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注意として、アイさんは人間なので脇役です。 「ふ、双子の妹!?」 「そうよ、雪ちゃん」 「ちゃんって付けないでくれご主人様」  とある一軒家にて、一人の男の叫び声とツッコミが鳴り響く。  男の名は雪(ユキ)。彼はただの人間ではない。  黄色い瞳に白銀の髪が生えている頭からは、髪と同じ色の猫耳、そして穴の開いたズボンからは猫の尻尾が生えている。  そう――彼は猫の妖怪『猫又』。正確には人間と猫又のハーフであるが。 「つ、つーかどういうことだよ!? 俺に妹いるなんて聞いてないぞ!?」 「だって言ってないもの。私も最近知ったことだもん。生き別れの妹だって。今日来るのよ?」 「今日!?」  そして、雪に両肩を掴まれて問い詰められているのはアイさん。  雪の飼い主であり、どこかおっとりしたお姉さんだ。ちなみに巨乳だったりする。  アイさんの正論過ぎる回答に、雪は一瞬黙ってしまった。  俺に妹? しかも双子? なにそれ?  両親は既に他界し、子供のころの記憶がほとんどなく心の準備もない雪はかなり混乱中。  そんな中、家のインターホンが鳴り、雪の肩がビクッとなり尻尾はビンと逆立った。 「あらあら、来たのかしらぁ」  アイさんは笑顔で玄関へと向かい、扉を開ける。  雪もそれに続くが、玄関までは行かず顔だけを覗かせて玄関を見ていた。  彼が見た時には、既にその妹が引き取られた後で、自分と同じ顔の少し小柄な猫耳娘の頭を、アイさんが笑顔で撫でている光景を眺めていた。 「……あ、あれが俺の妹、つかメスの猫」  ついでに言えば、雪は学校以外外に出た事が殆どなく、人間ならまだしも同じ猫の雌を見るのは初めて。  しかもその雌が自分と同じ顔をしていれば混乱もする。  雪の尻尾は逆立ち続け、新しい家族となる猫娘を睨むように見る雪は、正しく警戒している猫そのものだ。 「今日からよろしくねぇ♪ あとでいっぱい遊んであげるからぁ~」 「にゃあぁ~ん♪ よろしくお願いします~」 「……くぅ……妹だかなんだか知らんが、俺のご主人様に取り入りやがってぇ……」 「ん?」  どうやら妹とアイさんが仲良くしているのが気に入らない様子。  まぁ、今までアイさんを独占していたのだから分からなくもないが……。  そして、雪の警戒とヤキモチがこもった念と視線を感じ取ったのか、猫耳をぴくぴく動かし、妹が雪に気づいた。  急に自分の方を見られ、驚いた雪は思わず頭を引っ込め隠れた。 「な、何だ何だ……っ!」 「お前、さっきから何見てるんだよ?」 「うわっ! き、急に話しかけルんジゃねぇヨ!」 「変なやつ……でも、フムフム」 「??」  隠れても、すぐに妹は現れ更に雪はびっくりする。  尻尾を逆立て、声が少し裏返って妹に指を刺す雪。  わけが分からない兄の行動に、妹は半分呆れ顔で見るが、やがて雪の体、そして顔をジーっと見始めた。  ジッと見られる雪は戸惑いながら、改めて妹の姿を見る。  まず、自分は一本なのに妹の尻尾は2本に分かれてて自分より長いのが気に入らない。  青紫の髪の毛と猫耳と尻尾、翡翠色の瞳。  そして少し小柄な体型、自分と同じ顔のはずなのに可愛いと感じてしまったが、なんか納得いかない。  ようは、雪の妹の第一印象はあまりいいものではないのだ。  そんな雪の心情なんて知る由もない妹は、彼の姿を見終えたのか最後に顔を近づけて、それに雪が少し怯むと笑顔を見せた。 「なるほど、お前があたしのアニキか。ホントに同じ顔だ」 「だ、だから何だよ?」 「変な奴だけど、まぁいいか。あたしは春って言うんだ。アニキの名前は?」 「ゆ、ゆき……」 「そっか。聞いたと思うけど、あたしはアニキの妹。今日からここに一緒に住むからよろしくな?」 「なっ……なっ……!」  妹、春(ハル)はニッコリと笑って兄に手を差し伸べた。  口から見える八重歯がとても可愛らしく、その事もあって雪の顔は真っ赤に染まった。  もはや言葉すら出ないほど動揺しているが、春の手を雪は叩いた。 「よ、よろしくじゃねー!」  強気な口調で春から顔をそらす雪の行動に、笑顔だった春の表情がムッとなり二本の尻尾は逆立ってた。 「なんだよ! せっかく挨拶してやってるのに!! 馬鹿アニキ!」 「うっせーよ! アホ!」  そして出会って10分もたたずに喧嘩が始まった。  二人の尻尾は逆立ち、猫耳も立って、お互いの両頬を抓り合っていて、二人の瞳には大粒の涙が出ていた。 「まぁ、あんなにじゃれちゃって気が合うみたい。カワイイ♪」  一人大きな勘違いを起こしている人間が一人、頬を赤らめながら潤んだ瞳で猫の兄妹を見つめていた。  春が雪の家に来て翌日の事。  この日は日曜で休みの為、雪は何をするでもなく自室で丸い毛玉で遊んでいた。  そんな雪のお楽しみタイムの中、不意に開けられる部屋の扉に雪はビクッとなった。  扉を開けたのは春で、自分の楽しみを邪魔され、尚且つ邪魔したのが何か気に入らない妹だった為、雪はムッとなりながら立ち上がった。 「何しに来たんだ?」  その口調はあくまで冷静を装っているようだが、明らかに怒っている。  しかし春はまったく気にする素振りを見せず、雪の片腕を掴んだ。 「アニキ、お願いがあるんだ」 「何だよ?」 「街を案内してくれ。あたし昨日来たばかりだしよく分からないんだ」 「やだ。つか、ご主人様がいるだろが」  雪の言い分はこうだ――何も俺じゃなくてもいいんじゃね?  だが、せっかくの世界に二人しかいない兄妹、せっかくだから仲良くなりたい春は腕を引っ張る。  その行為に、いい加減嫌になった雪は春の手をはらった。 「やだっつたらやなんだ! 俺は忙しいの!」 「忙しいって……毛玉で遊んでるだけじゃん!」 「け、毛玉で忙しいんだよ! いいからもう、部屋から出てけ!!」  まるで子供のような喧嘩、そして雪の断り方。  それを聞き、怒鳴っていた春は落ち込みだし、猫耳を寝かせ尻尾をだらんと寝かせる。  そして彼女の瞳からは次第に涙がにじみ、声も泣きが入ってきて雪も少したじろいだ。 「ひく……もういいよ。きのうは、けんかしちゃったから、なかよくしようと、思ったのに」 「……」 「あたし一人で行ってくる……ごめんね、アニキ……」 「お、おい……」  最後に瞳に涙を浮かばせながら、話しかけようとした雪の言葉を無視して部屋から出て行った春。  彼女を泣かせてしまった、明らかに自分が悪い――雪の中で後悔の念が生まれ始めた。  しばらく経ったまま何かを考える雪は、外出用の穴のないズボンに穿き替え、春の部屋へと向かった。  そして、さっきの春の勢いのように勢いよく扉を開けると、内股で座って泣いていたのだろう、涙を浮かばせた春の驚きの顔が目に映る。  しかし気にすることなく雪は春の腕を取り、呆気にとられる春を立たせた。 「行くぞ、準備しなさい」 「へ?」 「へじゃない。街行くんだろ? さっさと行くぞ」 「え? いいの! さすがアニキ!」  急な兄の心変わりに、戸惑いながらも春の表情は明るくなる。  もう外出用の服を着ていたので、二人はそのまま玄関へ向かった。 「あ、そうだ」 「? どうしたの?」  靴を履いた時、雪は何か思い出したように春に問いかけた。  春は首をかしげる。 「耳は隠せるのか?」 「は? 隠せるわけないじゃん」 「……」  黙りこむ雪。  彼は家では本来の姿なのだが、外に出かけるときは耳を寝かして髪の毛と同化させる。  それは自分が人間ではない事を知られない為だが、今までそんな事をしたことのない春は、猫耳を寝かすことはできても髪の毛と同化までは至らない。  何度やっても、力を入れてもできず、春は再びしゅんとなってしまう。  そんな春を、ため息を吐き雪は自分の上着を春に着せた。  少しあたふたする春の頭に、上着についている春にとっては少し大きめのフードを頭に被せてやると、春の猫耳は見事に隠れた。 「ほら、それは貸してやるから、しばらくはそれでいろ? 俺達の正体ばれたら大変だから」 「うん、わかった」  思わぬ兄からの贈り物に、春は頬を赤らめ、雪も照れて赤くなる。  そんな空気を消すかのように、扉を開ける雪は外に出る直前に春にこう言った。 「しっかし、耳も隠せんとは……バカ」 「ばッ、バッ、バカぁ~!? なにちょっと人間っぽくなったからって調子に乗ってんのよバカアニキ!」 「なんだとぉ!?」  雪の発言に、春は軽くキレて二人は再び兄妹喧嘩に突入。  そしてしばらく言い争っていたが、とりあえず手を繋ぎながら街へと向かった。  この日、兄妹はいろいろな場所に行った。  映画館、ゲームセンター、雪行きつけのペットショップ、春が転入する雪が通っている学校。  どこに行くにも春にとっては新鮮だったのだろう、春は終始ほとんど笑顔で、その笑顔が時折雪をドキッとさせる。  その度に、雪はあいつは妹と脳内に言い聞かせており、春が腕を組みながら歩き出すものだから、思いっきり照れてまた喧嘩になった。  傍から見れば中のよい双子に見えることだっただろう、事実、雪の中での春の印象が今日この日良い意味で変わっていたのだから。  それは春にとっても同じであり、二人の距離は確実に縮まっていた。  そんな心情の変化の中、二人は自分の家へと帰ってきた。 「ただいま~」 「ご主人様ぁ? いるの~?」  玄関の扉を開け、雪と春はご主人様であるアイさんを呼びかける。  しかし、家の中は静まり返っており人の気配は感じないことから、アイさんはまだ帰ってきていないようだ。  外はすっかり夜になってしまっていて、アイさんの事が心配になりながらも二人は靴を脱ぎ、雪は猫耳を開放した。  その時、再び玄関の扉が開き、アイさんの何処かゆっくりな口調が家に響いた。 「ただいまぁ。あれぇ? 雪ちゃんも春ちゃんも今帰ったの?」 「ご、ご主人様! ちょ、脅かすなよ、てか雪ちゃんはやめ」 「そうそう、今雪ちゃんと帰ったところだよ?」 「お前が言うな! お前が!」  アイさんの雪ちゃん発言に、いつものツッコミを入れる雪。  その隣で妹までも雪ちゃんと呼ぶものだから、雪はさすがに怒って春の両頬を抓ると手をばたつかせる春。  二人は今日何度目になるか分からない喧嘩をし始めるが、アイさんの微妙に空気読んでない声によりかき消された。 「そうだ。今日セージから温泉の素もらったのぉ! 一緒に入りましょう」 「温泉!? やったー!」 「は!? 一緒って、俺も!?」  アイさんは靴を脱ぎ、雪と春の背中を押しながらお風呂場へと向かった。  温泉と聞き喜ぶ春に対し、女二人と混浴なんて何か嫌な雪は驚愕の声を上げていた。 「ふ、風呂は一人で入るって何度も言ってるだろぉ!」 「いいからいいからぁ」 「大体、今は春がいんだし、俺じゃなくてもいいじゃんかぁ!」 「みんなで入ったほうが楽しいでしょう?」 「そーいう問題じゃなくてっ! や、やめてー!」  背中を押されながらの雪の猛講義も、アイさんは軽く受け流し脱衣所へ入っていった。  服を脱ごうとしない雪の服をアイさんは笑顔で優しく脱がせてあげ、春はそんな情けない兄を見ながら服を脱ぐ。  そして三人とも裸となり、嫌がる雪を半引き摺りながら三人はお風呂へと入った。 「だ、出せー!」  まるで子供のように叫んでいる雪、それをアイさんに体を洗ってもらいながらジト目で見る春。 「ほら、雪ちゃんもこっち向いて」  アイさんから声をかけられるが、雪は断固として背中を見せたまま。  彼女たちのほうを見れば、当然アイさんと春の裸が嫌でも目に映ってしまうためだった。  その様子を呆れるように見ていた春だったが、突如として何かを思いつき、猫耳を立たせながら雪のそばまで寄る。  そして雪の手を取り、雪が戸惑った時だった。 「ほれ」 「なっ!」  雪の手が春に誘導され、そのまま彼女の方乳を掴んだ。  柔らかい胸の感触に、雪の思考は一瞬停止し顔は真っ赤になる。  その兄の様子を、春は可笑しそうに笑っていおり、アイさんも頬を赤らめて笑顔を浮かべていた。  一方で笑われている雪は、思考が停止しているものの本能というべきか、春の胸に触れている手に力を込めた。 「ひゃっ! ぁ……ちょっと」 「……ッ! おわっ!」  春が甘い声をあげると、ようやく雪の思考は回復し即座に手を離す。  しかし言葉が出てこず、少し変な空気が漂いシャワーの音だけが聞こえていた。 「あらあら、雪ちゃんは本当に春ちゃんが好きなのねぇ」  だが、ここでもやはり微妙に空気が読んでいないと思われるアイさんの発言で、この変な空気は掻き消された。  そして何を思ったのか、自分の豊かな胸へ雪の手を誘導し始め、雪は慌てて風呂から上がる。  だが、春の裸、そして胸の感触がいつまでも頭から離れないことに、雪は戸惑っていた。  この日、雪と春はいろんな意味で本当に仲良くなった………と思う。  時は進み、春がアイさんの家に来て三ヶ月ほど経った。  一日一回は必ず喧嘩になるものの、喧嘩するほど仲が良いという事だろう、雪と春の仲はより進展していた。  まぁ、進展といっても兄妹としてだとと思うのだが、雪は相変わらず春に変な意識があった。  しかしそれは、雪だけではなかった。  ある日のこと、雪は病にかかり学校を休んでいた。  アイさんは心配そうに色んな薬を用意するが、雪はただの風邪だといって寝込んでいる。  それはまぁ、仮病なのであるが。  何故、雪が仮病など使っているのかというと……それは春だ。  彼女の様子がおかしい。  最近食欲がない、自分に体をこすりつけ、時々変な声を出す。  更に言えば食事などの時は姿を現すものの、春はずっと自分の部屋に閉じこもったまま。  明らかに何かがおかしいので、こうして休んで春の様子を雪は確かめようとしているのだ。  春の部屋は雪の部屋の向かいにあり、気づかれないようにそっと春の部屋の前に雪は立った。  部屋の中には確かに彼女の気配がし、雪はそーっと少しだけ扉を開け室内を覗き込む。  扉を開けた瞬間、妙なにおいが雪の鼻を刺激し、雪の視線の先には春が使っているピンク色のベッドが映し出された。  そして、ベッドの上に春の姿を確認すると、雪は目を見開き驚愕した。 「ぁ……んっ……はッあぁッ!」  雪の目には、上はネズミのパジャマだが下半身何も身につけず、両手首を何かで縛られてうつ伏せに上体を寝かし、  お尻を突き上げるような格好で、二本の長い尻尾で自らの秘所を撫で回している春の姿。  口からは涎が一筋流れ続け、一本の尻尾が秘所の中にゆっくりと入っていき、青紫の猫耳はぴくぴく動き、春は実を震わせる。  やがて卑猥な音を響かせながら尻尾は前後に動き、その度に春は甘く喘ぎ、もう一本の尻尾はユラユラと揺れている。  そんな今まで見たことのない淫らな妹を目の当たりにし、雪は驚くもただ見ている。  そして、雪は何かを思い出した。  そういえば、何度か春の部屋にアイさんが出入りしていたのを覚えていた。 「ひぅッん……あぁッ……あッ、あに、き……」 「ぇ?」  そんな事を思っていた時だった、喘ぎながら春が言った言葉に雪は耳を疑い猫耳を立たせる。  最初は聞き間違いかと思ったが、春は尻尾が動く度に何度も自分を呼んでいた、それも何度も。  雪は混乱する、どうして俺を呼んでいるのかと。  答えは簡単だ、春は雪と抱き合っている、というシチュエーションで自慰行為をしているのだ。  しかしそれに気づかない雪は混乱するばかりで、春の体が何度も痙攣し始めるとハッと我に返った。 「ああッ! アニキ、イッちゃ……ッッ!!」  春は絶頂した。  声が出ないよう下唇を噛みながら、尻尾は膣から抜け、愛液が飛びベッドの上を汚す。  そのまま体を痙攣させる春の猫耳はピクピクと動き続け、やがてぐったりと下半身を降ろす。  尻尾も寝てしまい、肩で息をする春の息遣いだけが部屋の中で聞こえていた。 「……」  途中からとはいえ最後まで見てしまった妹の自慰行為。  しばらく呆然としていた雪だったが、春が起き上がると即座に自分の部屋へと戻りベッドの中に潜り込んだ。  何だ、何だったんだ今の……。  自慰行為は雪もやった事は何度もある、ただ、春は自分を呼んでいた。 「つか忘れろ! つか、もう寝ればいいじゃん! 俺風邪なんだから……っ!」  布団から尻尾だけが出ているが絶えず逆立っている。  春の淫らな姿が頭の中から離れず、もう寝ろと自分に言い聞かせ続ける雪。  やがて、ぬくぬくとした感覚に眠気が襲い、雪はゆっくりと目を閉じ始めた。 「な、なに?」  そして、何かが走ったような音が廊下から響き、落ち着き始めた春は扉のほうを向く。  すると、扉は僅かに開かれており、春は考える。  アイさんは仕事……ということは家にいるのは自分ともう一人ぐらいだ。 「……アニキ?」  両手を縛られたまま春は立ち上がり、部屋を出る。  向かいの兄の部屋のドアノブに触れると鍵はしていないようで、僅かな力で扉は開いた。  周りを見渡すと、ベッドが盛り上がりそこから長い尻尾が丸見えだ。  まだ息が荒い春は、ゆっくりとベッドに近づき両手で毛布を取った。  すると、そこにはすでに眠ってしまって寝息を立てている兄の姿。  丸くなって寝ているところは完全に猫で、冷たい空気に触れて猫耳がぴくんと動く。  あたしはこんな寝顔なのかなぁ、そんなことを思いつつ春は雪の白銀の髪の毛を掻き分けるように少し撫でた。 「う、うーん」  すると、雪は唸りながら寝返りをうち、体は仰向けになる。  春は改めて兄の顔を見ると、一つの疑問が頭を過ぎる。  いつから兄のことを、兄ではなく男として見る様になってしまったのかと。  無論、発情しているという事もあったのだが、春のこの感情は発情よりも前から芽生え始めていたのだ。  次第に雪を見る春の様子が変わっていく。  頬を赤らめて瞳を潤ませ、猫耳と尻尾は落ち着きなく動き、胸の鼓動が早くなる。  双子の実の兄妹という背徳感はあったものの、それもすぐに雪が欲しいという衝動に消される。  これは、先ほど春が自慰をする前のとよく似ている感覚。  今にも自分の中で何かが切れそうで、春は体を震わせた。 「う……春……」 「アニキ……」  しかし、その春の中の何かは、雪が寝言で春の名を呼んだ時に切れてしまった。  そして雪の体の上へと自分の体を動かし、雪が春に押し倒されたかのような格好となった。 「……ごめんね、アニキ……もう、我慢、できない……」  春は囁くように雪に言うと、眠っている雪と唇を重ねた。  ……なんか、変な音がする……。  どのくらい寝ていたのだろう、雪が目を覚ましたときに思ったことは、まず耳に聞こえる妙な音。  その音は水っぽく、そう、音を立てて棒アイスを舐めているかのようで、音が鳴るたびに雪の猫耳はぴくんと動く。  少し意識が戻り始めて、次に体中に電気のようなものが流れて痺れる感覚に襲われる。  その感覚は、雪の意識が戻るにつれて強くなっていった。 「んぅっ!」  思わず声を上げてしまう雪の意識は一気に蘇り、そして状況がわからず雪は困惑する。  目を開けると自室の天井、時々下半身が冷えるがやけに体が熱く息苦しい。  そして体の痺れは治まるどころか増しており、この感覚は雪が偶にしている自慰の時に感じるものと同じ。  雪は体を起こした、そして驚愕した。 「んッ……んッ、んッ、んちゅッ……!」 「なっ……は、春っ……んくぁっ!」  雪の目には、硬くなっている自分の肉棒を口で咥えている春の姿。  近くに鋏が落ちていることから、両手を縛っているものを切り自由にしたのだろう。  春は片手で掴み固定し、竿全体を舐め上げ、咥え込んで唾液と亀頭から出る透明液を音を立てて吸い上げる。  そして、雪がそんな春の姿を見た瞬間、彼女の口内に白濁な液が注ぎ込まれ、一瞬眉を潜め大粒の涙を浮かべて受け止める春は、そのまま少し苦しそうな表情で濃い精液を飲んでいった。  その刺激で雪の体は震え、嬉しそうに瞳を細めながら肉棒を口から離す春。 「んはぁ……アニキの、おいし……んッ!」 「うぅッ! ちょ……」  呼吸を整えると再び肉棒を咥え込む春は、頭を上下に動かし口で射精したての肉棒をしごく。  一度射精してしまっているため、肉棒の感度は増しており雪に再び体の痺れるような快感が襲った。 「んッ、じゅる、んちゅッ……ちゅるるる」 「うぅっ、くっ……や、やめ、ろっ!」  寝起き、そして休むことなく快感を送られ抵抗できなかった雪だったが、ここでようやく春の両肩を持ち引き離す。  唾液の糸が肉棒と春の口を結ぶがすぐに消え、引き離されても春は体を起こして、雪の唇を奪う。  そのまま春に押し倒され、口内に春の舌が入り雪は涙を浮かべた。 「ちゅ……んんっ、んふぅ……」  二人の唇を塞ぐ所からは、二人の唾液が雪の下頬を伝う。  口内に動き回る舌の動きは、口内全体を嘗め回したり雪の舌と絡めたりし唾液を吸う。  口に広がる自分の精液の味が気持ち悪く、猫耳は絶えず動き雪は再び春の両肩を掴み引き離そうとするが、口内の刺激に力が入らなかった。 「んはッ……自分とキスしてるみたい……んむッ」  一瞬口を離し、囁くような小声で春は雪に言って再び口を塞ぐ。  やがて、ゆらゆらと動いていた春の二本の長い尻尾がそそり立った肉棒に触れた。  口を塞がれながら雪の体は跳ね上がり、一本は亀頭を、一本は竿や玉を刺激する二本の尻尾の攻めに再び射精感が押し寄せる。  そして、二本の尻尾の先で亀頭を重点的に攻められた時、雪は再び白濁した精液を噴出した。 「んんんんッ……!」  亀頭の先を二本の尻尾が塞ぐように動き、精液は飛ぶことなく青紫の尻尾を汚す。  性感帯の一つである尻尾に熱い液の感触が伝わり、春にも快感が流れ全て吸い尽くす勢いのごとく雪の唾液を吸う。  そんな勢いあり過ぎる口内の吸引に、一瞬呼吸ができなくなり雪は眉を顰めた。  やがて春の唇は離れ、雪と春の息遣いだけが室内に鳴る。  身体を起こし、雪の上に跨ぐ格好になった春は、妖艶な微笑で精液まみれの尻尾を手に取りながら雪を見下ろした。 「ハァ、ハァ……アニキの、熱くて濃いね……」 「は、春……はぁ……何を、やって……」 「ぴちゃ、ぴちゅ……おいし。でもまだ足りない、だからこっちにも欲しい……」 「くぅっ!」  快楽に駆られた瞳、妖艶な微笑で雪に言いながら、再び尻尾を使い肉棒を刺激する春。  雪は声を上げる、しかし、少し硬くなることはあっても先程のようにそそり立つことはない。  ようは雪の限界なのだろうが、春は焦りもせず両手をピクピク動いている雪の猫耳に伸ばす。  そして、猫耳を掴みあげる。  猫耳の先をつまみ立たせて伸ばし、その後両手の親指で穴を穿るように動かした。 「あぅんっ! ひあぁっ! な、やめっんんッ!!」  すると、雪は叫びに近い声を上げて、頭を横に動かし暴れだす。  猫耳は彼の性感帯の一つであり、ある意味で肉棒よりも感じる部分でもあるのだ。  しかし雪がどれだけ暴れても、春の手は雪の猫耳に食いつく様に離れず絶えず刺激していた。 「やっめて……耳は、弱いからッ……そんなに動かさな、ひぅぅッ!」  耳全体をくすぐる様に動かし、その刺激で雪はまるで喘ぎのような声を出し、肉棒は既に硬さを取り戻してた。  それを尻尾で感じ取ると、春は指の動きを止め雪の猫耳から手を離す。  ようやく耳の刺激から開放された雪は、そのまま力なく倒れ口からは唾液が一筋垂れていた。 「アニキは耳に弱いんだよね、あたし知ってるんだから……んッ……もう、我慢できないから、入れちゃうね」  春は自分の秘所を水っぽい音を出し指で弄りながら、妖艶な微笑で雪を見つめて言う。  そして身体を移動させ、片手で肉棒を掴みながら発情により十分に濡れている秘所へとあてがう。  その瞬間、雪はハッとし顔を青くさせながら春と止めようと起き上がろうとした。  実の兄妹でこんな事はいけない、そんなことを思いながら腕を伸ばす雪。  しかし、亀頭が春の膣内に収まると再び快感が身体中を流れて力が抜けていく。  春が腰を下ろし肉棒が膣内に入っていき、雪の胸の上に両手を置き春はゆっくりと雪を寝かし、肉棒の根元まで膣内に収まると、お互い猫耳を動かし挿入の快感に浸る。  そして、春は前かがみの姿勢で腰を上下に動かし始め、甘い喘ぎ声を室内に響かせた。 「んッにゃぁぁッ! は、入った、おっきいよ、あにき……んッ、あッ、あぁんッ!」 「っく、ぬ、抜け、春……」 「い、いやッ……あんッ、こんどは、あたしの中に、ひぅんッ!」  水っぽい卑猥な音が結合部からなり、愛液が溢れ出てベッドを汚す。  兄妹でという背徳感と肉棒を締め付け、膣壁で刺激する膣内の快感とが混ざる中、雪は声を絶え絶えにしながら春に訴える。  しかし、膣壁を擦りあげる感触に、笑みを浮かべながら春は夢中で腰を動かし続ける。  やがて腰の動きが上下運動のほか、前後運動、回転運動が加わり雪は徐々に追い詰められていく。  春は再び兄の唇を求め、肉棒を根元まで膣で咥え込み、上体を寝かせて雪の唇を奪う。  もう抵抗できなくなっている雪は、簡単に春の舌を受け入れ、春の腰が小刻みに動き出して快感に身を震わせていた。  そして、雪に限界が訪れたのか、肉棒は膣内で膨らみ始め玉はあがり、それを感じ取り再び前かがみになった春は今まで以上に腰を上下に動かす。  相手は実の妹、出してはいけない。  そう思っても我慢がきくわけがなく、刺激に耐え切れず雪は三度目の射精を妹の最奥に噴出すのだった。 「んッ………んあああああッ!!」  膣内に流れる精液の感触を、下唇を噛んで耐えていた春だったが、我慢できずに声を上げた。  びゅくびゅくと音を立てながら、白濁した液は妹の膣内を満たしていき、雪に激しい背徳感が生まれていた。  しかし一方の妹のほうは、欲しかった物が手に入ったような笑みを浮かべ、射精が終わると繋がったまま雪の上に倒れこんだ。 「ハァ……いっぱい、出したねアニキ」 「お前、自分が何やったのか、わかって、るのか?」 「わかってるよ、そんな事くらい」  お互い肩で息をし、嬉しそうな春に対し、雪の口調は厳しいものがある。  それはそうだろう、いきなり襲われた上に、自分にどんな思いがあれ実の双子で兄妹なのだから。  しかし、春の回答は雪にとっては意外なもので驚く雪の胸の中で、春は囁くように言った。 「だって、あたしは……アニキが好きになっちゃったんだもん」 「は?」 「実の兄妹でこんな事しちゃいけないってのは友達から聞いたけど……我慢できなくて」 「が、我慢できないって、おま」 「でも、好きな人にこういう事するのはいけない事? あたしじゃ嫌?」 「それは……」  雪は混乱する。  いきなり襲われたと思ったら、いきなりの告白で。  相手は実の妹、それは揺るぎない事実だけど……。  しばらく雪は黙り込んでしまう、俺は春の事をどう思っているのかと、返答に困っているのだ。  そしてその空気を消したのは、春の言葉で、雪は見ると、春の瞳からは涙が少し流れていた。 「そっか……そうだね、迷惑だね。あたしとアニキは兄妹だし、同じ顔だし、あたしの勝手な片思いだし。気にしないで……あの、ごめんね? こんな事しちゃって」  無理な笑顔を浮かばせながら、雪の肉棒を抜こうとする春。 「でも……嫌いにはならないで」  そう春が懸命な笑顔で最後に言い残した時だった。  不意に雪が体を起こし、今度は雪が春を押し倒したような格好となった。  突然自分が下になり、目を見開いて驚く春の口を雪が塞ぐと、春はもっと驚いた。  そしてしばらくし、雪は唇を解放し口を開いた。 「誰が迷惑だ」 「にゃ?」 「誰が片思いだって? 俺だって、その……なんだ、どうやら春の事が好きだから、両思いだ」 「ぇ? うそ……」  顔を赤くして視線を逸らしながら、照れくさそうな雪の言葉に、春は驚きながら涙を流す。  そして雪が頭を横に振ると、春の表情はだんだんと笑顔になっていった。 「嬉しい……」 「そ、そうかよ」  頬を赤らめ満面の笑みを浮かべる春の表情に、雪の中で何かが切れ、萎えていた肉棒が春の膣内で一瞬で硬くなった。  その感触に、猫耳を動かし体を震わす春は、瞳を潤ませて雪を見つめた。 「アニキ、やりたいんだ」 「……は、春のせいだからな」 「ごめん。でもいいよ、あたしも何か変な気持ちが治まらないし。好きなだけどうぞ」  春のその言葉に答えるように、今度は雪が春を攻める。  再び結合部からは卑猥な音が流れ、二人の尻尾は絡むように動き、部屋には春の喘ぎが響く。  そして何度も、春の膣内に雪の精液が流れ込み、猫又の双子はアイさんが帰ってくるまでずっとお互いを求め合っていたそうな……。  後日、春の様子がおかしいのは発情期だからだと、満面の笑みのアイさんから教わり、時々慰めていたとアイさんは笑顔で語ってたとかで、雪もその日を境に……。

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