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Am Tag des Regens im Mai~子犬とワルツをベルリンで 後半」(2009/01/21 (水) 14:18:52) の最新版変更点

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1945年5月2日午後 時 ドイツ第三帝国首都ベルリン 天気:曇り ちゅ……ちゅぴ…… ハンスは口内に感じる違和感に再び目を覚ます。 どうやらまだ自分は生きているようだ。 雲が完全に晴れたのか先ほどより月の光は強まっており、そして眼前には俺の唇を攻める全裸に上着だけのノインがいる。 「あ、おはよー。ハンスさん」ぷあ、と唇を離してノインがハンスに言った。 「…………おはよう」ハンスは答える。と言うか、そうするしか無かった。 どうやら靴紐か何かで手足を縛られているらしく、コンクリートの壁にもたれかかったままハンスは全く身動きが取れない。 不意にノインが立ち上がるとドイツ国防軍の上着をめくり、ところどころ火傷を負った白い肢体をさらけ出す。 「ハンスさん、どうです?わたしの裸」 「……そういうのは無闇に見せるもんじゃないだろ……」 ハンスは顔をそむけて毒づく。が、ノインは両手をハンスの頭にやり、強制的に顔を自分の方向へ持っていかせた。 「わたし、ですね」 ノインはそのままハンスに顔を近づけ、ハンスに聞こえるほどの声で囁いた。 「誰かのお嫁さんになるのが夢なんですよ」 そして、ハンスのズボンのジッパーをおろしながらささやき続けた。 「でも、こんな顔じゃもうお嫁さんなんて……無理でしょ?ね?」 ハンスは目をそのままそむけたが、すぐにゆっくりと、だが力強く元の位置に戻される。 「だから……」 ノインはズボンの中からハンスのそれを取り出して、言った。 「ハンスさんの、お嫁さんに無理やりなっちゃえばいいんです」 一瞬、ハンスは何を言われたかわからなかったが、すぐに全力で首を横に振る。 「待て! ちょっと待て! 他にも方法が……」 ちゅ。 そんな音と共にハンスの声はさえぎられた。ノインはハンスの唇を無理やりに奪って、そのままハンスを抱き寄せる。 「……………………ぷは」 何分もたったように思えた長い長いキスの末、ノインはやっと唇を離した。 ノインの呼吸は荒く、先ほどよりも肌は火照って、顔もとろけている。 「……ふふ、次はこっち。ですね」 そういっておろしたジッパーの中をまさぐり、ハンスのそれがほのかに冷たい外気に触れた。 「やめ……」 ハンスは動こうとするが、靴紐はかなりきつく縛ってあるのか外れない。 そのうちにもノインはハンスのそれを慣れない手ですりはじめ、ぎこちない動作に余計それは正直にも反応してしまう。 ちゅ、にちゅ、ちゅぷ。先端から透明な汁が出てくるのを確認すると、ノインは手を止めた。 「……これ、せーえき?」 違う。とハンスは言いたかったが、そんなことやっても墓穴を掘るだけだ。よってハンスは押し黙った。 ノインは透明な汁を指にとって、舐める。 「ちがう……」 それの味は本能が知っていた。ノインはじれったいと思ったのか、そのまま床に寝そべり、ものをくわえ込んでしまう。 「くぅ……」その刺激にハンスは抵抗する力さえ奪われていた。 「はむ……ん……ちゅぱ…………ふぁ、大きくなってる」 ノインは微笑むみながらそれをいとおしいそうにほお張っている。 「くは……」 ハンスにはもう余裕が無かった。 せめてノインの口内に出さないように。と、縛られた足で無理矢理ノインの顔を払おうとする。 だが、それが間違いだった。払おうと足を張り詰めたせいで、快感が余計に増幅されてしまい…… どくっ! どくどくっ! 「んんっ!」いきなり口内に粘液を出されたせいでノインは一瞬顔をしかめたが、それでもハンスのものを絶対に離さなかった。 やがて射精も収まると、ノインはこくこくと喉を鳴らして精液を嚥下した。 「ぷはぁ……ハンスさんのせーえき、おいしかったですよぉ…………」 飲み干せなかった精液を一筋、口元に垂らしながら、彼女は淫蕩な笑みを浮かべていた 一方で快感の余韻と射精後の放心感にハンスは浸っていた。 「じゃ、次はこっちで……」 気だるい感覚の中でその言葉をぼうっと聞き流しいていたハンスだったが、いつの間にか立ち上がっていたノインが自分に跨るようにして姿勢を低くするのを見て、すぐに頭の中を覆っていた霧が晴れていった。 「や……やめろ! やめろノインっ! やめてくれっ!」 ハンスが叫んだ次の瞬間、ノインの顔から笑みが消えた。 「…………どうした?」ハンスは訊く。 「もしかして……私のこと、きらいですか?」 「……え?」 突然の言葉にハンスは戸惑った。 今、もしかして俺が拒絶したから……。ハンスはすぐに後悔する。が、彼女への言い訳は何一つ浮かんでこなかった。 「そうですよね……こんな小汚い野良犬みたいな女の子、お嫁さんになんかしたくありませんよね…………」 ノインはうなだれたまま、淡々と続ける。 「ハンスさんには……私なんかより……もっとずっとかわいい女の子が…………お嫁さんになってくれますよね」 その声は段々とか細く、震えていった。それに呼応するように、彼女の尻尾も元気なく垂れ下がってゆく。 「いくら……私が……ハンスさんのことすきでも…………やけどのおんなのこなんて…………ひぐ……およめさんになんて……」 ぱらぱらと音をたてて崩れた瓦礫の隙間から差し込んだ紅い月明りは、彼女の引きつった顔を包み込むように照らしていた。 そのアイスブルーの瞳からは、今にも雫が零れ落ちそうになっている。 (やるしかないな……) 元々自分がつけた傷だ。 それに、泣き顔まで見せられて断るほど薄情でもないし、女に困っていないわけでもない。 それに、この犬耳娘となら、なんとかなる。 そう不確かな希望を抱いてハンスは覚悟を決め、泣きじゃくるノインに向かって言った。 「本当に」 泣き顔のまま、ノインは顔を上げた。 ハンスは一拍、深呼吸して、言葉を絞り出す。 「本当に、俺でいいのか?」 そして、お姫様は泣き顔のまま間髪入れずにハンスに飛びついた。 「いいっ! ハンスさんならいいっ! えぐっ、ハンスさんなら、ひっく、はじめてあげてもいいっ! ハンスさんなら、えぐ、こども、ひくっ、うんであげても、えぐっ、いいの!」 ハンスは本当は涙をこぼして強く抱きしめてくるノインを、同じように抱きしめたかったのだが、こういう時に限って両手が靴紐で縛られていたので、それは不可能だった。 「あ……」 赤く腫らした目も引きだしてきたころ、ノインは自分が上着だけだと言う事を再認識する。 「ずっと裸のままだったんだ……夢中で忘れてた」 そして、頬を赤く染めて「ね、あったまりましょうか」と、ぱたぱた尻尾を振りながらささやいた。 ハンスは、無言のまま首を小さく縦に振った。 「じゃあ、この子を元気にしてあげなきゃ」 「うう……」二回目とは言え、やはり女の子に自分のものをいじらせるのは抵抗がある。だがそんなのも快感のエッセンスに、 ノインは先ほどのようにそれを持つ手を上下させていたが、やがて新しい悪戯をおもいついた子供の表情になった。 先ほどのように姿勢を崩し、ノインは再び床に寝そべった。 そして、それを握った手を上下させながら、舌先で鈴口を攻めてゆく。 「どうです?先っぽ、気持ちいですか」舌先を頻繁に動かすその姿は、ミルクでいっぱいの皿を舐める子犬さながらだった。 「くぅぅ……」ノインの攻めに、ハンスの口からはつい情けない声が出てしまう。 「あ、ここで出しちゃだめですからね」 そう言ってノインは立ち上がると、ハンスの肩に手を置き、先ほどのように腰を下ろし始めた。 「見て下さい」ノインは片手でくぱぁ、と彼女の、ぐしょ濡れになった一番大事なところを開いた。「この子、ハンスさんとするって考えてるだけで、 こんなにどろどろになっちゃってるんですよ?」 ノインはそのままどんどん体勢を低くする。 「こっちの子も、焦らしてあげるのつらいでしょうし」 ハンスの先端が、ノインの入り口にあてがわれる。 「赤ちゃん、できるといいな♪」 ノインは小さくそう呟くと、一気に腰を沈めた。 途端、ハンスは自分のものが何かを突き破る感触を覚え、それと呼応したように肩を掴むノインの手と、ハンスを包み込むノインの中がぎゅっ、と 痛いくらいにハンスを掴んだ。  ハンスは慌ててノインの顔を見ると、その表情は必死に何かに堪えようとしている、痛々しいものだった。 ハンスは慌てて二人の結合部を覗くと、そこには一筋の鮮血が滴っていた。 「ノイン……もしかして…………」いくらこういう事に疎いハンスでも、その血の正体はわかる。 「ハンス……さん、だから、初めて…………して、あげたん……ですよ?」彼女のアイスブルーの瞳には、再び涙が浮かんでいた。 「大丈夫か?」 「……すっごい、痛いです」 「じゃ……やめるか?」 ノインはふるふると首を振る。 「でも、ちょっと待ってください」二人は繋がったまま、少しづつ彼女の痛みが引いてゆくのを待った。 何分ほど時間がたっただろう。痛みが引いたのか、ノインは不意に繋がったままの腰を動かし始めた。 「はふ……んっ…………はぁう……んぁ」地下道の闇の奥深くまで、じゅぽじゅぽ、ぐちゅぐちゅ、と粘性のある水音と、 ノインの控えめな嬌声がどこまでも響き渡った。 ノインの膣は年齢相応に狭く、しかも処女であることも手伝って、絶対逃がすまいとばかりにきゅうきゅう締め付ける。 「凄い。ノインの中……締め付けて……くる……」 「やぁぁ……言わないで……はん……くださいよぉ……ひゃぅぅ…………」 会話の間にもハンスはきゅうっ、とひときわ強く締め付けられた。 「言われると……弱いんだ」 「……恥ずかしいです…………あぅ」 そう言いながらしっかり感じる所がまた可愛らしい。 しばらくして、ノインは腰を動かすのをやめる。 どうした、とハンスが聞こうとするその前に、ノインはハンスの手首を縛る靴紐に手を伸ばし、解き始めた。 「もう……逃げませんよね」呟きながら固く縛った靴紐を、快感に震える指でぎこちなくほどいてゆく。と、今度は結合部を軸に、腰を一八〇度回転させ、 足首の靴紐も解いていった。 一体何をするんだろうか。靴紐を解きながらも、時折ノインの膣は不規則に締まってくる。 足首の靴紐を解き終えると、ノインは名残惜しそうにハンスのそれを自分の中から抜き、そしてノインは両手と両足を床につけ、 やわらかそうな尻をハンスのほうに向けた。 「わたし、こっちから…………して……欲しいです」 ノインは震える声で言った。 「本当に…………可愛いな、お前」 ハンスは呟くとやわらかい尻に手をやって、自分のものを再びノインの中へと潜り込ませた。 「くぅぅぅぅん」 侵入して来たものを、もう再び逃すまいとノインの内側は容赦なく締め付けてくる。 「ハンスさぁん……」とろけ切った表情のノインが言う。「奥まで、思いっきり突いてくださいね」 ハンスは小さく頷くと、思いっきり腰をノインの臀部に叩きつけた。 「ひゃぁぁぁうっ」その衝撃に身悶えながらも、ノイン自身も尻を前後にスライドさせる。 「あ、ひゃ、くぅ、くぅぅん、きゃぅ、はぅぅん」先ほどとはうって変わって、地下道いっぱいにノインの大きく、なおのこと甘い嬌声が反響した。 ノインの尻尾は今にもちぎれそうなくらいにぶんぶんと振られ、その表情はとろけきってはいるが、彼女の最上級の笑顔がそこにあった。 「くぅ……もう、限界」 「いいですぅ! わたしに……ぜんぶ、くださいっ!」 ノインのリクエスト通り―――――というか、もう暴発に近かったが、ハンスはノインの膣内に、熱い塊を吐き出した。 「きゃぅ、きゃううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅんん!!!」それを感じて、ノインも絶頂を向かえる。 そして二人はそのまま重なるようにして床に倒れこみ、二人で気だるい快感の余韻に浸っていたが、いつからか双方とも寝息を立て始めていた。 ノインと名づけられた子犬は、下腹部のぬくもりを感じながら夢の中へと落ちていく。 子犬が目を覚ますと、そこは彼女の生まれた街だった。 彼女の国の創始者の名前を取られたその街は、いつも冷たかった。 いつからか、彼女は小さなアパートの物置に住み着くようになっていた。 アパートの階上には老夫婦が住んでいて、宿無しの彼女にも良くしてくれていた。 老夫婦はオーストリア(その時、彼女は初めてオーストリアという国があるのを知った。彼女はまともな読み書きができなかったし、 なにより彼女の国が排他的な国だったからだ)からやってきた夫婦であり、戦争と革命という二つの出来事によって、祖国に帰れなくなっていたのだという。 そして、彼女はいつの間にか老夫婦達の家族となっていた。 老夫婦の会話からいつのまにか彼女は老夫婦の国の言葉を覚え、それを使ってこの国の人たちにはわからないように、 小さなオンドルを囲んでいろんな話をしたりした。 ある日、彼女は老婆に訊いた。 「ねえ、おばあちゃんはどうしておじいちゃんといっしょになったの?」 「それはね」年を経ても若い頃の美しい面影が残る老婆は、答える「おばあちゃんが恋をしたからよ」 「こい?」彼女は聴きなれない言葉に首をかしげた。 「そう、恋。胸の中が好きな人のことでいっぱいになってって、その人のことしか考えられなくなるくらいになっちゃうの」 「…………わかんない」 一息置いて、老婆は彼女に語りかけた。 「おちびちゃん(老夫婦の中の彼女の呼び名)にはちょっと早かったかもしれないわね。でも、いつかわかるときがくるわよ」 それから一年経ち、老夫婦は相次いで息を引き取り、アパートの一室は他人の手に渡った そして再び寒い街に彼女は放り出され、地下鉄の駅を、路地裏を、物置小屋を、幾年かの間彷徨っていた。 そんな中、老夫婦達の祖国がドイツという国に滅ぼされ、その悪魔のような国(少なくとも街頭のラジオはそう言っていた) の軍隊がこの国に迫ってきていると知った。 そのうち、地下鉄駅で寝ていた彼女は兵隊に捕まり、軍の施設へと送られていった。 そこで彼女は、ドイツ軍の戦車を破壊する訓練(少なくとも、彼女はそう聞かされていた)を受けた。 5ヶ月ほどたったろうか、彼女は革命以前から現役のようなガタガタのトラックで前線へと送られていった。 前線の小隊長は、ぶっきらぼうだが気の利くやさしい人で、いつも帽子を深くかぶっていた。 そして、ドイツ軍から奪ったらしいトラックに揺られ、小隊は揃ってベルリンの付近へと向かった。 そこで彼女は一人の兵士に火傷を負わされ、そして、その兵士に優しくしてもらった。 あるとき突然、彼女は彼のことを考えた途端、胸がしまる思いがするようになった。 そして、彼女はこう感じた。 これが、おばあちゃんの言っていた、「恋」なんだろうな。と。 1945年5月2日午前9時 ドイツ第三帝国首都ベルリン 天気:曇り 「連中、ご丁寧な事しやがって……」 雑貨屋のカウンターの影で息を潜めながらクラウスは毒づいた。 表の通りにはつい数時間前の尉官殺しの犯人を見つけようと、下士官と兵がバラライカやらトカレフやらを構えて闊歩していた。 「スターリングラードじゃ士官一人死のうが増援なんて出てこなかったぞ」 どうやら建物を一軒ずつしらみ潰しに探しているらしく、たまに表通りから砲声や炸裂音に混じり、乾いた銃声が響いていた。 『少尉! 次はここです!』青年特有の高い声のロシア語が雑貨店の前に響いた。 クラウスは身をこわばらせ、表からは死角になるように、カウンターの入り口に向かってモーゼル小銃を構えた。 『ああ』青年のものよりさらに声色の高い、流暢なロシア語が答える。そして、ソ連軍の軍靴の音が薄暗い店内に響いた。 ガシャン、ガシャンと二人は立て続けに壁際に並んだロッカーを開けてゆく。ロッカーが終われば次はカウンターだ。 『少尉!』カウンターのすぐ近くで、青年が声を上げた。クラウスはびくっ、と体を反応させた。 『少尉! これ全て、もって行ってよろしいでしょうか!』青年は嬉々とした声で叫んだ。時折聞こえてくるジャラジャラと鳴る音から、恐らくロッカーの中にあった、 この店の店主が捨てていった時計達だろう。 『ああ。いいぞ』 少尉と呼ばれた声が言うと、青年はそのまま嬉々興々と店の外へと出て行った。 「さて」『少尉』は独り言のように―――だが、そこに隠れているものに、ドイツ語で呟いた「そこにいるんだろう?士官殺し」 「ばれていたか……」クラウスはモーゼル小銃の引き金に手をかけ、腰を上げようとする。「あいにく、俺はさっきの士官殺しじゃ無いがな」 「同じだよ」 「そうですか」 クラウスは立ち上がった瞬間、モーゼル小銃をすばやく構えて、撃った。こんな動きは塹壕戦で慣れっこだ。 ドイツ軍の正式弾薬である7.92mm弾は、ソ連陸軍の濁った草色のコートを羽織り、制帽を目深にかぶった『少尉』目掛けて飛んでゆく だが、まったく狙いをつけていなかったのが悪いのか、それとも『少尉』がよけたのか、弾丸は『少尉』の制帽を掠ったただけだった。 「そういや、こういうの得意じゃなかったんだ」クラウスは塹壕撃ちの上手かった盲目の戦友を思い出しながら、モーゼル小銃を手放した。 1945年5月3日午前12時 ドイツ第三帝国首都ベルリン 天気:晴れ  「ん……んん?」 薄暗い地下鉄駅跡に差し込んだ朝の光が、容赦なくハンスの顔を射る。その陽光に耐えられなくなり、ハンスは目を覚ました。 隣には裸のまま器用に国防軍の上着に包まったノインの姿がある。 「……こりゃ風邪ひくぞ」ハンスは近くに転がっていた毛布をノインにかぶせると、階段のほうを見た。 瓦礫に埋まった階段はいつのまに崩れたのか、ほんの小さな子供一人くらいなら通れそうなほどの、大きな穴が開いていた。 「掘り進んでいけば、もう少しで出れるだろうな……」 そう思って早速ハンスは缶詰めの缶を握った。その時…… 「…………ん?」遠くから、砲声や銃声に混じり、乾いた音が近づいてくるのがハンスの耳に届いた。 音の種類を探ろうとハンスは首を左右させ、そして、ハンスは音の正体がすぐにわかった。 間違いなく、この音は確実に広い空間に響く靴音だ。 (…………まさか、コミー?) そう思うとハンスは打ち捨ててあった火炎放射器を見つけ出し、放射口を拾い上げて構えた。 壊れた火炎放射器は武器としては何の役にも立たないが、ハッタリをかますくらいは役に立つ。 「ん……むにゃ。はんすさん……なにやってんの?」いいタイミングでノインは心地よい夢から覚めた。 (…………できるだけ静かに喋ってくれノイン)ハンスはノインに聞こえる程度の声で耳打ちする。 ノインは静かに、縦にうなずいた。 (誰かが地下鉄をこっちに向かって歩いてきてる。足音からだと人数は少ないみたいだけどな…………) (だから、それ構えてるの?)ノインは壊れた火炎放射器を指差す。 (ハッタリかましてる間に逃げれたら御の字だからな) (じゃあその間に私が突き飛ばそうか?) ハンスは苦笑しながら(名案だ)と呟いた。 やがて足音はホームの階段を上がり、構内に辿り着く。 そして、足音は遠のいたり、近づいたりと、構内を歩き回っているようだ。 途中、二人の潜む階段の前で足音が立ち止まり、二人は顔を合わせた。が、すぐに再び足音の主は歩き出していった。 そして、構内をあらかた回ったのだろう。足音は再び階段の前で止まり、そのまま二人の潜む階段を一段づつ昇ってきた。 足音の主はライターで暗闇を照らしているのか、足音が大きくなるたびに、あたりがほのかに明るくなってゆく。 歯がカチカチと音を立てるなか、ハンスは火炎放射器の放射口を構え、ノインは深呼吸する そして、相手が踊り場まで近づいた瞬間に―――― 「止まれっ!」ハンスが放射口を踊り場を曲がろうとする相手に突きつける。 それと呼応するようにノインが相手に飛び掛ろうとする――――――――――が、 「クラウス曹長?」 「ライカ中尉?」 二人は足音の主二人の名前をそれぞれ叫ぶと、お互いに顔を合わせた。 「生きてたか、ハンス」国防軍の制服姿で銀色のオイルライターを持ったのクラウスは得意そうな顔で二人を見る。 そして、ソ連軍のコートに、制帽を目深にかぶったライカライカ中尉は「やっぱりお前か、Z-09…………」と小さくため息をついた。 しかし、彼らの声も聞き流され、ただなんでドイツ軍の下士官とソ連軍の士官が一緒にいるんだ?と。ハンスとノインは顔を合わせたままだった。 「お前ら何固まってんだ?」二人に向かってクラウスは問いかける。 「いや…………ずいぶんお二人とも仲よさそうだなー、って」 「ああ、それか」口を開いたのはライカ中尉だった。 「さっき向こうの市街でウチの軍の士官が狙撃されてな、しらみ潰しに近隣の建物押さえていったら、たまたま近くの雑貨屋にこいつがいたんだ」ライカ中尉はクラウスの持っているライターで、 煙草に火をつける。どこから拾ってきたのだろうか、 銘柄は米国製の『ラッキーストライク』だった。 「それがよく見たら前の戦争の野戦病院でベッドが隣だった奴で、その……なんだ、昔のことも色々あるものだから殺さないでやった。 で、こいつのところの工兵一人とウチの地雷犬が揃って地下鉄の駅に落ちたって言うから来てみたら、二人で仲良く楽しんでました。と言うわけだ」 「はぁ……」二人はやはり顔を合わせたままだった。前の戦争といえば30年近くも前の話だ。それを平気で語る、この若く見えるライカ中尉は一体何歳なのだろうか。とか、 野戦病院で何をやっていたんだろう。とか。クラウス曹長は東部戦線に行ったことあったのか。とか。 そんなことが二人の頭の中を駆け巡っていた。 「しかし、酷い火傷だな。Z-09」ライカ中尉はノインの肌を見やる。「痕にならなきゃいいな」 「ノインです、ライカ中尉」ノインはライカ中尉に向かって言う。 (それに、私は……むしろ痕になって欲しいです)そして、それに続くように、誰にも聞こえない声で小さく呟いた。 だが、いくら小さく呟いてもその内容は、半世紀近く生きてきたクラウスとライカ中尉にとってお見通しだった。 「ずいぶん仲良くなったんだな、ハンス」 「そ……曹長! 何言うんですか!」 「何言っても無駄だぞ、向こうのお嬢ちゃんの顔。ありゃ『恋する乙女』の顔だからな。その分だときっと昨日あたりには…………」 「ノインなんて上等な名前も貰って、その上昨日は満月だったからな」 ニヤニヤと笑みを浮かべるクラウスとライカ中尉。 「……確かにそうだけどさぁ」ハンスは惨めたらしくそのままうなだれた。 「ところで、お前達はこれからどうする?」 ノインがそれまでの経緯(かなりノインの脚色つき)を語りおわったあと、すぐに口を開いたのはライカ中尉だった。 「とりあえず、二人で戦争が終わるのを見計らって、ベルリンを出ます」ハンスは言った。 「その後は?」 「そのときに決めますよ…………」 ライカ中尉はハンスにラッキーストライクを差し出す。が、ハンスは断った。 「まあ、戦争は終わったらしいけどな」クラウスは小さく呟く。 その言葉を聞いたハンスとノインは「本当ですか!?」と声をそろえて叫んだ。 「ああ。Uボートのおっさんが連合国に降伏したと。今武装解除中らしい」 二人は顔を見合わせて、お互いの手を叩いて喜ぶ。だが、 「あーあーあー、ちょっと待てちょっと待て。お前ら戦争が終わっても安全にベルリンから逃げ出す方法なんて無いだろ。 そこら中軍規もないような連中だらけなんだぞ?」と、そこにクラウスが水を注した。 「ある」そう言ったのはライカ中尉だった。 ライカ中尉は、コートの中から一冊の軍人手帳を引っ張り出すと、ハンスに手渡した。 「ウラジミール=ザイツェフ兵長…………これは?」 「うちの小隊の奴でな、昨日これを置いて地雷犬と一緒に脱走した」ライカ中尉は紫煙を吐き出す。「つまり、ハンス……だったな。お前がこいつになればいい」 ライカ中尉の提案に二人は驚愕の表情を浮かべ、ただ一人クラウスだけが「無茶するなぁ」と言うだけだった。 「で、でも」先に口を開いたのはノインだった。「ハンスさん、こっちの軍服なんて持ってませんよ?」 「一式ドイツ軍から奪ったとでも言っておけ。それで連中納得する。それにもし問い詰められてもノインに任せておけばいい」 そんな無茶な。と、ハンスは呟いた。が、ノインとクラウスはうんうん。とうなずいた。 「それならちょっとハンス、それ貸してくれ」クラウスがそう言って軍人手帳を奪うと、制服のポケットから鉛筆を取り出して、 ザラ紙の中味に何かを書いて、再び手渡した。 「バイエルンにいる戦友の住所だ。俺の名前を出せばたぶん力になってくれるはずだ」 「ありがとうございます、曹長、ライカ中尉」ハンスとノインはそう言うと、共に立ち上がって、ハンスは彼のライターをかざした。 「お二人は、どうするんですか?」 「まあ、このままソ連に入国ってのも手だな」クラウスは笑いながらライカ中尉を見た。 「いっそ東部戦線の続きでもしようか?」ライカ中尉はちびた煙草を吐き捨て、踏み消す。 「では」二人の揃った声が地下鉄の駅に響いた。 どれくらい歩いたろう。ハンスとノインは一番近い地下鉄の駅へ辿り着き、そのまま二人は走って出入り口を目指す。 そして二人の頭上には、何日ぶりの青空が浮かんでいた。 親愛なるアレイシア=ライカ中尉へ  もうすぐ夏になりますね。  中尉はこの1ヶ月いかがお過ごしだったでしょうか?  私の方はと言うと、石炭レンジで火傷したハンスさんがやっと病院から帰ってきました。  でも、手の火傷は一生消えないらしいです。(実は私はそっちの方がよかったです。ハンスさんとおそろいですから)  お店の方もハンスさんが復帰して、ハンスさんが入院してる間も特に問題もなく、今は順調そのものです。 ハンスさんが入院してる間、手伝ってくれたエリスさんのおかげですけど…… そうそう、退院の日にハンスさんたら「もう絶対に石炭レンジは使わないぞ」って勝手に心に決めてるんですよ。おかしいでしょ。 だから、自分から料理なんてつくれないのに、無理するからこうなったんですよ。って言ってあげました。 ずっと私がつくってあげるから。って。 で、実はこの間常連のおばさんに「ノインちゃんのとこはいつまでも新婚さんみたいだ」って言われたんです。 それで嬉しくなっておばさんにちょっとおまけしちゃいました。 で、ハンスさんに言ったら「新婚みたいじゃなくて、お前が全然変わってないだけだ」って言うんですよ…… で、悔しいからいっぱいエッチしてそんな口聞けないようにしちゃいました♪ ちゃんと変わってるんですよ?いろんな所が♪ ライカ少佐は元気ですか? クラウスさんは元気でしょうか? もし今度、機会があれば来てくださいね♪ 1955年5月3日 バイエルン州 アルブルグ市ヴェルセーヌ通り310号 ノイン=カウフマン P.S.どうやら四人目も女の子だそうです。 「少佐ぁ、何読んでるんですか?」 「ああ、これか?古い友人の手紙だよ。クド」  1949年、ドイツとベルリンは二つに分けられ、彼女達のわたったバイエルンは西側のドイツに含まれた。  それでも、この手紙だけは月に1回必ず送られてきていた。  次に、あの雨に濡れた子犬に会えるのはいつだろうか……そう思いながら彼女は革張りの椅子に寄りかかった。  頭の中には、かつての若い工兵の手を引っ張って彼女の幸せそうな顔がいっぱいに広がる。    the end
1945年5月2日午後 時 ドイツ第三帝国首都ベルリン 天気:曇り ちゅ……ちゅぴ…… ハンスは口内に感じる違和感に再び目を覚ます。 どうやらまだ自分は生きているようだ。 雲が完全に晴れたのか先ほどより月の光は強まっており、そして眼前には俺の唇を攻める全裸に上着だけのノインがいる。 「あ、おはよー。ハンスさん」ぷあ、と唇を離してノインがハンスに言った。 「…………おはよう」ハンスは答える。と言うか、そうするしか無かった。 どうやら靴紐か何かで手足を縛られているらしく、コンクリートの壁にもたれかかったままハンスは全く身動きが取れない。 不意にノインが立ち上がるとドイツ国防軍の上着をめくり、ところどころ火傷を負った白い肢体をさらけ出す。 「ハンスさん、どうです?わたしの裸」 「……そういうのは無闇に見せるもんじゃないだろ……」 ハンスは顔をそむけて毒づく。が、ノインは両手をハンスの頭にやり、強制的に顔を自分の方向へ持っていかせた。 「わたし、ですね」 ノインはそのままハンスに顔を近づけ、ハンスに聞こえるほどの声で囁いた。 「誰かのお嫁さんになるのが夢なんですよ」 そして、ハンスのズボンのジッパーをおろしながらささやき続けた。 「でも、こんな顔じゃもうお嫁さんなんて……無理でしょ?ね?」 ハンスは目をそのままそむけたが、すぐにゆっくりと、だが力強く元の位置に戻される。 「だから……」 ノインはズボンの中からハンスのそれを取り出して、言った。 「ハンスさんの、お嫁さんに無理やりなっちゃえばいいんです」 一瞬、ハンスは何を言われたかわからなかったが、すぐに全力で首を横に振る。 「待て! ちょっと待て! 他にも方法が……」 ちゅ。 そんな音と共にハンスの声はさえぎられた。ノインはハンスの唇を無理やりに奪って、そのままハンスを抱き寄せる。 「……………………ぷは」 何分もたったように思えた長い長いキスの末、ノインはやっと唇を離した。 ノインの呼吸は荒く、先ほどよりも肌は火照って、顔もとろけている。 「……ふふ、次はこっち。ですね」 そういっておろしたジッパーの中をまさぐり、ハンスのそれがほのかに冷たい外気に触れた。 「やめ……」 ハンスは動こうとするが、靴紐はかなりきつく縛ってあるのか外れない。 そのうちにもノインはハンスのそれを慣れない手ですりはじめ、ぎこちない動作に余計それは正直にも反応してしまう。 ちゅ、にちゅ、ちゅぷ。先端から透明な汁が出てくるのを確認すると、ノインは手を止めた。 「……これ、せーえき?」 違う。とハンスは言いたかったが、そんなことやっても墓穴を掘るだけだ。よってハンスは押し黙った。 ノインは透明な汁を指にとって、舐める。 「ちがう……」 それの味は本能が知っていた。ノインはじれったいと思ったのか、そのまま床に寝そべり、ものをくわえ込んでしまう。 「くぅ……」その刺激にハンスは抵抗する力さえ奪われていた。 「はむ……ん……ちゅぱ…………ふぁ、大きくなってる」 ノインは微笑むみながらそれをいとおしいそうにほお張っている。 「くは……」 ハンスにはもう余裕が無かった。 せめてノインの口内に出さないように。と、縛られた足で無理矢理ノインの顔を払おうとする。 だが、それが間違いだった。払おうと足を張り詰めたせいで、快感が余計に増幅されてしまい…… どくっ! どくどくっ! 「んんっ!」いきなり口内に粘液を出されたせいでノインは一瞬顔をしかめたが、それでもハンスのものを絶対に離さなかった。 やがて射精も収まると、ノインはこくこくと喉を鳴らして精液を嚥下した。 「ぷはぁ……ハンスさんのせーえき、おいしかったですよぉ…………」 飲み干せなかった精液を一筋、口元に垂らしながら、彼女は淫蕩な笑みを浮かべていた 一方で快感の余韻と射精後の放心感にハンスは浸っていた。 「じゃ、次はこっちで……」 気だるい感覚の中でその言葉をぼうっと聞き流しいていたハンスだったが、いつの間にか立ち上がっていたノインが自分に跨るようにして姿勢を低くするのを見て、すぐに頭の中を覆っていた霧が晴れていった。 「や……やめろ! やめろノインっ! やめてくれっ!」 ハンスが叫んだ次の瞬間、ノインの顔から笑みが消えた。 「…………どうした?」ハンスは訊く。 「もしかして……私のこと、きらいですか?」 「……え?」 突然の言葉にハンスは戸惑った。 今、もしかして俺が拒絶したから……。ハンスはすぐに後悔する。が、彼女への言い訳は何一つ浮かんでこなかった。 「そうですよね……こんな小汚い野良犬みたいな女の子、お嫁さんになんかしたくありませんよね…………」 ノインはうなだれたまま、淡々と続ける。 「ハンスさんには……私なんかより……もっとずっとかわいい女の子が…………お嫁さんになってくれますよね」 その声は段々とか細く、震えていった。それに呼応するように、彼女の尻尾も元気なく垂れ下がってゆく。 「いくら……私が……ハンスさんのことすきでも…………やけどのおんなのこなんて…………ひぐ……およめさんになんて……」 ぱらぱらと音をたてて崩れた瓦礫の隙間から差し込んだ紅い月明りは、彼女の引きつった顔を包み込むように照らしていた。 そのアイスブルーの瞳からは、今にも雫が零れ落ちそうになっている。 (やるしかないな……) 元々自分がつけた傷だ。 それに、泣き顔まで見せられて断るほど薄情でもないし、女に困っていないわけでもない。 それに、この犬耳娘となら、なんとかなる。 そう不確かな希望を抱いてハンスは覚悟を決め、泣きじゃくるノインに向かって言った。 「本当に」 泣き顔のまま、ノインは顔を上げた。 ハンスは一拍、深呼吸して、言葉を絞り出す。 「本当に、俺でいいのか?」 そして、お姫様は泣き顔のまま間髪入れずにハンスに飛びついた。 「いいっ! ハンスさんならいいっ! えぐっ、ハンスさんなら、ひっく、はじめてあげてもいいっ! ハンスさんなら、えぐ、こども、ひくっ、うんであげても、えぐっ、いいの!」 ハンスは本当は涙をこぼして強く抱きしめてくるノインを、同じように抱きしめたかったのだが、こういう時に限って両手が靴紐で縛られていたので、それは不可能だった。 「あ……」 赤く腫らした目も引きだしてきたころ、ノインは自分が上着だけだと言う事を再認識する。 「ずっと裸のままだったんだ……夢中で忘れてた」 そして、頬を赤く染めて「ね、あったまりましょうか」と、ぱたぱた尻尾を振りながらささやいた。 ハンスは、無言のまま首を小さく縦に振った。 「じゃあ、この子を元気にしてあげなきゃ」 「うう……」二回目とは言え、やはり女の子に自分のものをいじらせるのは抵抗がある。だがそんなのも快感のエッセンスに、 ノインは先ほどのようにそれを持つ手を上下させていたが、やがて新しい悪戯をおもいついた子供の表情になった。 先ほどのように姿勢を崩し、ノインは再び床に寝そべった。 そして、それを握った手を上下させながら、舌先で鈴口を攻めてゆく。 「どうです?先っぽ、気持ちいですか」舌先を頻繁に動かすその姿は、ミルクでいっぱいの皿を舐める子犬さながらだった。 「くぅぅ……」ノインの攻めに、ハンスの口からはつい情けない声が出てしまう。 「あ、ここで出しちゃだめですからね」 そう言ってノインは立ち上がると、ハンスの肩に手を置き、先ほどのように腰を下ろし始めた。 「見て下さい」ノインは片手でくぱぁ、と彼女の、ぐしょ濡れになった一番大事なところを開いた。「この子、ハンスさんとするって考えてるだけで、 こんなにどろどろになっちゃってるんですよ?」 ノインはそのままどんどん体勢を低くする。 「こっちの子も、焦らしてあげるのつらいでしょうし」 ハンスの先端が、ノインの入り口にあてがわれる。 「赤ちゃん、できるといいな♪」 ノインは小さくそう呟くと、一気に腰を沈めた。 途端、ハンスは自分のものが何かを突き破る感触を覚え、それと呼応したように肩を掴むノインの手と、ハンスを包み込むノインの中がぎゅっ、と 痛いくらいにハンスを掴んだ。  ハンスは慌ててノインの顔を見ると、その表情は必死に何かに堪えようとしている、痛々しいものだった。 ハンスは慌てて二人の結合部を覗くと、そこには一筋の鮮血が滴っていた。 「ノイン……もしかして…………」いくらこういう事に疎いハンスでも、その血の正体はわかる。 「ハンス……さん、だから、初めて…………して、あげたん……ですよ?」彼女のアイスブルーの瞳には、再び涙が浮かんでいた。 「大丈夫か?」 「……すっごい、痛いです」 「じゃ……やめるか?」 ノインはふるふると首を振る。 「でも、ちょっと待ってください」二人は繋がったまま、少しづつ彼女の痛みが引いてゆくのを待った。 何分ほど時間がたっただろう。痛みが引いたのか、ノインは不意に繋がったままの腰を動かし始めた。 「はふ……んっ…………はぁう……んぁ」地下道の闇の奥深くまで、じゅぽじゅぽ、ぐちゅぐちゅ、と粘性のある水音と、 ノインの控えめな嬌声がどこまでも響き渡った。 ノインの膣は年齢相応に狭く、しかも処女であることも手伝って、絶対逃がすまいとばかりにきゅうきゅう締め付ける。 「凄い。ノインの中……締め付けて……くる……」 「やぁぁ……言わないで……はん……くださいよぉ……ひゃぅぅ…………」 会話の間にもハンスはきゅうっ、とひときわ強く締め付けられた。 「言われると……弱いんだ」 「……恥ずかしいです…………あぅ」 そう言いながらしっかり感じる所がまた可愛らしい。 しばらくして、ノインは腰を動かすのをやめる。 どうした、とハンスが聞こうとするその前に、ノインはハンスの手首を縛る靴紐に手を伸ばし、解き始めた。 「もう……逃げませんよね」呟きながら固く縛った靴紐を、快感に震える指でぎこちなくほどいてゆく。と、今度は結合部を軸に、腰を一八〇度回転させ、 足首の靴紐も解いていった。 一体何をするんだろうか。靴紐を解きながらも、時折ノインの膣は不規則に締まってくる。 足首の靴紐を解き終えると、ノインは名残惜しそうにハンスのそれを自分の中から抜き、そしてノインは両手と両足を床につけ、 やわらかそうな尻をハンスのほうに向けた。 「わたし、こっちから…………して……欲しいです」 ノインは震える声で言った。 「本当に…………可愛いな、お前」 ハンスは呟くとやわらかい尻に手をやって、自分のものを再びノインの中へと潜り込ませた。 「くぅぅぅぅん」 侵入して来たものを、もう再び逃すまいとノインの内側は容赦なく締め付けてくる。 「ハンスさぁん……」とろけ切った表情のノインが言う。「奥まで、思いっきり突いてくださいね」 ハンスは小さく頷くと、思いっきり腰をノインの臀部に叩きつけた。 「ひゃぁぁぁうっ」その衝撃に身悶えながらも、ノイン自身も尻を前後にスライドさせる。 「あ、ひゃ、くぅ、くぅぅん、きゃぅ、はぅぅん」先ほどとはうって変わって、地下道いっぱいにノインの大きく、なおのこと甘い嬌声が反響した。 ノインの尻尾は今にもちぎれそうなくらいにぶんぶんと振られ、その表情はとろけきってはいるが、彼女の最上級の笑顔がそこにあった。 「くぅ……もう、限界」 「いいですぅ! わたしに……ぜんぶ、くださいっ!」 ノインのリクエスト通り―――――というか、もう暴発に近かったが、ハンスはノインの膣内に、熱い塊を吐き出した。 「きゃぅ、きゃううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅんん!!!」それを感じて、ノインも絶頂を向かえる。 そして二人はそのまま重なるようにして床に倒れこみ、二人で気だるい快感の余韻に浸っていたが、いつからか双方とも寝息を立て始めていた。 ノインと名づけられた子犬は、下腹部のぬくもりを感じながら夢の中へと落ちていく。 子犬が目を覚ますと、そこは彼女の生まれた街だった。 彼女の国の創始者の名前を取られたその街は、いつも冷たかった。 いつからか、彼女は小さなアパートの物置に住み着くようになっていた。 アパートの階上には老夫婦が住んでいて、宿無しの彼女にも良くしてくれていた。 老夫婦はオーストリア(その時、彼女は初めてオーストリアという国があるのを知った。彼女はまともな読み書きができなかったし、 なにより彼女の国が排他的な国だったからだ)からやってきた夫婦であり、戦争と革命という二つの出来事によって、祖国に帰れなくなっていたのだという。 そして、彼女はいつの間にか老夫婦達の家族となっていた。 老夫婦の会話からいつのまにか彼女は老夫婦の国の言葉を覚え、それを使ってこの国の人たちにはわからないように、 小さなオンドルを囲んでいろんな話をしたりした。 ある日、彼女は老婆に訊いた。 「ねえ、おばあちゃんはどうしておじいちゃんといっしょになったの?」 「それはね」年を経ても若い頃の美しい面影が残る老婆は、答える「おばあちゃんが恋をしたからよ」 「こい?」彼女は聴きなれない言葉に首をかしげた。 「そう、恋。胸の中が好きな人のことでいっぱいになってって、その人のことしか考えられなくなるくらいになっちゃうの」 「…………わかんない」 一息置いて、老婆は彼女に語りかけた。 「おちびちゃん(老夫婦の中の彼女の呼び名)にはちょっと早かったかもしれないわね。でも、いつかわかるときがくるわよ」 それから一年経ち、老夫婦は相次いで息を引き取り、アパートの一室は他人の手に渡った そして再び寒い街に彼女は放り出され、地下鉄の駅を、路地裏を、物置小屋を、幾年かの間彷徨っていた。 そんな中、老夫婦達の祖国がドイツという国に滅ぼされ、その悪魔のような国(少なくとも街頭のラジオはそう言っていた) の軍隊がこの国に迫ってきていると知った。 そのうち、地下鉄駅で寝ていた彼女は兵隊に捕まり、軍の施設へと送られていった。 そこで彼女は、ドイツ軍の戦車を破壊する訓練(少なくとも、彼女はそう聞かされていた)を受けた。 5ヶ月ほどたったろうか、彼女は革命以前から現役のようなガタガタのトラックで前線へと送られていった。 前線の小隊長は、ぶっきらぼうだが気の利くやさしい人で、いつも帽子を深くかぶっていた。 そして、ドイツ軍から奪ったらしいトラックに揺られ、小隊は揃ってベルリンの付近へと向かった。 そこで彼女は一人の兵士に火傷を負わされ、そして、その兵士に優しくしてもらった。 あるとき突然、彼女は彼のことを考えた途端、胸がしまる思いがするようになった。 そして、彼女はこう感じた。 これが、おばあちゃんの言っていた、「恋」なんだろうな。と。 1945年5月2日午前9時 ドイツ第三帝国首都ベルリン 天気:曇り 「連中、ご丁寧な事しやがって……」 雑貨屋のカウンターの影で息を潜めながらクラウスは毒づいた。 表の通りにはつい数時間前の尉官殺しの犯人を見つけようと、下士官と兵がバラライカやらトカレフやらを構えて闊歩していた。 「スターリングラードじゃ士官一人死のうが増援なんて出てこなかったぞ」 どうやら建物を一軒ずつしらみ潰しに探しているらしく、たまに表通りから砲声や炸裂音に混じり、乾いた銃声が響いていた。 『少尉! 次はここです!』青年特有の高い声のロシア語が雑貨店の前に響いた。 クラウスは身をこわばらせ、表からは死角になるように、カウンターの入り口に向かってモーゼル小銃を構えた。 『ああ』青年のものよりさらに声色の高い、流暢なロシア語が答える。そして、ソ連軍の軍靴の音が薄暗い店内に響いた。 ガシャン、ガシャンと二人は立て続けに壁際に並んだロッカーを開けてゆく。ロッカーが終われば次はカウンターだ。 『少尉!』カウンターのすぐ近くで、青年が声を上げた。クラウスはびくっ、と体を反応させた。 『少尉! これ全て、もって行ってよろしいでしょうか!』青年は嬉々とした声で叫んだ。時折聞こえてくるジャラジャラと鳴る音から、恐らくロッカーの中にあった、 この店の店主が捨てていった時計達だろう。 『ああ。いいぞ』 少尉と呼ばれた声が言うと、青年はそのまま嬉々興々と店の外へと出て行った。 「さて」『少尉』は独り言のように―――だが、そこに隠れているものに、ドイツ語で呟いた「そこにいるんだろう?士官殺し」 「ばれていたか……」クラウスはモーゼル小銃の引き金に手をかけ、腰を上げようとする。「あいにく、俺はさっきの士官殺しじゃ無いがな」 「同じだよ」 「そうですか」 クラウスは立ち上がった瞬間、モーゼル小銃をすばやく構えて、撃った。こんな動きは塹壕戦で慣れっこだ。 ドイツ軍の正式弾薬である7.92mm弾は、ソ連陸軍の濁った草色のコートを羽織り、制帽を目深にかぶった『少尉』目掛けて飛んでゆく だが、まったく狙いをつけていなかったのが悪いのか、それとも『少尉』がよけたのか、弾丸は『少尉』の制帽を掠ったただけだった。 「そういや、こういうの得意じゃなかったんだ」クラウスは塹壕撃ちの上手かった盲目の戦友を思い出しながら、モーゼル小銃を手放した。 1945年5月3日午前12時 ドイツ第三帝国首都ベルリン 天気:晴れ  「ん……んん?」 薄暗い地下鉄駅跡に差し込んだ朝の光が、容赦なくハンスの顔を射る。その陽光に耐えられなくなり、ハンスは目を覚ました。 隣には裸のまま器用に国防軍の上着に包まったノインの姿がある。 「……こりゃ風邪ひくぞ」ハンスは近くに転がっていた毛布をノインにかぶせると、階段のほうを見た。 瓦礫に埋まった階段はいつのまに崩れたのか、ほんの小さな子供一人くらいなら通れそうなほどの、大きな穴が開いていた。 「掘り進んでいけば、もう少しで出れるだろうな……」 そう思って早速ハンスは缶詰めの缶を握った。その時…… 「…………ん?」遠くから、砲声や銃声に混じり、乾いた音が近づいてくるのがハンスの耳に届いた。 音の種類を探ろうとハンスは首を左右させ、そして、ハンスは音の正体がすぐにわかった。 間違いなく、この音は確実に広い空間に響く靴音だ。 (…………まさか、コミー?) そう思うとハンスは打ち捨ててあった火炎放射器を見つけ出し、放射口を拾い上げて構えた。 壊れた火炎放射器は武器としては何の役にも立たないが、ハッタリをかますくらいは役に立つ。 「ん……むにゃ。はんすさん……なにやってんの?」いいタイミングでノインは心地よい夢から覚めた。 (…………できるだけ静かに喋ってくれノイン)ハンスはノインに聞こえる程度の声で耳打ちする。 ノインは静かに、縦にうなずいた。 (誰かが地下鉄をこっちに向かって歩いてきてる。足音からだと人数は少ないみたいだけどな…………) (だから、それ構えてるの?)ノインは壊れた火炎放射器を指差す。 (ハッタリかましてる間に逃げれたら御の字だからな) (じゃあその間に私が突き飛ばそうか?) ハンスは苦笑しながら(名案だ)と呟いた。 やがて足音はホームの階段を上がり、構内に辿り着く。 そして、足音は遠のいたり、近づいたりと、構内を歩き回っているようだ。 途中、二人の潜む階段の前で足音が立ち止まり、二人は顔を合わせた。が、すぐに再び足音の主は歩き出していった。 そして、構内をあらかた回ったのだろう。足音は再び階段の前で止まり、そのまま二人の潜む階段を一段づつ昇ってきた。 足音の主はライターで暗闇を照らしているのか、足音が大きくなるたびに、あたりがほのかに明るくなってゆく。 歯がカチカチと音を立てるなか、ハンスは火炎放射器の放射口を構え、ノインは深呼吸する そして、相手が踊り場まで近づいた瞬間に―――― 「止まれっ!」ハンスが放射口を踊り場を曲がろうとする相手に突きつける。 それと呼応するようにノインが相手に飛び掛ろうとする――――――――――が、 「クラウス曹長?」 「ライカ中尉?」 二人は足音の主二人の名前をそれぞれ叫ぶと、お互いに顔を合わせた。 「生きてたか、ハンス」国防軍の制服姿で銀色のオイルライターを持ったのクラウスは得意そうな顔で二人を見る。 そして、ソ連軍のコートに、制帽を目深にかぶったライカライカ中尉は「やっぱりお前か、Z-09…………」と小さくため息をついた。 しかし、彼らの声も聞き流され、ただなんでドイツ軍の下士官とソ連軍の士官が一緒にいるんだ?と。ハンスとノインは顔を合わせたままだった。 「お前ら何固まってんだ?」二人に向かってクラウスは問いかける。 「いや…………ずいぶんお二人とも仲よさそうだなー、って」 「ああ、それか」口を開いたのはライカ中尉だった。 「さっき向こうの市街でウチの軍の士官が狙撃されてな、しらみ潰しに近隣の建物押さえていったら、たまたま近くの雑貨屋にこいつがいたんだ」ライカ中尉はクラウスの持っているライターで、 煙草に火をつける。どこから拾ってきたのだろうか、 銘柄は米国製の『ラッキーストライク』だった。 「それがよく見たら前の戦争の野戦病院でベッドが隣だった奴で、その……なんだ、昔のことも色々あるものだから殺さないでやった。 で、こいつのところの工兵一人とウチの地雷犬が揃って地下鉄の駅に落ちたって言うから来てみたら、二人で仲良く楽しんでました。と言うわけだ」 「はぁ……」二人はやはり顔を合わせたままだった。前の戦争といえば30年近くも前の話だ。それを平気で語る、この若く見えるライカ中尉は一体何歳なのだろうか。とか、 野戦病院で何をやっていたんだろう。とか。クラウス曹長は東部戦線に行ったことあったのか。とか。 そんなことが二人の頭の中を駆け巡っていた。 「しかし、酷い火傷だな。Z-09」ライカ中尉はノインの肌を見やる。「痕にならなきゃいいな」 「ノインです、ライカ中尉」ノインはライカ中尉に向かって言う。 (それに、私は……むしろ痕になって欲しいです)そして、それに続くように、誰にも聞こえない声で小さく呟いた。 だが、いくら小さく呟いてもその内容は、半世紀近く生きてきたクラウスとライカ中尉にとってお見通しだった。 「ずいぶん仲良くなったんだな、ハンス」 「そ……曹長! 何言うんですか!」 「何言っても無駄だぞ、向こうのお嬢ちゃんの顔。ありゃ『恋する乙女』の顔だからな。その分だときっと昨日あたりには…………」 「ノインなんて上等な名前も貰って、その上昨日は満月だったからな」 ニヤニヤと笑みを浮かべるクラウスとライカ中尉。 「……確かにそうだけどさぁ」ハンスは惨めたらしくそのままうなだれた。 「ところで、お前達はこれからどうする?」 ノインがそれまでの経緯(かなりノインの脚色つき)を語りおわったあと、すぐに口を開いたのはライカ中尉だった。 「とりあえず、二人で戦争が終わるのを見計らって、ベルリンを出ます」ハンスは言った。 「その後は?」 「そのときに決めますよ…………」 ライカ中尉はハンスにラッキーストライクを差し出す。が、ハンスは断った。 「まあ、戦争は終わったらしいけどな」クラウスは小さく呟く。 その言葉を聞いたハンスとノインは「本当ですか!?」と声をそろえて叫んだ。 「ああ。Uボートのおっさんが連合国に降伏したと。今武装解除中らしい」 二人は顔を見合わせて、お互いの手を叩いて喜ぶ。だが、 「あーあーあー、ちょっと待てちょっと待て。お前ら戦争が終わっても安全にベルリンから逃げ出す方法なんて無いだろ。 そこら中軍規もないような連中だらけなんだぞ?」と、そこにクラウスが水を注した。 「ある」そう言ったのはライカ中尉だった。 ライカ中尉は、コートの中から一冊の軍人手帳を引っ張り出すと、ハンスに手渡した。 「ウラジミール=ザイツェフ兵長…………これは?」 「うちの小隊の奴でな、昨日これを置いて地雷犬と一緒に脱走した」ライカ中尉は紫煙を吐き出す。「つまり、ハンス……だったな。お前がこいつになればいい」 ライカ中尉の提案に二人は驚愕の表情を浮かべ、ただ一人クラウスだけが「無茶するなぁ」と言うだけだった。 「で、でも」先に口を開いたのはノインだった。「ハンスさん、こっちの軍服なんて持ってませんよ?」 「一式ドイツ軍から奪ったとでも言っておけ。それで連中納得する。それにもし問い詰められてもノインに任せておけばいい」 そんな無茶な。と、ハンスは呟いた。が、ノインとクラウスはうんうん。とうなずいた。 「それならちょっとハンス、それ貸してくれ」クラウスがそう言って軍人手帳を奪うと、制服のポケットから鉛筆を取り出して、 ザラ紙の中味に何かを書いて、再び手渡した。 「バイエルンにいる戦友の住所だ。俺の名前を出せばたぶん力になってくれるはずだ」 「ありがとうございます、曹長、ライカ中尉」ハンスとノインはそう言うと、共に立ち上がって、ハンスは彼のライターをかざした。 「お二人は、どうするんですか?」 「まあ、このままソ連に入国ってのも手だな」クラウスは笑いながらライカ中尉を見た。 「いっそ東部戦線の続きでもしようか?」ライカ中尉はちびた煙草を吐き捨て、踏み消す。 「では」二人の揃った声が地下鉄の駅に響いた。 どれくらい歩いたろう。ハンスとノインは一番近い地下鉄の駅へ辿り着き、そのまま二人は走って出入り口を目指す。 そして二人の頭上には、何日ぶりの青空が浮かんでいた。 親愛なるアレイシア=ライカ中尉へ  もうすぐ夏になりますね。  中尉はこの1ヶ月いかがお過ごしだったでしょうか?  私の方はと言うと、石炭レンジで火傷したハンスさんがやっと病院から帰ってきました。  でも、手の火傷は一生消えないらしいです。(実は私はそっちの方がよかったです。ハンスさんとおそろいですから)  お店の方もハンスさんが復帰して、ハンスさんが入院してる間も特に問題もなく、今は順調そのものです。 ハンスさんが入院してる間、手伝ってくれたエリスさんのおかげですけど…… そうそう、退院の日にハンスさんたら「もう絶対に石炭レンジは使わないぞ」って勝手に心に決めてるんですよ。おかしいでしょ。 だから、自分から料理なんてつくれないのに、無理するからこうなったんですよ。って言ってあげました。 ずっと私がつくってあげるから。って。 で、実はこの間常連のおばさんに「ノインちゃんのとこはいつまでも新婚さんみたいだ」って言われたんです。 それで嬉しくなっておばさんにちょっとおまけしちゃいました。 で、ハンスさんに言ったら「新婚みたいじゃなくて、お前が全然変わってないだけだ」って言うんですよ…… で、悔しいからいっぱいエッチしてそんな口聞けないようにしちゃいました♪ ちゃんと変わってるんですよ?いろんな所が♪ ライカ少佐は元気ですか? クラウスさんは元気でしょうか? もし今度、機会があれば来てくださいね♪ 1955年5月3日 バイエルン州 アルブルグ市ヴェルセーヌ通り310号 ノイン=カウフマン P.S.どうやら四人目も女の子だそうです。 「少佐ぁ、何読んでるんですか?」 「ああ、これか?古い友人の手紙だよ。クド」  1949年、ドイツとベルリンは二つに分けられ、彼女達のわたったバイエルンは西側のドイツに含まれた。  それでも、この手紙だけは月に1回必ず送られてきていた。  次に、あの雨に濡れた子犬に会えるのはいつだろうか……そう思いながら彼女は革張りの椅子に寄りかかった。  頭の中には、かつての若い工兵の手を引っ張って彼女の幸せそうな顔がいっぱいに広がる。    the end [[another>http://www21.atwiki.jp/brutalanimal/pages/460.html]]

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