胆嚢壁

胆嚢壁は粘膜層,筋層,漿膜下層,漿膜層の4層からなり,粘膜筋板を欠く.
胆嚢窩に付着する部位は漿膜を欠く.
○粘膜は単層円柱上皮の粘膜上皮と,まばらな結合織より成る粘膜固有層からなる.
粘膜固有層は微細な弾性繊維を含み,胆汁濃縮時に再吸収した水分が流入する毛細血管,リンパ管網の発達が良好である.
頸部には,粘膜固有層あるいは筋層近くまで入り込んだ単一管状胞状腺tubloalveolarglandがあり,粘液を分泌する.
胆嚢内面には無数の微少なひだがあり,胆嚢内容の充満により大きさが変化する.
○筋層は平滑筋繊維が縦・横・斜めと複雑に走行し(内層では縦走,外層では斜走),その間に結合織が存在する.胆管に比
べ発達が良く,特に頸部と底部で顕著である.
○漿膜下組織は血管,リンパ管,神経に富む結合織の層である.
○漿膜は腹膜由来である.
  • 胆嚢管も胆嚢壁にほぼ似ているが,筋線維成分を欠き,Heister弁の基部にわずかに分布がある.
胆嚢にはRokitansky-Aschoff洞やLuschka管が高頻度に見られる.

1)Rokitansky-Aschoff洞
Rokitansky-Aschoffsinus(RAS)
胆嚢内腔と交通を有する粘膜上皮の壁内への憩室様陥入.頻度は手術例で9.3%.臨床的には胆嚢壁の抵抗減弱部とし
てとらえられ,筋層から漿膜下層に達し,胆嚢癌の伸展,胆嚢穿孔,壁内膿瘍,胆嚢周囲膿瘍,壁内結石,胆嚢腺筋
adeno-myomatosisなどに関与するといわれている.

2)Luschka管
Luschkaduct
組織学的にRokitansky-Aschoff洞と区別は容易ではないが,胆嚢内腔と交通のない,壁内の腺管上皮すなわち肝内胆管
と交通を有する胆管と定義され,胆嚢床で肝臓癒合部の胆嚢壁深部に限局する.胆道発生途上に迷入した迷入胆管と考
えられる.手術胆嚢の約15%に存在するとされ,損傷すると術後の胆汁漏出の原因となるので注意が必要である.

肝管および総胆管

○肝内胆管の毛細胆管は,肝細胞壁で構成され,門脈域に入った,小葉胆管以降になると固有の立方上皮ないし低い円柱
上皮をもつ.
○肝外胆管の内面は細網状で,粘膜は単層円柱上皮と小粘液腺が散財する粘膜固有層からなる.
○筋層は平滑筋線維束からなり,内縦・外斜の傾向を示すが,その発達は悪くまばらで,膠原線維や弾性繊維を含んでい
る.筋層を明瞭に認めるのは下部胆管である.
○結合織層は脂肪組織が豊富で,血管,リンパ管,神経が走行する.外側は腹膜の延長である漿膜に包まれる.

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最終更新:2006年11月29日 12:59