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「狐娘1」(2007/09/06 (木) 19:21:57) の最新版変更点
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俺は、死んだ婆ちゃんの墓参りで地方の方に来ていた。四方を山で囲まれた小さな村。
都会とは違い自然に満ち溢れて空気がうまい。
墓参りも終えた直後、俺は村人が話しているのを偶然耳にした。
村の四方を囲んだ山々のどこかに大きな化け物がいるとかで、もう何年も農作物が荒らされているらしい。
そして今夜、その化け物を生け捕りにする為村の男集で徹底的に山を探すとか。
「化け物……」
少し気になった。怖いもの見たさと言うものだ。
見つけても何するわけでもなく、本当にいたのかくらいにしか思わないと思う。
そして俺も化け物探しに誘われた。若い男という事だそうで、俺も即答で頷いた。
夜の森。懐中電灯と月の明かりだけが頼りに、俺は一人で森を散策していた。
「本当にいるのか……」
鳥の鳴き声や虫の飛ぶ音が聞こえる中、ガチャガチャっと金属製の物がぶつかり合う音が聞こえる。
明らかに森では聞かない音に、俺は音のする場所に早歩きで向かった。
そこには、予想はしていたがやはり驚く光景があった。
木々が生い茂る場所で、広い空間がある。
そこに、ある獣が狩猟用の罠のトラバサミにかかっている。前足と後ろ足に1つずつ痛々そうに挟まれもがいて暴れていた。
こいつだ。俺は確信した。
狼などより大きい体に、黄金色の毛の色、血のように赤い眼。そして長く大きい尾は2本ある。
狐に似ている、新種か何かだろうか? そんなことを思う前に、俺は目の前の狐に魅了されていた。
懐中電灯は地面に落としてしまった際に消えてしまった。しかし逆に月の光に照らされ、小金の体毛が輝いているように見え美しいという感情が俺の脳裏に流れる。
「……助けなきゃ」
村人の誰かに見つかれば何をされるかわからない。
俺は別に生け捕りの為にきたわけじゃなく、こんなに苦しんでいるのを放っておくのも人間としてどうかと思った。
それ以前に、この狐とはどこかで会った気がしてしょうがない。
「ちょっと、悪いな」
トラバサミに手をやる。狐も俺を警戒しているのか低いうなり声を上げているが、俺は構わずトラバサミをいじり始めた。やはり簡単には開かない。
そしてカチャカチャやる事数分、ようやく後ろ足のトラバサミが取れた。
それと同時に狐は外れた衝撃でか暴れだす。
「お、おい、暴れるなって。痛っ!」
大きな尾で俺の顔が叩かれ、後ろ足の爪で腕や膝を思いっきりひっかかれる。
そんな攻撃にあいながらも、俺は前足のトラバサミを取り始めた。
片方の前足で顔をひっかかれ、更には俺の左腕を噛み付かれる。しかし、大きい体ながら弱っているのか力がない。
「っ! ……っ、もう少しだからな、待ってろ」
月を隠していた雲が完全に晴れたのか、その場は割りと明るくなった。
その時、狐は俺の姿を敵意の篭った瞳で見ると、不意に噛むのをやめ大人しくなる。
「いたぞ! ここにいたぞーー!!」
「げっ! やばい」
村人の一人が俺達を発見したらしい。
こちらに近づく足音が一人から二人とどんどん増えていくの感じ、俺はトラバサミを急いで取る。
「取れた。ほら、歩けるだろ? 早く逃げろ」
前足のトラバサミも取れた。俺は急いで狐に逃げるよう言うが、狐は一緒に来いと言う感じで背中を向ける。
しかし俺は拒んだ。早く行けと怒鳴るように言うと、狐の表情は少し寂しそうになるがその場から走って行ってしまった。
「逃がすなっ!」
狐を見送るように俺が立ち上がった瞬間、背後で何発かの銃声が鳴る。幸いな事に狐には当らなかったものの、銃弾のうち一発は俺の足に当った。
激しい激痛が伝わり、何だか意識も遠のいた。これは実弾ではなく麻酔弾である事に気づくが遅く、俺の意識はプッツリと切れた。
気がつけば、俺は薄暗い室内の中で寝ていた。
麻酔弾で撃たれたあの後、俺は村にある蔵の中に放り込まれたらしい。
どうやら、あの狐の仲間か何かだと思われたのだろう。今は上半身を起こした状態で壁にもたれて床に座っている。
周りにはなんか鎧とか巻物とかがあり、麻酔弾のせいか、腕は何とか動くものの下半身のほうは動かない。
「腹減ったなぁ……」
今は何時だろうか。携帯も無いので分からない。ただ天井窓から月の光が照らされるだけ。
その時だ。天井窓がガタッと音がしたと思い見上げると、そこにはさっき逃げたはずのあの狐がいた。
月の光に照らされ赤い瞳が妖しげに光っている。
そして天井窓は鍵が掛けられていないらしく、器用に開けて中に入ってきた。
薄暗いところに着地し、こちらに近づく足音の音は変わっていた。
そして明るい場所に現れたのは狐ではなかった。
「なっ……」
そこから出てきたのは、一人の女だ。しかもかなりの美人で、腰まである狐の体毛と同じ色の髪の毛が綺麗だった。
それにも増して何故か裸なのにも驚いて思わず顔を背けるが、女は構わず俺の傍まで近づいてき俺に覆うように腰を下げる。
「……やはり、そうか」
「は?」
背けている俺の顔を両手でグイっと曲げ、強制的に正面を向かせた女の顔は目と鼻の先だ。
吸い込まれそうな赤い瞳で見つめられ勝手に赤くなる俺に、女は静かに口を開いた。
「やっと、帰ってきてくれた。約束、守ってくれた」
「え、や、約束?」
「待っていた。私は、お前を」
何処かぎこちないしゃべり方で女は言う。
俺は自分の顔を抑えている片腕を見ると、そこには何かに挟まれたような傷がある。そして、片足にも同じような傷がある。
そして消えた狐。そうか、この女はあの狐か。
俺はこの時そう思った。何より人なのにも関わらず、彼女に生えている大きな尾で確信が持てる。
「約束って、俺が、君と? いつ、どこで?」
「約束、守る」
正体はわかったが、女の言う約束というのが分からない。
俺はそれを問いただそうとするが、その前に女の口が俺の口を塞いで聞けなかった。
頭の中は混乱し、引き離そうとするも下半身は動かず、上半身も動くのがやっとなので抵抗はできない。
そんな中、彼女は唇を離した。彼女の息遣いが俺の鼻や口に伝わった。
「い、いきなり何を……」
「??」
「何でいきなりその……こんな事……」
「次に会う時、私を貰うとお前は言った。愛するもの同士は、こうするものだと、私は聞いた」
彼女は淡々と言うが、俺はわけがわからなかった。いったい誰に聞いたというのだろうか。
そんな俺の疑問など知る由も無い彼女は、いつの間にか俺の服を脱がしており、俺は上半身裸の状態だった。
「さっきは、すまなかった。お前だと、分からなかった」
先程の森で噛まれた所を見ながら寂しげな表情の彼女に、俺はいいよと言う他無い。
彼女はニコリと笑うと、もう止血してカサブタ化している傷口を舌で舐め始める。
ゾクッという感触が腕に流れ彼女は尚も傷口を舐め続け、やがて首や胸元、ひっかかれた頬を静かに舐める。
「血の味がする。痛かっただろう? こうしておけば、大丈夫」
主に傷を集中的に舐める所を見ると、唾をつけておけば治るという事を言いたいらしい。
そんな中、体中を舐められている内に俺の分身と呼べる箇所がいきり立っていた。
彼女はそれが分かってか、器用に2本ある尾の内一本でズボンを脱がし、尾を絡ませ上下に動かす。
もう一本の尾で自らの秘所を濡らしている。
「ぅっ……くっ……」
思わず声が零れる。
やがて彼女の尾の先は水を吸ったように濡れ、彼女は俺に跨り、俺の分身を手に持って自分の秘所にあてがい腰を下ろし始めた。
「え、ちょっ! 待っ!」
心の準備等が無かった俺は、彼女の突然の行動に大声で止めようとするが、それとは先に俺のモノは全て彼女の膣内に入り、暖かい感覚と共に激しい快感が伝わって
きた。
「か、はっ……お、お前と、ひとつに、なれた! ようやく、だ」
「な、なんで、こんな」
「愛する、者同士は、んっ、こうするもの、なのだろう?」
彼女は眉根を寄せるも、やがて嬉しそうな笑みで言う。
「動く。お前は、何も、んぁっ、しなくていい」
そして、彼女は俺の肩を両手で持ち腰を上下に動かし始めた。
彼女の肌は既に赤らめており、喘ぎながらも笑みを浮かべている口元からは一筋の唾液が垂れていた。
「あん! んんぁっ! あぅ、はあぁん!!」
どちらかと言えば寒かった蔵の中。
しかし、今は彼女によって体が熱い。
彼女が上下に動くたびに、彼女からも汗が飛び俺の体や顔にかかる。
俺はもう抵抗する気は無かった。
今は彼女が何故か愛しく思えていた、何故だかは分からない。
「き、気持ち、はぅっ、いいか?」
「あ、ああ」
「そ、うか。お前の、私の、中で、また大きくなって、きている! 私は、嬉しっんあぁ!」
彼女は激しく上下に動き、微笑みながら喘いでいた。
そして彼女の言うとおり、彼女の膣内で俺のモノは限界を迎えているのか大きくなってきているのを感じる。
このままいけば、彼女の膣内が汚い液で汚れてしまう。
「こ、腰を、抜いて」
「ひゃんっ! そ、そこはっ!」
俺は吐き出す前に彼女の体を抜こうとし、咄嗟にゆっさゆっさを揺れている2本の尾をギュッと持つと、どうやら敏感部分だったらしく彼女の膣内がキュッと絞まる。
それに耐え切れなくなった俺のモノは、ついに俺の精液が彼女の膣内に注ぎ込まれた。
「ん……っ! ……っ、くっ、熱い……」
彼女はそれを受け止めると、ピクピクと痙攣しているようで、口元は満足そうに笑みを浮かべている。
「すごい、な。だが、まだだ。私はまだ」
射精が終えても、彼女は俺のモノを抜こうとはせず、再び激しく腰を上下に動かし始めた。
そして唇を重ね、激しく舌を絡ませてくる。
そんな濃厚な行為に俺のはすぐに大きくなり、蔵の中では彼女の喘ぎ声と俺と一つになっている音だけがただ響いていた。
「私は、いま幸せだ」
彼女は本当に幸せそうに微笑んでいた。
そして、月明かりだけが照らす蔵の中で、彼女は何度も俺を求め何度もその体で俺の精を受け止めていた。
----
「つーわけで、お前達が生まれたってわけ」
「ほへー」
「おとうさんへんたーい」
「うるさい」
彼女との交わりから、10年程経った。
あれから俺と彼女は、その村から少し離れた村に行き、今俺は、その小さな村で二人の子供と暮らしている。
そう、あの蔵での交わりでできた俺の彼女の子だ。しかも女と男の双子である。
「それじゃあ行ってくるねー」
「おう、行って来い」
娘と息子は既に10歳。小さいながら学校に通っている。
娘と息子はいつもどおり元気な顔で二人仲良く学校に向かって走っていった。
俺は二人を見送ると、日課である彼女の所に行く。
少し山を登ったところにある小さく古いお堂に彼女はいる。
「今日もここで寝てたのか」
お堂の中に居たのは大きな狐。
狐は大きな欠伸をすると、俺に擦り寄ってきた。
「いい加減戻れ」
擦り寄る狐に言うと、狐はこくっと頷き2本の尾で俺の視界を塞いだ。
「待たせた」
「はい、服」
「ありがとう」
視界が戻ると、そこには俺の妻が立っている。
裸なので俺は持ってきた服を手渡すと、妻はニコリと受け取った。
何でも自由に狐と人間に化けられ、その際の変化は俺にも見られてたくないらしい。
「にしても早いな。もう10年なんて」
妻の着替えるのを横に俺は言う。妻も頷く。
「なぁ、10年経ったんだし、いい加減俺はお前に何言ったのか教えてくれないか?」
そんな妻に、10年間疑問に思っていた事を聞いてみた。
それは、俺と妻の出会いだ。10年前の交わりの日のことはあくまで再会だと妻は言ったのでずっと気になっていた。
「あれは、確か暑い日。まだ子供だった時」
「子供? えっと………あ!!」
妻は少し微笑んで言う。この時、俺のある記憶が鮮明に蘇った。
あれは確か、俺がまだ小学生の時、夏休みを利用して婆ちゃんの家に遊びに言った時だ。
昔から変わらず田舎で、遊ぶところなど無く尚且つ遊ぶ相手もいない暇な日を過ごしていた時、俺は森で変な動物が罠にかかっているところを助けたことがあった。
それで、その直後全く喋らない妙な女の子が出てきて、俺の後をチョコチョコついて来るものだから、俺も暇だったし毎日遊んでいたら仲良くなった。
そして都会に帰る間際、その女の子に俺はこう言ったんだった。
「こんど、また来てまだ一人だったら、僕が君を貰うよ。子供もいっぱい作ってさ」
「……? わ、た、しを?」
「うん、約束」
「やく、そく」
その後、色々あって結局あの村には行かなかった。
我ながら物凄い大胆発言をしたもんだ。
「思い出したか?」
「ああ、納得した」
妻はにっこり笑っていた。
聞けば、好きな人同士がキスしたりセックスすると教えたのは俺が帰った後、家の婆ちゃんが教えたらしい。
間違ってはいない、ただ、妻は実行が早すぎた。
「んじゃ、いくか。あと、まぁ、これからもよろしく」
「あの子達と、永遠に」
今思えば、婆ちゃんが死んで俺があの村に来て、そして妻と出会ったのは運命の導き、だったりするのかもしれない。
俺は、死んだ婆ちゃんの墓参りで地方の方に来ていた。四方を山で囲まれた小さな村。
都会とは違い自然に満ち溢れて空気がうまい。
墓参りも終えた直後、俺は村人が話しているのを偶然耳にした。
村の四方を囲んだ山々のどこかに大きな化け物がいるとかで、もう何年も農作物が荒らされているらしい。
そして今夜、その化け物を生け捕りにする為村の男集で徹底的に山を探すとか。
「化け物……」
少し気になった。怖いもの見たさと言うものだ。
見つけても何するわけでもなく、本当にいたのかくらいにしか思わないと思う。
そして俺も化け物探しに誘われた。若い男という事だそうで、俺も即答で頷いた。
夜の森。懐中電灯と月の明かりだけが頼りに、俺は一人で森を散策していた。
「本当にいるのか……」
鳥の鳴き声や虫の飛ぶ音が聞こえる中、ガチャガチャっと金属製の物がぶつかり合う音が聞こえる。
明らかに森では聞かない音に、俺は音のする場所に早歩きで向かった。
そこには、予想はしていたがやはり驚く光景があった。
木々が生い茂る場所で、広い空間がある。
そこに、ある獣が狩猟用の罠のトラバサミにかかっている。前足と後ろ足に1つずつ痛々そうに挟まれもがいて暴れていた。
こいつだ。俺は確信した。
狼などより大きい体に、黄金色の毛の色、血のように赤い眼。そして長く大きい尾は2本ある。
狐に似ている、新種か何かだろうか? そんなことを思う前に、俺は目の前の狐に魅了されていた。
懐中電灯は地面に落としてしまった際に消えてしまった。しかし逆に月の光に照らされ、小金の体毛が輝いているように見え美しいという感情が俺の脳裏に流れる。
「……助けなきゃ」
村人の誰かに見つかれば何をされるかわからない。
俺は別に生け捕りの為にきたわけじゃなく、こんなに苦しんでいるのを放っておくのも人間としてどうかと思った。
それ以前に、この狐とはどこかで会った気がしてしょうがない。
「ちょっと、悪いな」
トラバサミに手をやる。狐も俺を警戒しているのか低いうなり声を上げているが、俺は構わずトラバサミをいじり始めた。やはり簡単には開かない。
そしてカチャカチャやる事数分、ようやく後ろ足のトラバサミが取れた。
それと同時に狐は外れた衝撃でか暴れだす。
「お、おい、暴れるなって。痛っ!」
大きな尾で俺の顔が叩かれ、後ろ足の爪で腕や膝を思いっきりひっかかれる。
そんな攻撃にあいながらも、俺は前足のトラバサミを取り始めた。
片方の前足で顔をひっかかれ、更には俺の左腕を噛み付かれる。しかし、大きい体ながら弱っているのか力がない。
「っ! ……っ、もう少しだからな、待ってろ」
月を隠していた雲が完全に晴れたのか、その場は割りと明るくなった。
その時、狐は俺の姿を敵意の篭った瞳で見ると、不意に噛むのをやめ大人しくなる。
「いたぞ! ここにいたぞーー!!」
「げっ! やばい」
村人の一人が俺達を発見したらしい。
こちらに近づく足音が一人から二人とどんどん増えていくの感じ、俺はトラバサミを急いで取る。
「取れた。ほら、歩けるだろ? 早く逃げろ」
前足のトラバサミも取れた。俺は急いで狐に逃げるよう言うが、狐は一緒に来いと言う感じで背中を向ける。
しかし俺は拒んだ。早く行けと怒鳴るように言うと、狐の表情は少し寂しそうになるがその場から走って行ってしまった。
「逃がすなっ!」
狐を見送るように俺が立ち上がった瞬間、背後で何発かの銃声が鳴る。幸いな事に狐には当らなかったものの、銃弾のうち一発は俺の足に当った。
激しい激痛が伝わり、何だか意識も遠のいた。これは実弾ではなく麻酔弾である事に気づくが遅く、俺の意識はプッツリと切れた。
気がつけば、俺は薄暗い室内の中で寝ていた。
麻酔弾で撃たれたあの後、俺は村にある蔵の中に放り込まれたらしい。
どうやら、あの狐の仲間か何かだと思われたのだろう。今は上半身を起こした状態で壁にもたれて床に座っている。
周りにはなんか鎧とか巻物とかがあり、麻酔弾のせいか、腕は何とか動くものの下半身のほうは動かない。
「腹減ったなぁ……」
今は何時だろうか。携帯も無いので分からない。ただ天井窓から月の光が照らされるだけ。
その時だ。天井窓がガタッと音がしたと思い見上げると、そこにはさっき逃げたはずのあの狐がいた。
月の光に照らされ赤い瞳が妖しげに光っている。
そして天井窓は鍵が掛けられていないらしく、器用に開けて中に入ってきた。
薄暗いところに着地し、こちらに近づく足音の音は変わっていた。
そして明るい場所に現れたのは狐ではなかった。
「なっ……」
そこから出てきたのは、一人の女だ。しかもかなりの美人で、腰まである狐の体毛と同じ色の髪の毛が綺麗だった。
それにも増して何故か裸なのにも驚いて思わず顔を背けるが、女は構わず俺の傍まで近づいてき俺に覆うように腰を下げる。
「……やはり、そうか」
「は?」
背けている俺の顔を両手でグイっと曲げ、強制的に正面を向かせた女の顔は目と鼻の先だ。
吸い込まれそうな赤い瞳で見つめられ勝手に赤くなる俺に、女は静かに口を開いた。
「やっと、帰ってきてくれた。約束、守ってくれた」
「え、や、約束?」
「待っていた。私は、お前を」
何処かぎこちないしゃべり方で女は言う。
俺は自分の顔を抑えている片腕を見ると、そこには何かに挟まれたような傷がある。そして、片足にも同じような傷がある。
そして消えた狐。そうか、この女はあの狐か。
俺はこの時そう思った。何より人なのにも関わらず、彼女に生えている大きな尾で確信が持てる。
「約束って、俺が、君と? いつ、どこで?」
「約束、守る」
正体はわかったが、女の言う約束というのが分からない。
俺はそれを問いただそうとするが、その前に女の口が俺の口を塞いで聞けなかった。
頭の中は混乱し、引き離そうとするも下半身は動かず、上半身も動くのがやっとなので抵抗はできない。
そんな中、彼女は唇を離した。彼女の息遣いが俺の鼻や口に伝わった。
「い、いきなり何を……」
「??」
「何でいきなりその……こんな事……」
「次に会う時、私を貰うとお前は言った。愛するもの同士は、こうするものだと、私は聞いた」
彼女は淡々と言うが、俺はわけがわからなかった。いったい誰に聞いたというのだろうか。
そんな俺の疑問など知る由も無い彼女は、いつの間にか俺の服を脱がしており、俺は上半身裸の状態だった。
「さっきは、すまなかった。お前だと、分からなかった」
先程の森で噛まれた所を見ながら寂しげな表情の彼女に、俺はいいよと言う他無い。
彼女はニコリと笑うと、もう止血してカサブタ化している傷口を舌で舐め始める。
ゾクッという感触が腕に流れ彼女は尚も傷口を舐め続け、やがて首や胸元、ひっかかれた頬を静かに舐める。
「血の味がする。痛かっただろう? こうしておけば、大丈夫」
主に傷を集中的に舐める所を見ると、唾をつけておけば治るという事を言いたいらしい。
そんな中、体中を舐められている内に俺の分身と呼べる箇所がいきり立っていた。
彼女はそれが分かってか、器用に2本ある尾の内一本でズボンを脱がし、尾を絡ませ上下に動かす。
もう一本の尾で自らの秘所を濡らしている。
「ぅっ……くっ……」
思わず声が零れる。
やがて彼女の尾の先は水を吸ったように濡れ、彼女は俺に跨り、俺の分身を手に持って自分の秘所にあてがい腰を下ろし始めた。
「え、ちょっ! 待っ!」
心の準備等が無かった俺は、彼女の突然の行動に大声で止めようとするが、それとは先に俺のモノは全て彼女の膣内に入り、暖かい感覚と共に激しい快感が伝わって
きた。
「か、はっ……お、お前と、ひとつに、なれた! ようやく、だ」
「な、なんで、こんな」
「愛する、者同士は、んっ、こうするもの、なのだろう?」
彼女は眉根を寄せるも、やがて嬉しそうな笑みで言う。
「動く。お前は、何も、んぁっ、しなくていい」
そして、彼女は俺の肩を両手で持ち腰を上下に動かし始めた。
彼女の肌は既に赤らめており、喘ぎながらも笑みを浮かべている口元からは一筋の唾液が垂れていた。
「あん! んんぁっ! あぅ、はあぁん!!」
どちらかと言えば寒かった蔵の中。
しかし、今は彼女によって体が熱い。
彼女が上下に動くたびに、彼女からも汗が飛び俺の体や顔にかかる。
俺はもう抵抗する気は無かった。
今は彼女が何故か愛しく思えていた、何故だかは分からない。
「き、気持ち、はぅっ、いいか?」
「あ、ああ」
「そ、うか。お前の、私の、中で、また大きくなって、きている! 私は、嬉しっんあぁ!」
彼女は激しく上下に動き、微笑みながら喘いでいた。
そして彼女の言うとおり、彼女の膣内で俺のモノは限界を迎えているのか大きくなってきているのを感じる。
このままいけば、彼女の膣内が汚い液で汚れてしまう。
「こ、腰を、抜いて」
「ひゃんっ! そ、そこはっ!」
俺は吐き出す前に彼女の体を抜こうとし、咄嗟にゆっさゆっさを揺れている2本の尾をギュッと持つと、どうやら敏感部分だったらしく彼女の膣内がキュッと絞まる。
それに耐え切れなくなった俺のモノは、ついに俺の精液が彼女の膣内に注ぎ込まれた。
「ん……っ! ……っ、くっ、熱い……」
彼女はそれを受け止めると、ピクピクと痙攣しているようで、口元は満足そうに笑みを浮かべている。
「すごい、な。だが、まだだ。私はまだ」
射精が終えても、彼女は俺のモノを抜こうとはせず、再び激しく腰を上下に動かし始めた。
そして唇を重ね、激しく舌を絡ませてくる。
そんな濃厚な行為に俺のはすぐに大きくなり、蔵の中では彼女の喘ぎ声と俺と一つになっている音だけがただ響いていた。
「私は、いま幸せだ」
彼女は本当に幸せそうに微笑んでいた。
そして、月明かりだけが照らす蔵の中で、彼女は何度も俺を求め何度もその体で俺の精を受け止めていた。
----
「つーわけで、お前達が生まれたってわけ」
「ほへー」
「おとうさんへんたーい」
「うるさい」
彼女との交わりから、10年程経った。
あれから俺と彼女は、その村から少し離れた村に行き、今俺は、その小さな村で二人の子供と暮らしている。
そう、あの蔵での交わりでできた俺の彼女の子だ。しかも女と男の双子である。
「それじゃあ行ってくるねー」
「おう、行って来い」
娘と息子は既に10歳。小さいながら学校に通っている。
娘と息子はいつもどおり元気な顔で二人仲良く学校に向かって走っていった。
俺は二人を見送ると、日課である彼女の所に行く。
少し山を登ったところにある小さく古いお堂に彼女はいる。
「今日もここで寝てたのか」
お堂の中に居たのは大きな狐。
狐は大きな欠伸をすると、俺に擦り寄ってきた。
「いい加減戻れ」
擦り寄る狐に言うと、狐はこくっと頷き2本の尾で俺の視界を塞いだ。
「待たせた」
「はい、服」
「ありがとう」
視界が戻ると、そこには俺の妻が立っている。
裸なので俺は持ってきた服を手渡すと、妻はニコリと受け取った。
何でも自由に狐と人間に化けられ、その際の変化は俺にも見られてたくないらしい。
「にしても早いな。もう10年なんて」
妻の着替えるのを横に俺は言う。妻も頷く。
「なぁ、10年経ったんだし、いい加減俺はお前に何言ったのか教えてくれないか?」
そんな妻に、10年間疑問に思っていた事を聞いてみた。
それは、俺と妻の出会いだ。10年前の交わりの日のことはあくまで再会だと妻は言ったのでずっと気になっていた。
「あれは、確か暑い日。まだ子供だった時」
「子供? えっと………あ!!」
妻は少し微笑んで言う。この時、俺のある記憶が鮮明に蘇った。
あれは確か、俺がまだ小学生の時、夏休みを利用して婆ちゃんの家に遊びに言った時だ。
昔から変わらず田舎で、遊ぶところなど無く尚且つ遊ぶ相手もいない暇な日を過ごしていた時、俺は森で変な動物が罠にかかっているところを助けたことがあった。
それで、その直後全く喋らない妙な女の子が出てきて、俺の後をチョコチョコついて来るものだから、俺も暇だったし毎日遊んでいたら仲良くなった。
そして都会に帰る間際、その女の子に俺はこう言ったんだった。
「こんど、また来てまだ一人だったら、僕が君を貰うよ。子供もいっぱい作ってさ」
「……? わ、た、しを?」
「うん、約束」
「やく、そく」
その後、色々あって結局あの村には行かなかった。
我ながら物凄い大胆発言をしたもんだ。
「思い出したか?」
「ああ、納得した」
妻はにっこり笑っていた。
聞けば、好きな人同士がキスしたりセックスすると教えたのは俺が帰った後、家の婆ちゃんが教えたらしい。
間違ってはいない、ただ、妻は実行が早すぎた。
「んじゃ、いくか。あと、まぁ、これからもよろしく」
「あの子達と、永遠に」
今思えば、婆ちゃんが死んで俺があの村に来て、そして妻と出会ったのは運命の導き、だったりするのかもしれない。