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#right(){ 15スレ目、599-602 ID:bEcg2pcl 氏 }  周囲の世界から断絶された村を離れ、人間社会で暮らし始めてしばらくの時がたつ。  最初は寂しく思われた一人暮らしも今は快適だ。  俺と同じ、獣人の友人や人間の友人もそれなりに出来ていて、なんとつい最近彼女まで出来てしま った。  彼女は猫族の女の子だが、俺みたいな他種族の獣人も人間も分け隔てなく平等に接してくれる。  俺はそんな彼女に最初期からずっと惚れていたのだが、つい最近彼女も俺と同じ感情を抱いている と知ったので、そこで俺らは晴れてカップルとなれたのだが、俺は彼女に一つ隠し事をしている。  それは、俺がタツノオトシゴの獣人であるということ。  申し訳程度に頭に生える角や、くるりと丸く生える尻尾を隠す余地は無いのだが、俺の種類だけは 頑なに黙り続けている。無論、隠し続けられるモノでもないし、時期が来たらいわなければならない が、それでも今はまだ言えない。  というのも、俺はタツノオトシゴという種類に、俺自身が多大なコンプレックスとトラウマを持っ ているせいだ。タツノオトシゴはオスがメスから卵を受け取りオスが出産する生き物。  俺の村では成人の儀式と称して、半ば無理矢理卵を植えつけられ子供を生まされるが、人間や人間 社会の獣人の性的価値観が定着してしまった世代には相当ショックな出来事だ。  順応性の高い弟は今年の春に五人もの子供を無事に生み落としたわけなのだが、俺にはそのカルチャ ーギャップに耐え切れず、成人の儀で出来た子供は全て死産させていた。  こんな事実を、彼女に言えるかと問われれば、もちろん言えるわけが無いのである。どんな理由か知 らないが幸い男性機能自体は他の種族のオスと同じようなもので、彼女との性生活に困るなどというこ とが無いのが救いと言えば救いなのかもしれない。  狭いアパートの中で、忌まわしいタツノオトシゴのくるくるした尻尾を伸ばしたり丸めたりしながら 今日も夜は更けていくわけで、生意気な鼬獣人のタマコやアホな犬獣人のクロスケや愛しい彼女の可愛 い耳とふわふわの尻尾ことやら明日のことをうきうきと考えながら眠りについた。  深夜も二時を過ぎたころ、ドアをがんがんと叩く音に目を覚ました俺は、いったい何事かと枕元の眼 鏡を手探りに見つけてかけるとドアの鍵を開いた。 「竜太郎、久しぶり」  見知らぬ女がそこにいた。しかも俺の名前を呼んだ。  女の身長はそう高くは無いが低くも無い。紅い口紅と悪戯っぽい瞳はどこか夜の商売を彷彿させる が、それはいやらしさというよりも、妖艶さという言葉がよくよく似合っていた。そして彼女の口調は どうにも俺を知るものらしいが、残念ながら俺は彼女をまったく知らない。 「えぇと、どちらさまですか?」  俺が尋ねると、彼女はやぁねぇ!! と手をひらりとさせて、 「あなたのママよ!」  爆弾発言だ。  知ってのとおり、俺たちの一族は男が出産子育てを全てこなし、女は全てではないが大体が卵を産ん だらさっさとどこかへ行ってしまうという不思議な生態をしている。無論俺とて母親の姿など見たこと も無いわけで。仮にこの女が母親としたらどうやって俺の存在を知ったというのだ。 「パパに電話かけて教えてもらっちゃった」  てへ、と語尾にハートマークでもついていそうな抑揚で言われて俺は頭を抱えた。  俺の親父は母親に惚れて好きで俺たちを生んだと聞いたことがある。だから、今でも母親と親交があ ってもおかしくは無い。おかしくはないが……。俺はため息をついた。  まさか深夜の三時に外へ放り出すわけにも行かず、俺は母親と名乗る女性を仕方なく家に招き入れて 淹れたてのお茶を出してからテーブルの向かいに座った。 「用件はなんでしょうか」 「いやん。もう竜太郎ったらイケメンに育っちゃって。パパの若いころそっくりね。でも眼鏡は頂けな いわ。せっかくの良いお顔が台無しじゃないの」  頼みますから話をしてください。 「わざわざこんな深夜に、生まれて一度もあったことの無い母親様が一体何の用ですか?」  わざと冷たく言い放つと、母親と名乗る女性は一つため息をついて言うのだ。 「あのね。竜太郎ちゃんのお腹を貸して欲しいのよ」  は? 「えぇと、どういう意味」 「だからね。竜太郎ちゃん子供生めるでしょ? タツノコ族の男の子だもんね。でもアタシは出来ない の。だから、どんなに好きな人の子供が欲しくても無理なのよ。わかる?」  解る。解るけど。 「あのね。ママ、他の人好きになっちゃったのよ。かっこいい馬獣人の男の人で、もうメロメロなの。 だから結婚するのね。でも彼ね、子供が欲しいって言うのよ。ママ好きな人のためなら頑張っちゃうケ ド、無理なモンは無理なの。タツノコの卵は男の子のお腹でしか孵らないものね。だから変わりに竜太 郎ちゃんにママと彼の子を生んで欲しいのよ。卵はホラ、お腹にあるわけだし、受精もおわってるの。 あとはなるべく早く誰かのお腹の中に入れてあげないと、ぜーんぶ流れちゃうのよ。可哀想でしょ? 竜ちゃんにしかこんなこと頼めないし、親子のよしみで私を助けると思って」  うるうるした目でンなこと言われても困る。  俺は眠気とずきずきする頭痛で傾げてくる頭を目頭を揉んだ。 「断ります」 「なんでよ!」  突如彼女の口調が変わり、だんっ! とテーブルがが叩かれて湯飲みの中の茶が跳ねた。 「あたりまえでしょう。一度もあったことの無い人間に無理矢理押しかけられて、しかも母親で、赤の 他人の子をこさえてきて自分が埋めないから代理出産してくれと頼まれてハイそうですかと言う奴がど こにいますか。常識で考えてください!」  ぴしゃりと言い放つと母親と名乗る彼女は子供が怒ったみたいな目をして俺をにらむ。 「じゃあ、いいわよ」  ようやく解ってくれたか。そう思ってほっと一息つくと、彼女はまた爆弾発言を繰り出してきた。 「竜ちゃんのいる大学に竜ちゃんの秘密バラしてやる。竜ちゃんがタツノコ族だって隠してるの知って るんだからね。しかも男の子なのに子ども生めるとか、一回流産しちゃったこととか、脚色して全部バ ラしてやるんだから!」  その言葉に俺はぎょっとした。そんなことバラされたら、周囲の反応はわかりきっている。性転換し たくらいで驚かれる人間社会のことだ。おそらくあること無いこと騒ぎ立てられるに違いない。しかし 騒がれるくらいならまだマシだろう。そんなことよりも、俺はそれによって彼女や今の友人を失うのが 恐ろしかった。もしかしたらそんなことで離れていくような奴らでないかもしれない。しかし今の関係 を維持するのはおそらく不可能だろう。 「ねぇ、竜ちゃん、そんなめんどくさいことになるより、お母さんの為に赤ちゃん生んだほうがマシで しょ? 大丈夫よ。タツノコ族はヒトより生まれるのが早いから、たったの六ヶ月よ。お腹が目立つの も多種族より少ないみたいだし、ねぇ、良いでしょ? 生まれたら引き取りに来るから。ねぇ、ねぇ」  発情期の野良猫みたいな甘い声を出しながら、俺へと擦り寄ってくる彼女。俺はしばし考えた後、子 どもが生まれたら、二度と俺につきまとうな。という条件を出し、俺は見知らぬ母親と赤の他人の子を 抱卵することをしぶしぶながら許可した。  一糸まとわぬ母の大きな胸やら細い腰やら生々しい肉ヒダが見え隠れする性器やら、紅い唇だとか 声だとか、そんな姿を見ても俺の愚息が一向に上を向く気配を感じないのは、この女が俺を自分の子ど もを生む機能がある機械かなんかだとしか思ってないせいなのかもしれないが、それでもまぁ、物理的 刺激を加えられれば勃起もする生物の不思議。  くるんと丸まるタツノオトシゴの尻尾を振りながら、たわんと弛む二十歳過ぎの息子がいるとは思え ないようなハリツヤのある大きな胸でもって俺のうなだれた肉棒を挟んで持ち上げしゃぶりあげるテク ニックは流石というか、なんと言うか、遊びなれていると思った。歯列でもって先端をコリコリと甘く 噛み、舌先で尿道口をなめたり口全体で思い切り吸い上げたりされると、思わずうぅ、と声が上がって しまう。  なんでこんなことされてるかというと、一度射精を終えないと育児嚢が開かないせいだ。自分以外の 子を孕んでたまるかというなけなしの遺伝子がそうさせているらしいのだが、詳しいことは解らない。 「竜ちゃんきもちいい?」  息子の肉棒を口にくわえたままで母親が尋ねてくる。気持ちよさもあるが、これからされることの嫌 悪感が勝っていて当分イけそうにないので、適当なところで切り上げてトイレで済ませてこようと思っ たが、ぎゅっと息子を握り締められて阻止された。 「あぁん、ダメよ。竜ちゃんはママがイかせてあげる」  ぐにぐにともう一度乳房に挟まれ刺激を加えられる。俺は極力嫌なことを頭から追い出しながら気持 ちよさだけを享受するよう勤めると、やがてそこも硬く張り詰め液をこぼす。 「竜ちゃんの我慢汁、とってもおいしい。彼女はこういうことしてくれないの?」  ねぇ? と言ってこっちを向いた彼女の口から滴る唾液に思わず生唾を飲み込んだ。彼女は胸が無い からこういうプレイは出来ないことを思い出したからだ。 「あ、またおっきくなった。そろそろかしらね」  楽しげに肉棒の下にある袋をやわやわと握りながら根元から舌の全面でねっとりと舐め上げ始めた彼 女はついに俺の尻の穴に指を伸ばした。 「こっちからも攻めてあげる」 「はぁぁっ!!」  細い指を中に突き入れられるとぐぅと嫌悪の声が上がってしまうが、慣れた手つきで前立腺をぐいと 押し上げられると電気が走るような衝撃と快感が脳天を突き上げた。 「あ、すごい。竜ちゃんすごいわ。こんなので突き上げられたら私すぐイっちゃいそうよ。これで毎日 可愛がられてるなんて彼女さんが羨ましい」  世辞なのか本音なのかはわからないが、尻の奥をぐりぐり刺激されながら張り詰めた肉棒をそのを窄 めた唇でじゅぼじゅぼと音を立てられて咥内でピストンされる快楽は先ほどまでの嫌悪感など頭の彼方 へ吹き飛ばし、次の瞬間には妖艶な母親の口中に俺はどくどくと吐精していた。 「おいしい。私のお腹で受け止めてあげたかったけど、ダーリンの卵ががあるから許してね。竜ちゃん」  射精の余韻でぼうとした俺の頬に口付け、一滴残らず精液を飲み干した母親は、耳に息を吹きかけな がら、彼女はそう囁いてから俺をうつ伏せにさせた。されることは知っているが、承知した手前抵抗は せず俺は黙って息を殺している。  ちらりと振り返ると、彼女は産卵するための細い輸卵管を膣から伸ばして俺に覆いかぶさった。  長いタツノオトシゴの尻尾を俺の尻尾に絡ませながら指と同じ細さの輸卵管はさしたる苦痛を伴わず に直腸の中へ至るが、未だに狭い育児嚢の口へ差し込まれる瞬間は苦痛以外の何者でもない。 「あっ、あっ、うっ……」 「あっ、竜ちゃんの中に私の卵が入ってる。解る? ねぇ解る? 竜ちゃん」  輸卵管から一つ一つ卵が腹に落ちるたび、育児嚢のすぐ上にある前立腺も押し上げられて勃起する 肉棒を、腹に回した女の手が柔らかく扱き上げるのが、気持ちよくも酷く苦痛だ。  母親に犯される嫌悪感や赤の他人を宿される事実に吐き気がこみ上げるのを耐えながら、俺はひたす ら産卵が終わるのを待っていた。  産卵が終わった彼女の輸卵管が膣の中にすっかりしまわれてしまうと、俺は気だるい体を起こして「帰 れ」と怒鳴った。  しかし彼女は帰るどころか、産卵の刺激で勃起している俺の肉棒を再びやわやわと手で揉み始め、ニコ リと笑って「嫌よ」と言った。 「だって、竜ちゃんのココ、まだ苦しそうじゃないの。それに、せっかくだから味見もしてみたいわ」  ぺろり、と唇を舐めた彼女は力の抜けた俺を押し倒すと、間髪入れずに産卵を終えた直後で卵の無くな った女性器に嬌声を上げながら肉棒をずるずると飲み込んでいく。 「あああーーーーー!!!!」 「ひっ……!」  沢山の男たちと遊びなれ、すっかり熟れた肉壷は俺しか男を知らない彼女の固いそことはまた違う。 その柔らかくも暖かな心地よさに思わず悲鳴を上げかけた。 「あっ、あっ、あっ! すごい、竜ちゃん、気持ちいい!!」  そのまま俺の腹の上で腰を振りはじめると、結合部がぐちゃぐちゃと粘液を絡ませる音がやたら大き く聞こえてくるのが腹立たしくも卑猥で、強制的に勃起させられたそこに新たな血液が送り込まれる気 さえする。そして女の腰を振るタイミングにあわせてまた自分もガツガツと腰を振って彼女を突き上げ ていた。 「りゅうちゃ、あっ! はげ、激しい!! あっ、いいわ、いいわいいわ!! あっ、あああぁぁ!!」  びくびくと体を振るわせる女の膣内は同時に俺の肉棒をぎゅっと絞り上げ、その快感に俺は空っぽのそ こにびゅくびゅくと精を吐き出した。  事を終えた彼女は、生まれたら連絡してね。と携帯電話の番号を書いた紙切れを俺によこしてそのまま どこかへ帰っていった。  夢のような快楽が過ぎ去ると、自分の腹に植えられた卵のゴロゴロとした違和感が唐突に俺を現実に 引き戻す。悪夢のような出来事に突然怖くなった俺は直ぐにトイレで卵を掻き出そうとしてみたが時既に 遅く育児嚢の口はぴったりと閉じ切っていて、前立腺を押し上げるだけのオナニーに終わってしまった。  母親に他人の子どもを宿されたなど、男のプライドが邪魔して病院に行くこともかなわず、俺はただ ただ目立たぬよう育ってとっとと生まれてくれと願いつつ、俺は秘密を抱えたまま再び日常へと戻るこ とにした。 [[海馬話後編]]

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