最近はなんだか楽しい。
ポチとの出会いは、わたしの今までの人生をがらっと変えてくれた。
ゆううつだった朝の登校は、きょうもポチに会えるという期待に膨らむものになったのだ。
あの時の下駄箱の前を通る。ワイワイと生徒達がたむろする、何でもない日常が広がっているが、
本気を出せば他の人間よりもうんと利く私の鼻は、未だ微かにポチの白蜜の香りが感じ取る事が出来る。
匂いは物の記憶を思い起こさせるらしい。わたしも、なんだか朝っぱらからあの興奮を思い出してきたぞ。
「また、甘ーいポチを食べちゃいたいなあ…」
肩から掛けたスクールバッグを脇できゅっと締め、舌なめずりをすると
クラスメイトたちが、のほほんと側を歩いていった。
「今度、駅前の喫茶店で甘ーいパフェ食べにいこうね」
奥からは、おめでたい女子どもの会話が聞こえてくる。
このうららかさが余計に、あの時とのギャップを感じわたしを興奮させる。

こんな事をしているうちに、少し時間をくってしまった。少し急ごう。
教室に向かう途中、先の渡り廊下で見知らぬ女子と何かを話しているポチを見かけた。
その女の子は、チワワのような円らな瞳に小柄な体、くせっ毛のショートの髪で、コケティッシュな雰囲気を漂わせる。
わたしのような人間大嫌いなタイプとは正反対な、いかにも「クラスの人気者」のような子だ。
このチワワ娘はポンとポチの肩を叩いたりして、妙に馴れ馴れしい。
只でさえムカツク光景なのに、その子の甘い香りが余計にわたしの感情を逆なでする。
一刻も早くポチの野郎を問い詰めたい所だが、残念ながらホームルームは、わずかな遅刻をも許さない。
ホームルームに遅れてしまうと、拷問よりキツイ屈辱が待っているのだ。
苛立った感情を尻尾で表しながら、わたしは階段を駆け上る。

ホームルームまで残り一分。同じように教室に急ぐ生徒も多い。
そんな中、クラスのちょっと美人(らしい)某女史がわたしの後ろから走ってきた。
ふっ、脚じゃわたしの方が速いよ。このまま、遅刻してしまえ。
と、思った瞬間いきなり某女史は私の肩に当たってきた。
「いたい!!」
わたしはこの女から突き飛ばされ、思いっきり頭を打った。
半開きの某女史のスクールバックから、何かがこぼれてくる。
わたしが痛みを堪えている間に、非情にもチャイムが鳴ってしまった。
まるで処刑台の扉が開く音のように…。
目の前に某女史の持ち物か、桜色のハンカチとリップ、そして手鏡が落ちていた。
いたいけな子犬を突き飛ばした罰だ。わたしがもらっておこう。

のそのそ教室に入ると、担任教師からの一方的な裁判を申し渡された。
「三秒の遅刻も許さん。クラスメイト28人、わたしを含め29人。計87秒待たせたわけだ」
クラスメイト全員の目の前で冷徹な担任教師に、もみ上げを引っ張られクラス中の冷笑を浴びせられる。
全く持って無茶苦茶な理論だ。只でさえ嫌いな教師という人間に殺意を覚える。

一時間目の数学は、頭に超が付くほどヒマだ。
わたしの席は窓側にあるため、ガラス越しの陽気が眠気を誘う。さらに、クソつまらない授業の相乗効果ときたもんだ。
遠慮なくわたしの睡眠タイムとさせていただこう。

「ポチったらだめよ…、よしよし。こんなに大っきくしちゃって。わたしも見てよ…。
ほら、わたしの脚を広げて見せてあげる。ふふふ、こんな所見るの初めてでしょ?
あーんして、わたしのジュースをうんと舐めてごらん」
夢の中では、ポチは思い通りに動いてくれる。
「…すっごく、わたし濡れてるよ。ねえ、こんなに濡らしたのポチのせいでしょ?
このままほっぽて行く気?そんなことしたら…ポチ、殺すよ」
もう、ホント朝っぱらから何考えてるんだろう。でも、夢の中はわたしの絶対王政。
このまま続けさせていただく。
「なに?わたしに歯向かう気?ふーん。…ちゅっ…。わたしのキスも無駄にするの?
二度とポチのアソコを舐めてあげないよ?…イタっ!!何?今の?」
ポチめ、夢の中とはいえ調子付きやがった。
「調子に乗った?わたしのかわいいイヌミミを引っ張っちゃうの?いたたたたっ!
ふーん。なんだか偉そうじゃない。ホント、いじめるよ」
「ほうほう、教師をいじめるとはいい度胸だ」
我に返ったとき、わたしは数学教師からイヌミミを引っ張られていた。
クラス中がどっと沸く。あの某女史もクスクス笑ってる。
くそっ、ムカツクなあ。

いつもはゆううつだったお昼の時間。
今日は一人でお弁当を食べないで、ポチのクラスへ行ってみよう。
こんなクラス、居るだけで空気が悪すぎる。
「ポーチ!ごはん食べよ」
ポチは相変わらずおびえた顔で、一人で購買部で買ったサンドウィッチを空けようとしていた。
ぱっと見、今朝のチワワ娘は教室には居なかった。
どうせ、外でお弁当を食べてるんだろうな。ラッキー、二度と戻ってくんな。
ズカズカと遠慮なくポチの教室に入らせて頂こう。
ポチのクラスメイトたちは、わたしのことをじろじろ見るが、気にしない。
ポチの向かい側の椅子が空いていたので勝手に座り、ポチの机でわたしのお弁当を開く。
「ポチ、おひさー」
「…う、うん(なんで、この人ここが分かるんだろう)」
きっとポチは恥ずかしがり屋さんだから、照れてるんだろう。
人差し指でポチのおでこをツンと突付くと赤くなった。
「ポチのそういうシャイなところ、わたし好きだよ」
今日一番気分がいい。わたしの尻尾も絶好調。
「『イヌは恩を三年忘れない』っていうからね。でも、わたしはポチのことずっと忘れないと思うんだ」

今日のお弁当は俵おむすびに鳥のから揚げにナポリタン。
ポチは、たった三きれのサンドウィッチとパック牛乳。食べ盛りなのに足りるのかなあ。
「ポチ、お腹空かないの?」
「今日は、もうお腹いっぱい…」
「ダメダメ、男の子はもっと食べなきゃ」
わたしは、から揚げのかけらを口に咥え、ポチの顔に近づけた。
「ふら、ふぁーんひて(ほら、あーんして)」
びっくりしてポチは遠慮している。周りのクラスメイトたちはガヤガヤとざわつきだした。
(ポチからわたしにキスできる絶好のチャンスだよ…)
ポチが、なかなか煮え切らないので、わたしはポチの頭を無理矢理両手で掴み、ずいとわたしの方に手繰り寄せると、
口移しでから揚げをポチの口に放ってやった。世界一甘ーいから揚げ。
ちょっと、ポチの唇に当たったかな。
餌付けは大成功。ごはんをちゃんと食べたご褒美に頭をよしよしとなでる。
「きょうも学校終わったら、ワンワンしようね。わたしね、絶好の場所見つけたんだ」

お弁当箱をしまい、まだ牛乳を飲んでいるポチとだらだらしていると、今朝のチワワ娘が友達を連れて帰ってきた。
その子の周りは華やいでいて、モテモテな女子中学生のお手本のよう。
羨ましくもないし、見ていて腹が立つ集団だ。
突然、彼女達が止まった。しかも、わたしのほうを見てなにかボソボソと話している。
「ねえ、見てよ。あの子、動物みたいな耳と尻尾つけてるよ」
「自分でかわいいって思って付けてるのかなあ?チョー浮いてるし、うけるー」
うるさいな。好きでこんな格好をしてるわけじゃないぞ。
さっきまで彼女達に、ぱあっと咲いていた華やかな向日葵が、一瞬にしてドクダミに変身した。

すると、チワワ娘が、仲間同士で耳打ちを始めた。
「……」
「きゃははは!」
ポチとわたしの方を指差して笑っている。
残念ながらわたしのイヌミミは本気を出せば、どんな小さな声でも聞こえる。
「わたしのね、お姉ちゃんのクラスにね、あんなイヌみたいな耳と尻尾の子がいるんだって。しかも、ちゃんとした耳と尻尾なんだよ」
チワワ娘はわたしのクラスの誰かの妹なのか。
「しかもね、その子ったらすっごくひねくれていてね、クラスから浮いてるんだって。
むかつくから、この間お姉ちゃん『デートがあるって嘘ついて、アイツに教室掃除ぜーんぶ押し付けてやった』って」

なんですと!チワワ娘はあのクラスのちょっと美人(らしい)某女史の妹だったのか。
姉妹そろってなんて性格の悪い奴なんだろう。
そんな奴らとポチが仲がいいことに腹が立つ。あいつら、ポチを横取りする気だな。
「ちょっと!ポチ行くよ!」
わたしは、牛乳パックを握ったままのポチを無理矢理引っ張って教室を出た。
入り口でチワワ娘の肩に当たり、チワワはこけそうになった。

わたしは、ポチを屋上への階段に連れ出し問い詰める。ここは普段誰も通らない秘密の場所。
折角、今日の放課後ここでポチとワンワンしようと思っていたのに、一転して説教部屋になってしまった。
わたしはポチより二段ほど上に立ち、反逆者を見下ろす。
「あの子と仲がいいの?」
「誰のこと?」
「ほら、あのチワワみたいなくせっ毛の…」
「…ちはるちゃん?ただのクラスメイトだよ」
下の名前でポチが呼んでいることにムカつく。
俯きながら、ポチはチュウチュウと飲みかけの牛乳を飲んでいる。
「あのチワワと、すっごく仲良さげじゃん」
「…」
「わたしより、あのチワワと話してる方が楽しいんだ?」
わたしは、ポチの飲みかけの牛乳をひったくり、ポチのズボンの上から股間にぶっ掛ける。
「…ひどいや…」
ポチは今にも泣き出しそうだ。泣かしちゃえ、もっといじめてやるぞ。
一段降りると、丁度わたしとポチの顔が真正面に来る。首筋をかぷっと甘噛み。
「あんっ」と、小さな声がわたしに聞こえたが、痛みに耐える声というより、辱めに喜ぶ声に聞こえた。
「逃げてもいいんだよ。でも、ホントに逃げたら本っ気で噛むからね」
わたしの飼い犬ポチは、主人の命令に従順に従う義務があるのだ。
わたしの太ももで、牛乳まみれになったポチの股をさすりながら辱めを与える。
「ホントにお前はミルクくさいねえ。早くズボンを脱いだらどう?お漏らしさん」
わたしには、猟犬の血が流れているのだろうか。
獲物を一発で仕留めるより、じわじわと責める狩りがわたしのスタイル。

「他の飼い主の所に行かないように、ちゃんと毎日エッチなものを搾り取らなきゃね」
ぴょんと段から飛び跳ねポチの後ろに回り、思いっきりポチの尻を引っぱたき罵声を浴びせる。
「パンツも脱がないで、乳絞りできないでしょ!」
ゆっくり恥ずかしそうにパンツをずり下ろした。
わたしは、ポケットから午前拾った桜色のハンカチを取り出す。あのクソ憎たらしい某女史のもの。
わたしが拾ったんだから、好きにしてもいいよね。
ハンカチをポチのオスの部分を包み込み、軽く握ってやる。
「遠慮なくこのハンカチにミルクをぶっ放しなさいよ」
わたしの手でハンカチの上から優しく擦ってやると、ポチのあえぎ声と共に、次第にガマン汁で湿っていった。

「ふふふ。ポチ、かわいいよ、ポチ」
ポチの匂いを楽しみながら、右手にハンカチに包まれたオス、左手でシャツの上から乳首を攻める。ポチは一瞬大きな声を出す。
「あううっ」
「大きな声を出すと、チワワに見つかっちゃうよ?いいの?」
「…ごめんなさい…」
「へへへ、ホントは見つかって欲しいんでしょ?チワワちゃんに見てもらいたいんでしょ?
『みなさんみてください』って、『ぼくは、こんなに恥ずかしいことされるのが大好きです』って」

ポチの息が荒くなる。オスの先っちょから白濁の蜜が飛び散りそうなのだ。
でも、わたしはそれを許さない。簡単に飼い犬の言うなりになってたまるもんか。
「…イキそうだよ…」
「はあ?イヌっころの癖に勝手にイクんじゃないよ!もう、ワンワンしてあげないよ!」
わたしの言葉に刺激を受けたのか、そのままポチの白濁の蜜が噴出した。
ハンカチを通じて、私の手が暖かくなりツンと鼻のつく香りがしてきた。
桜色のハンカチを広げると、ポチの白濁の蜜でベタベタになってた。
「…もっとワンワンしたかったのになあ」
わざと、わたしは手のひらのポチ蜜を舐めながら、ツンと拗ねてみた。

「さて、いっぱい出たよ…。もっと出してみる?」
ポチはぶんぶんと、泣きながらクビを横に振った。
しかし、このままでは、ポチが他の飼い主になびいてしまうんじゃないかと不安に刈られる。
完全完璧に服従させなければ、このままじゃ、ポチはダメイヌになってしまう。
と考えていた矢先、あるものを思い出した。
それはリップと手鏡。ハンカチと一緒に拾った某女史のものだ。さんざん利用させてもらうぞ。
「ポチ!お回り!!」
ポチは素直にくるりとわたしのほうを向いた。
リップで、ポチの下腹部からまだまだ元気な先っちょにかけて、ポチにぴったりの文字を書いてみた。

『ぼくはイヌです』

リップの文字を手鏡に写して、日本語を読む芸を仕込む。
「ほら、ポチはこの字が読めるかなあ?」
「…ぼくは…いぬです…」
「はい、よくできました。えらいえらい」
飼い犬が芸を覚えたら、ご褒美をあげよう。これで、二度と私の手元から逃げられないぞ。
「いじめてごめんね」の意味を込めて、かわいいポチの先っちょをぱくりと咥える。
昼休みの終わりを告げるチャイムが聞こえた。

「反省した?」
「…わん」
わたしへの反抗は許さないぞ。