上面、わずか上より船隊を揺らしえる爆雷郡この黒く冷たい海中はわずかな差が生死を分けえる。
そして、この物語の主役たるものである一匹も海の住人である。否、一人とでも言うべきか
そしてもう一人は陸のものであった。

この時、独逸が誇るIXA型潜水艦のひとつU-37に陸のものは乗っていた。

今だなお続く敵の攻撃、この攻撃よって沈むというのならば
潜水艦に配属されたその日より覚悟の上である。

しかし、水に入って三日、当時の潜水艦では三日も潜れば空気の残量がたとえ多くとも酸化により
97%これが下回れば、肺胞は二酸化炭素により硬化し本来の役目を果たすことなく苦しみ悶え終えるのである。
この状況では窒息の方ではと思いたくなるが、それを持ち前のゲルマン魂で持ちこたえる。

そんなとき、船隊が激しく揺れる。至近爆発である。亀裂が入り水が漏れてくる。
これを、どうにか修復する。
今日のイタ公はしつこいのだ。それ以前に、何故、三日も攻撃を続けるのか?
そんなことを考えている時

「機関出力最大」この伝声官を伝う言葉に俺は耳を疑った。
攻撃を受けた時、普通は敵があきらめるまで息を潜めるのである。
これには、理由がある。
足が遅いのだ、巡洋艦より遅いのは無論、戦艦にも、速力で適わない


U-37その速力水中で4kt・・・・絶望的であるが、従わざるえなかった。

バッテリーから、電気を搾取し2軸のスクリュがうなりを上げて回る


その時、洋上に敵影は、存在しなかった。
少なくとも、1日前まではいた。駆逐艦が数隻
彼らは、新型の磁気感知爆雷と新兵器を放って還って行った。


暫くすると、攻撃は無くなっていた。

当時の感知方式に欠陥が存在した。感知範囲が狭いという

この時の艦長の判断は正しかった。だからこそ、後悔することと成るのだ。

闇夜にまぎれて、浮上。艦内換気を行い同日早朝をもって潜行

独逸へと向けて航行を開始する。
昼は潜行して、身を窶し。夜は浮上し、充電
これを、繰り返して。

祖国の土を踏みしめると皆、思っていた。

そのときは皆、思っていたのだ。

三日ご、輸送船団を発見、これを雷撃す



積荷を知ることなく


海中にヒッソリと蠢くものに気づくことなく


数名が消え行くことになるとは

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2007年04月20日 13:13