるさぃ……くぅ、んッ」
「今の声、まるで犬だな。尻尾でも、付けて、みるか? ココに……」
「ッ! やッ、そこは、やめッ! ぅ、くあぁッ!」

 唾液と亀頭から出る透明液で濡れたリンシャオの指が、ペニスのすぐ下に位置する不浄の窄まりに触れた。
 体を軽く跳ね上がらせ、リンシャオを睨みつけて荒々しい声を出す魔王。
 しかし、リンシャオの指が窄まりの中へと入っていくと、魔王の声や表情は苦しげなものへと変わった。
 唾液や透明液が潤滑油の役割を果たし、指はスムーズに指の根元近くまで進入した。
 それと同時に、ペニスもこれまで以上に動いている。
 もう一つの手でペニスの根元を握り固定し、上下にしごきながら亀頭部分のみを咥えるリンシャオ。

「ああぁッ! ぐッ、うぁッ」

 直腸をぐりぐりかき回される衝撃に、魔王の目からは自然と一筋の涙が流れてる。
 しかしリンシャオは攻めるのをやめようとしない。
 指をもう1本挿入させ、2本の指を出し入れさせながら魔王の肛門を犯す。
 指が動くたびに魔王は腰を跳ね上げ、ペニスがリンシャオの喉に叩き込まれる。
 少し苦しそうな表情を浮かべるリンシャオだったが、頭の上下運動を速めていく。
 モノから来る刺激と巧みな指技による刺激。
 表裏両方からの刺激に魔王の我慢は限界を超えていた。

「う、ぐ……も、出……ッ!」

 この言葉の直後、肛門を犯してた2本の指が一気に引き抜かれた。
 その刺激に魔王は耐えられない。

「ああぁッ!!」
「んんッ!」

 絶叫に近い魔王の声と共に、リンシャオの口内に白濁した液体が注ぎ込まれた。
 苦しげに眉をひそめるリンシャオだがそれも一瞬。
 目を瞑り喉を鳴らし精液を飲み込んでいく。口内で精液が噴き出る度に、彼女の尖った狐耳がピクンと動く。
 何度も痙攣しながらの長い射精が終わると、魔王はぐったりとベッドに倒れる。
 リンシャオの口がペニスから離れ、精液と唾液の糸が伸びて亀頭の上へ落ちる。
 それも舐め取るリンシャオは、精液が付着したままのペニスを握り再びしごく。
 射精後のペニスに休む暇なく刺激が加えられ、魔王は再び嬌声をあげた。

「まさかこれで終わるとは思っていないだろう? いつも3回はしているからなぁ」
「うッ、くッ……ッ」
「それに体は正直だな。ココは私を欲しているようだ。私も、欲しい……」

 魔王の頬を軽く舐めると、リンシャオは立ち上がった。
 これに便乗して魔王も立ち上がろうとしたが、紫の袴が頭から覆いかぶさり視界を奪われる。
 両手を駆使して袴を取り除いた瞬間、軽い力で魔王は再び寝かされた。
 そして魔王は自分の上に跨いでいる女性を見上げた。

「赤い月は一部の獣を狂わせる、私も、その一人……」

 袴を脱ぎ、下半身が露になったリンシャオは、あまりにも官能的な姿だった。
 大人の姿となったリンシャオだが、髪と同じ色の淡い茂みは子供のままのようである。
 魔王の腰に跨り、すっかり硬くなったペニスを自らの秘所に定める。
 ゆっくり腰を沈め、ペニスがリンシャオの中に突き入っていく。

「んッんんぅ……いつもの、3倍は覚悟するんだな……」

 魔王の胸に手を置き、狐耳を動かしながらペニスの根元まで飲み込んだ。
 リンシャオの膣がペニスをギュッと締め付け、ブルッと体を震わせる魔王は声を漏らし眉をひそめる。
 動かなくても出してしまいそうな快感が襲ってくる。
 リンシャオが子供の姿の時はほぼ毎朝していたのだが、今はまったくの別人としているように思えてしまう。

「もう出したいって顔をしている。だが、少しは、我慢しろ……アルマ」
「! なに……ぁッ!」

 名前を言われた。
 リンシャオは知らないはずの名前を言われ、魔王アルマは驚き目を見開く。
 当然なぜ知っているのかを訊こうとしたのだが、リンシャオが腰を動かしはじめた事で魔王の声は中断した。


「んッ、あッ、い、いぃ、まおうッ、あん……ッ!」

 魔王に嬌声を聞かせ、喜びの笑みを浮かべながらの上下運動。
 月明かりは飛び散る汗を赤く彩り、本能のまま快感を得るリンシャオは誰よりも美しい。
 だが見惚れている暇は魔王にはない。
 ペニスを締め付けうねり動くリンシャオの膣。魔王は快感の波に飲み込まれ、既に限界が近くなっている事を察した。
 だがいくらなんでも早すぎるから、男としてここはグッと堪える。
 そして彼の腰は自然とリンシャオを突き上げていた。

「はぁッ……おく、とどいてる……ッ、きもちいぃッ!」
「んっ、んぅっ!」

 膣の最奥にペニスが触れる度に、リンシャオは狐耳をピクッと動かし嬉しそうに反応する。
 やがて腰の動きは上下運動から前後運動や回転運動に変わっていく。
 ペニスが膣内で膨張し、絶頂が近い事をリンシャオに知らせる。
 それはリンシャオと魔王にも伝わっていた。

「リン、出、る……ッ!」
「まだ少し、ん、早いな、あぁッ、まぁ、いい、出せ……ッ!」
「くッ、うっ!」

 リンシャオの言葉と同時に魔王は2度目の絶頂を迎えた。
 歯を食いしばり、身を震わせ、リンシャオの中を白濁した精液で汚していく。
 ペニスの根元まで下の口で咥えながら、自分の中が満たされていく感覚に酔いしれるリンシャオ。
 永遠に続くかと思った射精が終わり、魔王はただ呼吸を荒くしながら天井を見ていた。
 結合部から精液と愛液が混ざった濃厚な液体が流れ、ペニスも元気を失っていく。だが、強制的に再覚醒させられた。
 リンシャオが腰の上下運動を再開させたのだ。
 卑猥な水音が再び聞こえ始めた。

「まだ、まだだ……わたしは、あッン、まだッ、達して、んぁッいない……ッ」

 微笑むリンシャオに対し、魔王は驚きと落胆の表情。
 もう終わるかと思っていた。
 ああ、今夜は寝かせてはくれないな。
 しかし諦めの感情が生まれた瞬間、魔王は抵抗力を完全に捨てた。
 リンシャオが唇を重ねると、小さな舌を彼女の口内に入れ絡め合う。
 よく考えれば、別に痛い思いをしているわけではない、むしろ気持ちいい。
 ならばこのまま今夜はリンシャオに身を委ね、明日の朝にでもおしおきをすればいい、魔王はこう考えた。
 物は考えようだ。今思えば、偶には攻められるのも悪くはないし。

「こーんばんわぁぁーーーー!」


 リンシャオが自分の名前を知っている事、大人の姿になった理由等など聞く事もなく心の中で、今夜はリンシャオに好き勝手にされる事を決心した魔王。
 だがその時、城外から誰かの声が響く。寝室には穴が開いているので魔王たちにはよく聞こえた。
 最初は無視していたリンシャオだったが、何度も何度も呼びかける声に腰の動きを止める。
 あきらかに苛立った表情を浮かべ、膣からペニスを引き抜く。
 魔王にはその場にいるよう指示した。誰であれ今の彼の姿を見せるわけにはかないから。
 リンシャオが壁の穴から外へ跳んでいく。この隙に魔王は服に着替え始めた。

「誰だ? ここを何処だと思っている? それと、お前は男か?」
「魔王城……と私は聞きましたが? こんな声と容姿ですが一応男をしています」

 一方のリンシャオは城門の前で一人の男に問いかけていた。
 白く見たことのない機械巨人の掌の上に立っている男は、微笑みながらリンシャオを見下ろす。
 機械巨人が膝を着き、男は地面の上に降ろされる。
 要所を守る為の部分鎧こそは身に着けているものの、男自体は武器すら持っていない。
 脅威となるものは機械巨人のみだが、それでも魔王に対抗するには戦力が無さ過ぎる。今の魔王なら瞬殺だろうが。

「服を着ていただけませんか? 目のやり場に困ります」
「お前を殺したらな」

 こいつは一体何しにきたんだと思い男を睨むように見つめるリンシャオだが、茶の長髪の男は笑顔のままで、どこか余裕も感じられた。

「魔王様はどちらに?」
「知っているだろう? 赤い月の夜は魔王に近づくなと。死にたくなければ帰れ」
「確かに古来からの言い伝えですが、なるほど……」

 男は俯き腕を組み、何か考えている様子。
 そして何秒か経ち、笑顔の男はこう言った。

「やはり、魔王様は赤い月の夜に何かあるようですね。例えば、魔王の力が極端に落ちてしまう、とか」
「っ……」

 内心少し驚いたが、表情で気づかれないよう男を睨み続けるリンシャオ。
 男の推測はバッチリ当たっていた。
 リンシャオの返答を待つ男。しばらく沈黙が続きリンシャオは口を開いた。
 彼女から出た言葉は、男にも、壁の穴から覗き見ていた魔王にも予想しなかった答えだった。

「そうだ。お前の言うとおり、今宵の魔王はただの人間と変わりない」
「っておい! 何言ってんだよリン!!」

 思わず身を乗り出してしまった魔王。
 まぁ、自分の弱点をあっさりバラされてしまったのだから無理はない。
 長髪の男は魔王の存在に気づいた。

「あの子が魔王様ですか。随分可愛らしくなりましたね」
「貴様にはやらないぞ」
「いりませんよ。私にそっちの趣味はありません」

 リンシャオの言葉に男は即答。
 自分の予想は正しかった、危険を冒してまで禁断とされていた事して正解だった。
 これで魔王には殺される心配はなくなったわけだが、男にはまだリンシャオがいた。彼女は殺す気満々だ。

「まぁ、お前とその巨人に乗っている者は今ここで死んでもらう。そういうことだ、バラしても支障はないだろ魔王?」
「あ、あぁ、それならまぁ……」

 魔王は渋々納得した。
 確かにリンシャオの言うとおりだが、魔王的には自分の弱点をペラペラ喋ってほしくない。
 リンシャオは再び正面を向く。
 すると男が口元に手を置きクスクス笑っているではないか。
 何故だか無性に腹が立って、リンシャオは9本ある尻尾の先端に赤紫の小さな火球を生み出し威嚇した。

「何を笑っている?」
「いえ。それがですね、残念ながら支障だらけなんですよ」
「なに?」
「殺される状況になるくらい誰だって予想できます」
「何が言いたい?」
「簡単に説明しますと、あなたが現れてからの会話は全て、私の国の者達、つまり人間族の軍も聞いていたんです。この機械巨人、ホワイトドールの通信機器を通じてね」
「なっ!」
「ナンダッテー!!」


 男はまるで子供のように楽しそうに説明し、リンシャオと魔王は驚きを隠せずにいた。特に魔王は大慌て。
 明らかにリンシャオの責任だということは、本人にも分かっていた。
 だからこそ、この者達は確実に葬らなければならない。
 その前に城の奥に隠れるようリンシャオは魔王に指示し、尻尾の先端の火球を9発全て男に飛ばした。
 しかし、その火球は男には通じない。
 男がホワイトドールと言った機械巨人の手が、男の盾となったから。

「さて、任務も無事終わりましたし、大人しく帰らせていただくことも出来ないようですし、少しは抵抗させていただきます。私達はまだ死にたくありませんから」

 まず長髪の男を狙おうとしたリンシャオの前に白い機械巨人が立ち塞ぐ。
 機械巨人は光の剣を生み出し、リンシャオもまた火球を尻尾の先端に生み出した。
 リンシャオにとってこのような状況も、ある意味で都合が良かった。
 赤い月の影響で、本来の力が蘇ったのと同時に常に発情に似た興奮状態だったから、暴れれば少しは治まる。
 火球の威力を高めていく、見た目は小さな球のままだが膨大な力に満ちているのは男でも分かった。だけど笑顔。

「逃がしはしない……」
『待てぇー!!』

 リンシャオと機械巨人が今まさに激突しようとしていた時だった。
 大きな地震が起きたかと思うと地割れが発生し、地面の中から何か巨大な物体がミズチの声と共に現れたのだ。
 出てきたのは青い機械巨人、それもホワイトドールより大きいまさしく巨人である。

「あれは、マスタッシュマンか!」

 リンシャオがマスタッシュマンと呼んだ青い機械巨人は、そのままホワイトドールに圧し掛かり取り押さえる。
 ホワイトドールは振りほどこうとするが、2倍はある大きさの相手に手も足も出ない。

「乗っているのは、ミズチか……起きていたのか」

 さすがに城の壁を破壊したり、機械巨人がいたりすれば眠っていても嫌でも目を覚ますだろう。
 そう、マスタッシュマンに搭乗しているのはミズチ。
 元々魔王の機体だが、リンシャオが機械巨人と敵対しているので状況も分からないままとりあえず起動させた。

『リン、とりあえず事情はあとで説明してもらうからな!』
「わかっている。さてお前、遺言があれば聞いてやる」
「……」

 男は笑顔のままだが少し眉をしかめている。
 魔王とその使い魔対策で持ってきたホワイトドールがあっさりと動きを封じられてしまった。
 男の額から汗が一筋流れる。
 近所迷惑もいいところな騒音の中、男は何かぶつぶつと言っている。
 リンシャオは耳を動かし、彼の言葉を聴いた。そして動き出し時には遅かった。
 男を中心に、ホワイトドールが入るほどの大きく丸い魔法陣が地面に作り出され、白く光り周辺を照らした。

「フェイ、その機械巨人を退かしてください」

 男の言葉に従い、ホワイトドールはマスタッシュマンを背負い投げで投げ飛ばした。
 フェイと言うのはホワイトドールを動かしている者の名前だろう。
 マスタッシュマンは地面に落ち、ミズチは声を上げる。
 リンシャオは男が作り出した魔法陣の意味を即座に理解し、空へ跳び火球を撃つものの再びホワイトドールの手によって防がれた。
 地面に降り立った時には、白い光は太陽のように眩しくなり、リンシャオは手を顔の前にやり光を防ぐ。

「お前! これは……っ」
「ただの転移魔法ですよ。私も一応、賢者の端くれですので」
『待て!』
「遠慮しておきます。では失礼しますよ」

 魔王城周辺は白い光に包まれた。全ての者は視界を一瞬奪われる。
 光が消えた時には男と機械巨人の姿は無かった……


「まぁ、過ぎてしまったものは仕方あるまい……んんッ」
「お、おま、はんせい、してねぇだろ、ぃぅッ」

 しばらく経ち、魔王は再びリンシャオに押し倒されていた。
 油断して寝室に戻ってきてしまったのがいけなかった。日の出までまだ時間があるので力は戻らない。
 一度はリンシャオに身を委ねようとした魔王だが、やはりご主人様としてのメンツがあった。

「お前も一緒にどうだ?」

 下の口でペニスを咥え込み、魔王の上に跨ぎ上下運動。
 甘い喘ぎを聞かせながら、リンシャオはその場にいたミズチに話しかける。
 人間と竜の混血であるミズチは赤い月の影響をあまり受けない。ただいつもより少し体が熱い程度。
 二人の交わりを頬を赤くし見ていたミズチだが、時間が時間なだけに睡魔が襲い大きな欠伸をする。
 そしてゆっくりと寝室の入り口の扉に手をかけ、振り向き様に目を擦りながら口を開いた。

「眠いから、も、寝る……あまりアルマをいじめるなよリン……ふあぁ」
「ふふ、わかっている」
「じゃあ、おやふみ……」
「おやすみ」
「待ってミズチ助け、て」

 魔王の言葉も空しく、ミズチは寝室を後にした。
 部屋には卑猥な水音とリンシャオの嬌声が響き、魔王は3度目の絶頂を迎えた。
 再び膣内に精液が流れ込むが、リンシャオは腰の動きを止めず、射精後もペニスは硬いまま。
 結局リンシャオが絶頂したのは、魔王が5度目の射精と同時にだった。
 だが1回で満足するわけもなく、リンシャオは魔王を求め続け、魔王は快感に耐え切れずにひたすら絶頂し彼女の中を汚す。
 ミズチが爆睡する中、夜明けまで魔王城内にはリンシャオの喘ぎ声が響き渡っていた。

 翌日、力が再び弱くなったリンシャオが、本来の力を取り戻した魔王に壮絶なお仕置きを受けたのは言うまでもない。