普通列車しか止まらない、片田舎の駅の出口。
車の来る気配のないロータリーの脇にあるベンチで、彼、御園良弼(みそのりょうすけ)は読書にいそしんでいた。
1年で最も寒いこの季節、何も好き好んで凍えながら本を読んでいるわけではない。この出口から出てくるはずの人物を待っているのだ。正確に言えば人ではないのだが。
人気のないホームに列車の案内をする放送が流れ、JR列車が滑り込んでくる。
良弼は腕時計に目をやり、震える手でポケットからメモを取り出し、もう一度時計に目をやる。
「これのはずだけど……」
文庫本に栞を挟んでコートのポケットに突っ込む。しばらくして、階段を下りてくる足音が1つ。足音の主が出口から現れ、その姿を確認した良弼は、小走りで駆け寄って深々と頭を下げた。
「――おツトめ、お疲れ様でした」
しばしの沈黙。駅のホームからアナウンスが流れ、先ほどとは反対方向の列車が停まり、発車していく。
「……突っ込みは無しですか」
沈黙に耐え切れず頭を上げる良弼。
彼の前に建っているのは1人の少女だ。小柄だが色々着込んでいるらしく、達磨のように着膨れている。
「ん」
良弼の地味なボケなど全く意に介さず、少女はチェック柄のキャリーバッグを彼のほうへ突き出す。
「あーはいはい、お持ちしますよ。でも予想していたとはいえ全く無視されるとは……って、ちょっ待っ、冷たっ!」
誰か他の人間がその場にいたら、ロータリーがパニックに陥ること必至の変化。
少女はするすると蛇に姿を変え、少年の首に巻きついていったのだ。しかも公園の草むらで見るようなサイズではない。動物園とかで飼育員が「怖くないですよー」とか薄笑いを浮かべながら肩に乗せてきてもおかしくないサイズだ。
しかし日曜日の昼下がり、幸運にも田舎駅には彼ら以外の人の姿はなかった
「……やっとあったまりました」
少年の首に巻きついた蛇からの、安堵したような声。その声は先ほどの少女と全く同じものだった。
「あ、あのですねえ、心臓発作で死んだらどうしてくれるんですか」
「その時はうちの神社で盛大に葬式を挙げて差し上げます」
「……そりゃどうも」
彼女の存在に慣れている(むしろ慣らされた)良弼は、いわゆる“物の怪”である彼女に敬意こそ払うが、恐怖はしない。
彼は1つため息をつき、彼女の上からマフラーを巻きなおして歩き出した。
「電車の中、暖房効いてませんでした?」
「省エネの為に弱暖房でした」
「それは……残念でしたね。まあしょうがないですよ」
「そもそも新幹線から在来線の乗り継ぎが不便なのが悪いのです。あれだけホームで待たされたら冷えもします」
「何かあったかい物でも買ってきます?」
「それより、一刻も早く帰りたいです。ちゃんと家の暖房はつけてきましたか?」
「勿論。それじゃ、急いで帰るとしますか。風が冷たいんでマフラーの中に引っ込んでてくださいよ」
そんな雑談をしつつ、良弼は駐輪場に停めておいた自転車のかごにキャリーバッグを詰め込み、彼女の家、すなわち神社へと走り始めた。
自転車が走っている間、彼女は全く言葉を発しなかった。


彼女が棲む(正しくは祀られている)神社の社務所は、中々立派なつくりだ。
1階は大広間に台所、トイレに風呂に洗面所。2階は6畳の和室が4部屋。元々氏子向けの集会所兼宿泊所を目的に作られたが、わざわざ辺鄙な場所にあるこの神社で集会やらをする必要もなく、建ててみたものの全く需要がなかった為、普段は彼女の住宅となっている。

「はふぅ、やはり我が家が一番ですね……」
2階にある彼女の私室。炬燵に半纏、熱い緑茶の満たされた湯飲みに籐のかごに積まれた蜜柑という、とても神社に祭られた神様には見えない庶民的な姿でくつろいでいる彼女だが、こう見えても伝統と格式のある蛇神一族に名を列ねる1柱である。
「で、どうだったんですか、里帰りは」
良弼も炬燵に入り、蜜柑をむきながら尋ねる。
「どうもこうも、ひたすら忙しかったです。諸々の儀式に各方面への挨拶回り、母上にはさんざこき使われ、結局節分まで手伝わされて。年末年始は1年の半分近い仕事が集中しているとはいえ……貴方を連れて行けなかったのが悔やまれます」
思い出すのも嫌、という風情で愚痴る彼女。
「流石に学校がありますし……。でも、年末年始の手伝いは頑張ったんですから勘弁してくださいよ」
そう、良弼は彼女に命じられ、アルバイトとしてこの神社の年越しを手伝ったのだ。甘酒の仕込から元旦のお守り・お札販売の売り子、境内の清掃まできりきり舞であった。それ相応のバイト代は貰ったが。
「神主どのから聞きました。良く働いてくれたそうですね」
ちなみに彼女はその間社殿に篭って何かしらの儀式をしていたため、彼とは顔をあわせていない。
「わたくしからも手間賃を」
普段着である巫女服の袂から点袋を取り出し、良弼のほうへ差し出す。
「いや、宮野木さん(神主)からちゃんと貰ったし、受け取れませんよ。二重取りになってしまいます」
受け取らずに返す良弼。
細い眉をひそめ、良弼の方におし出す彼女。それを返す良弼。
「……」
「……」
しばしの間続く、両者のにらみ合い。
「……まったく、わたくしが良いといっているのに、頑固者」
先にくじけたのは彼女の方だった。
「前々から尋ねようと思っていたのですが」
居住まいを正し、真剣な面持ちで良弼に問いかける。
「貴方は何故、わたくしの我侭を受け入れるのですか?」
「いちよー我侭っていう自覚はあるんですか……」
「年越しだけではありません。今日にしても折角の休みでしょう?」
「まあ無償奉仕を命じられた訳じゃないし。今日だってどうせ1日暇だったし、蜜柑が駄賃だと思えば」
うち、妹が殆ど蜜柑食っちまうんですよ、とため息をつきながら蜜柑の山に手を伸ばす。
「わたくしが支払ったわけではありません」
再度点袋を押しやる彼女。
「だからいいですって」 彼女の律儀さに苦笑しながら返す良弼。
そのまま彼女は考え込んでしまう。
(別にお金が要らない訳じゃないけどさ……)
確かに机の上に置かれた点袋の中身は非常に気になる。しかし、金欲しさの為ならとか、何かしら対価を与えたら尻尾を振るだろう、などと思われるのは、元々嫌いであるのだ。
(……? じゃあ何でお手伝いさんみたいなことしてんだ、俺)
「つまり――」
ふっと浮かんだ疑問は、彼女が言葉を発したことにより霧消していった。
「体で払え、ということですか」
「へっ!?」
彼女の姿が掻き消えた。


「神の使いたるわたくしにこのようなことを要求するとは破廉恥ですが、貴方に限っては許して差し上げましょう」
姿を消した彼女は炬燵布団と良弼との間から現れた。その間1秒未満。さすが蛇の神様。
「わ、ちょっと、誰もそんなこと――」
慌てて彼女から逃れようとする良弼だが、
「寒いのでもっと中に入ってください」
ずるずると胸まで引きずり込まれてしまった。
「男性は長く性交をしないと、いわゆる『溜まった』状態になるそうですね。久し振りですので、『溜まった』もの全てを放出させて差し上げましょう」
薄暗い炬燵の中で、器用にも良弼のベルトをはずし、ジーンズを脱がしにかかる。何とか阻止せんと手を伸ばす良弼だが、焦っているせいか炬燵布団に阻まれ中に手を入れれない。
「そんな、いいってばっ、こら脱がすなー!」
やけになって脚をばたつかせるが、彼女に巧くあしらわれてしまう。
「こんなに嫌がるなんて、もしや――」
急に痛いほど腿を押さえつけられる。
「――他の女性と交わりましたか?」
布団から顔を出して問いかける。その表情は能面のように表情がなく、良弼の背筋を凍てつかせるほどの冷気を纏っていた。
「ま、まさか」
良弼が何とか搾り出せたのは、その言葉だけ。
勿論嘘ではない。貢物の日本酒を持って訪ねた時に社殿に引きずり込まれて以来、彼女を含め誰とも性交をしていない。勿論溜まっている訳でもなく、ちゃんと適度に自慰をしている。
余談ではあるが、最近妄想の中でも気がつくと彼女の姿が浮かぶようになってしまい、心の中まで犯された気分で後始末をする日々だ。
「――その言葉、信じましょう。そもそも貴方の女性関係をとやかく言う立場でもありませんですし」
とりあえず納得したらしく、炬燵の中へ戻って良く彼女。ついでにジーンズとトランクスもずり下げていく。未だ動悸の治まらない良弼は、彼女に導かれるまま腰を浮かせてしまった。
「普段はこんなに縮まっているのですね。不思議なものです」
不思議そうに呟いてから、良弼のそれを膨張させるべく口に含む。
「ぅわっ」
不意に口腔内の粘膜で擦られた良弼は盛大な反応を示す。
「……急に動かないで下さい。噛んでしまいますよ?」
「きゅ、きゅうにしないで下さい。びっくりします」
炬燵の中の様子がさっぱりわからないので変に敏感になってしまう。目隠しプレイってこんなんなのかな、と頭の片隅で思う良弼であった。
「しかし、ひと舐めでこんなになるなんて、やっぱり溜まっていたのではありませんか」
炬燵の中から聞こえてくる彼女の言葉は、なんだか嬉しそうな感情が含まれていた。
完全に立ち上がった肉棒に、何か粘液っぽいものが垂れる感触。それを優しく塗り広げる滑やかな感触。触覚でのみ伝わってくるそれらの感覚は、自慰どころか、前回の彼女との交わり以上の快感を伝えてくる。
「ふふ、どうですか。前回貴方に負担をかけすぎたことを鑑み、書籍で学習しました。実践は初めてですが、効果は抜群のようですね」
己の成果に満足しながら、硬くなりきった雁首を優しくなぞる彼女。ひとつ撫でられるたびに腰が浮く良弼の反応に、一層熱心な愛撫で答える。
「ぁ、あの、あんまし我慢できそうに……」
やんわりと責め上げるしなやかな指の動きに、早くも我慢の限界が訪れる。早漏とそしられようが射精したくなるほどの、容赦ない快感。
「炬燵は汚さないで下さいね」
苦笑交じりで答えた彼女は、全てを口で受け止めるべく、ゆっくりと亀頭をくわえ込んだ。
「わ、わわっ」
大人顔負けのサイズである彼のものを全て咥えることは勿論不可能であるが、それでも中ほどまでは口に含んだ。
「んむ」
これ以上深く咥えるのは諦めたのか、低く呻いてから唇を雁首まで後退させ、亀頭を舌でさすることに専念し始めた。
茎をさする細い指の感触、亀頭を這う舌の感触、そしてその行為に熱中している彼女の姿を想像して――勢い良く射精した。


「ん、んんぅっ」
「ごめ、もうちょい、もうちょいでる……」
どれだけ大量に出てるのか、怖くなるほどの長い射精。それに負けじと、必死になって陰茎に食いつく彼女。
ようやっと出尽くし、良弼は荒い息をついて体の力を抜いた。
「すみません、こんなに出しちゃって……大丈夫です?」
炬燵の中からは返事がない。
「ま、まさか……」
飲んでます?と言葉をつなげる前に、にゅっと彼女が顔を出した。
目一杯顔をしかめ、一言。
「不味い」
「そりゃそうですよ。そんな無理なくてもいいですって」
「そうですか? 精液は残さず飲まなければならないもの、とありましたが」
「……それもエロ本の知識ですか? 別に、全ての男が飲んで欲しいもんでもないと思いますよ」
「成る程、貴方は『ぶっかけ派』でしたか。以後留意します」
「あ、あのですねえ……」
断固として抗議しようとした良弼であったが、不意に初体験のときの光景を思い出してしまう。白磁のような滑らかな肌に白濁した粘液が垂れている、どこか恍惚とした彼女の表情。
「――想像、しましたか?」
彼女に問われ、はっと我に返る。
「まさかそんなこと」
否定しつつも視線が泳いでしまう。そんな良弼に、彼女は柔らかな微笑みを返す。
「それでは続けましょう。まさか、1回で全て出し切ったわけではないのでしょう?」
良弼は彼女に答えることが出来ない。初めて見せられた彼女の笑顔がそれを許さなかった。
「私のほうの準備もしなければ」
既に硬度を取り戻していた陰茎を両の太腿と陰唇で挟む。体温の低い彼女の太腿は適度に陰茎を圧迫し、陰唇は既に潤いを感じさせる。
「んん、んあっ、こすれる……」
彼の長い肉棒を、上下運動でまんべんなく擦り上げる。彼女自身もその摩擦に酔いしれ、良弼の胸の上で吐息を漏らす。
「は、母上に、聞いてきました」
擦れる感触と快感に耐える彼女の表情を堪能していた良弼は、急に話を振られてとっさに反応できない。構わず続ける彼女。
「人と、わたくしたちとの、間で、子を成す方法。いわゆる、『中出し』だけでは、身篭らない、そうです」
快感のために途切れ途切れになるが、決して上下運動を緩めない。
「だけでって、他に何を」
「当事者間の、子を成す意思、だそうで、ふぁっ」
流石に辛くなったか、上下運動を諦め、良弼に身体を預ける。
「つまり――」
「つまり?」
「――中出し、し放題です」


中出し自由。
熱に浮かされたかのような表情の美人にそんなことを言われたら、誰だって理性が飛びそうになるものだ。
しかし、強制されたとはいえ散々彼女の中に射精してしまったことのある良弼は、理性が飛ぶ前にしっかり確認しなければならない。
「当事者の意思、って、随分曖昧ですね」
「わたくし達は神に近い分、精神や感情などといったものが身体に影響しやすいから、だそうです」
「つまり、“ぜってー子どもいらねー”って考えながらすれば大丈夫、ってことですか?」
「……それはそれで釈然としませんが、つまりはそういうことです」
呼吸を整えた彼女は陰茎に手を添え、彼女の入り口へと先端を導き、
「まあ『ぶっかけ派』の貴方には要らぬ心配です」
ゆっくりと腰を沈めていった。
「つぁ――」 「んっ!」
両者とも敏感になっていた部分が擦られ、眩暈がするほどの快感が背筋を走る。まるで入れただけでいってしまったかのように、2人揃って熱い吐息をつく。
「あ、あのですねえ、外に出しても、妊娠する可能性はありますよ?」
「……『中だけは許して』、というのも?」
「何というか、どちらかというと精神的に嫌なだけじゃないですかね、多分。まあ、子どもが出来ないよう強く念じるとします」
「やはりそれはそれで釈然としませんが……」
目一杯自分の中にうずまった肉棒を、ゆっくりと引き抜き始める。雁首に襞を引っかかれる感覚に、襞に雁首を引っかかれる感覚に、2人は背筋を震わせる。
「貴方は動かずにいて下さい。こ、今回は、わたくしからのご褒美ですから」
気を抜くと浮きそうになる良弼の腰を押さえつけ、今度はゆっくりと腰を沈めていく。
「ゆ、ゆっくりでも、なかなかくるものですね」
徐々にペースを上げながら、しかしお互いの性器の感触がわかる程度の速さで抜き差しを繰り返す。
「すごっ、い、色っぽい表情、してます、よ?」
「色事をっ、しているのですから、当然っ、です」
頬を赤く染め、眉をひそめ、快楽に耐えながら腰を振る彼女の表情。喘ぎ声を出すまいと堪えているのだろう、熱の篭った甘い呼気が良弼の鼻をくすぐり、股間に痺れにも似た感覚を起こす。
「この動きも、本に、載ってた?」
「ええっ、これは、正解っ、みたいですね」
前回、前々回は、力任せといっても過言ではない上下運動のみであった。しかし現在の彼女の動きは、上下に、左右に、円を描いたりと、あの手この手で良弼を責め立てる。
「もう、もうそろそろ、きそう、かな?」
「そう、どこに、かけたいか、えらびな、さい、は、はやくっ」
ラストスパート。変化をつけるよりも強く摩擦を起こすことを重視した動き。炬燵越しからでも、はっきりと粘着性の水音が聞こえてくるほどの深さとスピード。
「かけたい、ところ……」
段々白く染まっていく意識の中、良弼はただ、自分が最も望む結末を選択した。それしか出来なかった。
「ちょっと、わたくしが、うごくって、っ!」
上半身を起こし、彼女の薄い唇に自らのそれを重ねた。
「む、むぅ――」
そして、思い切り腰を突き上げ、彼女の奥深くで絶頂を迎えた。


「はふぅ、やはり冬は蜜柑が一番ですね……」
満足げにため息をつきながら、蜜柑をむいていく彼女。器用に白い筋を取り除き、ひとつずつ口に入れていく。
「貴方も食べますか?」
「……飲むもののほうが欲しい……」
「熱いお茶しかありません」
「……蜜柑でいい……」
綺麗に筋を取った蜜柑を、脇に転がる干からびた良弼に与えてやる。
「……うぅ、ご褒美というよりむしろ修行だった……」
「失礼ですね。わたくしをさんざ抱いておいて」
「あなたが、おれを、抱いたんですよ……!」
最初の2・3回は確かにご褒美であった。そのあとの数回は結局、彼女の欲望が赴くままの交わり、良弼からするとひたすら絞られるのみの交わりであった。
そんな絞りかすになってしまった良弼の悲痛な叫びなどどこ吹く風、彼女は淡々と蜜柑をむき続ける。
「そういう見方もあるかもしれません。まだ蜜柑要りますか?」
「いるよ! 籠ごと欲しいよ!」
彼女は寛大にも、哀れな良弼の望みをかなえてやった。
しばらくの間、ひたすら蜜柑をむいて食べる音だけが部屋に響く。
「腰は、大丈夫でしたか?」
不意に問いかける彼女。
「へ? ええまあ、痛みとかは全然」
喉の渇きも潤い、良弼は平常心を取り戻していた。
「そうですか」
それっきり黙ってしまう。
不審に思った良弼は起き上がり、彼女の隣に座りなおした。
窺うように彼女の顔をのぞき、今度は良弼の方から問いかける。
「何か言いたそうな顔してますよ?」
彼女はしばらく逡巡し、
「貴方は、わたくしとの子が欲しいと願いましたか?」
「へっ! いや、えーと……」
考え込む良弼。
「……正直、何か考えてる余裕はなかったかな。その、良すぎたもんで」
「わたくしは」
そこで一度言いよどみ、蜜柑から良弼へ視線を移す。
「わたくしは、少しだけ。欲しいと思いました」
少しだけですけど、と小さく付け加え、そっぽを向く。一瞬しか見えなかったが、良弼には赤面した彼女の表情がはっきりと網膜に焼き付けられた。
「そ、そーですか……」
良弼もまた、赤面してそっぽを向く。
6畳の和室には、ただ蜜柑をむく音だけが響いていた。

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最終更新:2007年02月12日 15:04