「これが道場か…」
そう言って、剣道着姿で防具袋を担いだ僕は道場を見上げる。

僕の名前は藤平 進吾(ふじひら しんご)。大学一年生。小学校の頃から剣道を始めて早十年。
始めは我が子の泣き虫を治したい、と親に無理矢理やらされたのだが、だんだん自分に切り離せない存在になり、
自慢だが高三のとき、つまり去年、高校生の頂点に立った。するとこの大学から推薦のお呼びがかかり、
この春晴れて大学入学&剣道部に入部ということになった。
心持も新しく、いざ、入り口で一礼をして、道場の中へ…

一対一で相対する面、甲手、胴、垂をつけた人達。
響く竹刀と踏み込みの音、打突の前の、猛々しい「やぁーーーーーーー!!!!」という掛け声。
やっぱりいいなぁ……

と、一人面をつけていない道着姿の女性がこちらへ駆け寄ってきた。
「あなたが藤村くん?」
「あっ、はい…」
「わたしマネージャーの山口っていうの。よろしく」
「よろしくお願いします」
山口さんは向こうに掛かっている大時計を振り返って確認すると、
「ラストーーーーーーーー!!!」
大声で稽古中の面々に呼びかけた。
「丁度休憩に入るから皆に自己紹介してね」

「はじめまして。藤平進吾といいます。先輩方に負けないように一生懸命頑張ります。」
パチパチパチパチ…
先輩たちの拍手の中、僕は彼らの顔を見渡す。

と、一番左の女の人を見た瞬間、目が止まった。

いや、釘付けになった。

汗に濡れて項垂れるストレートの銀髪。
純白のきめの細かい肌。
そして、綺麗なブラウンの瞳、きりっとした表情、女神のような笑み。

……僕はその場に棒のように突っ立ったままになってしまった。

……一目惚れ、してしまった。
「藤平くん」
「はっ、はい!」
ボーっとあの人のことを考えていたところを、山口さんに不意打ちされる。
「あの子の事、気になったでしょ?分かりやすいね、君」
「エッ!?いやいやそんな…」
意地悪に言われ、あからさまに戸惑ってしまった。ほんとに分かりやすいなぁ、僕。

「まぁ、無理も無いか。去年のこの大学のミスコンのグランプリだし……あ、この剣道部の主将だよ、彼女」
……すげぇ

「彼女のこと教えて欲しい?」
「……はい」
「じゃあ、これ持ってね」
「え、ちょっと(ズシッ)重ッ!!!」

スポーツドリンクがなみなみと注がれたタンクを運ぶ代わりに彼女のことを教えてもらった。
彼女の名前は迅野 風子(じんの ふうこ)
スポーツ推薦で入学したわけでもないのに、彗星の如く剣道部に現れ、
とんでもない強さを発揮。二年生で主将というポジションに就いた。
しかも奇妙なことに、彼女は無段、つまり段位を持っていないのである。

一通り話してもらい、僕は一番気になることを聞いた。
「あの、迅野先輩は彼氏って……」
「あ、いないよ」
それを聞いて僕は心の中でガッツポーズ!!! が、しかし……
「皆気に入って貰おうと頑張るみたいだけど、御眼鏡に適わないみたい。
男にはメルアドすら教えないみたい。まぁ、グランプリだからねー」

やっぱり理想は高いのかぁ……と、ちょっと落胆しているところに、
「みずきー、新入り君と何話してるの?」
キタ――――――――――――――!!!!!
俺は興奮している感情を悟られないように、会話を試みた。少しはいいイメージ残さないと。

「あああああの、じ、じじじ迅野先輩……」
「あ、風子でいいよ。てゆーか、何でそんな喋り方なの?」
「あっ、は、はい!す、すいません!!」
「あははっ、面白いなぁきみ。じゃ、練習頑張ろうねぇ」
「ちょ、え、ちょっと…」
隣では山口さんが僕を見てニヤニヤしている。

……ダメじゃん、僕。

とりもあえず、気持ちを切り替え、後半の練習から参加させてもらうことに。
毎週月曜日は、何グループかに分かれて総当り形式のリーグ戦を行うらしい。

さてと僕の組は……ってほぼ三年生ばっかじゃん!!!これはアレですか?世間一般で言う後輩いじめですか?
社会の厳しさを痛感しているところに、また不意に声をかけられた。
「ふーじひーらくーん」
「は、はいっ!あ、迅野先輩…」
「風子でいいってば。ところで、グループ一緒だよね?お互い頑張ろう♪」
それを聞いて僕はすぐさままだちゃんと目を通していないリーグ表を確認した。
一番下に【迅野】と書いてある。
よっしゃああああああ!!!ありがとう!社会の厳しさ!
よく考えれば、無駄にカッコつける必要なんて無いんだ。僕には大好きな剣道があるんだから。
剣道で迅野先輩に認めてもらえば、いいんだ。

そして第一試合。さっきまでのダメな僕は防具を全てつけた瞬間死んでいた。
相手が三年だろうと、関係ない。強いほうが勝つんだから。
ラインの引いてあるところまで進み、蹲踞(そんきょ)をして相手と自分が向かい合う。

「始め!!!」
試合の開始の掛け声とともにお互い立ち上がり、威勢のいい声で威嚇する。
と、立ち上がる瞬間少しだけ相手の先輩がよろめいた。本当にほんの少し、一瞬だけ。
しかし、当然それを僕は見逃さない。僅かに空いた面めがけて竹刀を思いっきり叩き込んだ。

「面―――――――!!!!!」

完全に決まった。僕のつけている襷と同じ色の旗が揚がる。
「面あり!」

しかしもう一本とるか時間切れを待たないと勝ちにはならない。
当然、時間切れを待つなんて野暮な手は、今の僕には考えられない。中央に構えなおし…
「二本目!」
審判がそうコールした途端、先輩はどうにかイーブンに持ち越そうと怒涛の攻撃を仕掛けてきた。
しかし焦っているのか大振りで、かわせないことは全く無かった。
それどころかその焦りによって先輩に隙が出てきた。これを見逃すなんて手は無い。
先輩の動きをじっくり見定め……

ドンッ!!!

その場で踏み込むだけのフェイント。すると先輩は面白いまでにビクリと反応し、
完全に打ち込めるだけのスペースがあらわになった。

「面―――――――――――――――!!!!!」

僕が打ち込むと同時にもう一度同じ色の旗が揚がる。すなわち、僕の勝利。
僕は心の中でにんまりと笑みを浮かべた。自信も芽生えた。

次の試合までサイドで先輩の試合を見学していると、ぽんぽん、と肩を叩かれる。
そこには自分の試合が廻ってきた迅野先輩がいた。
「すごかったよー!まさか三年生に勝っちゃうなんて!」
「あ、ありがとうございます…」
「次の試合も頑張ってね!」
面越しでも一瞬で美しいと判断のつく笑みを残して迅野先輩は試合へと去っていった。
気がつくと、その笑顔とお褒めの言葉で僕の顔は真っ赤になっていた。面つけてて良かった…

そして先輩の試合が始まる。さてさて気を取り直して二年生キャプテンのお手並み拝見……

……!!!!!!!

僕は目を疑った。先輩の……腕前に。
竹刀の振りが早いとか、反射神経がいいとか、面打ちが上手いとか、そんなレベルじゃない。

全てが……すごい……

気が就けばもう先輩は勝利をもぎ取っていた。残酷なまでに圧倒的な勝利を。
僕の、三年生から勝ちをさらって築いた自信は無駄なものになってしまった。

そうはいったものの、やはりやる以上は勝ちたい。三年生相手でも怯まず向かっていった。自分を信じて。
とうとう最終戦を残すのみになった。今の戦績は、二勝三分け。
そして最後の相手は……今、僕の横にいる人。

「最後は藤平くんが相手かぁ……油断できないね、こりゃ。わたしを除けば唯一負けてないし、ね」
そう、迅野先輩だ。今までの試合を見て尻込みしていたが、やはり先輩には認めてもらいたかった。だから……

「先輩、もし、僕が先輩に勝ったら……メールアドレス教えてください!!!」
そう言って深々と礼をした。勝てる見込みはほぼ無い。どうにか先輩に二勝した自信がかろうじて僕を支える。
でも、こんな一途な気持ちなったのは剣道以来だった。がむしゃらに、ひたすら前へ進んでた。そして今も……

俯いてる僕に先輩の表情はわからない。先輩の反応が無い。
やっぱり、嫌われちゃったか…・・・

「藤平くん、まっすぐだね。わたしそういう男の子、タイプだな」
僕はその言葉を聴いて絶望感漂う上半身と顔をを本来あるべき位置にたたき起こした。先輩は僕に笑いかけていた。
「いいよ、もし藤平くんが勝ったら、アドレス教えるどころか、つきあっちゃう♪」

耳を疑った。迅野先輩は何人ものいい男たちに気を引こうと必死にされてきたのだろう。
その先輩が……僕と付き合ってくれると……仰っている……
「ホントですか……?」
「うん、本当。その代わり、わたしが勝ったら、何でも言う事聞いてね?」
言う事聞いての内容は、どうせ一年間パシリとか、そんなもんだろうとしか考えなかった。
というよりも、先輩と恋人になれるという喜びが、僕の脳にそんなことをそれ以上考えさせなかった。
「はい!!!!!」
僕は幼稚園児よりも元気のあるであろう返事で、その条件を快諾した。
先輩と僕がお互い向かい合う。周りには部員全員が集まって注目している。
そしてきっちり散歩で陣地の中へ入り、竹刀を交え、ゆっくり蹲踞・・・・・・

「始め!!!」
遂に、始まった。僕と迅野先輩の試合が。
隙を見せたならば、恐らく瞬殺されるだろう。だから打つ暇を与えぬように、攻め続けようとした。
でも、そうして竹刀を振り上げた瞬間…

先輩の竹刀は、打ち込もうとして僅かに空いた甲手に寸分の狂い無く竹刀を叩き込んできた。
「甲手――――――!!!」
未だ見ていなかった、敵色の旗が先輩の一本先取を僕に知らせた。

あの一瞬を、見抜いた……

強すぎる……

僕自身を無理矢理鼓舞させた自信も、先輩に近づけるという期待も、その瞬間崩れ落ちた。
その比類なき強さに恐れすら感じた……
でもそんな僕を試合は待ってくれない……

「二本目!!」

その掛け声と同時に、恐れをなしていた僕の、その視界から迅野先輩が消えた。
気付いた頃には、先輩は浮き足立ってちゃんと取れていない僕の構えの下の隙間、胴を潜り込んで打ち抜いていた。
それが余りに強力すぎて、僕は本当に真っ二つに斬られたような錯覚を覚えた。
そして僕は鼻っ柱を完全に折られたのだ……
練習後、剣道部の部室に荷物を置き、一年生のため道場の掃除を任されて一人残った。一年生はまだ僕以外いない。
さっさと部室を後にして道場へ向かうべきなのだが、そんな気になれない。
僕はそこら辺のパイプ椅子に腰掛けて、ただただうなだれた。

これだけは誰にも負けないと信じていたものが崩れてしまう悲しみ。
あれだけ舞い上がって最悪の結果を招いてしまった自分への憎しみ。
……カッコ悪すぎる。
このまま誰も来なければ泣いてしまいたかった。でもそれは叶わなかった。

「ふぅ~。あ、藤平君お疲れ~。残念!メルアドゲットできな……
……ごめんね、空気読めなくて。あと、あんなに本気出しちゃって、ゴメン」
練習を終えた達成感に満ちた顔で部室に入ってきた迅野先輩。でも空気を察してか、すぐ真面目な顔に変わった。
「いえ……いいんです」
元気を示そうとそう言ったものの笑顔が伴わず、結果的に暗いニュアンスを残してしまう。
するとそんな僕を見かねたのか、先輩は僕の横の椅子に座り、僕を諭し始めた。

「……藤平くんみたいにね、自信を持つのはすっごく大切な事だと思う。でも自分の自信を過信しちゃダメ。
何事にも必ず相手っていると思うの。剣道も、それ以外でも。相手に努力して、打ち勝って、その人に感謝して、
そこで初めて自信って呼べるものができると思うんだ。誰も相手してない自信は、自惚れになっちゃうから。
誰かがいればもっと努力できる。もっと真っ直ぐ先へ進みたいと思える。
わたしに対してさっき藤平君が猛アタック してきたみたいにね。
……ってゴメン!また空気の読めないことを……説教くさくなったし……」

フォローを必死に入れる先輩の、さっきの言葉が心に染みていく。
言われた通りだ。僕はいつしか独りよがりになってたのかもしれない。
ひたすら上手くなりたい一身で皆と努力して、試合で勝っても負けても大声で「ありがとうございました!!!」
と相手に伝えて。

でもこの言葉と迅野先輩への想いがもう一度、一途な自分を取り戻させてくれた。
メルアドよりずっと大切なもの、与えてくれた。
こっちを見て僕の肩をぽんぽんと叩いてくれる先輩。にっこりしている。
僕は、先輩の外見だけでなく全てが好きになってしまった。そして、いつか絶対振り向かせて見せると心に誓った。

「ありがとうございます……アドバイスしてくれて……」
今度はちゃんと笑えた。感謝の言葉も、素直に言えた。

「いいのいいの、ふふ……やっぱり笑ってるほうがカッコいいよ。
あっ、そうだ。約束は守ってよ?何でも言う事聞いてくれるんだよね?」

そうだった……あの時は頭がいっぱいですっかり忘れていた。しかたないな、約束だし……
「わかってますよ。それで一体何をすればあぁぁぁ!?」
内容を聞こうとした途端、僕は椅子ごと部屋の奥へ吹っ飛ばされた!

「な、せ、先輩!?」
起き上がろうとするがなぜか手足が押さえつけられたように動かない。先輩が僕に歩み寄る。
「無駄だよ。風圧で押さえつけてるから。仮に起き上がれてもドアも風で押さえつけてるから出れないし」
「言ってる意味がよくわかりません……」
「じゃあ……」
そうつぶやくと先輩は手で僕の目を覆った。布の音がして、そして手がどけられる……
「……なっ!?」

先輩は剣道着を脱ぎ去り全裸になっていた。その綺麗な無駄の無いボディラインも、大きな胸も、恥丘も丸見えだ。
そしてなにより……人間としてありえない姿になっていた。
頭には髪の毛と同じ白銀色の毛に覆われた耳。そして尻尾まで生えていた。
手の爪は指の倍以上ほどもあり途中で湾曲して鎌のような形になり、金属光沢を放っていた。

「じゃあ、藤平君のアソコ、貰うね。言う事聞くって言ったんだから抵抗しちゃダメだよ?
この姿のことは後で説明するから……」

僕に何も考える余裕も与えず、先輩は僕の袴を剥ぎ取り、僕の股間に潜り込んで、アソコを口で責め始めた。
温かい感触に包まれて、僕のアソコは一瞬にして天を仰いだ。
熱い吐息が絶妙の力加減で擽って、唾液は脈打つそれを蕩けさせんばかりに纏わりつき、
舌そのものはまるで命を持ったように緻密に動き、絡み付き、僕を陥れていく。
先輩の吐息交じりの淫語が聞こえる。
「はうぅ、ちゅうっ……はぁ……こんなにおおきくて、おいし……」

もう僕は達する寸前だった。しかし先輩は息が続かなくなったのかそれから口を離した。
するとどこまでも艶っぽくエロティックな笑いを浮かべて歓喜の声を漏らした。
「ぷはっ!……あぁ、おいしいよぉ、ふじひらくんのアソコ……精液はきっと、もおっとおいしいんだろうなぁ……
特別に……こっちも使ってあげる♪」

そういうと自分の乳房を凶器と化した爪を立てないよう器用につかみ、僕のそれを……挟み込んできた。
間髪入れず先輩は自分の胸を両側からむにむにと揉みしだく。僕のものを責め立てるため。
温かく柔らかい、ひたすら与えられる快感に、僕は情けなく声を上げることしかできない。

「せんぱ、いぃ……やめて、やめてくださいっ!」
「だ~め。何でもいう事聞くっていったんだから。おとなしく私に犯されちゃってよ?
それにしても、藤平君案外ウブなんだねぇ……かわいいなぁ……
もっと苛めてあげたくなっちゃう……あむぅっ、ちゅ、ちゅううぅぅぅぅ……」
「あっ!?あふああぁぁぁぁぁっ!!!」

助けを乞う事は先輩を余計に興奮させてしまい、胸の谷間からはみ出ていた僕のものの先端、
そこを吸引されてしまう。
両サイドからはプレスされ、上からは吸引され、いよいよ僕は限界を迎えそうになる。
「あ、でるぅ、もう、もう……あぐうぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
「ふふっ、だしちゃえ……先輩の口の中にぶちまけちゃえっ!!!」

ドクンッドクンッ
先輩の命令通り、僕は先輩の口の中で果ててしまった。
噴き出す白濁を、先輩は文句も言わず、むしろ待ちわびていたかのように味わって飲み込んでいく。
最後の一滴まで飲み干すころ、先輩の顔は紅潮して、獣の笑みを浮かべていた。
「こくんっ……あはぁっ、おいしい……藤平君の精子……こっちにも、たっくさんちょうだいね……」

そういって先輩は自分の大事な部分を、愛液で沼のように蕩けているその部分を、
すでに抵抗する気力もない僕のものにあてがった。
ズプッ……
先輩の、自身の愛液で沼のようになった入り口は、難なく僕のものを受け入れ、飲み込んでいく。
完全に僕が先輩の中へ消え失せるのに、そう時間はかからなかった。

先輩の中は僕にぴったりくっついて、襞がうねうねと快楽マッサージを繰り出す。
先ほど出したばかりだというのに、僕のものはそれによりすぐに射出準備が完了になった。
「あぁん……っ!すっごい……藤平君のおち×ちん、おっきくて、あついぃ……最高……
たくさんきもちよくしてあげちゃうんだからぁ……♪」

それを言い終わらないうちに、先輩は腰をぶつけてきた。
腰が振られる度、ぐしょぐしょに濡れたそこから水音が漏れ、それと共に先輩にも僕にも快楽が加算されて……
先輩は息遣いが荒くなって、喘ぎ声を漏らし始めて、淫語を叫び続けて……

「っはぁ!!おちんちんっ!!!わたしのアソコとっ、つながってぇ……るのぉ……
ふじひら、くぅん……きもちいいでしょ?……ねぇ、きもちいい、よねぇっ!?」
「せんぱい、せんぱい……きもち、いいです……」

僕も気持ち良くなりたいという思考しか働かなくなっていった。
先輩の行為をただ純粋に、僕の性本能は受け止めていく。
怖いくらい気持ちのいい先輩の中。きゅっと締め付けてきたり、緩くなって舐め回すようにしごいてきたり……
本当にひとつになってしまいそうな錯覚の中で、僕はもう絶頂を迎えようとしていた。

……っていかん!!!このまま中で出したら……先輩はこっちにも、とか乗り気だったが、
もし、それで妊娠でもしたら……とにかく、止めないと!!!

「せんぱい、ぼく、中でイッちゃいますぅ!!!……だから……抜いて、ください……」
本心は、このまま中で果てたい。でもそうも言ってられない。
なんとか理性をかき集め、息も絶え絶えに先輩へ放った。ところが……
「へへ……だいじょーぶ……半妖状態なら、人間としても妊娠しないからぁ……
中にだしてもいいんだよ……っていうか、なかでだしてぇ!!!……わたしも、もうイクぅっ!!!」

先輩がラストスパートをかけてきた。乱暴なまでに腰を振られ、僕は完全に決壊してしまう。
「せんぱ……はあああああぁぁっ!!??」
僕の意思とは正反対に、さっきと負けず劣らずの勢いで精が先輩の中に溢れ返る。

「あぁん!せいえききてるのぉ!!!わたしも……イクぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!」
ビクン、と大きな痙攣とともに、先輩が大きく体を反らし、
口に溜まっていた涎が淫らなシャワーになって降り注いだ。
膣は咥えこんでいる僕のそれがちょん切れんばかりに締め上げ、僕が吐き出すものをすべて最奥に運んでいく。
先輩はそれが子宮を叩きつける度小さく震えて、何度もイキ続けていた。
「すいませんでしたぁっ!!!!!」先輩とようやく分離した次の瞬間、僕は謝っていた。
形はどうあれ(完全に先輩からだが)、女の人の中に無責任に出してしまったわけで……
「謝る必要なんて無いよ。……誘ったのわたしからだし。それにさっきも言ったけど、この姿なら大丈夫♪」
先輩はなんとまあ軽いノリでそう言ってのけた。なんて人だ……。しかしそれよりも……

「で、先輩……その姿は一体……?」
「あっ、ちゃんと話さなきゃ、ね……
わたしは……『鎌鼬』なんだ……ちゃんとした人間じゃないんだ……」
「……はっ?」
心からそう思った。そんな説明で納得や理解ができるわけが無いのだから。
しかしそれから、先輩の説明はかなりの時間かかった。

どこかの山奥に鎌鼬だけの集落があって、
先輩は都会の暮らしがしたいと人間に化けて街に下りてきたらしい。(耳と尻尾と爪を隠すだけだが)
先ほど付き合うと言ったのは。携帯の使い方が田舎もの過ぎて分からなく、持っていないから。
集落ではなぎなただの居合だの剣道だの剣術を皆やっているらしく、
その中でも先輩は男も含め剣道で一番強かったそうだ。
ちなみに鎌鼬の身体能力を10とすると、イ●ロー(背番号51)の身体能力だったとしても存在しないことになるらしい。
……そりゃ勝てんわ……

僕が越えられない壁を感じている最中、先輩の口調がだんだん重くなっていくのに気付いた。
「そういうことで……」
「あれ?先輩……?」
「そういうことで……ごめんね。なんか……ずるいよね、わたし……
皆も知らないし、この事。今藤平君に初めて話した……
申し訳ないんだ。皆あんなにがんばってるのに、わたしは元がこれだから……
藤平君にも、申し訳ないって思ってる……」
「先輩……」

初めて悲しそうな先輩の顔を見た。目には涙が溜まっている。
自分が強すぎるから、周りから恨まれたり妬まれたりしてると、思っているんだろう。
しかもそれは努力とかの差じゃなく、生まれた種族の違い……努力ではとてもじゃないが埋めようの無いもの……
先輩は底抜けに明るい。部内に友達もたくさんいる。でも、孤独なんだ……悩んでるんだ……
とうとう先輩の涙が一粒、頬に流れた。その瞬間僕にひとつの強い思いが働いた。

「先輩、僕に剣道、教えてください」
「え……?」

先輩を

「僕が先輩ぐらい上手くなれば、そんなことで悩む必要もなくなりますよ……ね?」

このまま一人にしてたまるか!!!

「この面タオルきれいですから、涙拭いてくださっ!!?」
タオルが宙を舞う。僕は先輩に抱きつかれていた。
「ふじひらくん……ありがとう……がんばって教えるからぁ……わたしくらい、強くなってぇ……」
「わかりました……って、道着で拭いちゃ汚いですよ!?」
そんなことは馬耳東風で、先輩は何度か僕の道着でごしごしした後、顔を上げた。
もうすっかり綺麗な笑顔に戻っていた。やれやれ、喜怒哀楽の激しい人だ。

「へへ、じゃあ明日から、稽古が終わっても残ってね。あっそうだ。一応時々授業料はもらうからね?」
「はい!……で授業料ってなんでsごへっっっっ!!!」
またもや吹っ飛ばされた。完全にデジャビュだ。

「授業料はねぇ、せっくす♪これは入会金だよ~」
「ちょっ!?じゃあ今すぐ退会させていただきま……」
「クーリングオフはできませーん♪」
喉元に鎌爪を突きつけられもう何も言えなくなってしまった。
その後しっかり払わされたのは、言うまでもない。
翌日、先輩との特別稽古が始まった。
「じゃあ、まずは切り返しからね」
「はい、お願いします」

 ―――二時間後―――

「ぜぇぜぇ……」
「ほらほら、そんなんじゃわたしに追いつけないよ?もうちょっとだから、頑張れ!」
「だってもう……二時間ぶっ続け……」
「問答無用!!」
「わかりましたよ……ボソッ(鬼だ……)」
「なんか言った!?」
「いえ、何も!」

 ―――練習後―――

「はぁっ……ああっん!!」
「先輩、もういいでしょ?昨日もしたのに……もう僕、これ以上出せないですよぉ……」
「いやだぁっ!もっとほしいのぉっ!!!精液いっぱいぃぃっ!!!」
「ああっ!?そ、そんな乱暴に振らないでっ……っああっ!!!」
「ふわぁ、まだ出るじゃんかぁ……こんなに濃くて、熱いの……わたしも、イクぅっ!」

毎日がこんな調子で過ぎて行った。
周りから見れば、きれいな女性とベッタベタだから羨ましいだろう。しかし実は本当に辛い。いや、マジで。
こんな地獄輪廻の日々に突然終わりが来るなんて、僕はこれっぽっちも思っていなかった……
 ―――時は経ち二年後―――

三年生になった僕は自分でも信じられないくらい強くなっていた。
ずっと先輩に、ちゃんとした人間でない先輩にみっちり教えられて、僕も人間離れした強さを持った。
先輩ともほぼ互角に渡り合えるようになった。勝った事は無いが。

それはさておき、今日は特別な日、四年生の先輩たちが、引退する日。
もちろん迅野先輩も。

僕は迅野先輩に代表として花束を渡す。先輩は小声で、
「今日もあるからね」
と耳元で囁いた。

 ―――――――――――――

「……」
先輩は口を開くこともしなかった。今日が最後だと、分かっているから。
この空間に耐えられず、僕は口を開いた。
「今日で最後なんですね……」
「……うん……」
先輩はそれだけしか言わない。先輩の顔は寂しさしかはびこっていない。
「あっ、で、でも、これでお別れでもないわけですし……
そりゃ……今は先輩就活忙しいでしょうけど……卒業してからだったらいつだって……」
「藤平君」
僕は先輩の呼んだ自分の名に、言葉を止めた。
「はっ、はい」
「試合、しよっか……最後の」
文字通り先輩の最後のお願い。断る理由なんて無い。
「……お願いします」

「……!」

……勝った。

迅野先輩に……勝った。

先輩は本気で向かってきた。僕もそれに本気で応えた。
先輩は面を取った後、僕の元へ歩み寄る。
「……おめでとう。わたしのこと、超えちゃったんだね……ちょっと悔しいけど、嬉しいよ……」
「先、輩……」
「人間なのにあんなに辛い稽古させて、その後搾り取ったりして、いろいろひどいことして、ごめんね。
もう……自由だから」

手がすっと伸びて僕の髪をなでる。照れくさいけど、言うべきことを言うため、僕は口を開く。
「……ありがとうございました。後輩のわがままに付き合ってくださって
僕は辛いなんて、一度も思ったこと無いですから。先輩がそばにいてくれたから……」

……ってなにいってんだぼくは!!!そんなことは……胸にしまっておいたほうがいいのに……
僕の先輩に対する気持ちは出会ったころと同じ、いや、それ以上に膨らんでいる。
きつい稽古を受けても、授業料をひどい手口で奪い取られても、その気持ちは決して萎むことは無くて……
今の恥ずかしい台詞は途中で止めても先輩の耳には届いてる。このまま言ったほうがいいと思う。
でも、このまま師匠と弟子でいたほうがいい。何故かは分からないけど。だから……

「だから……また稽古つけてくださいね」
そういって僕は笑った。でも先輩の答えは……

「……ごめん!!!それは……無理なんだ……」

「えっ……」

どう反応していいのか分からない。ずっと一緒に、がんばってきたのに……
「どうして……」
そうとしか、言えない。ほかに言葉が、出ない。
先輩はゆっくり口を開いた。

「人間の街に降りていいのは、大学を卒業をするまでだ、って父親に言われて……
だからわたし、誰とも深く付き合うのやめようって、決めてた。永遠に別れるのが辛くなるから。
でも、藤平君は、なんか昔の、無鉄砲なわたしみたいで、ほっとけなくて……
わざと独りになってたぶん、私の心の奥まで入ってきて、あったかくって……」

一瞬、先輩は言葉を発するのをためらった。しかし、続ける。

「もう、藤平君とは……会いたくないの。君と一緒にいたら、決心が揺らいじゃう。
もっとここに居たいと、思っちゃうの……
ごめんね、わたし本当に自分勝手で、ごめんね……さよなら」

ぶわっ!!!!!!!

「わっ!!!!!」
道場に一瞬突風が吹き荒れ僕は反射的に目をつぶる。
目を開けると、先輩の姿はもう無かった。
残っているものといえば、先輩の居た位置に一滴の雫。

もしあの時先輩に告白していたら、どうなっていたんだろう……
余計先輩を困らせたのだろうか……
それとも……

それからというもの、僕は先輩に会いたいとキャンパス内を捜し続けた。
でもいくら探しても、影も形も見つからない。

そして、時は無情にも大学に卒業式を迎えてさせてしまう。つまり、先輩を見つけるラストチャンス。
神様、もし本当にいるのなら……
そう祈って目をぎゅっとつぶる。こうしている時間も惜しい。早く捜さないと。
目をぱっと開ける。僕はその瞬間思った。

……どうやら神様はいるようだ。

「……!!!」
目の前の人物が驚く。僕はその人の名を呼んだ。

「迅野先輩……」

「藤平君……」
「やっと、会えた……」
僕を見た途端、先輩は踵を返した。
「行かないで下さい!!!!!」

先輩の背中がビクッと跳ねる。そしてゆっくり顔がこちらに向けられる。まだ俯いたままだけれど。
「話を、聞いてください……」

「話?自分勝手に居なくなろうとしてる最低な先輩に、何を話すことがあるの?」
先輩の口からそんな言葉が出るなんて思わなかった。自分の事の様に辛くなった。

「先輩は……最低なんかじゃないです。
そりゃ、ちょっと強引だったり、喜怒哀楽激しかったり……ですけど!
自惚れてた僕を正してくれて、たくさん暖かい言葉を掛けてくれて、ほとんど毎日稽古に付き合ってくれて、
……本当に感謝してます。
でも、やっぱりずるいですよ。先輩は」

「……やっぱり、そうだよね。ごめんね、すぐ消えるから……」

先輩は突然逃げるように消えることをずるい、と言われたと思ってる。

そんなこと、言うわけ無いでしょ。僕が言いたかったのは……

「これだけ僕にたくさん大切なものくれたのに、僕からは先輩にまだ何にもしてないんですよ?」
「え……?」

「もう多分今世では返せないくらい貰っちゃったんで……来世までかかって返しますから。

ずっと、先輩のそばに居ます。なんだってしますから。

あっ、もう所構わず僕の事襲っちゃってもいいですし。

こっちに残ってもいいように、先輩のお父さんに土下座して頭擦り減ってでも許してもらいます。

もし、それでも先輩がこのまま集落に帰るんなら、ついていきます。

向こうの連中も、文句言えないでしょ?だって僕、先輩より強いんですから。

大丈夫ですよ。すぐ慣れますから……多分。

だからその、ずっとそばに、ってこれさっき言ったわ。
あれ?どこまで言ったっけ?あ~!!!何でこんなときに忘れるんだよ!!!
ちょっと、待っててくださいね。今思い出しますk……!?」

次の瞬間には、先輩は、僕の懐に潜り込んでいた。
「いっぺん勝ったくらいで、調子に乗るなぁ……」
顔をうずめて泣きながらそう言う。
「もう許さない……せっかく帰るって決心したのに邪魔して、人の心に土足で上がりこんで泣かせて、
……来世まで償ってもらうからぁ……私のことずっと幸せにしなさい……!」

「……はい!!!幸せにします!!!」

空に突き抜けるような、一点の曇りも無い返事をすると、先輩は顔を上げてにっこり笑った。
涙で濡れた瞳はこっちにまっすぐ向けられて、僕は心で思うのと、口に出すので再確認した。
「好きです……風子先輩……」

その後、帰り道でこれからどうするかを相談していると……
「あっ、いい事思いついちゃった。」
手をぽんっ、と叩いたのは先輩。
「どうするんですか?」

「へへへ……今から、子供を作っちゃえばいいんだよ!」

「あぁ、なるほど……ってはあああぁぁぁぁぁ!!??」

「そうすれば、父さんに怒られるのも二人一緒だし、家族も増えて幸せ倍増!でしょ?
よし!そうと決まればホテル行こうホテル!
大丈夫、風起こしたら一瞬で到着できるから。せーの……」

「ちょっとまって!まだりょうかいしてな……」

ビュオオオオォォォォ……

 ―――――数年後―――――

「お父さーん!お母さーん!」
「春風(はるかぜ)、父さんたちずっと見てたぞー。頑張ったな~」
「また優勝だもんねー。ホントよく頑張った!ね?進吾?」
「ああ、風子の教え方は最高だよ。春風もとっても努力してるし……よっしゃ!今日は父さん奮発しちゃうぞ~」
「ホント!?じゃあ、お寿司がいい!」
「よ~し、春風。お母さんと二人で頑張ってお父さんの財布の中身を無くそうね~♪」
「ちょ……せめて給料日まで耐えれるくらいは……」
「もう、冗談だってば。昔っから馬鹿正直ね~。そこに惚れたのもあるんだけど……さ、春風、行こうか」
「うんっ!お父さん、お母さん、手~つないで!……へへっ、これで三人並んだね♪」
「はは……そうだな。風子、春風、二人のおかげで父さんとっても幸せだ……ありがとう」
「私も……あのときのあなたの言葉どおり、幸せにさせてもらってる……ありがとう」
「わたしもお父さんとお母さんと剣道だけでとっても幸せ!二人ともありがとう!ずっと仲良くしてね!」

「(にっこり)……ああ!(ええ!)」