胆道の血管系

1)動脈系
肝外胆道系の動脈は主として総肝動脈の分枝であるがvariationが多い.
胆嚢動脈arteriacysticaは右肝動脈より分岐した後,その80%が,総肝管,胆嚢管,肝下面で囲まれたCalot三角
Calot'striangle内を通過して分かれ,前枝(浅枝)は胆嚢腹壁側に,後枝(深枝)は肝側と胆嚢床に分布し互いに吻合
して血管網を形成する.胆管系の十二指腸側では後上膵十二指腸動脈,肝側では胆嚢動脈と右肝動脈の分枝で血管網を形成
する.
2)静脈系
胆嚢壁内静脈は胆嚢床では直接肝内に,胆嚢床以外の胆嚢では胆嚢静脈を経て門脈に流入.胆管では毛細血管静脈叢は胆管
に沿って走り,肝実質内から肝静脈に流入.
3)リンパ系
胆道系のリンパ流は左側と右側の2つの経路に大別される.
左側経路は胆嚢左側(前面)からのリンパ管が固有肝動脈に沿って,腹腔動脈幹から大動脈外側リンパ節へ至る.右側
(後面)からのリンパ流は総胆管リンパ節に流入し,総胆管に沿って膵頭後面から大動静脈間リンパ節に達する.
4)胆道の神経系
交感神経,副交感神経,(迷走神経)および右横隔神経から神経支配を受ける.
交感神経は知覚を伝達する.胆嚢や胆管の神経終末からの知覚刺激は肝門の前後肝神経叢anteriorandposterior
hepaticplexusから肝十二指腸間膜内を下行し,腹腔神経叢celiacplexus内の左右腹腔神経節leftandright
celiacganglionに入り,大内臓神経を通り上行し,第7~第10胸部神経節から大脳皮質へ伝達される.
副交感神経は胆道系の運動を支配する.延髄背側核からの刺激は迷走神経を下行し,右迷走神経腹腔枝は腹腔神経節を経由
し後肝神経叢に入り,左迷走神経肝枝は直接に前後肝神経叢に入り,胆嚢,肝外胆管や血管に分枝を送っている.
右横隔神経は,胆道系にも神経分布があり,胆道系の知覚刺激は右横隔神経にも伝えられる.胆道疾患の疝痛発作が右肩へ
放散することの説明になっている.

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最終更新:2006年11月29日 10:15