今日、僕は好きなあの子に告白して、見事なまでに振られた。
振った理由は、既に好きな人がいると言うありきたりな理由だった。
それに子供は如何も……とも言われた。………同級生に向かって、それは酷いよ。

この時、僕はハートブレイクの痛みと言うものを初めて知った。
ちなみに、振られる、と言う言葉の語源は江戸時代の遊郭で使われていた、袖に振ると言う言葉から来たらしい。
……もう、そんなの如何でも良いけど。

しかも、その日、帰りに財布を落とした事に気付いた。
振られた痛手を、せめてお菓子のヤケ食いで晴らそうかと考えた矢先に気付いた事だった。
何処に落としたのかもさっぱり分からず、涙目で彼方此方探したけど、結局財布は見つからなかった。
小遣い、貰ったばかりなのに……。

そんなこんなでブルーな気分で家に帰ると、誰も居ない家の中、
テーブルの上に『結婚15周年の2泊3日の旅行に行ってきます』との書置きと共にカップ麺が数個置かれていた。
どうやら、僕は完全に置いて行かれたらしい。……何かひとこと言ってから行ってくれよ!
しかも数日間カップ麺で過ごせとは……適当にも程があるよ……

その後、僕はこの事を家に飼っている秋田犬のハナコに愚痴ったけど首を傾げられ、
何とも言えない虚しさを感じた僕は愚痴るのを止めた。

その日、夜御飯に食べたカップ麺は、流した涙の所為か何時もより塩辛く感じた。
今日は今までにないくらいに最悪の1日だった、もうとっとと寝てしまおう……。



―――僕が布団に入って、眠気に身を任せてからどれくらいの時間が経ったのだろうか?

「起きるのです」

不意に、透き通った声と共に誰かに揺り起こされ、僕は目が覚めた。

「やっと起きたのです」

目を擦りながら身を起こし、寝ぼけまなこで僕を揺り起こした相手を見ると、それは裸の少女だった。
見た感じ、年齢は僕よりか下か同じ位か、黒のショートカットのどちらかと言うと美人と言うより可愛らしいタイプ。
でも、立ち姿を見る限り、背は年の割に僕より少し高いみたいだ。生憎、胸は小さいけど。
で、その少女は何故か頭に、コスプレで良く見るネコミミを付けていた
――いや、少女の腰にパタパタと左右に振られる犬の尻尾があるあたり、この場合はイヌミミと言うのだろうか?
それにしても良く出来ている。尻尾もそうだけど、耳は音に合わせてピクピクと向きを変えて……

……って、何を観察してるんだろ、僕、
ああ、そうか、振られたショックの所為で妄想が末期状態になったんだな?
ハハ、なんてリアルな妄想だろー

「……酷い夢だ、寝よう」

直ぐにいろんな意味で虚しさを感じた僕は、今起きている事を夢だと決めつけてとっとと寝なおす事にした。
おやすみ、謎のイヌミミ少女、朝になった時に消えている事を祈ってるよ。

「ちょ、ちょっとなんでまた寝るんですか、起きるのです!」

ああ、どうやら僕の妄想は相当酷い所までキテいる様だ、僕を何度も揺り起こそうとするなんて、かなりしつこい。
良いから妄想はとっとと消えてくれ、僕は今直ぐ寝てしまいたいんだ。

「んもーっ、仕方がないです! 最期の手段です!」

ハイハイ、最期の手段は良いから妄想は消えて……

「ん? むぅ――――!?」

次の瞬間、唇に柔らかい物を感じると同時に、中ににゅるりと入りこむ柔らかい物で僕は再び目を覚ます事になった。
しかも入りこんだ柔らかい物は、グネグネと僕の口の中を撫でまわし、更に舌にねっとりと絡みついてきた。
驚きながら目をあけて見ると、僕の目の前には妄想である筈の少女の顔がどアップであった。
と、と言う事は、こ、これは、キ、キス!?

「………ん、ふぅ……もう、面倒かかせるなです」

そのまま抵抗する事も出来ず暫く口の中を舐りまわされた後、やっと少女が口を離す。……あ、涎が……
キスされた事に呆然とする僕に、少女は腰に両手を当て不機嫌そうな表情を浮かべて怒っていた。

「え、えっと……君、誰? それに何時の間に僕の部屋に?」
「ボクは名乗るほどの者ではないのです、それとくだらない事は気にするなです」

僕の疑問は少女によってあっさりと言うほどなまでに切り捨てられた。酷い。

「それより、ごしゅ…違った、君は今日、彼女に振られた上に財布を落として更に自分一人を置いて両親が旅行に行って、
かなーりブルーな気分ですねっ? そうですねっ?」
「え?…あ…うん……そうだけど……何も、2度も聞かなくても良いジャマイカ……グスン」

やっぱり今日は最悪な1日だ、訳の分からない少女に痛い所突かれてまた悲しくなるなんて……。
ああ……何だか涙があふれてきた。

「あ、ちょ、ちょっと、泣かなくたって良いじゃないですか? ボクの話はまだ終わってないのですよ!?」
「……何さ? また酷い事言うんだったら僕は寝るよ?」
「大丈夫です! ですから、今、悲しい気分のごしゅ…オホン…君を、このボクが慰めてあげると言うのです!」
「……はあ?」

少女の言った事に、僕は間抜けな声を漏らすと同時に首を45度ほど右に傾けた。
………なんか、さっきから僕の事を言おうとする時、何かを言い掛けてるけど、何だろう?
まあ、訳の分からない少女の言っている事だし、深くは気にしないで置こう……。

「さあ、今日の悲しみをこのボクが癒してあげるのです!……ゲホゲホ、だからどーんとボクに任せるのですよ!」
「いいよ、慰めなんて……今更要らない」
「なっ、何でなのですかっ!?」

少女が自信満万なまでに胸を張り、片手でドンと胸を叩いて少し咽つつ言うのだが、
そっぽを向いた僕の返答に、少女は驚きの声を上げて慌てて尋ねる。

「訳の分からない少女に慰められても、余計に悲しくなるだけだからだよ……」
「ガ、ガーン、です!」

僕の言葉にショックを受けたのか、少女はわざとらしい位に大きなリアクションを取る。
リアクションに会わせてイヌミミや尻尾が動くあたり、このコスプレは良く出来ているみたいだ。
しかし、さっきから思っているんだけど、この子、なんで裸なの? 目のやり場に困るじゃないか。

「……む、むぅ……そう言われるとは予想して無かったです(ブツブツ」

…あ、なんかイヌミミと尻尾をしょげさせて壁に向かってぶつぶつと言ってる、ちょっと酷い事言っちゃったかな…?
なんて考えていると、少女はやおらこちらに向き直り、

「ならばこうなればです! 強硬手段でいくです!」
「―――へっ?……うぁっ!?」

少女の言葉に反応するよりも早く、僕は少女に飛び掛られそのままベットに押し倒された。
ちょ、いきなり何するの、この子!?

「こうなったら、言葉でよりも身体で慰めてあげるのです」
「ちょ、ちょっと待って、身体でって、如何言う事!?」
「こー言う事に決まっているのです」

少女の行動に慌てて尋ねる僕に、少女はごく当然の様に答えると僕の手をとっておっぱいに押し当てる。
うあーおっぱいって柔らかくてあったかいんだなー……じゃなくて!

「ま、待って待って、好きな人とやるのなら兎も角、いきなり見ず知らずの僕とこんな事するなんて良くないよ!」
「大丈夫です、ボクはごしゅ…マーマーマー、君の事が大好きですから問題ナッシングです!」
「えっ、ちょ、問題ありまくりっ――うあっ」

直ぐに我に帰った僕は、説得しつつ必死に少女を両手で押し止めようとするのだが、
少女にあっさりと切り返されると同時に、女の子とは思えぬくらいの凄まじい力で再び抑え込まれてしまう。
ああ、柔らかいおっぱいとかが身体に押し当てられて……おちんちんが……

「ほら、ここも慰めて欲しいと言っているじゃないですか」
「あうう……」

直ぐに少女はおちんちんが大きくなった事に気付き、
僕に圧し掛かったまま片手をズボンに突っ込み、そっとおちんちんを握ると上下に扱き上げる。
それに対し、僕は情け無い声を漏らすしか出来なかった。

「さ、服を脱がすのです、破かれたくなかったら大人しくするのです」

僕の抵抗が無くなった事を良い事に、少女は片手でおちんちんを扱きつつ、もう片方の手で僕の服を脱がして行く。
そのまま僕は何する事も出来ず、あれよあれよと言う間に素っ裸にされてしまった。……は、恥ずかしい……

「さて、最初は口で気持ち良くさせてあげるのです……あむ……ぴちゅ……」
「――は、ああうっ!?」

見ず知らずの少女に裸にされた事に、僕が恥ずかしがる間も無く
少女は大きくなった僕のおちんちんを口に咥え、舌で先っぽをチロチロと舐め始める。
その余りにもの気持ち良さに、僕は身体をびくりと振わせ、思わず情け無い声を上げてしまった。

「ちゅぶ……出ひたくなったら…ぺろ…我慢せず、ぺちゃ…何時でも出すのでひゅ…」

ちょ、おちんちんを咥え ながら 喋るのは止め てっ !
気持ち 良過ぎる よ !?

「先走りの液が……ちゅば、出てきたでしゅ…ちゅう、…気持ち良いのでひゅね」

あ、ああっ!? 吸うのも 止め て。
気持ち良さで、腰から 頭が、痺れて 何も 考えられ なくな  る。
あ、熱い 何かが、腰の奥から 込み上げて きた 

「ちゅ…先っぽが膨らんできたでふ、ちゅばちゅば…そろそりょみたいでひゅね」
「あうあうあう……」

僕の顔を 少女が 上目遣いで、見てる。
ちょっと、なに するの?

「……ぢゅ、ちゅるるっ」

ふぁ 一気に、吸われ !
 もう  駄 目  我慢  出来 な  !

「――――――あ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「んっ、んくっ……」

うぁぁぁぁぁ、やっちゃったぁぁぁぁぁ……見ず知らずの少女の口の中に精液を出しちゃったぁぁ!
しかもなんかこの子、何とも言えない顔で精液をごくごく飲んでるしぃぃ!?

「んぐっ、くふっ……ちゅぶ、んぐ」

更にどくりどくりとおちんちんから精液が出続けてるのに、
この子、全然口を離してくれない。それ所かストローでジュースを吸うようにチュウチュウと吸い続けてる!

「……ぷはっ、いっぱい出たです、ご馳走様です」

そして、おちんちんから精液が出なくなるまで吸い続けた後、
少女はゴクリと喉を鳴らして口の中の物を飲みこむと、おちんちんから口を離しにっこりと笑う。
その顔は可愛いんだけど、口の端から白いのが漏れてるよ……

「さて、今度はこっちで気持ち良くさせてあげるです」
「うぁっ」

言って、少女は尻尾を振りながら、まだぜえぜえと荒い息を漏らす僕の腰の上に身体をずらすと、
腰を少し浮かせて、僅かに毛が生えたアソコに僕のおちんちんをの先っぽを押し当てる。
熱くぬるりとした感触を先っぽに感じた僕はまたも身体をびくりと震わせ、情け無い声を上げてしまう!

「ちょ、ちょっと待って、ここまで行って言うのもなんだけど、さすがにこれは良くないよ!」
「今更つべこべ言うなです、男ならびしっと覚悟を決めるのです」
「だ、だけどっ」
「アーアーキコエナイキコエナーイ です」

ちょ、わざわざ耳を伏せて聞かない振り!?

「とにかく、さっさと行くです!」
「ちょ、やめっ」

叫ぶ様に言うと、少女は一気に腰を沈めた!
あ、ずぷりと音が聞こえ

「ひゃっ、あうあうぁぁぁっっ!?」
「あ、きゅぅぅぅぅんっ!」

にゅるりと僕のおちんちんが、少女の中にっ 入った!
中は熱くて柔らかくて、それでいてぬるぬるざらざらしてるっ、これは、気持ちが良い!

「ど、どんどん、中に入っていくです」
「うあぁぁ……」

うあ、ぬぶぬぶって、おちんちんが、奥に入っていくっ!
中の熱いひだひだが、おちんちんの全体と擦れて、にゅるにゅると絡み付いて来るっ!
あ、何かこつんって先っぽにぶつかった……ひょっとして、奥まで入っちゃった!?

「ごしゅj、ゲフンゲフン、君の童貞、頂いたです。 気分は如何ですか?」
「あ、あふぁう、あへぁ」

さようなら、僕の貞操、そしてこんにちは、大人になった僕。
ああ、でも……気持ち良さの所為でまともに答えられないよ、これじゃまるで僕が馬鹿みたいだぁ……

「それじゃ、動く、です」
「ら、らめぇ……」

ああ、らめぇって言葉、本当に出るんだ……うあ、ずっ、ずっ、って動き出した。
動くたびに、おちんちんを、ひだひだが締め付けたり吸いついたりして、気持ち……良い!

「あふんっ、きゅうんっ…くぅん!」

ちょ、動き、激し過ぎ! もうちょっと、緩め てっ!
おちんちんが、舐り回されて、じんじんと痺れて 来るっ!
あ、でも、かってに、腰が動いて 突き上げちゃうっ!

「あんっ…気持ち良いよ…っ! ご主人もっ、気持ちいいっ、ですかっ?」
「あ、うんっ、気持ち良いっ。うあっ…くっ!」

あ、何か、言ってる けど。気持ち よ過ぎて、何も 考えられ ない。
うあ、また、熱い のが、込み上げて きた。

「もう…駄目っ、また…っ 出ちゃう…!」
「良いですよっ! ボクの中に…っ、いっぱい、出しちゃって…良いっ、ですっ!」

出しちゃって、良い の? でも、やっぱ 良くない よ。
あ、ずちゅんって 腰が ぶつかって おちんちんが 奥に もう  駄目 頭の中  真っ白
我慢   無 理   …  出  ちゃ  … u   !

「あうあうあうあうあうあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「きゃうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅんっ!?」

次の瞬間、僕は少女の中に白濁をぶちまけた。
同時に、少女も限界に達し、僕のおちんちんをギュウっと締め上げると共に身体を仰け反らせて絶叫し、
そのままドサリと僕の身体に倒れこんだ。

「………気持ち、良かったですか?」

暫くの間、僕と少女がお互い抱き合ったまま肩を上下させ荒い息を漏らした後。
少女が顔を上げ、まだなお恍惚冷め遣らぬ表情で僕に尋ねてくる。

「う、うん、気持ち良かった」

尋ねられた僕は息を整える暇もなく、思わず答える。
だが、それがいけなかった。

「良かったです、なら、もっと気持ち良くさせてあげるです!」
「え? ちょ、やめっ たすけ、ああ、あ、あうあうあぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!」

それに気を良くした少女は、再び腰を動かし始め、
僕が制止の声を上げようとするも、おちんちんから押し寄せる快感の波に思考が飲みこまれ声にならず。
そのまま僕は、少女のされるがままになってしまったのだった。

それから僕は10回以上イかされた様な気がするが、それ以外は良く憶えていない。

「……で、君は一体何者なの?
なんか良く思い出して見たら、僕の事をご主人って呼んでたみたいだし、
如何言う事なの? 事情を教えてよ」
「……きゅーん……」

翌朝、僕は目を覚ますなり、僕の上に圧し掛かったまま寝ていた少女を起こしてベット側に正座させると。
服を着た僕はその向かい側に座わり、少女を問い詰めた。
対して少女はと言うと、何処か申し訳無さげに耳を伏せ、更に尻尾を股の間に隠してしょげ返っていた。

「えっと……実はボク、ご主人の飼っている犬のハナコなんです、
今まで人間の姿に変身できる事を隠してごめんなさいです」
「へー、なーんだ、君はハナコだったんだー……って、ゑ゛? ウソ?」
「ウソじゃないです。 だったら証拠を見せるのです……とうっ 変身解除です!」

言って、少女は掛け声と共にポーズを取り、くるりと宙返りすると同時にボワンと煙が上がる。
その煙から現れた姿は僕の見知った犬のハナコの姿。
そして、犬の姿で「変身、とうっ! です」と掛け声を上げて、またも宙返り&煙と共に再び少女の姿に戻って見せた。

「如何です、これで信じたですか?」
「で、でも、あの時は僕の話を聞いていなかったような感じだったじゃないか!?」
「犬の姿の時は、小さな声を良く聞こうとして首を傾げる時もあるのです。
あの時、ご主人が余りにもぼそぼそと言うのでボクは良く聞こうと首を傾けていただけなのです」
「…………」

この時、もしも僕の目の前に鏡があったのなら、さぞ間抜けな表情を浮かべた僕の顔が見えた事だろう。
それだけ、目の前の少女、否、ハナコが言っている事がトンデモな事だったからだ。

そ、そーいや、この子のイヌミミと尻尾に何処か見覚えがあるなぁとは思ってはいたけど……
まさか、僕の家に飼われている秋田犬のハナコだったなんて……
道端に捨てられていたのを拾ってから、僕がずっと世話していたけど、今まで知らなかった……。

「ごめんなさい、ご主人。ボクはご主人を慰めるつもりが逆に迷惑をかけてしまったみたいです。
もうボクはここには居られません。だからさよならなのです」
「待って! 何でさよならなんだよ!」

言ってハナコは立ち上がり、そのまま何処かへ立ち去ろうとする。
無論の事、僕はハナコの肩を掴んで引き止めて言う。

「ボクは普通の犬じゃないから、多分、その事でこれからご主人に迷惑がかかると思うからです。
それに、ご主人に対してあんな事をしてしまった以上、ご主人に顔向けできないからです」

言って振り返ったその顔は涙にまみれ、表情を悲しげな物に変えていた。
うーむ、これは本気で出ていく気じゃないか、これは何とか説得しないと……。
……って、何だか、立場が逆転している様な気がするけど、まあ、この際、気にしないで置こう。

「過ぎた事はもう気にしないよ。もうやっちゃった事だし、と言うか気持ち良かったし……。
それに、ハナコが普通の犬じゃなくても、ハナコが僕たちのかけがえのない家族の一員である事には変わりはないよ。
だから、出ていくなんて言わないで。ずっと居ても良いんだよ」
「でも……」
「大丈夫、僕にも考えがあるから」
「……?」

笑顔を浮かべて言った僕の言葉に、
意味が分からなかったのか、それとも良く聞き取ろうとしたのかハナコは首を傾げた。

―――それから数ヶ月後

「はやくはやくー! もっと走るのです!」
「ちょっと待ってハナコ、先先行き過ぎだよ」

朝、何時もの通学路で元気に先を行くハナコとそれを追う僕の姿があった。
因みに、僕もハナコもそれぞれ同じ学校の学生服とセーラー服を着ていたりする。
そう、あれから、僕は旅行から帰った父さんと母さんに事情を説明した後(あの夜の事は内緒だけど)
僕の提案により、ハナコを親戚の従妹と言う事でペットから本当の家族の一員にしたのだ。
この世の中、獣人と言われる人達が彼方此方に居るおかげで、ハナコのイヌミミと尻尾は意外と目立たなかったりする。
無論、ハナコの事は獣人と他の人達に言っている。

多分、今に至るまで、役所への書類手続きは相当大変だったと思うけど、
父さんも母さんもとても協力的で(両親曰く、妹が欲しかったの事)本当に助かったと思っている。
今では、両親にとってハナコはかけがえのない家族の”本当の”一員だ。
まあ、だけど、少し困った事もある。

「もう、ご主人はゆっくりし過ぎなのです もう少しボクに合わせるのです」
「ねえ、ちょっと言いたいけど、外で僕の事をご主人と言うの止めてくれない? 凄く恥ずかしいんだけど」
「あ、ごめんです、ご主人」
「……ねえ、僕の話、聞いてた?」
「聞いていたです、けど、ボクは君の事はとっても大好きですから、
君の事をつい、ご主人と呼んでしまうのです、ボクの癖なのです」

そう、それは未だにハナコが僕の事を「ご主人」と呼ぶのを止めてくれないと言う事だ。
人前で、それも学校で言われると周囲の人達に変な目で見られ、同級生からはからかわれとっても恥ずかしい。
けど、それが嫌、と言う訳ではない、むしろ満更、と言った感じもする。
何せ、彼女は誰よりも僕の事を思っていてくれているのだから。

「ご主人、また何か悲しい事があったらボクが慰めてあげるのです」
「はは、あの日の時と同じ事は勘弁してよ?」
「大丈夫です!………多分ですけど」
「多分って……まあ、良いや、その時は頼んだよ」
「どーんと任してくださいです! ご主人」

数ヶ月前のあの日、今日は最悪の1日だと、その時の僕は思っていた。
けど、今では最良の1日だったと僕は思っている。

だって、その日は、僕にとって大切な恋人の出来た日なのであるから。